参議院 経済産業委員会で質疑

2024.04.02 17:33(8か月前) ブログ国会質疑 |里見りゅうじ(里見隆治)

参議院 経済産業委員会が終了。
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テーマ
・能登半島地震被災地対策
・リスキリング、職業訓練の推進、外国人の特定技能
・書店の振興
・中小企業の取引適正化

議事録

里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。
 能登半島地震発災から昨日で三か月が経過をいたしました。今後の復旧、そして復興のためには、経済基盤の確立、そしてなりわい再生の支援を更に強力に進める必要がございます。
 そのための支援策でありますなりわい補助金、これは過去に遡りますと、十三年前の東日本大震災当時はグループ補助金として活用されたものでございます。以来十三年間経過しての振り返りで、この補助対象となった施設設備、これは福島等東北において、これが時代の変遷によりまして、事業革新、事業転換、また廃業する際に補助金返還などを求められるケースが多く出ているとも聞いております。やむを得ないケースではこれらは補助金返還をしなくてもいいように、これは柔軟な対応をするべきと考えます。経済産業省としての対応方針をお伺いします。

政府参考人(松浦哲哉君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のグループ補助金につきましては、補助金等適正化法や交付要綱に基づいて執行しており、他の補助金と同様に、この補助金で取得した財産を処分する場合には原則として必要な金額を国庫納付することとなっております。他方で、現場における被災事業者の皆様の状況は様々であると承知しておりまして、事業者の皆様の厳しい状況を踏まえた対応が可能となるよう、様々な負担軽減措置を講じております。
 例えば、当該事業を第三者に譲渡し継続する場合や、あるいは資金繰りの悪化により取得財産を維持管理することが困難となり取り壊す場合などは国庫納付を求めておりません。また、国庫納付を必要とする場合におきましても、必ずしも補助金額全額ではなく、一定の要件の下では簿価ではなく譲渡価格に補助率を乗じた額とするなどの措置を講じております。
 こうした運用について補助事業者の皆様に改めて広く知っていただく必要あることから、先月二十九日に中小企業庁長官名で、事業実施主体である各県知事宛てに当該運用の周知を求める事務連絡を発したところであります。
 引き続き、各県ともよく連携して状況を丁寧に把握するとともに、個別の状況に応じ、きめ細かく対応してまいりたいと思います。

里見隆治君 先月二十九日に御対応いただいているということでございますが、各県におかれてしっかりと周知をし、また相談にも丁寧に御対応いただきたいと思います。
 こうしたこれまでの経験を踏まえて、今回、能登半島地震の被災企業に対しては、このなりわい補助金、その支給に至る前の相談の段階、これが非常に重要だと思います。もちろんこれ、補助金を出すということは、事前に事業再開に向けた様々なプラン、これをどう構築をしていくか、中長期的な展望の中で立案の段階から伴走して支援するべきだと考えます。
 また、今回の被災地で液状化について御相談を受けることが大変多く、大変御苦労されているわけであります。なりわい補助金は、液状化被害がある場合の地盤の改良、また被災した施設の解体、瓦れきの撤去も一定のものは補助対象になるというふうに承知をしております。こうした対応は大変有り難いという地元からのお声も聞いております。
 これ是非しっかり周知をし、また個別にも相談に乗っていただいて、この取扱いが積極的に活用されることで、液状化を被った被災地の皆さんにも、しっかりと中小企業支援につなげていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

政府参考人(松浦哲哉君) 委員御指摘のなりわい補助金の活用に係る伴走支援につきましては、商工会、商工会議所におきまして、全国の経営指導員や専門家を能登半島事業者支援センターや被災各地の商工会に派遣して、現場で事業者さんのサポートをしております。
 加えて、経産大臣を本部長とする被災中小企業・小規模事業者等支援本部の下に経産省や関係自治体等の実務者によるワーキンググループを設置いたしまして、早速、先月二十九日に開催したところであります。
 こうした場を通じて事例なども共有しながら、補助金事務局である県や商工会、商工会議所等の支援機関と一体となって支援を強化してまいりたいと思います。
 また、なりわい補助金につきましては、被災中小・小規模事業者の事業に不可欠な施設設備の復旧を支援するものであって、地盤、土壌の復旧や被災施設の解体、撤去の支援を直接の目的とするものではございませんが、他方、施設設備の復旧に際して不可欠な場合、これにつきましては関連する費用の一部も支援対象となる場合がございます。こうした内容につきましては、これまで延べ約四千七百人が参加した、各県と連携した支援措置に関する説明会においても丁寧に説明をしてきております。
 引き続き、関係省庁、支援機関、自治体における様々な支援策とも連携しつつ、中小企業庁としても被災地域の復旧復興に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

里見隆治君 よろしくお願いします。
 続きまして、職業訓練、リスキリングについてお伺いをしたいと思います。
 先ほど来、この物価高を上回る賃金の引上げという点、幾つか議論が出ております。総理も強い決意を表明されております。ここで、この労働者にとっても、また企業にとっても賃上げが可能となる重要な要件、これは労働市場の改革の一つ、三本柱の一つでありますリスキリングであると思います。
 在職者のキャリア相談からリスキリング、転職までを一体的に支援する事業を始めて、おおよそ一年間が経過をいたしました。この事業を活用してほしいと思う一方で、これをいつまで続けるのかという話もございます。この事業は、将来的には、この事業がなくても、補助がなくなっても労働市場の中で自律的にスキルアップを伴う労働移動が行われるよう環境整備をするものでなければならないと考えます。
 齋藤大臣に、リスキリングに関する取組の状況、また今後の方針についてお伺いいたします。

国務大臣(齋藤健君) リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業につきましては、現在までに百件を超える事業の採択を行っておりまして、支援開始人数は約一万八千人、転職活動開始人数は約八千人に至っています。
 将来的には補助がなくともスキルアップを伴う労働移動が行われる環境整備が進められる必要があるとの意見、委員の御指摘、これはまさにそのとおりだと思います。そのためには、求人企業側から、実務経験だけでなく、身に付けたスキルが一層評価されるようになることや、求職者が自ら成長分野への労働移動をしたいと思えるということが必要なんだろうと思います。
 そのためには、政府としては、リスキリングによる能力向上支援と併せて、個々の企業の実態に応じた職務給の導入ですとか、成長分野への労働移動の円滑化を進めることとしています。人手不足に直面する環境の下、これらの取組を通じまして日本企業の人事慣行等が変化をすれば、補助はいずれ不要になっていくんだろうというふうに考えます。
 本事業を行う中でも、求職者が自ら成長分野への労働移動をしたいと思えるように工夫を講じています。具体的には、どういうスキルを身に付けた方がどういう企業に評価され転職に至ったか等の事例やデータを蓄積して、求職者や職業紹介事業者等にお示しできるようにしていきたいと考えています。
 引き続き、本事業を着実に進め、我が国の労働市場改革につなげてまいりたいと考えています。

里見隆治君 大臣おっしゃったように、まさにこれは労働市場改革の大きな柱の一つであると。その意味では、単に補助をして終わったというわけではなく、この構造改革というふうにつなげていけるように御努力をいただきたいと思います。
 今お話が出ましたこの在職者訓練と併せて、離職者また求職者に対する再就職職業訓練、これを厚生労働省で実施いただいております。その中には、都道府県から民間教育訓練機関に委託しているものもございます。
 私が民間教育機関から伺ったところでは、この委託費については、近年の賃金、物価上昇率に合わせて、見合っての引上げがなされていないというようなお声もいただいております。また、受講者数というのは、どうしてもその各期ごとに増減があります。この増減にも耐えられるよう、この教育訓練機関側からは、余裕を持って教職員の体制も整備する必要があるために、ある一定程度余裕を持ってこの人員体制も用意しなければならない、その分コストもかさむということでありまして、この委託費については、適正な価格設定、また物価高騰に応じた適正な価格転嫁、これがなかなか現状は進んでいないという声でございます。その中で、この運営に当たって、また中規模のこうした民間訓練機関の声が届きにくいというお声も伺っています。
 こうした声にしっかりと対応いただきたいと考えますが、厚生労働省、いかがでしょうか。

政府参考人(原口剛君) お答えいたします。
 議員からお話のございました公共職業訓練のうち、民間の教育訓練機関に委託して実施するいわゆる委託訓練でございますけれども、離職者等のためのセーフティーネットとして実施するものであるため、コースの量の確保と質の担保が必要であると考えてございます。
 御指摘の委託費の設定に当たりましてもこうした点を考慮しておりまして、これまでも、一律の単価に加えまして、訓練コースの設定を促進する必要があるような分野につきましては、一定の要件を満たす場合につき委託費を上乗せするという工夫などをしてまいりました。
 実際、令和六年度の予算におきましても、公共職業訓練における民間教育訓練機関を活用した訓練コースの数は増加傾向にあるということを踏まえまして、一律の単価は据え置く一方で、デジタル分野などにつきましては上乗せを行い、めり張りを付けた委託費となるよう取り組んでいるところでございます。
 先生の御指摘を踏まえながら、訓練の量の確保と質の担保のために必要な対応に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、地域の声を伺うという点についてでございますけれども、地域職業能力開発促進協議会でのニーズの把握に加えまして、昨年の五月でございますけれども、厚生労働省のホームページに御意見、御要望送信フォームを開設いたしまして、企業の規模にかかわらず民間教育訓練機関の声を直接お聞きする仕組みを構築しているところでございます。
 引き続き、関係者の声を丁寧に聞きながら、職業訓練が地域の実情やニーズに即したものとなるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。

里見隆治君 後ほども議論しますけれども、この価格転嫁は、これはもう国、地方自治体が自らお手本を示していかなければならないと思いますので、その率先を、模範をしっかり示していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ちょっと順番を変えますけれども、次に、町の本屋さん、ちょっと角度を変えますけれども、書店の振興についてお伺いしたいと思います。
 読書、また様々な文化に触れることの重要性は申し上げるまでもございません。地域において町の本屋さんが文化の拠点としての役割を果たしてきたということは大変重要なことだと思います。しかしながら、近年のデジタル化で、また通信販売の普及などで、残念ながら書店がない町も珍しくないといった事態になっております。
 デジタル化は一般的には国民のまさに国是ともなっている一方で、読書に関しては、例えば全国の一千百六自治体もの自治体で、赤ちゃんに本をプレゼントするいわゆるブックスタート事業と、こうしたものを実施しているところもありまして、読書の習慣を付ける意味で紙の書籍もなかなかいいものだというふうに思います。
 現に、文部科学省の二十一歳の方々を対象にした二年前の調査によりますと、この一か月に読んだ書籍の数が残念ながらゼロ冊という割合がもう過半数を超えているということでございます。これは、内訳を見ますと、紙の書籍ですとこのゼロ冊の割合が約六割、電子書籍だと約八割ということでありまして、これはいろいろな評価、見方がありますけれども、やはり紙の書籍の方がアクセスがしやすいという見方もあるのではないかと思います。
 そうした中で、経済産業省では、今般、大臣直轄の文化創造基盤としての書店の振興PTを立ち上げたと承知しております。地域の書店の振興を是非進めていただきたいと考えますが、このプロジェクトを立ち上げられた趣旨、今後の取組方針についてお伺いいたします。

政府参考人(南亮君) お答え申し上げます。
 町中にある書店ですが、多様なコンテンツに触れることができる場として地域に親しまれておりまして、創造性が育まれる文化創造基盤として重要だと考えております。
 御指摘のように、こうした書店が近年激減しておりまして、民間団体の調査によれば全国で約四分の一の自治体から書店が消えているところであります。こうした状況への危機感から、三月五日付けで省内横断の文化創造基盤としての書店の振興プロジェクトチームを立ち上げたところであります。
 プロジェクトチームでは、まずは現場の書店の皆様の実態や課題をお伺いしまして、今既にある中小企業向け補助金などをどのように活用していけるのか、そうした例があるのか、創意あふれる工夫に光を当てまして、事例の共有、周知に取り組んでいくことを予定しているところでございます。

里見隆治君 関連しまして、実は我々、私も今回、書店とこの様々な町の結び付きということで調べておりましたら、文部科学省でも大変いい事業を進めていただいておりまして、地域の書店と図書館との対話を進めていただいていると聞いております。
 その進捗状況と、また文科省としての今後の取組方針についてお伺いいたします。

政府参考人(淵上孝君) お答え申し上げます。
 書店と図書館は、共に読書活動を支える重要な役割を担っております。昨年策定されました第五次の子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画におきましても、図書館等が地域の書店等との連携に努め、地域に根差した子供のための読書環境の醸成に取り組むことなどが挙げられております。
 これを踏まえまして、昨年の十月から、出版文化産業振興財団、日本図書館協会とともに文部科学省も参画をいたしまして、書店、図書館等の関係者による対話の場を開催をいたしまして、対話で得られた共通認識や読書人口を増やすための連携促進方策について取りまとめまして、昨日、四月一日に公表したところでございます。
 この中では、主な連携促進方策としまして、図書館で近隣書店の本の在庫確認や注文ができるような仕組みづくりですとか、書店での図書館の予約資料の受取や返却、あるいは司書によるお薦め本を表彰する図書館本大賞の創設といったことなどの提案がまとめられております。
 文部科学省としましては、対話のまとめの中でも提案されておりますように、書店と図書館が連携した地域の優良事例の収集、普及を行うなど、必要な支援を引き続き行ってまいりたいと考えております。

里見隆治君 今、文科省のお取組を伺いましたけれども、この書店の振興というのは、先ほど経産省は、例えばコンテンツ産業振興とか中小企業の振興と、そういった角度であろうかと思いますけれども、もう少し広がりのあるものだと思いまして、書店、また図書館、さらには学校、自治体、地域と、非常に関係が、大変広がりが大きい分野だと思います。その意味で、先ほど経産省からは省を挙げてというふうにおっしゃっておりましたけれども、むしろこれはもう省を超えて政府全体として取り組んでいただきたいというふうに考えますけれども、齋藤大臣のお考えをお伺いいたします。

国務大臣(齋藤健君) 書店は、地域における知の拠点として文化的機能を向上させる役割を私は担ってきたんだろうと思います。私自身、書店には一覧性がありますので、様々なジャンルの本との出会いの可能性、こういったものを提供してくれる場でありまして、その偶然の出会いを通じてその人の視野を広げるという重要な役割があるというふうに考えています。
 こうした書店が今全国で激減をしておりまして、民間団体の調査によれば約四分の一の自治体から書店が消えているということに強い危機感を持っています。今般、省内に部局横断のプロジェクトチームをそういった意味で立ち上げたところであります。
 私自身の考えとしましては、地域の文化空間としては、ネット、書店、図書館の三つそれぞれが共存することが望ましいと考えているわけでありますが、こうした中で書店だけがなくなっていくということに強い危機感を有しております。
 たまたまですが、今日、読売新聞の朝刊に本件に関する私のインタビュー記事が、なぜか経済産業大臣のインタビューが文化面に出ておりますので、是非お時間あったら御覧いただけたらなと思います。
 本プロジェクトチームでは、経済産業省としてすぐに取り組めることといたしまして、コンテンツ産業振興策や中小企業施策の活用による支援を中心にまず検討していきたいと思っています。また、文科省からも答弁ありましたけど、地域における図書館と書店との連携なども重要な論点であると思っています。
 本来であれば政府全体で取り組むべき課題であるということは重々承知をしているわけでありますが、まずは経産省のプロジェクトチームとして、書店経営者などの事業者の声をよくお伺いして、その中で出てきた課題については必要に応じて関係省庁にも共有をしながら、しっかり連携して対応してまいりたいというふうに考えています。

里見隆治君 大臣から大変力強い御決意、またお考えをお伺いできました。
 これまたいつものこの一年サイクルでいいますと、予算要求前には何らかの形をということだと思いますけれども、是非、今後につながる、また、町の書店がなくなる中で、この文化の拠点としてしっかりと町の書店を後押しできるような、そうした施策の推進をお願いいたします。
 それでは、ちょっとテーマを変えまして、中小企業の取引適正化について伺いたいと思います。
 先ほどリスキリングの話をしましたが、個別の労働者の職業能力開発とともに、今後、国全体としての中小企業における賃上げを進める必要がございます。そのための鍵となるのが、適正な価格転嫁、中小企業の取引環境の改善だと思います。
 公明党としましては、昨年の臨時国会でのこの場においても、中小企業等の賃上げ応援トータルプラン、これ昨年十月に取りまとめ、提言をして後押ししてきたということを御紹介申し上げましたが、そのプランの中でまだ実現されていない幾つかの中に約束手形がございます。
 二〇二四年までに支払サイトが六十日を超える手形を指導の対象とすることを前提とした下請法の運用見直しを進めることという提言に対しまして、これ、下請中小企業の立場からすれば、受け取るべき下請代金を約束手形の形で受け取るならば、実際に現金が入手できるまでの期間が長くなってしまい、資金繰りが苦しくなってしまう、これは当然の理であります。この期間をいかに短くしていくかということであります。
 公取においては既に準備を進められているというふうに承知をしておりますが、これを実施する段階で、実施に当たって、中小企業においては、約束手形の支払サイトの短縮に向けてどのように取り組んでいただけるのか、お伺いいたします。

政府参考人(松浦哲哉君) お答えを申し上げます。
 中小企業庁といたしましても、これまで、中小企業が代金をできるだけ早く現金で受け取れるよう、下請取引における支払サイトの短縮や、そもそも手形ではなくて現金での支払の推進に取り組んでまいりました。
 足下では、委員御指摘のように、公正取引委員会が、支払サイトは六十日を超える手形を下請法上の割引困難な手形に該当するおそれがあるものとして指導対象とするという指導基準の変更について、四月中を目途に成案を公表し、また、半年ほどの周知期間の後に十一月から運用を開始する予定であると承知しております。
 今後、下請法の新たな指導方針の運用が開始されたときには、法執行を公正取引委員会と共同で行う立場にある私ども中小企業庁といたしましても厳正な執行に努めてまいりたいと思います。
 加えて、下請法が適用されない取引も含めまして、サプライチェーン全体で支払条件の改善を図るよう、業界団体への呼びかけ等を通じまして浸透を図るとともに、自主行動計画に基づく取組も促してまいりたいと思います。

里見隆治君 今、四月に決定をして、これを十一月に施行と。しっかりこれ周知をして、これルールを決めただけでは全く絵に描いた餅であります。しっかり現場で使われるように、また、それをしっかりと中企庁、また公正取引委員会、これが執行するというこのスタンス、態度を示していくということがこの浸透にもつながっていくと思います。是非的確な、また適切な運用に向けての御準備をよろしくお願いいたします。
 次に、この中小企業の取引適正化に関連して、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針、これも何度もこの委員会でも話題になってきたテーマでございます。これも昨年十一月に策定をされまして、公正取引委員会においては、その後、これをいかに徹底をしていくか、これは昨年、臨時国会でもお願いしておりますけれども、その徹底に係る状況について共有をいただければと思います。

政府参考人(向井康二君) お答え申し上げます。
 労務費の適切な価格転嫁を通じて中小企業の賃上げの原資を確保することが極めて重要であると認識しております。
 そのため、昨年十一月に公表いたしました御指摘の指針につきまして、これがより実効的なものとなるよう、全国八ブロックで指針の内容、そして活用方法ですね、そういうものに対しまして企業向けの説明会を実施し、また地方版政労使会議の機会も活用しながら周知徹底に努めているところでございます。
 その上で、十二の行動指針に記載、この指針に記載されております十二の行動指針というのがありますが、これにつきまして、発注者、受注者双方がそれに基づく対応をしていただくということが重要でございます。
 公正取引委員会といたしましては、今後、このような十二の行動指針、そういうものが守られているのかどうか、そういうものをフォローアップするための特別調査を実施していきたいと考えております。調査の具体的な内容につきましては現在検討中でありますが、五月頃を目途に調査を開始し、年内には調査結果を取りまとめたいと考えております。
 あわせて、本指針に沿わないような行為があり、それが公正な競争を阻害するおそれがあるという場合には、独占禁止法や下請法に基づきまして厳正に対処してまいります。

里見隆治君 これ、労務費の指針については、これ公取だけじゃなくて、もう各省庁、全省庁において推進をいただいております。そして、その取りまとめをいただいているのが内閣官房の新しい資本主義実現本部の事務局だというふうに承知しております。
 特に、この指針について、特に対応が必要とされる二十二業種というのを挙げていただいて、これ一番難しい二十二業種だと思います。そして、各省庁において、その所管の省庁において取組をいただいているわけですけれども、現在、内閣官房で取りまとめていただいていると思いますが、この状況、また今後の方針についてお伺いいたします。

政府参考人(坂本里和君) お答えいたします。
 労務費指針について特に対応が必要な二十二業種につきましては、岸田総理から、自主行動計画の策定、改定や転嫁状況の調査、改善の要請、さらにはこうした取組を加速するよう要請がなされているところでございます。こうした総理の要請を踏まえまして、官房副長官をヘッドとする関係省庁連絡会議において各業界における取組をフォローアップしていくこととしております。
 先月開催をいたしました連絡会議では、この二十二業種における進捗状況について各所管局長から御報告をいただいた上で、官房副長官より、指針を踏まえた自主行動計画の改定や策定は六月末までに完了していただくこと、各業界で指針に沿った対応がなされているかについて業界団体と連携をして実態調査を実施し、価格転嫁の状況を把握した上で、不十分な場合には速やかに改善策を検討していただくことなどについて御指示をいただいたところでございます。
 今後につきましては、六月中をめどに再度この連絡会議を開催をいたしまして各省庁の取組状況をフォローアップしていくこととし、引き続き、指針の徹底に向けまして、公正取引委員会及び関係省庁と連携して取り組んでまいります。

里見隆治君 六月末にまた状況を点検し、更に推し進めるべきはやるということですけれども、この二十二業種の中で私注目をしておりますのは、これ昨年十月の公明党のプランでも申し上げているんですが、地方自治体の官公需、この適正な転嫁の確保と、これが範を示す上でも非常に重要じゃないかというふうに思っております。
 職業訓練についても先ほどお話ししたような、なかなか物価に追い付かないという声も聞いている中で、この地方公務について、これ総務省だと思いますが、これはどのような取組をされているか教えてください。

政府参考人(三橋一彦君) お答えいたします。
 総務省におきましては、これまでも、官公需法に基づく国の基本方針の閣議決定に合わせ、国に準じて、需給の状況、原材料及び人件費等の最新の実勢価格等を踏まえた適切な予定価格の作成、また最低賃金の、最低賃金額の改定や労務費、原材料費、エネルギーコスト等の契約後の状況に応じた必要な契約変更の実施などの適切な対策を講じるよう、地方公共団体に対して通知し、要請してまいりました。また、特に労務費に関しましては、昨年十一月に取りまとめられました労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を踏まえまして、労務費の適切な価格転嫁が図られるよう、改めて地方公共団体に本指針を踏まえた対応を要請したところでございます。
 要請を踏まえました地方公共団体の取組状況につきましては、現在フォローアップを実施しているところでございまして、今後、把握した取組状況を踏まえ、地方公共団体に対して更に必要な助言等を行ってまいります。
 また、価格転嫁に係る予算確保に関しましては、令和六年度の地方財政対策におきまして、学校、福祉施設、図書館、文化施設など、地方公共団体の施設の光熱水費、光熱費の高騰や、ごみ収集、学校給食など地方公共団体のサービス、施設管理の労務費を含めた委託料の増加を踏まえ、七百億円を計上し、地方公共団体に対して適切に対応するよう周知をしたところでございます。

里見隆治君 これ、この後にお話をするトラックもそうなんですけれども、結局お金が掛かるわけですね、発注者としては。今、特別にこれまでにない予算を御用意いただいたということで、これは大変評価をいたします。まさにこの下請関係の間で適切に反映されるようなこの予算確保、これですね、これ実績を見ながら今後いかに増やしていけるかということが重要なポイントだと思います。私もしっかりフォローしていきますので、よろしくお願いいたします。
 じゃ、最後になりますけれども、これ齋藤大臣、お伺いしたいと思います。
 トラック業界の話ですので、本来国交省も呼ぼうかと思いましたが、先日、もう既に予算委員会で聞きましたのでここでは省略をして、今日は配付資料のみ、実運送体制の管理簿のイメージと、またトラック運送業における運賃、下請手数料の収受の流れ、イメージをお配りしております。
 今国会では、物流効率化法またトラック事業法の改正案、これがもう国会で提出をされ、これから審議をされる。これは国交省で中心でしていただいていますが、現場のトラック事業者からは、結局、荷主から実運送業者まで多重下請構造、また手数料が何段階にも差し引かれ、現場まで十分な運賃が残らない。これは、従来から言われておりますこの多重構造、また多重構造であるがゆえになかなか元請の代金からそれぞれ十分な手数料が残らないと、そうした構造的な問題がございます。
 これをしっかり改正しようというのが今回の物流効率化法等の改正案でありまして、この資料一のように、しっかりとまずこの構造を、下請構造を見える化していこうと、そして見える化した上で、この資料二にありますように、各下請段階で十分な手数料を受け取ることができるように、荷主に対して、元の荷主に対して運賃設定をしっかり交渉させていく、これが重要でございます。
 その意味で、実はこれ、トラック事業者に対しては国交省でありますが、この荷主に対する指導、ここは食料品であれば農水省でありますが、製造業、流通業、これは経産省の所管であります。私も昨年、一昨年、政務官としてもいろいろと関わらせていただきましたけれども、この一年半、二年近く、荷主対策については大変経産省としてもお取組をいただいております。
 経産大臣として、この製造業、流通業も見渡し、経済全体をこの流通業、トラック運送を含めて変えていくと、そのような決意で臨んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

国務大臣(齋藤健君) 御指摘のとおり、物流構造の改善に向けては、運送事業者のみならず荷主の取組、これが極めて重要であります。
 まず、荷主から運送事業者へ支払われる運賃の適正化につきましては、各荷主の業界団体が自主行動計画の中で荷主の立場で適正な運賃水準に配慮する旨定め、業界団体に所属する事業者への周知徹底等を行っているところであります。経済産業省としてもフォローアップを行うことにより、その計画の実効性を高めていきたいと考えています。
 また、経済産業省では、年二回、様々な業種について、業種ごとの価格転嫁の状況を調査、公表しています。運送事業者が荷主へ運賃値上げの必要性を訴える材料となるよう、引き続き、こうした情報も集計、公表してまいりたいと考えています。
 次に、物流業務の効率化につきましては、直近では国土交通省、農林水産省と連携して、荷主に対して物流効率化の取組を義務付けるための法案、これ本国会に提出をしています。
 さらには、中期的には、更なる人手不足が見込まれる中で、物流を非競争領域と捉え、企業間の共同輸配送を進めることが重要であると考えています。そのため、デジタル技術を活用して、業種を超えた共同輸配送を可能とするフィジカルインターネットを実現すべく、ロードマップを作成して標準化やデジタル化等を進めているところであります。
 経済産業省として、引き続き、関係省庁と緊密に連携しつつ、物流構造の改善に向けた取組を強化していきたいと考えています。

里見隆治君 よろしくお願いします。
 以上で終わります。ありがとうございました。

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