経済産業委員会で「スマホソフトウエア競争促進法案 」が全会一致で可決

2024.06.12 07:15(4か月前) ブログ国会質疑 |里見りゅうじ(里見隆治)

【全ての消費者に恩恵を】
スマホ向けアプリ市場における巨大IT企業の独占を規制する「スマホソフトウエア競争促進法案 」が全会一致で可決しました。この法案によりデジタル分野に不慣れな高齢者の立場に立った配慮が必要だと主張させていただきました。
◾️質問動画

議事録

里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。
 本法律案の目的でありますが、第一条の最後に、特定ソフトウェアに係る公正かつ自由な競争の促進を図り、もって、これが一番大事だと思うんですが、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与するとありますように、最終的には国民の利益につながるものでなければなりません。その意味で、今日は、国民の生活者目線、またユーザー目線という観点で質問させていただきたいと思います。
 この本法案によってアプリストアの開放が実現したとしても、特にデジタル分野に詳しくない一般のユーザーにとってはかえって混乱を招くのではないかという観点もございます。先ほどの質疑の中でも、アプリやブラウザのプリインストール、デフォルト設定について議論になりました。
 公取のアンケート調査によりますと、ブラウザを例にして言いますと、先ほど御紹介がありました、iOSだとサファリ、アンドロイドではクロームといった、このOSを提供している事業者のブラウザがプリインストールされているからという理由で選択される傾向があるという結果が出ております。
 様々なアプリについて、特定ソフト事業者のアプリがプリインストールされ、デフォルト設定されているということについて、高齢者であるとかデジタル分野に不慣れな方々にとっては、使いやすい、便利であるというふうに感じている点も一定数いらっしゃるわけでありまして、本法律案によって逆に利便性の低下を招いてしまうのではないかという、不安に思われている方もいらっしゃると思います。
 法案の第十二条で、標準設定に係る措置として、指定事業者に対して、OSやブラウザ上で標準設定されているアプリやサービスについて、利用者の簡易な操作により標準設定を変更できるようにすることとか、同種の複数の選択肢が表示されるようにすること等の措置を講じなければならないこととされています。これは、先ほど遵守すべき事項ということで御説明があったと思います。
 具体的に、スマホの画面上でどのような表示になることが想定されるのか、デジタル分野に不慣れなユーザーにとっても利便性が低下することがないようにという観点で御説明いただければと思います。

政府参考人(岩成博夫君) お答えいたします。
 まず、何点かあったと思うんですけれども、まず、利便性の低下を招いてしまうのではないかという御指摘ございました。スマートフォンを買ってすぐ使える状態にあるということも消費者の利便性の観点からは重要であるというふうに思います。本法案の規律では、その標準設定自体を禁止するというふうなことはしていないところであります。
 それから、標準設定に係る措置の具体的な表示としてどういうものを想定しているかという点であります。本法案の十二条において規定されている標準設定に係る措置については御指摘のあったとおりでありますけれども、具体的な措置として考えられるものといたしましては、例えば、標準設定することができる同種の複数のソフトウェアについて、分かりやすく選択肢の存在でありますとか各選択肢の特徴や利点、切替えの具体的な方法などの情報を提供する措置というものが考えられます。
 それから、不慣れなユーザーにとっては利便性が低下するんじゃないかという御指摘もありました。この十二条の規定でありますけれども、モバイルOS又はブラウザに係る指定事業者が標準設定に係る措置を講ずることによりまして、まずはスマートフォンの利用者が分かりやすい形で自分に合ったサービスを選択しやすくするためのものでございます。
 御指摘も踏まえて、下位法令の制定でありますとか法運用に当たっては、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。

里見隆治君 もう一点、この使いやすさ、利便性という観点で、データポータビリティーについてもお伺いしておきたいと思います。
 法案の第十一条で、指定事業者に対して、スマートフォンの利用者の求めに応じて特定ソフトウェアに係るデータを円滑に移転するために必要な措置を講じなければならないとされています。
 公取が行った実態調査、モバイルOSに関する実態調査によりますと、スマートフォンの買換えに際して同じOSのスマートフォンを選ぶとした理由について、OSを替えると移転などに手間が掛かるという回答が三四%いらしたということであります。
 現状でOS間のデータポータビリティーについてどのような課題があると認識をされているか、また、この法律案によってデータポータビリティーの規定を定めることになると思いますけれども、これにより、利用者にとってどのような利益がもたらされると考えられるか。こうした利用者にもよく分かるように周知をすることが大事だと思いますので、こうした観点で御答弁をお願いしたいと思います。

政府参考人(岩成博夫君) お答えいたします。
 モバイルOSに係る指定事業者は、スマートフォンの利用者がモバイルOSを利用する際に設定したパスワード、電話帳、接続済みのWiFiのデータ、そういったものを取得しております。一方で、利用者が現在利用中のモバイルOSから他のモバイルOSに切り替えようとしても、現在利用中のモバイルOSを提供する事業者からこれらのデータが当該利用者に提供されないことがございます。
 このように、必要なデータを容易に切替え先のモバイルOSに移転できない場合には、利用者にとってのスイッチングコストを高めると、で、モバイルOS間の競争を阻害することになります。そのため、本法案では、利用者がこのようなデータの提供を適時に受けるために必要な措置を講ずることを指定事業者に対して義務付けると、いわゆるデータポータビリティーを実現することによってモバイルOS間の競争を促進することを目指しております。
 このような規律によりまして、スマートフォンの利用者が現在利用しているOSから他のOSに利用を切り替える際の障害が少なくなることによりまして、利用できる端末の選択肢が実質的により広がっていくといった利益を利用者が享受できるものというふうに考えております。

里見隆治君 こうした利用者の、ユーザーの利便性という観点も、是非観点にしての法改正、またその運用であっていただきたいと思います。
 もう一つの観点として、先ほど来お話が出ておりますセキュリティーについてですね、もちろん競争の促進ということを前面に出しつつも、これがセキュリティーの低下を招くことがないようにと、引き続き利用者が安心してスマホを利用できるようにしなければならないという問題意識の下で、これは内閣官房にお伺いしたいと思います。
 これは、総務省の令和五年度情報通信白書によりますと、二〇二二年に観測したサイバー攻撃関連通信数が二〇一五年と比較して八・三倍にも上っているということであります。サイバー攻撃関連通信数は増加傾向にあるとされています。
 そこで、これらサイバー攻撃による被害や国民生活、社会経済への影響に対して、現在、内閣セキュリティセンター、NISCで対応されていると承知しています。法案の正当化事由の中でも、サイバーセキュリティーの確保は、個人情報保護や青少年保護等との基礎となる部分でありまして、本法律案による正当化事由の運用、すなわちガイドラインの作成や指定事業者に正当化事由の適用を求めるか否かの判断、これらについては、公取の体制だけではなく、これもなかなか、前回も十分な体制ではないというような指摘もありました。その意味では、内閣セキュリティセンター、NISCの最大限の協力をお願いしたいと思いますが、内閣官房の見解を伺います。

政府参考人(中溝和孝君) お答え申し上げます。
 最近のサイバー攻撃の巧妙化によりサイバー空間における脅威が高まっており、セキュリティー対策はますます重要となっているものと認識してございます。
 内閣サイバーセキュリティセンターとしましては、スマートフォンの利用において利用者の安全性が確保されることが重要と考えております。本法案の施行に当たっては、公正取引委員会が行うガイドラインの策定に必要な関与を行うほか、サイバーセキュリティー確保の観点から適切に貢献をしてまいりたいというふうに考えてございます。

里見隆治君 このサイバーセキュリティーの確保の上で、先ほど来これも何度か話題になっておりますこの青少年保護について、私からもお願い、また確認をさせていただきたいと思います。
 現在、アップルやグーグルでは、アプリストアにおいて利用者の年齢に基づいたレーティングが行われております。何歳以上対象というような形でですね。この法案によって新規のアプリストアが参入することが想定されるわけですが、むしろそれを促していくということでありますが、その当該ストアにおける評価基準が既存のアプリストアよりも緩くなっている場合、これは青少年に悪影響を及ぼすコンテンツとの接触が増えてしまうと、これが懸念をされております。
 青少年保護という観点からは、もう一つ重要なのは、これを促そうとしているわけですから、新規のアプリストアが参入する場合であっても、当該アプリストアによる措置のレベルが現在と比べて少なくとも同水準となるように配慮するべきではないかと思います。公取の見解をお伺いいたします。

政府参考人(岩成博夫君) お答えいたします。
 青少年保護等が図られ、スマートフォンの利用者にとって安全、安心な利用環境が確保されることは重要でございます。そのため、他のアプリストアの参入等に関しては、指定事業者がセキュリティーの確保や青少年保護等のために必要な措置を講ずることができることとしております。
 指定事業者が青少年の保護等のために必要な措置を円滑に講じることができるよう、青少年の保護等に関する正当化事由に関して、公正取引委員会において法運用の基準や具体的な考え方を明確にするためのガイドラインを関係行政機関とも連携しながら策定し、公表することとしております。
 具体的なガイドラインの内容につきましては、モバイルOSやアプリストアを提供する事業者だけではなく、アプリストアに参入しようとする事業者など、幅広いところからの意見も踏まえながら検討していきたいと考えております。
 なお、モバイルOSやアプリストアを提供する事業者は、これまでも青少年の保護等について取り組んできているところと認識しておりまして、実際に欧州では、ペアレンタルコントロールの機能を利用して代替アプリストアのインストールの制限を行うことを可能とする旨を表明している事業者もいるということも踏まえますと、我が国においても同様の措置を講じることが想定されるところというふうに考えております。

里見隆治君 是非、今回の法案によって、こうした利用者、ユーザーに対しての利便性ですとか、あるいはセキュリティー、そして青少年保護という観点もきちんと配慮されているんだということも併せて御周知をいただければと、またそういった措置をお願いしたいというふうに思います。
 最後に、自見大臣にお伺いしたいと思います。
 今問題提起をいたしました青少年保護に立っての配慮の必要性、またユーザーたる国民、特にデジタル分野に不慣れな方、高齢者の方々の立場に立っての配慮の必要性、これについてどうお考えか。本法律案によって競争は進んだけれども、利用者にとってはメリットが感じられない、デメリットが発生したということにならないよう御配慮をお願いしたいと思いますが、自見大臣の御見解をお伺いいたします。

国務大臣(自見はなこ君) お答え申し上げます。
 本法案の施行後も、青少年や高齢者を含むスマートフォンの利用者にとって安心、安全な利用環境が確保されるとともに、利用者にとっての選択肢の拡大や、あるいは良質で低廉なサービスの提供といった本法案により期待されるメリットを多くの利用者が享受できることが重要であると考えてございます。
 このような観点から、公正取引委員会において、青少年保護やセキュリティーの確保に係る規定につきまして、利用者の利便性が低下することのないよう、本法案に基づく選択画面の表示方法等の具体的な在り方について関係行政機関とも連携しながら策定し、適切に運用していくこととしてございます。
 高齢者につきましては、デジタル機器の操作が難しいなど、世代間のデジタル格差の問題も指摘されております。十分な配慮が必要だと認識しております。そうした観点からも、関係する行政機関とも十分な連携を図ってまいりたいと考えております。

里見隆治君 ありがとうございました。よろしくお願いします。

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