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観光は地域の総力戦<上>

2026.08.18 07:00(2か月前) ブログ公明党ニュース |里見りゅうじ(里見隆治)

(座談会)篠原靖・跡見学園女子大学准教授×公明党議員

地方創生の推進力として「観光」が注目されています。今回、篠原靖・跡見学園女子大学観光コミュニティ学部准教授と公明党の里見隆治参院議員、海野真樹・北海道議、真山祐一・福島県議、岡明彦・愛知県議、林広文・長崎市議が「観光は地域の総力戦」をテーマに語り合いました。上・下2回で紹介します。※下は来週25日付で掲載予定

■地方分散の今こそ絶好機/シビックプライドを育む

■“何もない”を魅力に

里見隆治・参院議員 篠原准教授と観光による地方創生について語り合いたいと思います。篠原准教授とは、前職の国家公務員時代に地方創生施策を担当したときからのお付き合いです。

本紙でも昨年、連載「観光戦略×地方創生」を執筆していただき、地域資源の磨き方など最新の政策を教えていただきました。

篠原靖・跡見学園女子大学准教授 よろしくお願いします。公明党は熱心に観光振興に取り組んでいる印象です。きょうは各地の事例などを通じて有意義な意見交換にしていきましょう。

里見 公明党は、観光立国推進本部を中心に各地方で調査し、地域の観光・行政の関係者、地方議員を交え、観光振興、観光を通した地域振興について話し合いを重ねてきました。近年、観光は地方創生の切り札とも言われていますが、現状をどう見ますか。

 篠原 今、地方に大きなチャンスが来ています。2026年度の観光庁予算は前年度比約2・4倍の1383億円。柱の一つが、地方誘客による需要分散です。地方の観光は今後、大きく変わります。地域の稼ぎ頭として、観光ほど伸びしろのある産業はありません。

里見 ただ、「観光資源が何もない」と悩む地方は少なくありません。

篠原 名所だけが資源ではありません。歴史や文化、食、産業、しきたり、日々の暮らしも、外から見れば魅力になります。

岡明彦・愛知県議 確かに、見慣れた産業や文化も、体験や学びという視点で見ると価値が変わりますね。

篠原 住民には当たり前のものを、旅行者に伝わる物語や体験に変える。それが地方観光の出発点です。

海野真樹・北海道議 私も航空会社で働き、外からの声を聞く中で、地元では当たり前の風景に価値があると気付きました。

林広文・長崎市議 長崎でも、坂道や路地を、市民の案内で街歩きの魅力に変えてきました。

真山祐一・福島県議 福島では、復興へ向かう街の姿や住民の声が、現地でしか得られない学びになっています。

篠原 観光は消費を生むだけではありません。最近、観光によるシビックプライド(地域への誇り)という言葉が使われています。市民が観光客と交流することにより、自分の住む街の魅力に気付き、市民が地元への誇りや愛着を高めること、すなわち市民自身が自分も地域をより良くしたいと思う当事者意識を持つことにあります。

■北前船が運ぶ文化

海野 北海道では、旅行者の空港利用が新千歳に集中しています。函館など道内の地方空港を生かし、各地域へ人の流れを広げる必要があります。

真山 地方空港を選んでもらうには、その先に訪れたい魅力が必要ですね。

海野 函館には函館山や五稜郭だけでなく、市場や海辺などの日常の風景があります。さらに、江戸時代から明治時代に日本海沿岸を巡り、各地で商品を売買した北前船の歴史も残ります。北前船が運んだニシンや道南の真昆布、港町の商いを一つの物語にする旅も提供したいですね。

 篠原 北前船は物だけでなく、各地の文化や暮らしも運びました。こうした資源を「体験」「滞在」「交流」につなぎ、「今だけ、ここだけ、あなただけ」の価値に磨く。

里見 地域の物語と空港を結び、北海道全体へ人の流れを広げる。地方分散を地域経済の活性化につなげる取り組みになります。

■ラーケーションを全国へ/体験・滞在・交流を結ぶ

■平日に親子で学習

岡 愛知県では、学びと休暇を組み合わせた「ラーケーション」を進めています。子どもは平日に保護者と地域で学び、年3日まで学校に登校しなくとも欠席扱いになりません。

里見 家族の学びと観光の平日需要を結ぶ取り組みですね。

岡 休日に働く保護者の家庭などにとっては、子どもと過ごす時間をつくる「休み方改革」にもなります。県では教育、労働、地方創生、観光の担当部局が連携し、保護者が休みやすい環境づくりも進めています。

篠原 学び、観光、働き方をつなぐ横断政策です。需要を平日に分散できれば、観光事業者の安定した雇用にもつながります。全国へ広がる成功例にしてほしいですね。

海野 観光業で働く親が、子どもと地域を巡れる点も大切ですね。

林 制度を広げる上で、課題はありますか。

岡 保護者が平日に休める環境と、親子を受け入れる体験プログラムが必要です。家庭の事情によって利用に差が生じない工夫も欠かせません。

篠原 愛知県には親子が楽しめる体験はどのような素材がありますか。

岡 名古屋市緑区の有松にある、日本遺産の有松・鳴海絞りと旧東海道の街並みが有名です。職人に教わる絞り体験や街歩きで、歴史と地場産業を学べます。

■「関係人口」へ変える

篠原 大切なのは「体験」「滞在」「交流」です。手を動かし、人と語り、地域で過ごす。一度の観光客を、継続して地域と関わるリピーター、すなわち「関係人口」へ変えていきます。

岡 企業研修にも生かせます。伝統産業の現場で事業承継を学び、離島や山間部では地域課題を共に考える。企業と地域の交流を継続させたいです。

里見 観光が、地域と関わる入り口になるのですね。

篠原 課題は、滞在を飲食や買い物などの消費につなげることです。体験型の商品を磨き、過ごし方の選択肢を増やす必要があります。

岡 自治体や学校、企業、事業者が連携することで、子どもが感動を覚え、再訪や地域消費、担い手づくりにもつながります。

※次回、<下>に続く

しのはら・やすし 1959年生まれ。中央大学卒。跡見学園女子大学観光コミュニティ学部准教授。内閣府地域活性化伝道師。観光庁をはじめ複数省庁の委員や全国各地の自治体の観光関連委員などを多数歴任。2010年から現職。専門は観光による地域活性化や関係人口の拡大。

(議員サポート)観光は地域の総力戦<上>/(座談会)篠原靖・跡見学園女子大学准教授×公明党議員

公明新聞電子版 2026年08月18日付

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