公明の提言反映 基本計画が閣議決定
誰もが認知症になり得ることを前提に、認知症の人を含めた共生社会の実現を推進するため、政府は認知症施策推進基本計画を3日の閣議で決定した。公明党の推進で1月に施行された認知症基本法に基づく取り組みで、認知症の人や家族らが参加した政府の関係者会議の意見を踏まえ策定。公明党の政府への提言も反映された。計画期間は2029年度までで、おおむね5年ごとに見直す。
認知症の高齢者数は、厚生労働省研究班の推計によると22年時点で443万人。高齢化の進展に伴い、40年には584万人に達する見込みだ。認知症に対する誤解から、社会的に孤立しやすい実態もある。
基本計画では「新しい認知症観」を提唱。認知症になったら何もできなくなるのではなく、住み慣れた地域で希望を持って自分らしく暮らし続けられるという考え方を示した。
基本的施策では▽認知症の人に関する理解を深める教育の推進▽複雑化・複合化したニーズに対応する包括的な支援体制の整備▽若年性認知症の人の雇用継続▽家族なども含めた支援▽予防・診断・治療といった研究の推進――などを明記。公明党も今年7月、基本計画の策定に向けて、これらの施策を推進するよう政府に提言していた。
基本計画では、認知症の人の意思の尊重など四つの重点目標も設けた。
都道府県や市町村には、国の基本計画に基づいて計画を策定する努力義務が課されている。策定の際は、既存の介護保険事業計画などと一体的なものとしても差し支えないとしており、24年度補正予算案に計画策定支援事業も盛り込まれた。
各自治体でも策定促し共生社会築く
里見党推進本部長
党認知症施策推進本部長の里見隆治参院議員は「党として共生社会の実現を重視し、認知症の人たちの声を直接聴いてきた。寄り添った施策を一層進めるため、当事者の意見を反映させた自治体の計画策定、推進を地方議員と共に後押ししたい」と語っている。