政治資金規正法改正案について「国民の理解が得られるものに仕上げてもらいたい」と岸田総理に求めました。
引き続き政治改革に尽力して参ります。
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是非ご覧下さい。
【動画】
議事録
里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。
本日は、政治改革につきまして、全ての問いを岸田総理大臣にお伺いいたします。
私は、三月、ここの、この場、予算委員会におきまして、公明党は既に一月に政治改革ビジョンをお示しをしている、岸田総理に、早急にこの政治資金規正法の改正を成し遂げるべきだと、そのように求めました。総理よりは、今国会でこの政治資金規正法の改正を必ず成し遂げるとの明確な御答弁をいただきました。
しかし、この改正だけでこれは成し遂げられるものではありません。先ほど御紹介があったように、総理は解党的な出直しをするというふうにおっしゃっています。これから自由民主党をどう変えていくのか、そしてさらに、国民からの政治への信頼をどう回復していくのか、これを国民の皆さんが見ています。総理の改めての決意、覚悟をお伺いいたします。
内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、信なくば立たず、この国民の信頼なくして政治の安定はなく、政治の安定なくして政策の推進はない、このことをいま一度強くかみしめなければならないと思います。自民党は、今回の一連の事案、深刻に受け止め、真摯に反省しなければならないと思います。
その中で、これまで、検察による刑事責任の追及、そして国会における議論、そして党としてのこの党改革、あるいは実態解明を進めた上で処罰、処分を行う、こういった取組を進めてまいりましたが、今、国会においては、まさに御指摘の政治資金規正法の改正、これを実現することによって、再発防止に向けて強いこの体制をつくっていかなければならない、このように思っています。
そして、こうした法律改正、もちろん大事なことでありますが、これそもそも、今回の事案を振り返りますと、この法律自体が十分守られていなかったのではないか、こういった指摘があります。この点において特に自民党が変わらなければならないということで、党改革、これを進めていかなければならないということで、刷新本部においても、党則、党規約、あるいはガバナンスコードの改訂、これをしっかり行う、政治家の責任、いわゆる派閥の解消、さらにはこの関係者に対する研修を始めとするこのガバナンスの強化、こういったことを進めていく、これを強調したところであります。先ほど申し上げました取組と併せて、自民党自身が党改革という形で変わっていかなければならない、この点についても強く感じています。
これらを進めていく、そして、もちろん政治改革に終わりはありません。引き続き、この政治の信頼回復のために道のりを歩んでいかなければならないと思います。強い覚悟で進めてまいりたいと思っています。
里見隆治君 今日、いよいよ政治資金規正法改正案がそれぞれ各政党から出そろいまして、ようやくそのスタート地点に立つことができました。この政治の信頼を回復する、大変な労力が必要だと思います。
我々公明党も、自由民主党との協議に大変な労力を掛けてまいりました。これによって制度改正の議論に大いに貢献をしていると自負をしております。
これまで公明党としましては、一月に政治改革ビジョンを基に、四月には今度はこれを法律案要綱として取りまとめまして、自由民主党との間で十回に及ぶ実務者協議を進めてまいりました。私も、実務者の一人として参画をし、毎回、かんかんがくがくの議論を交わしてまいりました。
最終的に、五月九日、自民党、公明党による取りまとめに結実しましたが、ここに至る過程は相当の曲折がございました。一つには、当初より公明党案は提示していたものの、自由民主党から具体の全体像がなかなか出てこなかったということであります。さらに、公明党の求めに応じ自民党からようやく具体案が出てきましたが、国民の関心の高かったいわゆる政策活動費、政治資金パーティーの収入の透明性、また政治団体間の資金移動、これらについて、当初は、今回ではなく引き続きの検討事項ということとされていました。粘り強く協議を進める中で、これらも今回の協議事項として俎上に上げることができました。
こうして、最終取りまとめにおいては、公明党が当初より主張しておりました政治家の監督責任、罰則の強化を始め、外部監査の強化、口座振り込み、デジタル化による透明性向上、国会議員関係団体から寄附を受けた政治団体の厳格な規制適用、個人情報保護、第三者の活用の検討など、合計七項目について合意に至りました。また、公明党が提案するも、当初俎上にのっていなかった二項目、政治資金パーティーの公開基準である現行の二十万円超の引下げや政策活動費の使途の公開も粘り強く協議を重ね、その方向性を示すところまでたどり着きました。
しかし、最後の二項目については、その具体の方法、内容にまで合意が至りませんでしたので、今回の自民党の法案を公明党が共同で提出するということにはならなかった次第であります。
公明党としては、道半ばでありますけれども、これから始まる各党間の協議に際しても、更に粘り強く合意形成に積極的な役割を果たしていきたいと思います。
総理は、一昨日の衆議院予算委員会の答弁で、こうした与党の協議の重要性を改めて感じていると答弁されておりましたが、具体的に評価をどのようにされているか、お伺いいたします。
内閣総理大臣(岸田文雄君) 政治資金の制度改革については、今委員御指摘のとおり、与党間で真摯で活発な議論を進めていただきました。結果、お互い問題意識が共有でき、改革の方向性を取りまとめることができたと思っています。
自民党としても、御党と合意した方向性に基づき、条文案を作成して衆議院に提出してきたところであり、政治家の責任強化、外部監査の強化、そしてオンライン化による透明性の向上に加えて、政策活動費の透明性向上、政治団体間の資金のやり取りの適正化、また政治資金パーティーの購入者の公開基準額の引下げ等においても実効性のある再発防止策、改革案、お示しすることができたと考えております。
そして、御指摘のこのパーティー券の購入者の公開基準額の引下げによる大口購入者の公開や政策活動費の使途公開に関しても、政治資金の信頼性を担保し、政治資金の重要性について国民の理解を得る上で透明性の向上が大変重要だという考えの下、改革の方向性について一致できたところであり、これは大変大きな意義があったと思います。
引き続き、御党とも力を合わせて、また野党の意見も伺いながら、この改革の方向性、確かなものとし、今国会で政治資金規正法の改正、必ず実現してまいりたいと考えております。
里見隆治君 今後は野党の皆さんとの精力的な協議に移ってまいります。総理の力強いリーダーシップを期待しておりますし、公明党としても汗をかいてまいる所存であります。
次に、議員本人の監督責任の強化について伺います。
一連の政治と金の問題で多くの国会議員が国民から不信に思われた背景に、自分は知らなかった、会計責任者に任せていたと言い逃れをし、責任を取ろうとしなかったところにあります。
そこで、公明党は、議員本人の責任の明確化、罰則強化のために、議員本人が収支報告書の内容を確認したことを確認書として収支報告書の提出の際に添付することを提案いたしました。この確認を怠った際は、監督責任として罰金刑に処され、いわゆる連座制として公民権停止、現職であれば失職となります。議員に対して大きな抑止力となります。
この提案は、本年二月、衆議院予算委員会で、公明党の中野洋昌議員の提案に対して総理が、参考になる、法改正を目指して議論を進めると御答弁をいただき、今回の自公の協議を経て法律案につながったものと理解をしております。
政治家の責任の明確化、罰則強化を今回の法案に盛り込んだ総理のお考え、決意をお伺いいたします。
内閣総理大臣(岸田文雄君) 現行の政治資金規正法においては、この会計処理、収支報告に関し、代表者の責務が何ら具体的に規定されておりません。そして、今回、会計責任者に任せていたなどの説明が多数なされた、こうした事態を招きました。
この政治資金規正法の違反があった場合に責任者たる政治家への厳正な対応を可能とし、違反の抑止力を高めるべきとの考え方、これは国会審議を通じて私も御党との間で考え方共有させていただいた、こうしたことであります。そして、御党の方から御紹介があった政策、政治改革ビジョン、これが発表されたわけでありますが、その中で、政治団体の代表者が確認書を交付する、この義務を行わなかった者の過失を厳格に問う、こういった案が盛り込まれたと承知をしており、代表者の役割が曖昧という現行法の問題点の内容をよく踏まえたものであると認識をしています。
そういったことから、我が党としても、御党の案も参考にさせていただきながら、代表者の監督する責務を規定し、監督の内容を具体的に定めて、法律に従って確認せずに確認書を交付することを処罰の対象とする、こういった案を示したところであります。政治家の責任が明確化され、責任が果たされなかった場合には厳正な責任追及が可能となる、言い逃れを許さない、再発防止の観点からも実効性のある制度であると考えております。
里見隆治君 実は、二〇〇九年のことでありますが、当時、民主党政権の時期に当たります。当時の金と政治をめぐる問題を契機に、議員が監督責任について相当の注意を怠った場合に罰則の対象とし、公民権の停止につながるという今回と同様の考え方を基に、公明党単独で政治資金規正法の改正案、これを衆議院に提出をいたしました。翌年、ようやく実質審議に入りましたが、残念ながら、いずれの政党からも賛同いただけず、審議未了、廃案となってしまいました。
私ども公明党、結党以来六十年、野党のときも与党のときも、清潔な政治を目指し、丹念に働きかけを続けてまいりました。今回、今度こそとの決意で本件提案をさせていただいております。真剣にこの改革、公明党取り組んでまいります。
次に、政策活動費についてお伺いをいたします。
公明党は、従来より、政策活動費として議員個人に支出するようなことは一切行っておりません。しかし、多くの政党がこれまで政策活動費として議員に支出し、結果として、その支出を受けた議員が何に使ったのか明確になっていないという、ブラックボックスという状況が慣行として残っておりました。
自公協議において、当初の自民党案の見直し案では、政党から議員個人に支出する段階でその目的を記載するのみで、結果として議員個人が何に使ったのか分かりませんでした。一方、公明党としては、あくまでこの支出を受けた議員個人が、何に使ったのか、その使途の明細をきちんと政党に提出、報告すべきだとこだわり、主張してまいりました。
今回、自公の取りまとめで、支払を受けた者がその使途を報告し、収支報告書に記載するという方向性までは一致いたしましたが、これではまだ不十分であります。政策活動費を継続させるのであれば、いかに使途の透明化ができるかがポイントであります。
総理は、一昨日の衆議院の予算委員会の答弁で、国民の理解をいただけるよう、政策活動費の取扱いについて引き続き真摯な議論を行ってまいりますと御答弁いただきました。何が国民の理解をいただけるものなのかと、そのことを念頭に、是非とも総理に強い決意を持ってこの議論をリードしていただきたいと思います。
この使途の明確化の方向性、具体的に示す必要があると思いますが、総理、いかがでしょうか。
内閣総理大臣(岸田文雄君) この政策活動費ですが、御党からのこの御意見を踏まえて、この我が党として、この合意した方向性に基づいて、政策活動費の支払を受けた者がその使途を報告し、収支報告書に記載する、こういった案を示しました。
国民の理解を得られるような制度にするべくこの政策活動費の透明性を高めていく、こういった大きな方向性については一致しているものであると考えておりますが、現在自民党が示している案、これ、政策活動費がどのような目的で幾ら使用されたのか、これが収支報告書上、明らかになるものです。
これは政策活動費の透明性の向上が図られるわけですが、特に国会の中での議論の中で、私的流用等がされているんではないか、こういった指摘がありました。こういった国民の皆さんの疑念にも応える、こうした制度になっていると考えておりますが、引き続き、御理解いただけるよう、真摯な議論をこの特別委員会の中で続けていきたいと考えております。
里見隆治君 そもそも、この政治資金規正法の規定を見ますと、その目的に、政治活動を透明化し、これを国民の不断の監視と批判の下に置いて政治活動の公明と公正を確保するということであります。ですので、政策活動費をなくさないのであれば、その使途を明細に、細かく具体的に国民にお示しすることが、この法律の趣旨に、目的に沿うものであると思います。総理がおっしゃる国民の理解いただける案に是非仕上げていただきたいと、そのことを強く申し上げておきます。
政治資金規正法と同様に今国会で実現しなければならないのが、かねてより公明党として主張をしております旧文通費、現在の調査研究広報滞在費の使途の明確化、使途の公開、未使用分の国庫返納であります。
総理は、自民党幹部に指示を出し、各党会派間で議論を再開するよう指示をしたと答弁をされています。御指示されたのはもう既に四月、一か月前だったと承知しておりますので、もう議論を進められる土壌は整っていると思います。
この旧文通費の改革に向けた総理のお考え、決意を改めてお伺いいたします。
内閣総理大臣(岸田文雄君) 調査研究広報滞在費、いわゆる旧文通費ですが、透明性の確保や国民への説明責任といった観点も含めて、国民の理解が得られるものとしていくことが重要であり、先日、私自身、我が党の幹部に対し、残された旧文通費改革の課題、すなわち支出可能経費の確定、支出の公開の在り方等について議論を再開すること、これを指示したところであります。
指示している以上は、各党各会派でのこの共通のルールを取りまとめ、残る改革、着実に進めてまいります。議論が早期に深まっていくよう積極的に議論に貢献をしてまいります。
里見隆治君 あわせまして、今日は、政治資金規正法等について触れましたが、同じく民主主義の政治の基盤たる公職選挙法についても触れておきたいと思います。
先般の衆院東京十五区補欠選挙においてつばさの党の代表らが妨害行為をしたとして、公職選挙法違反、選挙の自由妨害罪の疑いで幹部三名が逮捕されました。一般に、表現の自由、言論の自由が最大限尊重されるべきことは当然ですが、一方で、有権者が選挙を自由に行使できるその状況は保障されなければなりません。このような過度な妨害行為は適切に取り締まらなければなりません。
本件は、まず、公職選挙法の現行法を厳格に運用いただくことは重要でありますが、さらに、必要性があれば法改正も含め議論していくべきと考えます。総理の本件に関する御見解を伺います。
内閣総理大臣(岸田文雄君) 選挙は、国民が主権者として政治に参加する最も重要かつ基本的な機会です。選挙が公正に行われるためには、選挙運動は自由に行われなければならないものであり、これを妨害することはあってはならないものと考えます。また、一般論として申し上げれば、候補者であったとしても、選挙に関し、有権者や他の候補者などに対する暴行や他の候補者が行う街頭演説への妨害などを行えば、公職選挙法上の選挙の自由妨害罪等の処罰の対象になり得ると考えています。
その上で、委員の方から法改正について御指摘がありました。そうした法改正の議論もあるということ、これは承知しておりますが、選挙運動の在り方に関することであり、これ選挙制度の根幹に関わる事柄でもあります。これ、各党会派においてまずは議論をいただくべきものであると考えております。
委員長(櫻井充君) 時間が参りました。
里見隆治君 はい。
この政治改革に当たっての総理の強いリーダーシップを御期待し、また公明党として、今後与野党間の協議が始まりますが、積極的な役割を果たしていくと、そのことを決意を申し上げ、質問を終わります。
ありがとうございました。