近年、激甚化する災害。 災害拠点病院以外の医療機関でも浸水対策の強化が必要です。
参院決算委員会
テーマ
・医療機関の浸水対策について
・マイナポータルの活用等について
病院の浸水対策、強化を/宇宙ごみ抑制 ルール形成主導せよ/参院決算委で里見、伊藤(孝)氏 #公明新聞電子版 2021年04月20日付
里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。
御質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
〔委員長退席、理事古賀友一郎君着席〕
本日審査対象となっております令和元年度決算について、会計検査院の検査報告や財務省が取りまとめた個別事業のフルコスト情報の開示、それらの内容を踏まえつつ、今後の施策の在り方について質問してまいります。
一点目として、災害拠点病院の浸水対策について、まず厚生労働省に、そしてその上で、災害、防災、国土強靱化の観点から小此木大臣にもお伺いをしてまいります。
一点目の質問です。
まず、事実確認でございますけれども、令和元年度決算報告におきまして、会計検査院が厚生労働省所管の独立行政法人の災害拠点病院について、自家発電等の浸水のおそれのある場所に設置していたとして、水害時に継続して医療提供できるよう改善の処置を要求しております。その内容について、会計検査院からの説明を求めます。
説明員(山口亨君) お答えいたします。
会計検査院は、厚生労働省が所管する独立行政法人である労働者健康安全機構、国立病院機構及び地域医療機能推進機構の三機構の災害拠点病院において保有する自家発電機等につきまして、水害時の浸水対策が適切に実施されているかなどに着眼して検査いたしました。
その結果、三機構の六病院において、浸水対策を全く実施していない、いなかったなどの自家発電機等がございまして、水害により商用電源が途絶した場合に、自家発電機等が浸水して稼働できず、継続して医療を提供する上で必要な電気を確保できないおそれがある状況となっておりました。
そのため、会計検査院は、令和二年九月に、会計検査院法第三十六条の規定により、三機構に対しまして、浸水対策について応急的な対処方法を速やかに定めるとともに、自家発電機等を浸水のおそれがない場所に移設したり、自家発電機等が設置されている建物内に浸水しないように防水扉や止水板を設置したりするなどの計画を策定することなどにつきまして改善の処置を要求したところでございます。
里見隆治君 次に、厚生労働省に伺います。
この検査院からの改善の要求を受けて、厚生労働省はどのように受け止めておられるか。また、今回の独法三機構のみならず、厚労省として、その他の医療機関についても同様に浸水対策が取られているか実態把握をするべきと考えます。現状、また今後の対応について、厚労省から答弁をお願いします。
政府参考人(間隆一郎君) お答えいたします。
近年の風水害の状況に鑑みれば、災害拠点病院を始めとした医療機関の浸水対策は大変重要であると認識しておりまして、会計検査院の処置要求を大変重く受け止めております。
今回の改善の処置要求に対しまして、各独立行政法人で措置を、止水対策などの措置を講じることとしておりまして、厚生労働省といたしましても、その具体的な取組についてしっかり確認をしてまいりたいというふうに考えております。
また、実態把握についてでございますけれども、災害拠点病院については、ハザードマップ等による浸水被害の想定とその対策に関する全国調査を実施しております。一方で、全ての医療機関の状況までは把握できておりませんことから、今後必要な調査を検討し、医療機関や自治体に御協力いただきながら実施してまいりたいと、このように考えてございます。
里見隆治君 令和二年度第三次補正予算で計上されておりますけれども、これが令和三年度に繰り越されている事業で医療施設浸水対策事業というものがございます。
これも昨年度しっかりこれ予算に付けましたので、これを活用しながら、電源設備の浸水被害防止の対策を取っていないそうした医療機関に対しても必要な対応を求めるべきだというふうに考えております。
厚労省から、その事業内容とまたその活用方法についてお伺いをいたします。
政府参考人(間隆一郎君) お答えいたします。
委員御指摘の医療施設浸水対策事業、令和二年度第三次補正予算で計上されたものでございますが、これは、浸水想定区域にあるものの移転することができない災害拠点病院あるいは救命救急センター、周産期母子医療センター等に対して、例えば医療用設備や電源設備を浸水の影響を受けない高い位置への移設等について支援を実施するための事業でございます。令和三年度に繰り越して活用することとしております。
これについては都道府県を通じて周知をしたところでございますけれども、今後その積極的な活用を促すことによってこの対策に積極的に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
里見隆治君 よろしくお願いいたします。
そもそもの、今御説明もありましたけれども、そもそもこの災害拠点病院というのは、厚労省の災害時の医療体制の充実強化についてという通知でその定義を記していただいておりますが、それによりますと、災害時に多発する重篤救急患者の救急医療を行うための高度の診療機能を有し、被災地からの取りあえずの重症疾病者の受入れ機能を有するなどの災害拠点病院というふうにされております。したがって、今後もしっかりとこうした対策を講じていただく必要があると思います。
浸水被害が想定される災害拠点病院、まだこれ可能性としてあるわけでありますが、これ是非、今後、この災害拠点病院、これ様々な要件があると、指定要件があるというふうに伺っておりますけれども、この浸水対策を行っているということをその指定要件に加えること、これも検討すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
政府参考人(間隆一郎君) お答えいたします。
委員御指摘の現在の災害拠点病院の指定要件におきましては、浸水対策につきましては、地域のハザードマップ等により浸水想定区域に所在する場合には、浸水のおそれを考慮しつつ、自家発電機等の設置場所を検討することが望ましい旨を明記しているところでございます。
その上で、近年、風水害が激甚化、多発化していることから、議員の御指摘も踏まえまして、自家発電等の設置場所のみならず、止水対策も含めまして、災害拠点病院の指定要件の内容についてしっかり議論していきたいというふうに考えております。
里見隆治君 是非、御検討、積極的に、また結論を早急に出していただくようにお願いをいたします。
今日は災害拠点病院ということでお伺いをしましたけれども、この病院と、また電源設備という点では、最近の話題になったところでは、ワクチン接種の過程で、零下七十度、七十五度というところで冷凍保存をしなければならない、そのワクチンが電力不足で使えなくなってしまったということもございます。また、重大な局面、様々な形で想定をされるわけですけれども、厚生労働省におかれては、是非この医療機関、そしてその電源設備という観点で遺漏なきよう御対応をお願いしたいと思います。
こうした厚労省の取組を、今るる状況を確認してまいりましたけれども、最後に、最後といいますか、この部分については、こうした防災施設設備に関する不断の点検の必要性ということについて小此木大臣にお伺いをしたいと思います。
これ、過去にも、政府、また本委員会でも取り上げられてまいったところでございます。例えば、平成三十年度の決算審査においては、河川管理施設の防災施設本体を稼働するための電気設備について耐震調査が実施されておらず、災害時等に防災施設が十分に機能しないおそれがあることが判明し、本委員会において措置要求決議を行っております。
さらに、災害拠点病院についてはこれ今取り上げたところですけれども、その後、平成三十年度に十一省庁で実施した重要インフラの緊急点検の中で、非常用自家発電設備の点検を行い、診療機関、診療機能を三日程度維持するために設備の増設等が必要なことが課題として判明したと。その後、政府で御対応いただいているわけであります。さらに、今申し上げた災害拠点病院についての改善処置ということも要求されております。
〔理事古賀友一郎君退席、委員長着席〕
こうした中で、災害対策、また国土強靱化対策の小此木大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、大臣も、防災、また国土強靱化という意味で各省御指導いただくべきお立場であります。その所掌も大変広くあるというふうに承知をしております。この国土強靱化に関する各省横断的な課題について、様々な施設で同様の事態が繰り返し発生することを回避するためにも、関係省庁間で課題を共有し、横断的な点検を実施する体制が必要と考えますけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。
国務大臣(小此木八郎君) 先ほど委員がおっしゃった平成三十年ですけれども、この年には、西日本豪雨、台風第二十一号、北海道胆振東部地震、立て続けに災害、大きな災害が起こりました。この災害発生時に重要インフラが機能を喪失して国民生活に大きな影響を及ぼしたこと等を受けまして、府省庁横断的に緊急点検、国土強靱化の緊急点検につながっているところであります。
一方、国土強靱化を効果的に進めるためには、委員の御指摘のとおり、平時より政策効果や課題について府省庁横断的に共有することが重要と認識しております。このため、関係府省庁の局長級が集まる国土強靱化に関する関係府省庁連絡会議等を定期的に開催しており、横断的な課題の共有も含め、連携を強化して取り組んでいるところでありますけれども、引き続きこれは続けてまいりたいと思います。
さらに、今後、新たに大規模な自然災害が発生し、新たな課題が明らかになった場合等には、施策の点検を含めた必要な対応を講じる体制を構築してまいりたいと存じます。
里見隆治君 小此木大臣、よろしくお願いいたします。
大臣におかれては、委員長のお許しをいただければ御退席をいただいて結構でございます。
委員長(野村哲郎君) 小此木大臣は御退席いただいて結構でございます。
里見隆治君 続きまして、マイナポータルの活用について、内閣官房、また平井大臣にお伺いをしてまいります。
本日、お手元に資料も二枚御用意をしております。
この資料は、マイナポータルの整備、活用について財務省主計局が取りまとめている令和元年度個別事業のフルコスト情報の開示のダイジェスト版、そのうちのマイナポータルの整備、運用についての該当ページでございます。
個別事業のフルコスト情報につきましては、本委員会では、四月七日の同僚の平木大作議員からの質問でも触れられておりましたけれども、私ども公明党は、決算情報を一つ一つの事業にブレークダウンした形でより詳細な開示を求めてまいりました。本件についても、まず、このフルコスト情報の確認から質問を進めてまいりたいと思います。
まず、マイナポータルについて、その概要を御説明いただきたいと思いますけれども、あわせて、この資料の二にございますとおり、この上二つの行が人に掛かるコスト、事業コスト、これらがフルコストでございます。そして、その総コストを分子として、マイナポータルアクセス数を分母として、あるいは一アクセス当たりのコストということでアクセス件数を分母としてこのコストを出す、あるいは国民一人当たりのコストとして出したものが表としてまとめられております。
これらの表について、まずマイナポータルの御説明、また、この一アクセス当たりのコスト、近年どのように推移しているか、できれば令和二年度の見込みですね、決算値は出ていないと思いますけれども、その見込みも含めて御説明をお願いいたします。
政府参考人(冨安泰一郎君) 御答弁申し上げます。
マイナポータルの概要につきましては、マイナンバーカードをキーにした私の暮らしと行政との入口として、平成二十九年十一月より本格運用を開始しており、具体的には、子育てなどに関する行政サービスの検索や行政機関への申請手続をスマートフォンでできるプラットフォームとしての役割や、行政機関が保有している自分の情報について確認したり、あるいは本人が利用歴を取得することができるなど、暮らしをより便利にするためのサービスを提供しております。
御指摘ございましたフルコスト情報の推移でございますけれども、一アクセス当たりコストにつきまして、この資料にございますけれども、平成二十八年度は二千六百二十四円、平成二十九年度は四千六百七十五円、平成三十年度は四千二百五十五円、令和元年度は千九百六十円となっております。
また、御指摘ございました令和二年度でございますけれども、決算やアクセス件数など、まだ最終確定をしておりませんのであくまで現時点での参考値ということでございますけれども、クラウドへの移行などによりランニングコストが削減したことや、特別定額給付金もございましてオンライン申請などによりアクセス件数が増加したことなどにより、一アクセス当たり約七十円と見込んでいるところでございます。
里見隆治君 ありがとうございます。これ、一見して御覧いただければお分かりなんですけれども、丁寧に説明をいただきました。
これ、当然のことなんですけれども、一アクセス当たりのコスト、これ一国民、国民一人当たりというと、まあ要は一億二千万人で割るということですから十円とか数十円。というよりも、しっかり活用いただくという観点でいえば、一アクセス当たりのコストというものをしっかり捉えていく必要がある。そういう意味では、まずこの分子に当たるコスト、これをいかに低減させていくか、またアクセス件数をどれだけ上げていくかが一アクセス当たりのコストの低減につながると。当たり前のことでありますけれども、それを実際進めていただくということだと思います。アクセスを二倍増やせばコストが二分の一になるという当然の帰結でございます。
このマイナポータルの利活用促進について、利用者である国民目線の改善はもとより、より利用者にとって行政サービスの窓口となる自治体の目線でも改善が必要だと考えます。この利活用に向けた政府のお取組についてお伺いいたします。
政府参考人(冨安泰一郎君) 御答弁申し上げます。
マイナポータルにつきましては、やはり国民の皆様に使っていただけるということが大事でございますので、そのユーザーインターフェースあるいはユーザーエクスペリエンスの、UI、UXを徹底して見直す必要があると考えております。
このため、昨年の十二月には、デジタル改革アイデアボックスにマイナポータルの新デザインを掲載して、広く国民の意見を募集しました。また、今委員御指摘、自治体の話ございましたけれども、やはり御協力いただける自治体の皆様からの御意見も頂戴し、委員御指摘のように、国民の目線、また自治体の目線でのUI、UXの改善に取り組んでいるところでございます。
また、これに加えまして、各自治体におきましての行政手続のオンライン化を支援するため、全地方公共団体のマイナポータルへの接続の実現ですとか、マイナポータルにおける標準様式、申請フォームの自治体に対する提供などを進めさせていただいているところでございます。
今後、こうしたUI、UXの改善ですとか各自治体への支援を推進することで多くの国民の皆様にマイナポータルの利便性を享受いただけるよう、政府としても取り組んでまいりたいと考えております。
里見隆治君 私、個々の利用者目線ということに加えて自治体の目線ということを申し上げました。後ほど平井大臣にも御答弁いただきますけれども、是非個人にとっても、また自治体にとっても活用しやすいという観点でお進めいただければと思います。
もう一点、この利活用推進に加えまして、先ほど申し上げた分子の方ですね、このコスト削減につきまして、調達コスト、またランニングコストを通じてこの不断の削減努力が必要だと考えます。現在の取組状況、また今後のお取組についてお伺いいたします。
政府参考人(冨安泰一郎君) 御答弁申し上げます。
マイナポータルにつきましては、利便性の向上に加えまして、やはり調達コストあるいはランニングコストを抑制していくことが重要だと考えております。
このため、マイナポータルにおきましても、ぴったりサービスと呼ばれます行政サービスの検索やオンライン申請につきましては当初からクラウドサービスを活用しておりましたが、行政機関が保有する自分の情報の確認、取得等を行える情報提供等記録開示システムというのがございますけれども、この開示システムにつきましても、令和二年四月以降、クラウド化を実施しているところでございます。
これによりまして、ハードウエアなどの購入、維持管理が不要となるため、トータルでコスト低減を図りつつ、利用状況に応じてシステムの容量や性能を変更することが可能となったことから、令和二年度における情報提供等記録開示システムの保守運用費用は約年間四〇%程度削減できる見込みとなっていると承知しております。
私どもといたしましては、引き続き調達コストやランニングコストの不断の削減に向けて精いっぱい取り組んでまいりたいと考えております。
里見隆治君 よろしくお願いいたします。
最後に平井大臣にお伺いをしたいと思います。
平井大臣におかれては、デジタルの推進という点でも大変期待を申し上げておりますけれども、今回取り上げましたマイナポータル、もうるる御説明もいただきましたけれども、国民の皆様がサービス行政手続、またオンライン申請などを行うための自分自身の、自分専用のサイト、まさにこのマイナポータルが行政機関へのアクセスの第一歩、ポータルであるわけですから、その活用促進という点で是非御尽力を、大臣自らリーダーシップを取ってお願いしたいと思います。
以上、これまで様々質問してまいりましたとおり、費用対効果という観点も含めて、マイナポータルについては、ユーザーインターフェースまたユーザーエクスペリエンスの改善といった利便性向上を通して利活用促進することにより、国民の皆様から自治体、国の行政のアクセスの改善につながるよう取り組んでいただきたいと考えておりますが、平井大臣の御決意、御所見をお願いいたします。
国務大臣(平井卓也君) 質問ありがとうございます。
マイナポータルは、行政機関が保有する自分の情報へのアクセスを可能にして、自分に関する行政機関の間での情報連携の記録を確認できるなど、マイナンバー制度における国民の信頼確保と安全、安心なデジタル社会の基盤として今後とも整備していくものだと考えております。よって、そのアクセス件数のみをもって費用対効果を測ることは非常に難しい面があるんですが、できることには全て取り組んでいこうと考えています。
導入期に要した一定の開発運用費は、クラウド移行などにより低減を図る、タブレット端末、平成二十九年から全国の自治体に配備してアクセスのしやすさを高めてきました。これはもう先生方の大変な御尽力によるものです。また、行政手続のメニューを増やしたり、どの自治体でも簡易に利用できるよう支援を行ったり、APIの共通を通じた民間サービスとの連携サービスにより、サービスメニューを増やしてまいりました。
今後も不断の見直しを行っていく必要があると考えておりまして、加えて、今までは、マイナポータルに限らず、政府が提供するシステムは提供者目線で運営してきましたが、マイナポータルは、マイナンバーカードをキーにした私の暮らしと行政の入口として、国民の皆さんに便利に使っていただけるように、UI、UXを利用者目線で徹底して見直す必要があると考えています。
今後とも、国民や自治体の意見などを踏まえながらUI、UXを改善し、最終的には、誰でも自宅にいながら、最終的にスマートフォンで全ての行政手続が六十秒以内に完結することを目指しつつ、多くの人々が便利に使えるようにサービスメニューを充実していくことでマイナポータルの利便性向上を図って、圧倒的に便利で、最終的にはデジタルを意識しない社会、人間に優しい社会を提供していきたいと考えております。
里見隆治君 大臣から力強い御決意いただきました。圧倒的に便利なということとともに、しっかりと情報管理、個人情報の管理も含めて遺漏なきようお願いをし、デジタルの行政の推進、平井大臣にお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。