■労働者が自ら出資
■皆で話し合って運営
■共に仕事に従事
持続可能で活力ある地域社会を実現するため、労働者らが自ら資金を出し、話し合いながら共に働く「協同労働」を行う団体に法人格を認める「労働者協同組合法」(議員立法)が1日、施行された。地域福祉の向上など各地の課題解決に向け、多様な人材が意欲や能力に応じて主体的に働ける場を創出することが期待されている。公明党が法制定を推進した。
■介護、子育て、農産物加工品販売
地域福祉への貢献など期待
同法では、協同労働を担う新たな非営利の法人格「労働者協同組合(労協)」の設置について規定。労協は3人以上の発起人がいれば設立でき、組合員が資金を出し合う。出資金額の大小に関係なく1人1票の議決権があり、組合員全員が対等な立場で意見を出し合って、事業に反映させられるのが特長だ。
労働者派遣事業を除くあらゆる事業が可能で、学童保育などの子育て支援をはじめ、訪問介護、農産物加工品販売所の拠点整備といった多様な展開が想定されている。これらの規定により、従来、地域活動の担い手であったNPO法人や企業組合などで指摘されていた▽設立に時間がかかる▽活動分野が限定される▽財政基盤が弱い――などの課題に対応する。
また労協では、事業で得た剰余金は組合員の労働に応じて配当される。労働者保護の観点から組合員は労協と労働契約を結び、労働基準法や最低賃金法などの法令が基本的に適用される。既に活動しているNPO法人や企業組合は、法施行後3年以内であれば総会での議決によって労協に組織変更することができる。
労働者協同組合法を巡って公明党は、超党派での合意形成をリード。前衆院議員の桝屋敬悟氏や党協同労働推進委員会の里見隆治委員長(参院議員)らが当事者団体の意見を聴取して法案に反映するなど、全会一致での成立に貢献した。施行に先立っては、NPO法人から労協に組織変更する際に税制上の配慮を受けられるよう取り組んだ。
公明、国・地方で長年尽力
日本労働者協同組合連合会 古村伸宏 理事長
労働者協同組合法の施行によって「自らの思いを込めて働くことを、仲間をつくりながら実現する」という、新しい労働観が広がることを期待しています。特に、福祉や教育など人を相手にした労働は、企業が重視する「効率」だけでは成果を計れません。むしろ、「納得」という観点を重視する協同労働にこそ優位性があると思います。
桝屋氏をはじめ、公明党は同法の成立に向けて、超党派での合意を大切にしながら、絶えず尽力してくれました。2001年に当時の坂口力厚生労働相(公明党)が国会答弁で法制化の趣旨に賛同したことが発端になったともいえます。全国の地方議会でも、公明議員が施行後の課題や労協への理解促進などについて質問しており、本当に感謝しています。
より良い制度となるよう今後も力添えをお願いしたいと思います。