昨日の経済産業委員会では脱炭素社会に向け水素利活用やバイオジェット燃料の導入促進を訴えました。
萩生田光一経産相からは「水素導入拡大に向けた大胆な支援措置を検討していく」との答弁をいただきました。
引き続き脱炭素化に取り組んでまいります。
議事録
里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。こうした形で質問の時間をいただきましたこと、まず関係者に感謝を申し上げたいと思います。
早速、法案について伺います。
本法案は、二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度の野心的な温室効果ガス削減目標の実現のために必要な法改正であり、内容は賛成いたします。これをいかに現場に実装、定着させていくか、これが重要でありまして、本日はその観点から質問させていただきます。
まず、今後のエネルギー需給の見通しについて確認をさせていただきます。
資源エネルギー庁の二〇三〇年度におけるエネルギー需給の見通しにおきましてこのように記されております。
経済成長や電化率の向上等による、電力の向上等による電力需給の増加要因が想定、予想されるが、徹底した省エネ、節電の推進により、二〇三〇年度の電力需要は八千六百四十億キロワットアワー程度、総発電電力量は九千三百四十億キロワットアワー程度と見込むとして、二〇一九年度から低減する見込みを描いています。
ここで電化率の向上といいましても、発電のためのエネルギーも非化石エネルギーに転換していこうというのが本案、本法案の趣旨だというふうに受け止めております。また、電化率の向上といいながら、電力の需要、供給量は低減していくと見込んでいますけれども、これはまさに、徹底した省エネ、節電の推進に懸かっております。
例えば、省エネ法で計画作成や報告を需要家に求めても、需要家単独での電化の取組には限界があり、そしてこの計画作成、その前提となる具体的な設備改修などが促されるように経済産業省として事業者にインセンティブを与えるような財政上の措置を含めて支援を講じる必要があると思います。お考えをお伺いします。
政府参考人(茂木正君) 今委員から御指摘がございましたように、省エネを推進していくためには、省エネ法による規制と併せまして、税や補助金等による支援措置によって事業者の省エネの取組を後押ししていくということが非常に大切だというふうに考えております。
具体的には、工場において生産設備やエネルギー供給設備をより省エネ型の設備に更新していくための補助、また、専門家による工場等のエネルギーの使用状況の診断や改善提案なども非常に重要です。これは、自らエネルギーの使用状況やその特性を十分に把握し切れていない事業者もいらっしゃいますので、こうした方たちへの支援としてこうした診断や改善提案というのも非常に重要だというふうに考えております。
また、税制措置としては、これは炭素生産性の向上、つまり単位生産当たりのCO2の排出量がより少ない設備ですね、こうした設備投資に対する税制上の措置というのも講じておりまして、これらの措置で規制と支援を組み合わせることで徹底した省エネを推進してまいりたいというふうに考えております。
里見隆治君 まさに規制とそして支援が必要だと、その点をよく推進を強くお願いしたいと思います。
次に、大臣にお伺いしたいと思います。
この電化率の向上の一つの象徴が自動車の電動化であります。グリーン成長戦略の中で、二〇三五年に乗用車の新車販売を一〇〇%電動車とするという目標が示されております。今後、エンジン部品の関連の中小企業サプライヤーや自動車整備事業者の事業転換が課題となってまいります。こうした課題への挑戦は、グリーン成長戦略に向けた投資であり、雇用の維持にもつながるものであります。
サプライチェーン全体での脱炭素化という観点から国として強力に支援すべきと考えますけれども、経産大臣のお考え、お伺いいたします。
国務大臣(萩生田光一君) 自動車の電動化を進めていくに当たって、部品サプライヤーや自動車整備に携わる皆様など、地域の自動車産業を支える方々に前向きに取り組んでいただくことが重要です。例えば、エンジン部品の中小サプライヤーが新たに電動車部品の製造に挑戦する、あるいは整備事業者が電気自動車や燃料電池自動車の整備に挑戦するといった事業転換の取組について積極的に支援をしてまいります。
具体的には、事業再構築補助金に新たなグリーン成長枠を設け、売上減少要件を撤廃し、補助上限額を最大一・五億円に引き上げることで支援を強化してまいります。また、先生御指摘、先生のお地元の愛知県を含め、全国各地域に支援拠点を設けて、部品サプライヤーや、対象とした相談窓口の設置、事業転換をサポートする専門家の派遣も含め、きめ細かな支援策を講じてまいりたいと思っております。
里見隆治君 今大臣から私の地元愛知の取組についても触れていただきました。ありがとうございます。
まさに中部経済圏、これは愛知、岐阜、三重、この三県とそして名古屋市、これらの自治体が民間とも協力する体制をしいておりまして、中部水素利用協議会というものを立ち上げまして、日本初の大規模水素受入れ、配送事業を社会実装し、商用化につなげるべく活動しておられます。
同協議会の試算によりますと、水素受入れ基地やパイプライン、ローリーなどの配送設備の初期投資コストが約一千億円程度必要であると、また、既存エネルギーと水素とのコストギャップが二百億円、これは年間当たりですね、発生するなど、投資コストが大きな課題となっております。
こうした地方自治体、民間を挙げての取組に対して、これを促すような、コストギャップの部分について、これを国として是非とも御支援いただきたいと、支援を充実いただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
国務大臣(萩生田光一君) 水素は、化石燃料を使用しないゼロエミッション火力への転換の鍵です。加えて、産業や運輸など幅広い分野の脱炭素化を可能とするカーボンニュートラルに不可欠なエネルギーです。ウクライナ情勢等を踏まえ、エネルギー安全保障の確保が更に強く求められる中、エネルギーの安定供給と脱炭素化を両立できる水素の社会実装や商用化の加速が一層重要だと思っております。
私自身、小型の水素発電や水素運搬船を実際に目にしまして、技術的には商用化を見通せる段階にまで近づいていると感じました。他方、現時点では、既存の化石燃料に比べ、先生御指摘のように割高な燃料であることや、インフラ整備に多額の投資を要することも事実であります。
商用化に向けて、効率的な供給インフラの整備を通じてコスト低減を図るとともに、地域でしっかりした、しっかりとしたニーズをつくり上げていくことが必要です。そのためにも、既存燃料とのコスト差ですとかインフラ整備の在り方などにも着目しながら、水素の導入拡大、商用化に向けた大胆な支援措置の検討をさせていただいております。
今後、水素をクリーンエネルギー戦略の重要な柱とし、社会実装を加速してまいりたいと思います。
里見隆治君 今大臣も御答弁いただいた大規模水素の受入れ、また配送事業、これを社会実装、商用化を進める際に、その主要な基盤となる港湾の観点からの支援というものも必要だと思います。
これは国土交通省の所管になろうかと思いますけれども、国交省がカーボンニュートラルポートの形成に向けた取組を行っていただいています。重要な取組であると認識しておりまして、地元名古屋港でも様々な取組伺っております。
本日は資料を配付しておりますので、その概要を資料を御覧いただきながら質疑させていただきたいと思いますけれども、まず、国土交通省に現在の課題認識と今後の取組の方針についてお伺いいたします。
政府参考人(遠藤仁彦君) お答え申し上げます。
国土交通省では、港湾、臨海部におきまして、水素、アンモニア等の大量かつ安定、安価な輸入や貯蔵等を可能とする受入れ環境の整備や、港湾地域の脱炭素化を図るカーボンニュートラルポートの形成に取り組んでおります。
各企業が脱炭素化に取り組む際、水素等の調達が必要となりますが、個別企業の対応ではなく、港湾地域に立地する企業が連携をして取り組むことによってより多くの水素等の需要を創出をし、安定、安価な供給が実現できると考えております。このため、今後、各港湾におきまして、港湾管理者が官民の関係者と連携をし、カーボンニュートラルポート形成計画を作成するとともに、各関係者がこの計画に基づく取組を進めてまいります。
国土交通省といたしましては、港湾管理者によるカーボンニュートラルポート形成計画の策定に対する支援や水素等を用いた港湾荷役機械を導入するための実証事業等を行ってまいります。
引き続き、経済産業省を始めとする関係省庁と連携をしながら、水素等のサプライチェーンの構築に寄与するカーボンニュートラルポートの形成に取り組んでまいります。
里見隆治君 国交省ではこのカーボンニュートラルポートの形成を取り組んでいただいていますが、その関連で、経済産業省ではカーボンニュートラルコンビナート研究会、これを昨年十二月に立ち上げていただきまして、この三月に論点整理を示されております。多くのコンビナートは臨海部に位置しておりまして、さきに取り上げましたこのカーボンニュートラルポート、その取組も踏まえて、自治体と企業と連携して水素、アンモニアなど脱炭素燃料の導入に向けた検討を進めるべきだと考えます。
経済産業省のお取組についてお伺いします。
政府参考人(定光裕樹君) カーボンニュートラルを実現するためには、アンモニア、水素などの供給拡大に合わせて、それを受け入れて利用する石油精製、鉄鋼、発電などCO2を多く排出する事業者が集積したコンビナートのカーボンニュートラル化を進め、供給、利用両面一体となってサプライチェーンを構築していくことが重要でございます。
経済産業省では、これらの分野において、二兆円のグリーンイノベーション基金を活用し、合成燃料、水素還元製鉄、アンモニアの高率での混焼、専焼などに関する技術開発や実証を進めているところであり、将来的にはコンビナートは水素、アンモニアの受入れ、利用の有効な拠点になり得るというふうに考えてございます。
今御質問いただきましたカーボンニュートラル研究会、あっ、カーボンニュートラルコンビナート研究会でございますが、国交省にも御参加いただき、三月に論点整理を行ってございます。その中では、例えば、地域で企業、自治体などが参加する協議会などを活用して、学識経験者なども交えて客観的な議論、検討を進めていくこと、あるいは、エネルギーのみならずマテリアル、原材料ですね、の安定的かつ効率的な供給確保を前提としてこのカーボンニュートラルコンビナートの実現を進めていくことが重要であることなどの御指摘をいただいているところでございます。
その上で、こういう、その水素、アンモニア等の効率的なサプライチェーンを構築するためには、先を見据えた計画的なインフラ整備を進めていくことが重要であるというふうに考えておりまして、そのための推進策の在り方について、カーボンニュートラルポートを進めておられる国交省とも連携して、今後引き続き検討してまいりたいというふうに考えてございます。
里見隆治君 よく経済産業省、国土交通省でこのカーボンニュートラルポート、そしてコンビナートの連携をして進めていただきたいと思います。
これまで水素、アンモニアについて触れていただいておりましたけれども、触れてまいりましたけれども、私は、一方でバイオ燃料にも注目をしております。
バイオ燃料の使用は、乗用車用のガソリンや、トラック、船舶で利用される軽油など、様々な燃料の脱炭素化に向けて有効な手段の一つだと考えます。とりわけ、我が国では消費量の多いガソリンの代替燃料であるバイオエタノール、二〇五〇年のカーボンニュートラルへの移行期間におきまして自動車等の内燃機関の利用を維持するという、そのためにも現実的かつ有効な手段であると認識しております。
現在のバイオエタノールの利用状況、また今後その利用促進に当たっての課題、取組方針についてお伺いします。
政府参考人(定光裕樹君) 御指摘のとおり、バイオ燃料は運輸部門の脱炭素化に向けた取組を推進するための有効な手段の一つでございます。
ガソリン代替のバイオエタノールにつきましては、我が国では、エネルギー供給構造高度化法の告示において、国内の石油精製事業者に対し、二〇一一年以降、導入目標を設定してその導入を推進しているところでございまして、直近のものは二〇一八年度から二二年度、今年度までの五年間でありまして、毎年原油換算で五十万キロリットルのバイオエタノール、これはそのガソリン全体の約二%弱に相当する量でございますが、これをガソリンに混合し需要家に供給していくということを求めているところでございます。
この来年度以降についてまた目標を更新していく必要があるわけでございますけれども、その在り方につきましては、現状では今ほぼ全量を海外から輸入しているという実態、他方で、国産資源の利用可能性がどの程度出てくるのか、それから経済性、コスト、国際的な導入動向なども踏まえながら、関係する様々な分野の専門家とも議論して検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
里見隆治君 今話題にしておりますバイオ燃料の中でも、航空分野における脱炭素化、これが必要であります。いろんな状況がありますが、国際航空分野においては国際的なCO2排出抑制の規制が掛かっておりますので、これは非常に選択肢が限られている、つまりバイオ燃料にもしっかりと取り組まなければならない、そういう分野だと認識しております。
航空分野の脱炭素化は待ったなしの課題でありまして、航空燃料の、水素や電化で代替することは困難でありますので、燃料、液体燃料であるバイオジェット燃料、いわゆるSAF、持続可能な航空燃料の利用が不可欠だと考えます。
このSAFの導入促進に向けた経産省の取組についてお伺いします。大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(萩生田光一君) 航空分野の脱炭素化に向け、CO2削減効果が期待できるSAFの供給体制の確立は急務です。このため、経済産業省としては、当初予算事業においてSAFの製造技術開発、実証に取り組む事業者を支援するとともに、二兆円のグリーンイノベーション基金を活用してSAFを大規模に製造するための技術開発を支援するなど、SAFの製造技術開発を進めているところです。また、供給側の石油精製事業者と利用側の航空事業者との間で業界を超えた取組が一層進展するよう、国土交通省と共同で、持続可能な航空燃料の導入促進に向けた官民協議会を先月設立をしたところです。
今後、経産省としても、SAFの早期導入が進むよう、関係省庁とも連携し、技術開発や実証に取り組む事業者を積極的に後押ししてまいりたいと思います。
里見隆治君 大臣、是非よろしくお願いいたします。
この法案については、私、準備していた質問は以上なんですけれども、最後に、法案とは別なんですが、事業復活支援金について最後申し上げておきたいと思います。
昨年、一昨年、コロナ関係の対策で一時支援金、月次支援金と、そして今回の事業復活支援金と、支給要件を順次広げていただくなど対応いただいております。一つ一つ改善をいただいていることは感謝申し上げたいと思います。
実は、私と同じ公明党の竹谷とし子議員からも同様の事案が寄せられているかと承知しておりますけれども、こうした申請については、現在、システムによって行われております。ただ、これ、システム上、確かに効率的、迅速だということもあるんですが、一旦引っかかるとなかなか進められないと、これ、多く要望として現場から伝わっているところであります。
このシステム上の支給申請手続において、実際には支給要件を満たすにもかかわらず、申請者が誤って申請取下げボタンを押してしまうと再申請をできないという実態がございます。これは不正受給を防止する観点からだというふうに当局からは、事務方からは説明を受けておりますけれども、実際には支給要件を満たしているにもかかわらずシステム上はねられて再申請ができなくなると、この点は改善すべきではないかというふうに考えております。
今後、デジタル化を進めてオンライン申請がより標準化されていく、そのまさに先駆けとして昨年来の一時支援金、月次支援金、そして今回の事業復活支援金のシステム上の申請手続があったかと思います。そういう意味では、この迅速性、確実性、また不正受給をなくしていくという観点は非常に重要でありますけれども、一方で、必要な給付が必要な方に届くように、その意味では、最後はデジタルではなく、一番最後の、まあラストワンマイルといいますか、一番最後の部分はアナログであっても、時間が掛かってでもお届けできるような、そうした仕組みをしっかりと構築しなければ、今後のデジタル化への対応というのは難しいのではないかと。誰一人取り残さないという観点からすると、その考えにもとるというふうに思います。
今日は答弁を求めませんけれども、是非こうした観点で、このシステム上の手続がより円滑に、そして必要な方に必要なサービスが届くようにという観点で検討、御対処いただくようお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。