振興法の改正・延長めざす
航路確保、産業創出の支援など
定住・交流人口増加へ具体策
来年3月末に期限切れを迎える「離島振興法」の改正・延長へ、公明党は離島振興対策本部(本部長=竹谷とし子参院議員、参院選予定候補=東京選挙区)が中心となり、今年2月、離島の魅力を生かし、課題を克服していく具体策を示す「新たな離島振興ビジョン2022」を策定した。これを踏まえ公明党は、同法の改正に向けた自民党との協議を進めている。新ビジョンの概要や公明党の取り組みを紹介する。
新ビジョンは、わが国の領域保全や豊富な海洋資源の確保、独自の文化・自然環境を生かした交流の場の提供などを担う、離島の国家的・国民的役割を強調。そこでの生活を支え、取り組みを後押しする離島振興法の10年間の期間延長を求め、関係自治体への財政支援強化、離島振興に対する都道府県の役割の明確化などを訴えている。
離島は本土以上に人口減少や高齢化が進む。2010年からの5年間で人口は9%減り、高齢化率が39%と全国平均(27%)を大きく上回る。
そこで、ビジョンでは“新たな重点的事項”として、定住人口増加や雇用創出につながる施策を提言。テレワークなど新たな生活様式を生かした「交流・関係人口の創出」、高速大容量通信規格・5Gの導入などによる「デジタル化の推進」、洋上風力発電など再生可能エネルギーを活用した「新産業の創出」に向けた支援を掲げた。
離島には、航路を担う事業者の経営悪化や脆弱な医療提供体制など、生活基盤の課題が従来から存在していたが、人の往来減少などを招いたコロナ禍が、それらを一層、露呈させた。ビジョンでは、“住み続けられる離島”の実現へ、①ライフラインの確保②救急・医療体制の強化③介護、障がい福祉、子育て支援の充実④教育の確保⑤離島航路・航空路の安定的確保⑥防災・減災、国土強靱化――などへの支援拡充を求めている。
具体的には、生活用水を本土から運ぶ「海底送水管」など老朽化するライフラインの更新や離島航路補助金の拡充、ICT(情報通信技術)を活用した遠隔医療・教育の推進などを打ち出した。
実情把握へ現地の声聴く
公明党はこれまで、一貫して離島住民の声に耳を傾け、振興を推し進めてきた。同法の前回改正時(12年)には、定住促進や産業の活性化に活用できる「離島活性化交付金」や、規制緩和などの特例を設ける「離島特区」の創設を実現させた。
その後も、国会議員と地方議員が連携して離島の実情把握と課題解決に努め、今回の改定に向けた党内論議を進めてきた。例えば、昨年2~3月に長崎県壱岐市など4市町の離島関係者らとオンラインで意見交換し、新産業の創出、定住促進に向けた課題などを聴取。
同11月には、竹谷本部長、里見りゅうじ事務局長(参院議員、参院選予定候補=愛知選挙区)、伊藤たかえ参院議員(同=兵庫選挙区)らが、兵庫県姫路市の家島と坊勢島を訪れ、海底送水管の老朽化など、課題を調査した。
竹谷本部長は、「現場の声を基に作成した新ビジョンを、離島振興法の改正と施策の拡充に大きく反映させたい」と決意を語る。
的確な提案、心強い
全国離島振興協議会会長、鹿児島・屋久島町長 荒木耕治氏
公明党の新ビジョンは、医療や教育、ポストコロナを見据えたデジタル化、自治体の財政基盤強化など、離島が直面する課題を的確かつ網羅的に取り上げ、解決の方途を提案している。大変に心強い内容だ。
公明議員は、精力的な視察や意見交換に加え、国と地方のネットワークを生かして日頃から離島住民らの声に耳を傾け、課題解決に奔走してくれている。竹谷議員が尽力し、特産品を使った焼酎などの島内での製造を可能にした酒税法の規制緩和などは、その一例だ。
離島振興法は離島関連の法律の基盤となるものであり、離島の国家的な役割の重要性を踏まえても、延長と支援の拡充が必要だ。前回の改正時にも他党との協議を粘り強く進めてくれた公明党に期待している。同法の改正・延長後の自治体の取り組みも、持ち前のネットワークの力で後押ししてもらいたい。