参議院 行政監視委員会で参考人の先生方に質問

2025.02.26 22:00(4か月前) ブログ国会質疑 |里見りゅうじ(里見隆治)

議事録

里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。
 三人の参考人の先生方、貴重な御意見、どうもありがとうございました。順に先生方に御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、飯島参考人にお伺いをいたします。
 地方自治法上の役割分担原則ということを冒頭に御教示いただきました。この二〇〇〇年の地方自治法の中での役割分担、どちらかというと、国に対しては抑制的に、また限定的にという立て付けだったということでありますが、例えば、先ほどの自然災害のときにはある程度国が代行したり、あるいはその権限を国が一定程度の時期代行するといったことがあったり、あるいは最近のデジタル化の中では、むしろ地方自治にお任せしていた様々な契約、仕様も、これを統一化、共通化、標準化をし、ある程度国が中心になってやっていくということもあり、また一方で、地方の過疎化された地域はもとより、人材が少ない、また財政面での資源が少ないということで、どちらかというと地方からの国への依存度合いというものが強くなっているのではないかというこの二十数年の経過からすると、当初その時点で想定をしていた地方自治という理念がなかなかうまくワークしていないのではないかと思います。
 我々国会議員だからといって国の権限を強くしたいとは決して思いませんで、それぞれがある程度裁量性を持ち、また自主的に、またそれぞれの思いで地域の中で物事を決定していくということが望ましいと思いますけれども、当時、地方自治法で想定していたこと、そして、この二十数年で様々な制約的な要因、要因の制約的なものがあって、そして今この事態を迎えているということについて、先ほど来何度か御見解もいただいておりますけれども、改めて、当時の状況と今の状況下で果たして理念どおりいっているのかということをもう一度お示しいただければと思います。

参考人(飯島淳子君) どうもありがとうございます。
 私、地方自治法上の役割分担原則について確認した後に、最近の議論状況ということで、二つ大きな流れがある、一つが危機時における国の役割の強化の必要性ということを申し上げました。そこでは危機時ということで自然災害や衛生危機といったものを言葉には出しましたけれども、それと同時に、デジタル化の集権ということも指摘されているのは御指摘のとおりでございます。
 やはりデジタルというのは、壁がない、区域を超える、もちろん超えるものですので、そもそもからしてその区域のないものであり、集権的な傾向を帯びているものであるということも含め、また、これまでは各地方公共団体でそれぞれにシステムを開発して、それがいわゆるベンダーロックインということできちんとした更新というものがなされ得ないのではないかということから、現在は、国の役割として、一条の二の第二項の中での全国的なというところからの国の役割ということで、デジタル化についても国の役割が求められているんだろうというふうに考えております。
 また、小規模自治体からの事務の返上ということもお話しいただきましたが、それも、例えばデジタル化の中で、もうこれは国の役割として処理するべきではないかですとか、定額給付金の支給などは特にそういった議論あったと思いますけれども、そういう中での事務の配分の見直しということは必要だと思いますが、それが遡って役割分担原則を基本的に見直すというところまで必要なのかということについては、私自身は、やはり役割分担原則は原則であるということはそれは保持をした上で、どういった場合に問題が生じている、あるいはそれぞれのその事務配分や関与の在り方を変える必要があるといったときには、役割分担原則に沿ってそれは変えていくべきだというふうに考えております。
 以上でございます。

里見隆治君 ありがとうございます。
 原則は原則でということで、私も、本来あるべき姿と、そして適時適時、ケース・バイ・ケースでというその部分をしっかり立て分けて考えていきたいというふうに考えました。
 本来、地方自治ですから、いろんな声が地方から上がってくるということが望ましいわけですけれども、一方で、国としても今の石破総理が地方創生二・〇ということで進められる中で、これは一・〇から更に拡充するべきこと、またそれを反省を踏まえて進めるべきこと、いろいろあると思うんですけれども。私、自分事で恐縮ですけれども、ちょうどその地方創生一・〇のときに、当時は地域活性化統合事務局とか、内閣官房、内閣府に今でいう地方創生の推進部局がございまして、その中の一つの、地方から発信させる地方発の、自治体発の地方自治の取組の手法の一つとして、まず、先ほども御質問出ておりましたけれども、交付金制度、それからもう一つが特区制度、これらに私自身も関わってまいりました。
 この交付金制度ですけれども、先生からいただいている三ページ目の資料でいいますと、これ交付金といっても様々ありますけど、一般的に言うところの交付金については計画と交付金でむしろ集権化してしまっているのではないかという先生の御指摘でした。一方で、近年の例えば地方創生臨時交付金とかコロナ下、物価高騰下で行われてきたものは、むしろ余り、使い勝手良くという意味で使途を余り限定せずに交付をしていたと。それは逆にいろんな批判もあって、緩過ぎていろいろな使われ方がされ過ぎているんじゃないかという逆側の批判もあったりして、この辺非常にバランスが難しいなというふうに思っておりました。こうした交付金の在り方、これを自由度をどこまで与えるのかということで先生の御見解をお聞きしたいということと。
 それからもう一つ、特区制度、これも、これはもうどちらかというと地方創生というよりも、その昔、もうこの二十数年来、様々な、構造改革特区から始まり、総合特区、そして様々な特区がある中で、本来は地方が発案をして様々な規制改革を提案し、そしてそれが全国展開していくということが本来の目的だったと思うんです。
 最初は大粒のものがあって、なかなか最近小粒化しているというような批判もありますけれども、こうした交付金制度、またあるいは特区制度についての活用、あるいはここへの期待といいますか、あるいは、先生から見られて、御覧になって、違う手法がありますよと、地方から発信の、違う政策手法がありますよということがあれば御紹介いただければと思います。

参考人(飯島淳子君) ありがとうございます。
 今、交付金制度と特区制度、非常に充実した指摘をいただきまして、ありがとうございます。
 まず、交付金につきまして、確かに地方創生交付金が計画を実行させるための、あるいは実質的には強制するためのコントロールになっているのではないかという意味での批判があるということを御紹介いたしました。しかし一方で、その使途を限定しなければ望ましくない使われ方もするというのは事実として生じているところでもございます。
 それは、一つは、もちろんなことですけれども、地方公共団体がその交付金というものは税金であるということをもちろん自覚をしているところではあると思うんですが、それをどのように使うのかということについて責任を持って考えるということが必要だというふうに思われます。
 よく交付税についても、それは自分のお金ではないからということで様々な問題が生じているという指摘ございますけれども、交付金について、それは国の依存財源でも、財源が移転されるからということで、そういった問題が起こらないようにということは重ねてやっていく必要があるだろうと思います。
 ですので、税源移譲、三位一体の改革の失敗からなかなかそちらの方に踏み込みがございませんけれども、税源移譲をして、自分のお金だということのその責任を持って使うというのが根本的な改革の必要性ではないかというふうには考えております。
 また、特区につきまして、特区制度につきましては、一部でその規制を緩和して、それをうまくいけば全国展開するという仕組みもございますが、行政法学においても最近その実験の必要性ということも言われておりまして、一部の地域あるいはその一部の分野のことについてその実験をして、それをうまくいったら言わば下から積み上げていくこの立法の、あるいはその規範の定立の仕方というものについても注目が集まっておりまして、現在の特区制度がそのような意味で成功しているかということは留保しなければならないかもしれませんけれども、そういった実験という意味合いも含めて、どういう制度が望ましいのかということを全国の展開していく前に使うという意味ではこれからも存在意義があるんではないかと考えております。
 以上でございます。

里見隆治君 先生、どうもありがとうございました。
 続きまして、西出参考人にお伺いをしたいと思います。
 西出参考人からの、エビデンスを皆でつくって皆で共有、利用する場のイメージ、このEBPMデータバンク、非常に興味深い御提案をいただいたというふうに思っております。
 これ、先生、具体的に、これ地方主導なのか国主導なのかというのがありますけれども、国でいえば、例えば地方行政であれば総務省の自治行政局だったり、あるいは行政評価局だったり、あるいは内閣官房にも行政改革を主導する部屋があったり、どういった部署でやっていくことを想定されているかとか。あるいは、この地方の中でも、これ我々参議院でもいろんなレビューをするということについては、決算委員会もあり、また業務に応じての我々行政監視委員会もありという、この地方自治体の中でも、お金を主体にして考えるところと、あるいはこの業務、事務事業を主体にして考える部署と両面あろうかと思いますけれども、先ほどお示しいただいたこのEBPMデータバンクの設置に係って、具体的に国や地方でどういった組織が動くとこれがワークしていくとお考えになるか、教えていただければと思います。

参考人(西出順郎君) 御質問ありがとうございます。
 極めて、こういう組織を動かすときはどこが中心になるかというのはすごく大事な話なんですね。
 例えばバンクの話ですと、私が思っているのは、まずは総務省の自治行政局、あそこにドライブを掛けてもらう方がいいかなというふうに思っています。総務省自体については、行政評価局もございますからその辺の連携というのもあるでしょうが、まず一番自治体との距離感が近くてやり取り、それから、やり取りというのは日頃のやり取りが多いところというところで、自治行政局のところからこういうドライブがあるといいのかなとは思っています。
 もちろん、将来的、いや、ごめんなさい、将来的にというよりも、もくろみとしてこれで予算編成等々にインパクトを与えるというようなところまでを意識するのであれば、思い切って財務省ということもあるかもしれません。その辺はなかなか過去のやり取りから考えて、まずは、そうですね、やはり総務省の中の自治行政局等々で自治体と一緒になってドライブしてもらえるとスムーズにいくかなというふうな気持ちでおります。
 二点目です、自治体です。
 自治体に関しては、ずばりやっぱり財政ですね、財政部局がドライブする方が機能すると思います。委員会としても、こういう話を予特とかで、失礼しました、予算特別委員会とかで、議論してもらえるような場でこの議題が上がればかなり内実化すると思います。決算委員会も当然大事なのではありますが、やはりEBPMですから立案の話です。立案の話になりますから、予算と切って切れない関係にありますから、そちらの方で議論するようにしてもらいたい。そうなると、やはり財政です。
 と私は以上、両者の、両者というのは国と自治体ですね、どこがドライブするかということについての見解として述べさせていただきます。
 以上でございます。

里見隆治君 どうもありがとうございます。
 財政をベースにということでありましたが、私、所属の会派は公明党でございますが、公明党が以前から決算あるいは行政監視の審議の中で提案しており、また一部政府でも導入していただいているものに行政コスト計算書というものがございます。特別会計を中心に、事務事業について、その事業に掛かるコストを単位当たり幾らかと、参議院の光熱費を参議院の議員数分で割れば一人当たり幾ら掛かっているのかと、そういったことを比較していこうという。どちらかというと、民間の企業会計に即してそのコストベネフィットを見ていくという、そうした考え方によるものですけれども、なかなか財務省もこれを一般会計にまで拡張して適用するだとか、そういうところまでは非常に固くてまだやっていただけていないわけですけれども、先生の目から見て、この行政コスト計算書の可能性、またこれをEBPMのようなこの経過測定に使っていくということについての有効性のようなものについて、何か御見解があれば教えていただければと思います。

委員長(福島みずほ君) 済みません、申合せの時間が来ておりますので、短くお願いします。済みませんね。

参考人(西出順郎君) じゃ、短くお話しさせてもらいますと、まずEBPMとコスト計算書につきましては、もう少しEBPMが軌道に乗ってから考えた方がいいと思います。
 それから、コスト計算書の話については、どこまでいわゆる行政の文脈の中で活用できるかと、この辺を深く精査した上で進めていくとより良くなっていくと思います。やはり民間と行政では財産の管理の仕方等々違うところがございますので、その辺を精査していく必要はあるのかなと思います。
 以上でございます。

里見隆治君 どうもありがとうございました。
 以上で終わります。

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