昨日の国土交通委員会で船員法等の一部改正する法律案について質問しました。
質疑の様子をYouTubeにアップしました。
ご興味のある方は是非ご覧下さい。
議事録
第217回国会 参議院 国土交通委員会 第12号 令和7年4月24日
里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。
船員法について質問をさせていただきます。
我が国は、周囲を海に囲まれ、貿易量の九九・六%、国内の貨物輸送量の四三・七%、これらを海上輸送が担っておりますが、この海運、水産産業を支える日本人船員の確保、育成は待ったなしの課題となっております。
本日は、人材確保という観点を中心にして質問させていただきます。
今回の改正案には、船員職業安定法の改正によりまして、船員の職業安定制度の拡充のために地方公共団体による無料の船員職業紹介事業の創設が盛り込まれております。もちろん、地域に密着し、地域の実情に詳しい地方公共団体にも是非職業紹介頑張っていただきたいと思いますが、その上で、元々船員の経験があった方を含めて、業界横断的に人材確保していくためには、多職種の職業紹介を行っている厚生労働省所管のハローワークとの連携も大変重要ではないかという問題意識を持っております。
私も実は三十年以上前に、当時の労働省の地方研修でハローワークの求職窓口に就いていた経験がございます。ハローワークでは職種をまたいでの再就職はむしろ通常でありまして、転職に必要な職業訓練も受講していただきます。その意味では、もちろん地方公共団体も頑張っていただいた上で、ハローワークとの連携強化、これも是非取り組んでいただきたいと思います。
国土交通省としての御認識、また現在の取組状況、さらに、今後取り組むとしたらどのようなことが考えられるか、お伺いいたします。
政府参考人(宮武宜史君) 深刻化する船員不足に対応していくためには、船員教育機関の新規学卒者のみならず、陸上からの転職者などの求職も増やしていくことが必要と考えております。そのためには、御指摘ありましたように、ハローワークの利用者が船員の求人情報にアクセスできるよう、ハローワークとの連携強化を図ることも重要と考えます。
ハローワークとの連携につきましては、これまで、ハローワークでの船員の未経験者求人情報の掲示や船員に関するポスター掲示、リーフレット備置き、あるいはハローワーク主催の就職セミナーでの船員ブースの出展などの取組を実施してまいりました。今年度は更にこれを一歩進めまして、国土交通省の職員がハローワークに出向きまして、ハローワークにおいて船員の職業紹介を行う事業を実施する予定としております。
こうした取組を通じまして、ハローワークとのより効果的な連携を実現してまいります。
里見隆治君 組織的な、また業務的な連携ということも今御答弁いただいたとおり大事だと思いますが、さらに、厚労省が持っている制度、ハローワークの制度を、こちらも十分活用していくということが重要だと思います。一例を挙げますと、職業訓練、あるいは訓練に係る教育訓練給付など、せっかく船員の皆さん、その前後で雇用保険の保険料払っていらっしゃるわけですから、これらも十分、他省庁の所管制度とはいえ、これも十分活用いただきたいというふうに思っています。
船員になることを希望される求職者の方々が地方運輸局で求職活動を行う場合に支給を受けられるのは、雇用保険による失業中の給付、これは生活費になるわけですが、それとともに、やはり転職、あるいは更に腕に磨きを掛けるという意味で職業訓練を受けていただく、その間、例えば、これは延長給付ということもありますし、また費用の一部を教育訓練給付として受給ということもございます。
地方運輸局では、教育訓練給付を積極的に活用いただいて、他職種からの転職ということも後押しをしていただく必要があると思います。また、この教育訓練給付、様々な訓練対象がございますけれども、これを更に広げていく必要も、これは随時見直していただく必要があると思います。
その活用について、国交省のお取組、また今後の方針についてお伺いいたします。
政府参考人(宮武宜史君) 厚生労働省が所管する教育訓練給付金制度は、労働者の主体的なスキルアップを支援するため、一定期間の雇用保険の被保険者期間を有する方が厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講し修了した場合に受講費用の一部を保険給付として受け取れる制度と承知しております。
船員関係におきましては、海技士の資格取得について、令和七年四月時点で、海技大学校、海上技術短期大学校、これいずれも海技教育機構の組織になりますけれども、こういった学校が提供しています十八の講座につきまして教育訓練給付金の対象として指定されていると承知しております。
国土交通省といたしましては、地方運輸局において船員としての就職を希望する方が窓口に訪れた際に、こういう教育訓練給付金が使えますよという周知活動を行っておりまして、活用を促しているところではあります。
また、この教育訓練給付金は、陸上職から船員への転職を後押ししていく上でも有効であると考えております。今後、先ほど申し上げましたハローワークとの連携強化のための事業におきまして、地方運輸局職員がハローワークに出向いて職業紹介を行う際に教育訓練給付金の周知を行い、更に活用を促してまいりたいと考えております。
また、教育訓練給付金の対象となる指定講座の拡大に向けましても、厚生労働省と連携して取り組んでまいります。
里見隆治君 先ほど来、職業訓練、また、この転職の際の技術の付与ということについてお話をしておりますが、海運業を支える皆さんの事情をお伺いしますと、船員の人手不足もさることながら、その人材育成の担い手、教官、教員をどう確保していくのかと、これも大変重要な課題となっているということであります。
この船員養成の専門機関の一角を成す国交省所管の独法法人、今日も何度か出てまいりました海技教育機構では、国からの運営交付金、これを省庁的に見ますと、先ほど令和七年度六十四億という金額出ておりましたが、これは独立行政法人に移行した平成十三年度の予算でいいますと百五億もあったということで、まさに一・五倍あったわけですね。それが六十四億まで大幅に削減をされていると。その意味では、教官、教員の確保、また処遇の改善、そして施設や練習船の老朽化、そうしたものがままならないといったお話も伺っております。
独立行政法人、この機構の予算をしっかり確保して、また事業をむしろ拡充していくべきだと考えますけれども、国交省の御認識、今後の対応についてお伺いします。
政府参考人(宮武宜史君) 独立行政法人海技教育機構の令和六年度の事業費につきましては、全体で約八十八億円となっております。その収入で見ますと、国費が七十四億円、民間企業の負担金が八億円、その他自己収入となっております。この国費でございますが、御指摘ありましたように、当初予算として六十五億円、そのほか学校施設や練習船などの老朽化対応という緊急性の高い事業として補正予算九億円を確保しておるところでございます。
またさらに、教官あるいは学校の教員、練習船の教官の不足という現象も起こっております。これにつきましては、具体的に取組といたしまして、教員や教官などの採用要件、これを、現在、三級海技士という一番高いレベルの海技士の資格を求めておりますけれども、四級、一つ下の四級の海技士であっても一定の知識、能力、経験を有すると認められる方についても教官、教員として採用、活用していけるように見直す、あるいは、教員、教官などの処遇につきまして、個人の希望に配慮した勤務地とすることなどを現在検討しているところであります。
国交省といたしましては、引き続き、質の高い船員の養成に必要な事業費の確保も含めまして、我が国の船員養成の中核を担う海技教育機構の安定的な運営が図られるよう、官民一体となって取り組んでまいります。
里見隆治君 今るる人材確保という、またその養成、教育ということでお話を伺いましたが、せっかく人材確保しても早々に辞められては困りますし、また、ベテランの方にもなるべく長く働いていただきたいと。そういう意味では、高齢者になっても働きやすい職場にしていくということが大変重要な課題だというふうに思っております。
今回の改正事項の一つでありますこのSTCW―F条約の締結の対応で、例えばですけれども、生存訓練というものがあって、この中では、四・五メートルの高さからの飛び込みというものもその中に入っていると。なかなか、六十、七十でこの飛び込みというのは大変なことだと思いますけれども、実際に、今の商業用の船の中では高齢者など健康上の配慮が必要な人には一定の配慮をすることというふうになっていて、そういう意味では高齢者に優しい対応になっていると思いますけれども、それ以上にも、業界また行政を挙げて、なるべく高齢期まで働ける職場にする必要があると考えます。
この点についての国交省の御認識、お伺いいたします。
政府参考人(宮武宜史君) まず、御指摘ありましたSTCW―F条約の締結に際しましての実技講習の件でございますけれども、まさに御紹介ありましたように、高齢者などの健康上の理由により実施困難な場合の見学での代替など、その実施方法の合理化について現在検討を進めておるところであります。
また、内航海運を中心に多くの高齢船員が海上労働に従事されております。安定的な海上輸送を支える一翼を担っていただいている中で、高齢船員がより安全で働きやすい職場環境を整備していくことが大変重要だと思っております。
今回の法律案におきましては、船員の労働負担を軽減するための自動化などの船内の作業方法の改善を始め、快適な海上労働環境の形成のための措置を講じるよう船舶所有者に努力義務を課すこととしており、その実効性を確保するため国が指針を定めるということにしております。この指針の具体的内容の検討に当たりましては、委員御指摘の高齢船員にとっても働きやすい環境を整備するという観点を含めて、関係業界の御意見を伺ってまいりたいと思います。
また、快適な海上労働環境の形成に資する支援といたしまして、荷役作業の遠隔自動化など船員の労働負担の軽減などに資する技術開発や実証への支援、あるいは、鉄道・運輸機構の船舶共有制度による、船内の居住環境、通信環境を向上し、労働負担を軽減する設備を導入する船舶の建造支援などに取り組んでいるところでありまして、これらの支援措置の積極的な活用も呼びかけてまいりたいと思っております。
国土交通省といたしましては、こうした枠組みを通じまして、高齢船員がより安全で働きやすい職場環境の整備に取り組んでまいります。
里見隆治君 どうぞよろしくお願いします。
最後に、中野国土交通大臣に、海の安全、また海難防止の取組についてお伺いしたいと思います。
昨日、四月二十三日は、知床遊覧船沈没事故の発生からちょうど三年の日でございました。様々昨日も報道がございました。私、当時、ちょうどその当時の斉藤国交大臣を地元でお迎えする行事を予定しておりましたが、急遽キャンセルということで、この四月二十三日、大変記憶深い日でございます。
国交省では、この海難事故を調査、検証して、そして旅客船の総合的な安全・安心対策に取り組んでこられたと思います。改めて、中野大臣の海の安全また旅客船の安全に対する決意、お伺いいたします。
国務大臣(中野洋昌君) 昨日、四月二十三日、知床遊覧船事故の発生から丸三年が経過ということであります。改めて、この事故においてお亡くなりになられた方に対して心よりお悔やみを申し上げます。御家族の皆様に対して心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
国土交通省としては、知床遊覧船事故のような痛ましい事故が二度と起こらないよう、旅客船の安全・安心対策に取り組んでいるところであります。
具体的には、改正海上運送法に基づきまして、船員の資質の向上、監査の強化などの対策を行うとともに、今年の四月からは改良型の救命いかだ等の旅客船への搭載を義務化が始まり、また安全統括管理者、運航管理者に対する試験制度の創設なども行ってまいりました。知床遊覧船事故対策検討委員会で取りまとめられた項目、六十六ありますけれども、その大部分が実施中又は実施済みになっているところであります。
船舶の安全運航は、運航事業者にとっては最も基本的かつ最も重要な使命であると考えております。私を始め関係職員が一丸となって、旅客船の安全確保に向けて強い決意を持って取り組んでいきたいというふうに思います。
里見隆治君 安全確保、どうぞよろしくお願いいたします。
質問を終わりますけれども、最後、大臣にお願いがございます。
ちょうど一週間前のこの委員会では、トラック、自動車など物価高騰また価格転嫁で御苦労されている分野を中心に質問させていただきました。その際、時間がなくて、タクシー業界のことについて触れることができませんでした。
タクシーも、コロナ、またLPガスの価格高騰などで苦しんできた分野であります。ここ数年の物価高騰、また燃料の価格高騰と、これらについては今週火曜日に、与党として自民、公明から提言を受けて石破総理から発表いただいた対策、この中で、ガソリン、軽油、重油、灯油、航空機燃料、こうしたものは明言いただいておりますが、これらは五月二十二日、ちょうど一か月後から引下げということで言及いただいております。ただ、タクシーでいいますと、これはLPガスの使用でありますから、まだ明言されていないわけですね。
これ、五月二十二日、同日でしっかり引下げができるように御調整、これもう質問ではありません、要望だけさせていただいて、質問とさせていただきます。
ありがとうございました。