参議院経済産業委員会の質疑

2022.03.08 15:05(2年前) ブログ国会質疑 |里見りゅうじ(里見隆治)

本日行われました参議院経済産業委員会の質疑の様子をyoutubeにアップしました。

主なテーマ
・原油価格高騰への対応
・ビジネスと人権
・フリーランスの保護

議事録

里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。質問の機会いただきまして、ありがとうございます。
 早速質問に入ります。
 まずは、原油価格高騰についてお伺いいたします。
 原油価格につきましては、昨年来の高騰に加えまして、現下のウクライナ情勢の緊迫化により、更に急上昇中でございます。まずは、国民生活、経済活動を守るために、国内での補助金の引上げなど、激変緩和措置を既に決定をいただきました。これをしっかりと確実に実施していただく必要があると考えます。
 その上で、本来、エネルギーの市場安定化のためには、国際的な連携、協調で対応する必要があると考えます。
 萩生田大臣は、先般、国際エネルギー機関、IEAの臨時閣僚会合に参加をされ、この会合で加盟国による六千バレルの石油協調放出に合意をし、既に国内の分担も決定をされていると承知しております。さらに、今後、他の消費国と協調して、産油国の増産の働きかけなど、市場安定化に御尽力をいただきたいと考えます。
 大臣のお考え、また現在のお取組の状況についてお伺いいたします。

国務大臣(萩生田光一君) 既に高水準にあった原油価格は、ロシアによるウクライナの侵略などを受けて一層上昇傾向にあり、企業活動や暮らしへの影響が懸念されます。そこで、原油市場の安定化に向けて、主要消費国との連携の強化ですとか産油国に対する原油増産の働きかけを行ってまいりました。
 議員御指摘の六千万バレルのIEA石油備蓄の協調放出に関しては、我が国として、米国に次ぐ七百五十万バレルを民間備蓄から放出する予定でございます。このIEAの閣僚会議を行ったのは、実はOPECプラスの前日でありまして、こういう国際社会の動きというものを産油国に対してもしっかり伝えていくということも重要だということで、結論を急いで行ったところでございます。
 委員御指摘のように、エネルギー市場の安定化のため、政府としては、IEAやG7などの場を活用して、主要な消費国との連携を一層強化して、産油国への継続的な働きかけを行ってまいりたいと思います。

里見隆治君 引き続き、他の消費国との連携、協調ということで大臣から御答弁をいただきました。市場安定化策、引き続き御尽力をお願いしたいと思います。
 続けて、ビジネスと人権についてお伺いをいたします。
 国連が二〇一一年に策定をいたしましたビジネスと人権に関する指導原則、これを二〇一一年策定して、その上で、国内に実施するための行動計画、これが十年近くの年月を経てようやく一昨年十月に策定をされました。私も五年前、予算委員会で、当時の岸田外務大臣にこの推進を、またより早く締結、また計画を策定すべきだと、そのことをお願いして、ようやく一昨年策定をされたわけですが、これは、私、ILO、国際労働機関活動議員連盟にも所属をしております。石橋大臣、石橋大臣、失礼しました、石橋委員長におかれては議連の事務局長としてお取組をいただき、また私も事務局次長としてその後押しをしてまいりました。
 今後、日本企業が人権デューデリジェンスを行う基盤をつくること、つまり企業のサプライチェーンにおいて人権尊重をしっかりと推進していく基盤をつくる、これはグローバル経済において、海外の人権擁護という観点とともに、企業が安心して、日本企業が安心してビジネスを展開する上で大変重要なものだと考えます。先般も、ILOの関係者と意見交換をする中で、特に中小企業への配慮も必要だと、そのような御意見も伺っております。
 昨年、日本企業の人権に関する取組状況についてアンケート調査を行ったと伺っておりますけれども、その結果概要について簡潔にお伺いいたします。

政府参考人(黒田淳一郎君) お答えを申し上げます。
 ただいま委員御指摘の昨年十一月に公表した企業アンケート調査でございますけれども、売上規模が大きい企業や海外売上比率が大きい企業は人権に関する取組の実施率が高い傾向にあるというようなことが明らかになってございます。他方、全体としては人権デューデリジェンスの実施率は約五割程度にとどまっているということで、まだ日本企業が取り組むべき改善の余地があることも明らかになったところでございます。
 同時に、調査の結果、政府、公的機関に対する要望として、自主的な取組のためのガイドライン整備や人権デューデリジェンス等に関する好事例の収集あるいは周知を求める声が多いこと、さらに、人権デューデリジェンスの実施を始め人権への取組が比較的進んでいる企業ほど国際的な制度調和、他国の制度に関する支援を求めていることなども明らかになったところでございます。
 政府といたしましては、今後の政策対応を検討する上で今回の調査結果を活用してまいりたいと考えてございます。

里見隆治君 人権問題を特定地域に特化したアドホックな対応としてではなくて、今後はRCEP、アジアでの進展なども視野に入れて、国際的な仕組みづくりとして捉えて推進するべきだと考えます。
 その意味で、今回、経済産業省が新しい事業をスタートさせるというふうに伺っております。ちょっと長い名前ですが御紹介しますと、信頼あるグローバル・バリューチェーン構築に向けた日本企業のサステナビリティ対応促進のための海外実証・国際枠組み構築等事業と呼ばれた事業でありまして、これは私も大変取組、注目をしております。
 経産省として、本事業に積極的にお取組をいただきたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

政府参考人(黒田淳一郎君) お答えを申し上げます。
 先ほども御紹介申し上げました企業アンケート調査でも、回答した企業の約四割から具体的な取組に関して参照できる事例集を求める要望が多かったところでございます。
 このため、経済産業省では、令和三年度補正予算におきまして国際労働機関、ILOに拠出を行い、委員御指摘の事業に取り組むこととしたところでございます。
 具体的には、ILOに日本企業の海外取引先企業などに対して人権、労働状況の調査及び改善に向けたアドバイスなどをしていただき、その結果について好事例集として公表、周知をしていくことを予定してございます。また、ILOから日本企業に対するセミナー、あるいはその研修等を実施してもらうことも予定しているところでございます。
 経済産業省としては、本事業の実施も含め、日本企業のサプライチェーンにおける人権尊重の取組を促すことで、日本企業が取引先から排除されるリスクなどを回避するとともに、新規取引先の開拓につなげるなど、日本企業の国際競争力を強化してまいりたいと考えてございます。

里見隆治君 先ほどのアンケートの結果でも、企業による規模別にいろいろな取組の状況も違いがある、またいずれの規模においてもガイドラインの作成など御要望が高いというふうに伺いました。
 日本企業がこれから国際スタンダードにのっとって経済活動ができる環境づくり、これが日本企業の国際競争力の強化にもつながると考えます。こうしたガイドラインの策定、また法制化の対応ということも視野に入れて、その推進について大臣に是非強力にお進めをいただきたいと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(萩生田光一君) 近年、国際社会において人権問題の関心が高まる中、企業がサプライチェーンを含めた人権尊重の取組をしっかりと行わない場合、不買運動ですとか投資の引揚げですとか既存顧客との取引停止などの多くのリスクに直面することがあると承知しております。
 このため、経済産業省では、セミナーなどによる産業界の意識向上等に取り組んでまいりましたが、昨年十一月に公表した企業調査において、日本企業の人権尊重の取組が不十分であることが明らかになるとともに、具体的な取組方法が分からないとの声や政府にガイドラインを整備してほしいとの要望が多く寄せられました。
 このような状況を踏まえ、今般、経産省として、サプライチェーンにおける人権尊重のための業種横断的なガイドライン作りに取り組むことといたしました。日本企業にとって、予見可能性が高く、国際競争力強化につながるものにしてまいりたいと思います。また、国内のガイドラインの整備と併せて、企業が公平な競争条件の下で積極的に人権尊重に取り組める環境を整備していく観点から、国際協調により各国の措置の予見可能性を高める取組も進めてまいりたいと思います。
 国内でも、これ、今国会にですね、国内のDD法を、人権DD法だけをやった方がいいんじゃないかという、こういう動きもあったんですけど、私は、まず国内の皆さんにこの問題意識を共有してもらうこと、それから何をもって人権侵害かというその項目やガイドラインを明確にして企業の皆さんに予見性を高めてもらうことが大事なのと、国際社会とやっぱりプラットフォームを一つにしていかないといけないということで、G7やあるいはWTOの国際会議でも積極的に発言をしてまいりました。
 したがって、今後、国際協調に関する議論など国内外の動向を踏まえながら、将来的な法律の策定可能性も含めて、関係府省庁とともに更なる政策対応について検討してまいりたいと思います。決して後ろ向きじゃなくて、ここで慌てて看板だけ掲げるんじゃなくて、中身をしっかりやっていこうということを考えております。
 同時に、様々な先端技術を有する我が国として、人権侵害に対するツールとして、輸出管理の枠組みが活用可能かどうか議論、検討するとともに、基本的価値観を共有する欧米等の同志国と緊密に連携してまいりたいと思います。

里見隆治君 まずガイドラインを、そして国際的な協調の中でしっかりルールを定めていく、透明性、また予見可能性を高めていく、私も大臣のお考えに賛同でございます。
 どちらかというとヨーロッパの方がこうした問題意識を高く、アジアにも進出されているヨーロッパ企業もこうした取組をされていると思います。是非、同じルールで同じように動ける、そうしたガイドライン作りですね、これをまず策定いただき、さらには法制化ということで着実に進めていきたいと、この場でも大臣に強くお願いをしておきたいと思います。
 では、続けてフリーランスの保護についてお伺いをいたします。
 フリーランスの働き方につきまして従来から様々な課題が指摘されておりまして、私も本委員会で何度か取り上げさせていただいております。特にコロナ禍で様々な影響が出ていると感じています。安心して働ける環境づくりを、つくっていくことが重要です。
 政府としても取組を進めていただき、例えば、昨年三月に、フリーランスとして働ける環境を整備するためのガイドライン、これを策定いただきました。また、相談窓口としてフリーランス一一〇番などの設置、運営を進めていただいています。
 フリーランスの保護の観点からの対応の状況、また課題認識、今後の行政体制の整備の状況について、まず中小企業庁からお伺いします。

政府参考人(飯田健太君) お答え申し上げます。
 中小企業庁では、主に取引の適正化の観点からフリーランスへの対応について取り組んでいるところでございます。
 ただいま委員から御指摘ございましたけれども、昨年三月に、ガイドラインでございますが、関係省庁としては、内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省の連名で、事業者とフリーランスの取引につきまして、独占禁止法や下請代金法、労働関係法令の適用関係を明らかにいたしました。これらに基づく、これら法令に基づく問題行為を明確化するために、御指摘のフリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドラインを策定、公表したところでございます。
 このガイドラインにおきましては、下請代金法の関係では、問題行為といたしましては、発注書面の不交付でございますとか、あるいはその報酬の支払が遅れる、報酬の支払遅延などの問題行為が明らかにされたところでございます。
 これを受けまして、中小企業庁では、このガイドラインの周知でございますとか、あるいは、私どもとしては下請中小企業振興法というのを所管しておりますが、これに基づく振興基準の改正なども行ってまいりました。それから、フリーランスと取引が多い情報サービスあるいはそのホームセンターですとか、こういった業種において業種別の下請ガイドラインの改定や業界団体が策定する自主行動計画の反映にも取り組んでまいりました。
 それを実施する体制でございますけれども、今これも委員から御指摘ございましたけれども、令和二年十一月に、発注事業者などとのトラブルについて弁護士に相談できるワンストップの窓口としてフリーランス・トラブル一一〇番、これを厚生労働省、公正取引委員会、中小企業庁が連携して設置、運営をいたしております。運営開始から令和三年十二月までの間に約四千五百件の御相談がございます。報酬の支払でございますとか契約内容についての御相談が約半分ぐらいということでございます。
 そのほか、中小企業庁の体制整備といたしましては、来年度から全国百二十名の下請Gメンを倍増するということとしておりまして、フリーランスの方々の取引上のお悩みなども含めてヒアリングして、業種別ガイドラインや自主行動計画の改定につなげることによって課題解決につなげてまいりたいと思っております。

里見隆治君 同じ質問で公正取引委員会にもお伺いしたいんですが、体制整備はしましたと、ガイドラインも作りました、相談件数も上がっています、これは分かりますが、やはり結果としてどれだけフリーランス保護が進んでいるかというアウトカム的な部分が重要だと思うんですね。
 そうした観点も含めて、公正取引委員会からも同じ内容で御回答、御答弁いただきたいと思います。

政府参考人(岩成博夫君) お答えいたします。
 フリーランスと発注事業者との取引につきましては、先ほど中小企業庁からもありましたけれども、ガイドラインを関係省庁との連名で策定して、作成したところでございます。
 公正取引委員会におきましては、公正取引委員会の本局あるいは地方事務所等に窓口を設置いたしまして、フリーランスの方からの独占禁止法等に関する相談、それから違反行為に係る情報提供を受け付けて、フリーランス・トラブル一一〇番、先生御指摘ありました一一〇番ですけれども、これを経由するものも含めて丁寧に対応してきているところでございます。
 こちらの相談でありますけれども、本年度でいいますと、公正取引委員会に寄せられた相談という意味では、既に二百件以上のフリーランスの方からの具体的なお困り事について、独占禁止法あるいは下請法の観点からの対応をしてきたところでございます。
 それから、法執行の方でありますけれども、令和三年度の親事業者に対する定期調査におきまして、フリーランスとの取引割合が高い業種につきまして、調査対象を五千社増加させてきております。
 このように、公正取引委員会では、フリーランスに関する公正な取引の確保のための窓口、それから情報収集の充実を進めてきておりまして、そのような取組を通じてガイドラインの周知も図られてきているというふうに考えております。
 さらに、公正取引委員会では、令和四年度の予算案におきまして、フリーランス等の取引に係る執行体制の強化として十四人の増員が盛り込まれているところでございます。
 引き続き、フリーランス等の取引におけるトラブルに迅速に対応できるよう、関係各方面と、関係各方面の理解も得つつ、必要な人員、それから体制の確保、充実に努めてまいりたいというふうに考えております。

里見隆治君 中企庁にも言いましたけれども、体制もできました、また四年度から拡充をしますと、相談窓口も設けていますと、中企庁だと四千五百件というお話でした。これ、せっかくそれだけの、これ非常に貴重なデータだと思うんですね、相談内容自体が。これはやっぱりPDCAサイクルを回して、何が問題なのか、さらに何が法的な措置として必要なのか、もうこれはしっかりと蓄積をして政府として取りまとめていく必要があると思います。その意味では、これが、同じことを繰り返してこれがなくならないのであれば、やはり法的措置ということも、法的措置といいますか、法制化、制度化ということも考えなければならないと思います。
 昨年、経済産業委員会で私、公取に法制化についての質問をいたしました。当時は公正取引委員会がその法律上の検討ということを担っておられましたが、昨年の夏、秋から、これはもう内閣官房で中心となって検討するというふうに、格上げをしたというんでしょうか、もう全体として取り組みますという現状になっているかと思います。本来は具体的な施策を持って運用している中小企業庁、あるいは公正取引委員会、あともう一つ厚生労働省もありますね、厚生労働省で是非主体的に関わっていきたいと、いただきたいというふうにこの場で、今日は幹部の皆さんいらっしゃいますからお願いをしておきます。
 その上で、現在は内閣官房で中心になって検討しているということでありますので、内閣官房にこれ是非積極的にお取組をいただきたいと思いますが、現在の検討状況を教えてください。

政府参考人(三浦章豪君) お答え申し上げます。
 フリーランスとして働くことを選択する方々、これが安心して働くことのできる環境を整備することは、多様な働き方の拡大などの観点から、政府としてしっかり取り組むべき非常に重要な課題だというふうに認識をしております。
 このため、中小企業庁、公正取引委員会からも今答弁ありましたけれども、これまでも、関係省庁が連携をして、ガイドラインの策定でありますとか、若しくはワンストップで相談できる窓口の設置と、こういったことに取り組んできているところでございます。
 さらに、法案の話でございますが、昨年十一月、新しい資本主義実現会議における緊急提言において、フリーランスとして安心して働ける環境を整備するため、事業者がフリーランスと契約する際の契約の明確化でありますとか、若しくは禁止行為の明定と、などについて、フリーランス保護のための新法を早期に国会に提出するとされたところでございまして、現在鋭意検討を進めているというところでございます。
 その際、御指摘のとおり、関係省庁の主体的な参画というのは我々も非常に重要だというふうに考えておりまして、実際に、内閣官房を始め公正取引委員会、経済産業省、中小企業庁、それから厚生労働省といった関係省庁が主体的に関わる形で法律についての検討というのを鋭意進めているという状況でございます。

里見隆治君 何度も言いますけれども、それぞれ事業を持っている中企庁また公正取引委員会、主体的に取り組んで、何が課題なのか、それをしっかりと法律上の、今例示のありました契約の明確化ですとか禁止行為を明確化していく、これは当然だと思いますが、これ、相談が繰り返される、同じ相談が繰り返されることのないように、しかもこれ早急にですね、法制化について検討を進めていただきたい、そのことをお願いしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

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