建設石綿の被害者救済進む

2021.12.09 07:00(10か月前) ブログ公明党ニュース |里見りゅうじ(里見隆治)

給付金法が一部施行

建設現場のアスベスト(石綿)により健康被害を受けた労働者らを幅広く救済する「建設アスベスト給付金法」(議員立法)が今月1日に一部施行され、給付金の支給に向けた動きが始まった。公明党は今年5月、与党建設アスベスト対策プロジェクトチーム(PT、座長代理=江田康幸衆院議員、当時)が救済策をまとめる中、給付金制度の創設を強く主張し、法制定をリードしてきた。

早期解決へ法制化

建物の断熱材などに利用されてきた石綿は、吸い込むと数十年の潜伏期間を経て肺がんや中皮腫などを発症する恐れが知られている。

1972年に世界保健機関(WHO)が危険性を指摘して以降、欧米諸国は相次いで使用を禁じたが、日本の規制は遅れた。使用が原則禁止されたのは2004年だった。その間、健康被害を受ける人が増え続ける形となり、今なお労災認定を受ける人は毎年1000人程度に上る。

必要な対策を怠ったとして元労働者が国などを相手取り、損害賠償を求めた訴訟が08年からスタート。今年5月17日の最高裁判決で国の責任が認定された。早期解決へ与党PTは同日、和解・解決金の支払いや、未提訴の被害者のための給付金制度創設などを柱とする救済策を策定。国と原告側は翌18日、これらの救済策を踏まえた「基本合意書」を締結し、和解へ合意した。

この給付金制度を実現するため6月9日に制定されたのが、建設アスベスト給付金法だった。

対象者は3万1000人

給付金は、厚生労働省の外郭団体に基金を設置し、請求を受けた同省が審査して支払う仕組み。過去の特定期間に石綿の吹き付け作業や一定の屋内作業に従事し、中皮腫などの病気を発症した労働者らが支給対象となる。労働者に当たらず労働安全衛生法の保護対象外とされてきた「一人親方」らも対象に含まれる。

支給額は症状に応じ1人当たり550万~1150万円。亡くなった場合は遺族に同1200万~1300万円払う。約3万1000人程度の対象者数がいると推計されている。

認定審査会設置へ

建設アスベスト給付金法 制度の概要
制度の概要

 

同給付金法の一部施行により、認定審査会や基金などの設置に向けた手続きが始まった。21年度補正予算案には基金の財源として1730億円も計上された。被害者が給付金を受けるための具体的な申請手続きは今後、別途定められる。

「勇気付けられた」

被害者は一日も早い救済を待ち望んできた。近畿地方に住む70代女性は、一人親方だった夫を9年前、中皮腫で亡くした。「大きな病気もしたことがない夫は、発症からわずか半年ほどで他界した。無念だったと思う。当時の仕事仲間も肺の病気で苦しんでいて、一刻も早い救済が必要。法律が一部施行されたことに勇気付けられている」と話す。

首都圏建設アスベスト東京訴訟弁護団の井上聡副団長(弁護士)は、基本合意書の締結から3週間余りで同給付金法が成立したことを踏まえ、「私たちも驚くスピードで法律が制定された。与党PTが被害者の救済に本気を出してくれなければ無理だった。給付金の円滑な支給へ、引き続き全力を尽くしてほしい」と訴える。

一人親方含めて幅広く

与党対策PTメンバー(公明党) 里見隆治参院議員

建設石綿の被害者は高齢化し、救済までに長い年月がかかる裁判での解決を待てない人も少なくない。実態を踏まえ、与党PTの議論の中で公明党は早期かつ、一人親方も含む未提訴の被害者の幅広い救済を強く訴えてきた。建設アスベスト給付金法は、公明党の主張が全て反映された法律といえる。

被害者に給付金を確実に早く届けるためには、丁寧な相談体制や情報発信が重要で、厚労省に対応を促してきた。その結果、6月には電話相談窓口(電話0570―006031)が開設された。今月からは、既に労災保険給付を受けている被害者らが請求すれば、労災関係などの情報を記載した書類が届けられ、その内容を給付金の申請に利用できるサービスも始まった。このサービスの情報もプッシュ型で被害者に届けている。今後も申請手続きの負担軽減を図りたい。

残された課題もある。給付金法の付則では、建材メーカーの責任や賠償のあり方が今後の検討事項になっている。どのような対応ができるのか、被害者に寄り添いながら議論を深めていく決意だ。

建設石綿の被害者救済進む/給付金法が一部施行/早期解決へ法制化

公明党ニュースより

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