厚生労働委員会で質疑に立ちました。テーマは労働者協同組合法案についてです。
25年前、労働省に勤務していた時は「協同労働」の実態調査を行いました。
当時からNPO法人に並ぶ可能性を持つ法人形態だと期待を寄せておりました。
そして4年前の初当選後は国会議員として、議論の中に加わりました。
こうして質疑の日を迎えた事、感慨もひとしおです。
質疑の様子をYouTubeにアップしました。
是非ご覧下さい。
里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。質問の機会いただきまして、ありがとうございます。
実は私、この労働者協同組合に大変思い入れと、また御縁がございます。今から二十五年前、平成七年に、当時勤務しておりました労働省で、この協同労働について国内、海外の実態調査をしたことがございます。当時からNPO法人と並ぶ可能性を持つ法人形態だと期待を寄せておりましたところ、以来、国会議員の諸先輩が制度設計に大変な御苦労をいただく中で、私も四年前、初当選直後に、桝屋先生のお誘いをいただき、有り難くも与党ワーキングチーム、また超党派議連でこの議論に加わらせていただきました。本日、こうして質疑の日を迎えましたこと、感慨もひとしおでございます。また、発議者の先生方には敬意を表するものでございます。
この法案は、地域における多様な需要をこの事業で受皿となっていくと、それを促していくものだというふうに受け止めております。私もこれまでに、その担い手となる団体として全国様々な活動をしておられるワーカーズコープやワーカーズコレクティブの皆様の活動、現地にお伺いをし、拝見をしてまいりました。
その中で、ワーカーズコレクティブについて特にそういう傾向があろうかと思いますけれども、二十人以下の小規模な団体が多く、しかも事業を始められるときは少人数であるということでございます。こうした中で、この法案が地域を下支えする小規模の団体の後押しになるという意味でも非常に意義のあるものだというふうに考えております。
これらの団体が主にNPO法人や企業組合として活動されているという実態からしますと、こうした団体がしっかりと労働者協同組合になることが可能かどうか、その点確認しておくことが重要だと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
衆議院議員(桝屋敬悟君) 今委員からお話があったとおりでございまして、この法案では、組合員数の総数が二十人を超えないような組織、組合において、全員が事業に従事することができるよういろんな工夫をしておりまして、例えば監事に代えて組合員監査会を置くとか、小規模の組織に対する配慮も設けております。そうした意味では、この法案が、小規模のものも含めて労働者が自発的に協同して労働し事業を行うという、まさに協同労働の形で地域における多様な需要に応じた事業の実施を考える団体を後押しするものだというふうに考えておりまして、里見委員のお話のとおりだと思います。
その上で、組織変更は可能かとの御質問でありますが、本法案が成立した後、労働者協同組合として事業を行うことが見込まれる団体の中には、今現在は企業組合やNPO法人の形態を取って活動しているものがございます。本法案では、これら現に活動する企業組合、NPO法人が労働者協同組合に円滑に移行することができるよう、組織変更のための制度を設けることとしております。
なお、組織変更については、施行前に企業組合、NPO法人の形態を取って活動している団体にのみ適用する暫定的な措置として、組織変更ができる期間は施行日から三年以内に限るというふうにしているところでございます。
里見隆治君 ありがとうございます。
今御答弁で、組織変更が可能ということでございました。特にNPO法人について、これは法案の作成過程においても、まさに新しい制度ということで、超党派のNPO議連の方々にも御理解をいただきながら丁寧な議論を行っていただいたと、そのように記憶をしております。
今ほども若干触れていただいておりますけれども、NPO法人からの組織変更に関してどのような規定を設けられているのか、改めて御説明をお願いいたします。
衆議院議員(桝屋敬悟君) NPO法人からの組織変更に当たっては、NPO法人から組織変更した組合が保有するNPO法人時代からの財産について、NPO法人と同様に構成員に対する処分制限を及ぼす必要があります。この点はNPO議連の先生方とも何度も協議をしたところでございます。
一方で、組織変更後の組合が従前と同じ事業その他NPO活動に該当する事業を行っている場合の財産使用への配慮も同時に必要だということでございまして、そこで、NPO法人から組織変更した組合については、社員総会での特別多数による議決など企業組合からの組織変更と同様の規定に加えて、特にNPOでは、NPO法人からの変更では、財産分配の規制、それとNPO法人時代から保有する財産のNPO活動に該当する事業への使用についての規定を設けることとしております。
その主な内容としましては、剰余金のうちNPO法人時代からの財産に相当する組織変更時財産額に係るものにつきましては、特定非営利活動、NPOに係る事業に該当する旨の行政庁の確認を受けた事業によって生じた損失の補填に充てる場合のほか使用してはならないということにしております。そして、解散した組合の残余財産のうち組織変更時財産残額、残った額ですね、すなわちNPO法人時代からの財産の残額に相当する部分はNPO法人等に帰属させなければならないというふうにしているほか、毎事業年度終了後、組織変更時の財産の額に係る使用の状況を行政庁に報告しなければならないこととしております。
これによりまして、実態、手続の両面から規律を及ぼすことが可能となるというふうに考えている次第でございます。
里見隆治君 よく分かりました。ありがとうございます。
最後の質問とさせていただきますが、最後に組合員と社会保障についてお伺いします。
労働者協同組合は、全ての組合員が組合の事業に従事するということが基本的原理の一つでありますが、その中には、代表理事等の組合と労働契約を締結しない方が存在します。これらの者に社会保障、また労働保険の適用があるのか、その点について確認をさせてください。
衆議院議員(桝屋敬悟君) ここは、委員からお尋ねでございますが、当事者団体の皆さん方も一番気にはなさっておられる点であります。
まず、健康保険あるいは厚生年金保険といった社会保険につきましては、事業所に使用される者であることが被保険者の要件となっております。この使用される者とは、法人から労務の代償として報酬を受ける者を指しておりまして、この要件を満たす者であれば、一般労働者のほか法人の役員なども適用の対象になるものと承知をしてございます。
そのため、組合の代表理事、専任理事、監事等の役員につきましては、業務の実態において法人の経営への参画を内容とする経常的な労務の提供があると、そして業務の対価として法人から経常的に報酬の支払を受けている場合は適用対象となるというふうに考えてございます。
一方で、雇用保険とか労災保険といった労働保険でございますが、これは労働者であることが適用の条件であるため、今お話のありました代表理事、専任理事、監事については原則としては対象にならないのではないかと考えております、原則として。労働者性が認められる場合も私はあるのではないかと考えている次第でございます。
なお、労災保険については、組合員の人数規模や事業の内容によっては特別加入の対象となるものと思われます。
以上でございます。
里見隆治君 御答弁ありがとうございました。
私もこの法案の成立を長く望んできた者の一人として、これが成立した暁には、しっかりとこの法律が全国津々浦々しっかりと運用されるように後押しをさせていただきますこと、決意を申し上げまして、質問とさせていただきます。
ありがとうございました。