本日、国土交通委員会で質疑に立ちました。
①高齢者の運転寿命延伸、②高次機能障害、
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議事録
里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。質問の機会をいただきましてありがとうございます。
今日は、通告の順序と若干前後いたしますけれども、まず、高齢者の安全運転という観点から御質問させていただきたいと思います。
高齢者の自動車運転の安全運転、この確保、近年の高齢者による重大な自動車事故の増加という社会的な背景、あるいは制度的にも、数次にわたって道路交通法の改正を契機に、認知症等の高齢者の免許の返納ということが増加をしているというふうに認識をしております。
確かに、交通事故を減らしていくという観点でいえば、安全運転ができない高齢者には免許を返納いただくしかない、そのことはやむを得ないというふうに考えますが、ただ、交通事故が減少すれば全てが、社会的問題が解決するかというと、そうではないということも目を配っている必要があると思います。つまり、高齢者の足である車がなくなってしまうと、特に過疎地域、中山間地等で、一人で買物にも行けない、また病院にも行けないという、言わば交通弱者に陥ってしまうという課題が一方で生じてしまうわけでございます。
こうした観点に立ちまして、私の地元愛知県にございます国立長寿医療研究センターでの研究成果、様々ございますけれども、その中で、御高齢の皆さんが自動車運転をしなくなった途端に認知能力が更に低下をしてしまうと、そんな結果も出ておりまして、そういう意味では、いかに安全にこの運転の寿命を延ばしていただくかと、そういった課題があるというふうに認識をしております。
この運転寿命、つまり高齢者が安全に運転することが可能な期間というふうに定義をしておりますけれども、その延伸のために、今ほど申し上げました長寿医療研究センターが中心になりまして、産官学を連携いたしましての高齢者の安全運転のためのトレーニングプログラムの開発が進められております。そのための運転寿命延伸プロジェクト・コンソーシアムという組織もつくられておりまして、私も参画をさせていただいております。
先般の補正予算等では、例えば安全サポートカーについて補助金を出していただく、これも大変重要なことでありまして、私の地元愛知県でも、ほぼ全ての市町村がこれに更に上乗せの助成をし、それに県も助成をするということで、こうした意識も高まっております。
その一方で、車体や自動車の安全性ということとともに、これを運転する運転者の運転能力の維持確保という点も大変重要だと思います。この点、警察庁としても是非協力をしていただきたいと、そのように考えます。
道路交通法の改正などを契機に高齢者の免許返納が増える一方で、警察庁として高齢者が安全運転を継続できる体制づくりについてどのように評価、認識をされているか、お伺いをいたします。
政府参考人(高田陽介君) お答え申し上げます。
高齢運転者が今後ますます増加していく中で、高齢運転者が長く安全運転を継続していただくということは重要であると考えておりまして、このような観点から、ただいま委員から御指摘のございました国立長寿医療研究センターによる運転寿命延伸プロジェクトのような取組は、大変有意義であると考えてございます。
本プロジェクトにつきましては、今後、これまでの成果を踏まえて本格的に実験が行われることが計画されているというふうにお聞きしておりまして、警察といたしましても、これまでも実験場所となる教習所の紹介を行うなど協力をしてきたところでございますが、高齢運転者に安全な運転を継続していただくためのこうした取組に対し、今後とも協力してまいりたいと考えております。
里見隆治君 ありがとうございます。是非、協力よろしくお願いいたします。
こうしたことを踏まえた上で、自動車の在り方について国交省等にお伺いをしてまいりたいと思います。
様々、自動車といっても多様化をしております。その中で、本日はグリーンスローモビリティー、いわゆるグリスロについてお伺いをしていきたいと思います。
お手元にも、二ページ目に配付をさせていただいております。グリーンスローモビリティーとは、資料にもございますように、電動により時速二十キロ未満で公道を走る四人乗り以上の、大きさでいうとゴルフカートのような四人乗り、七人乗りのものから、十人乗り、十六人乗りのバスまで様々でございますが、こうしたパブリックモビリティーのことであるという定義でございます。
二十キロという低速でございますので、今ほど申し上げました高齢者の安全運転という観点でも大変効用が高いというふうに考えますし、また、観光を楽しむ、ゆっくりと観光を楽しむための交通手段としても適している、期待をされているところであります。しかも、元々グリーンということで、電気自動車のCO2の排出量が少ないということで、グリーンである、エコであるという点でも優れている、そうした点で注目を受けているものでございます。
今国会で提出をされております地域公共交通活性化再生法、この改正法案が提出をされておりますけれども、その法案の中では、地方公共団体による地域公共交通計画、マスタープランの作成を促していこうという趣旨が盛り込まれております。
この計画の中で位置付けられる様々な公共交通サービス、これも国として、また様々官民の協力の中で選択肢を多く取りそろえていく、そうした体制、環境整備が必要ではないかと考えております。今後の地域それぞれの特性に応じた様々な移動ニーズ、これに細かく対応していく必要があると思います。その際、今のこのグリーンスローモビリティー、こうした今ほど申し上げた特性というのも是非とも選択をいただけるような、そうした推進体制、これは国土交通省と環境省と両省において共管で進めていただいているということでございます。
まず初めに、国土交通省に、現在の進捗状況、また今後どう進めていかれるか、お伺いをいたします。
政府参考人(蒲生篤実君) お答え申し上げます。
国土交通省では、グリーンスローモビリティーの社会実装に向けまして、環境省と連携し取り組んでいるところでございます。
このモビリティーは、委員御指摘のとおり、環境への負荷が少なく、狭い路地も通行が可能で、高齢者の足の確保や観光客の周遊に資するものでございます。国土交通省では、平成三十年度には五地域、令和元年度には七地域で実証事業を実施しているところでございます。現在、既に全国十三地域で事業化されているところでございます。
引き続き、令和二年度予算案にも計上させていただいております実証事業等を通じまして、更なるグリーンスローモビリティーの社会実装を広げてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
里見隆治君 ありがとうございます。
これは是非進めていただきたいと思いますけれども、昨年の六月に閣議決定をされた成長戦略では、五十の達成目標という非常に志の高い、しかしながら、これは第一歩であるというふうに受け止めておりますが、まだそれは達成をしていないということでございますので、是非ともその推進、強力に進めていただきたいと思います。
一方で、環境省にもお伺いをしたいと思います。
環境省としては、これ基本的にはそれぞれの自治体にお取組をいただくということでありますけれども、やはりこのグリーンという点では、環境政策にも資するという点で、例えば、これは一例ですけれども、国立公園で観光ツーリズムの手段として活用いただくというようなことで働きかけをするですとか、環境政策としての位置付けでもっと普及をすることができるんじゃないか。この点、環境省としてどのようにお取組をされているのか、お伺いをいたします。
副大臣(佐藤ゆかり君) お答えをいたします。
環境省でも、グリーンスローモビリティーの社会実装に向けて、国土交通省と連携をいたしまして取組をさせていただいているところでございます。
この取組は、交通をマイカー等から転換をすることでCO2の排出削減につなげるということと同時に、観光振興、それから交通空白地帯の移動手段、あるいは中心市街地の活性化など、様々な地域課題の同時解決を目的としているという理解でおります。今年度からは、グリーンスローモビリティーとIoT技術を組み合わせて様々な地域課題を解決する実証事業を環境省の方でも七地域で実証いたしておりまして、また、グリーンスローモビリティーの導入に対する補助事業も七地域で実施をいたしているところでございます。
委員御指摘の観光分野でのグリーンスローモビリティーの活用についてでございますが、例えば一つには、今年度、環境省実証事業実施地域でございます広島県尾道市では、リアルタイムに車両の位置情報を把握できるスマートフォンアプリとそれからドライバーによる観光案内を組み合わせたグリーンスローモビリティーの導入によりまして、観光客のマイカー流入による交通渋滞の解消につなげているというところであります。また、二つ目に、既に事業化されております群馬県みなかみ町の谷川岳一ノ倉沢では、国立公園内の交通規制、いわゆるガソリン車が入れないという交通規制区間がございますけれども、ここの区間においてグリーンスローモビリティーがエコツアーに活用されているというところでございます。
いずれにいたしましても、環境省としまして、令和二年度予算案に引き続き実証事業と補助事業を計上させていただいておりますので、グリーンスローモビリティーの社会実装を推進して、脱炭素化と観光振興など、地域の課題解決の同時達成に向けたイノベーションによる社会変革を進めてまいりたいというふうに考えております。
里見隆治君 環境省としてのお取組、よろしくお願いいたします。
先ほど、国交省からは、その実績また進捗状況ということでお伺いをいたしましたけれども、これ、政策として、高齢者の足確保という先ほどの観点含め、また、今後、地域公共交通活性化再生法という審議も待ち受けておりますけれども、その地域交通の維持確保という観点、あるいは、今ほど環境省からもお話がありました観光振興、また環境面の配慮、様々な観点でこのグリーンスローモビリティー、可能性を秘めているものと思いますけれども、国交省としての政策的な意義、また今後の進め方についてお伺いをいたします。
副大臣(青木一彦君) 先生の御地元でも多くありますが、私もやはり、中山間地抱えている、交通弱者多く抱えている地域を私も地元で持っております。そして、観光地もたくさん抱えております。
その中で、低速のため近距離を移動するのを大変得意とするグリーンスローモビリティーは、やはり高齢化社会の中で地域での交通の確保や観光資源となるような新たな観光モビリティーの展開など、地域が抱える様々な交通課題の解決と、地域での低炭素型モビリティーの普及を同時に進めれる新たなモビリティーとして期待をされているところでございます。
国交省といたしましても、環境省と連携を取りながら、引き続きグリーンスローモビリティーの普及を図り、地域が抱える様々な課題の解決に努めてまいりたいと思います。
里見隆治君 よろしくお願いいたします。
次に、自動車事故によりまして、今日配付をしておりますけれども、脳脊髄液減少症を発症した方々への対応という観点でお伺いをしたいと思います。
御存じの方も多くいらっしゃると思いますけれども、脳脊髄液減少症、これは交通事故などの身体への強い衝撃によって脳脊髄液が漏れ続け、頭痛、目まい、吐き気、思考力低下など、様々な症状が発生する病気でございます。交通事故などとの因果関係が分かりにくいということで、症状が出ても周囲の無理解から怠け病とか精神的なものというような片付けられ方をされて、精神的に苦痛を受けている方も大変多いというふうに伺っております。
この脳脊髄液減少症が自動車事故によっても発生し得る障害であるという認識がどの程度あるか、これは、昨年、国土交通省においてアンケート調査をしていただいたというふうに伺っております。また、最近では医療関係の学会がこの指針を作成をされまして、国交省としては、こうしたアンケート調査、また学会が作成した指針を踏まえて、一般の方への周知、またこうした自動車事故で審査に当たる保険会社の関係者にもしっかりと周知啓発をしていくというふうに、これはお願いをしているところでございます。
そのために、周知啓発、また自賠責の後遺障害の審査が適正に行われるように、損保業界あるいは所管官庁の金融庁ともよく連携を取っていただきたいというふうに考えますけれども、この点、国交省としてのお取組、また今後どうするか、お伺いをしたいと思います。
国務大臣(赤羽一嘉君) 本件につきましては、私自身も公明党の一員として十年以上にわたって患者の皆様と共に支援活動を行ってきたところでございます。今、里見先生も一生懸命やっていただいていると承知をしておりますが。
この患者の皆さん、一番の悩みというのは、今お話がありましたように、それを認識されない。まず、御自身が原因が分からない。調子が悪い、何かすっきりしない、気力が起きない。なかなか病院でも認知をされない。御本人が分かっても、それを取り巻く会社ですとか周りの方たちがそれを認めようとしない、理解が不十分だということで、様々なお悩みを抱えられております。
これは交通事故でも起因として起きるケースもありながら、なかなかそうした、事故を受けたことで保険を受けられないみたいなことがありまして、団体の皆様も、この前お会いしたときも周知徹底をよろしくお願いしたいということで、ちょっとこれ同じ資料だと思いますが、交通事故に遭ったときという国交省の、これ大部なんですが、一番後ろ、中身はなかなか見てもらえないかなと思ったわけじゃありませんが、一番後ろに脳脊髄液減少症とはということで詳しく書いておりまして、その中で、国交省の取組として、今、里見委員御指摘のように、保険会社等への通知も行って、しっかりと支払を受けられるような話ですとか、これにとどまらず、しっかり周知徹底というか、こうした症状があるんだということを理解していただくという、患者の皆様に寄り添いながら、国交省としてもしっかりと引き続き取組を進めていきたいと、こう考えております。
里見隆治君 大臣、ありがとうございます。
大臣には、今ほどお話がありましたように、患者・家族団体の皆さんが直接様々な状況もお話をさせていただく機会を持ったということで大変喜んでおられましたし、また、その際にも今と同様の大変心強い回答をいただいたということで皆さん期待をされておりますので、是非よろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、ちょっと順番前後いたしますけれども、奄美振興関係についてお伺いをしたいと思います。
ちょうど一年前、三月でございますが、私自身も本委員会で奄美群島振興特別措置法の改正案の審議で質疑に立たせていただき、年度末で拡充、延長され、間もなく一年が経過をしようとしております。
私、現在、公明党の奄美ティダ委員会の事務局長を務めております。この一年で三回奄美を訪問いたしまして、奄振法の実施状況など、現地で伺っております。本年一月も、奄美の名瀬市で各群島内の市町村長の方にお集まりをいただいて、その奄振法を受けてのお取組状況を党として委員会を開いて聞いてまいりました。
あらゆる様々な取組の中で、今日御紹介し、また御協力もお願いしたいのが、鹿児島県大島郡の瀬戸内町という、ちょうど、大島と加計呂麻島という島のちょうど間に入る、海を挟んでの町でございますけれども、そちらでは奄美らしい空き家対策という推進をされております。
集落を主体として、とはいえ、やはり過疎化が進み、空き家が大変多くなっている、そうした空き家を改修をし、そして改修後の空き家を地域密着型の施設として活用しようというものでございます。これ、中山間地、また離島、他の地域でも同様にお取組をされているものだと思います。具体的には、移住希望者を募って移住体験の住宅として使う、あるいは民泊施設として使われる、そして希望がかなえば、双方マッチングができれば定住、そして集落の活性化につながっていくというものでございます。
こうした取組は、是非国交省としても応援をいただいて、他の地域でも参考となるような好事例として積み上げていただきたいと、そのように思いますけれども、国土交通省としてどのようにお取り組みいただけるか、よろしくお願いいたします。
政府参考人(坂根工博君) お答えいたします。
今、委員の方から瀬戸内町の取組について御紹介いただきましたが、こういった事例のように、例えば、市町村や集落が設立した法人が空き家を借り上げて観光客の来訪、滞在の促進、また、産業の振興に寄与する人材の確保、育成などの目的で使用する場合には、台所、浴室等の改修や集落の魅力を伝えるPR活動について奄美群島振興交付金によって支援できるものというふうに考えているところでございます。実際にも、平成三十年度でございますけれども、龍郷町の秋名集落において同様の取組を支援をしているところでございます。
今御指摘のように、空き家を地域の資源として活用して集落の活性化を図ることは重要な取組であるというふうに考えております。国土交通省といたしましても、地元自治体としっかりと連携しながら、引き続きこうした取組を支援していきたいというふうに考えているところでございます。
里見隆治君 今のお取組、是非後押しをよろしくお願いいたします。
一方で、奄美は毎年のように台風の被害に見舞われております。もうこれは、近年のみならず、これもう長年の、そしてもう百年単位にわたる課題であると、そのように認識しておりますけれども、台風発生時に、特に離島の物流ということに関しては、一旦船舶が欠航いたしますと、生鮮食料品や生活必需品が不足して日常生活に支障を来すだとか、農作物の出荷ができずに劣化し、生産の減少につながる、そうした被害を受けられるということでございます。
こうした観点で、国交省としても様々な多面的な支援をいただきたいと思いますけれども、国交省としてのお取組を御質問したいと思います。
副大臣(青木一彦君) お答えいたします。
奄美群島は台風の通り道という厳しい自然条件下にあり、災害時には物流が途絶えるおそれがあることなどから、ハード、ソフトの両面からしっかりと対策を行うことが重要と考えております。台風による被害が発生した場合には、捜索救助活動に支障のない範囲で、自治体からの要請等に基づき、巡視船による非常物資の搬送や給水等の可能な生活支援を実施しております。
また、名瀬港における防波堤や岸壁の改良、和泊港における防波堤の延伸など、離島航路の就航率の向上や人流、物流の安全確保のための港湾整備を推進しております。
さらに、奄美群島振興交付金を活用した支援策として、これまでも備蓄倉庫等の整備を行ってまいりましたが、委員から御指摘の代替輸送や冷蔵・冷凍庫施設整備への支援につきましても、これ地元の自治体の皆さんの御要望を踏まえ、適切に対応をしてまいりたいと思います。
引き続き、台風発生時の物流の確保といった奄美群島等の離島における生活の利便性の向上や産業活動の維持に資する取組を進めてまいります。
里見隆治君 もう時間が間もなく迫っておりますので、最後、大臣にお伺いをしたいと思います。
奄美の皆さん、毎年の台風で大変御苦労をされております。また、奄振法、非常に快く受け止めて、いろんな事業取り組んでおられます。是非、大臣にも奄美にも行っていただいて、こうした振興法の施行状況も見ていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣(赤羽一嘉君) 私が住んでいる神戸含め阪神間は、奄美の出身の方たくさんいらっしゃっておりまして、実は私の地元政策秘書も御両親が徳之島出身でございます。そうした意味で大変近しい関係でありますが、ですから、私は、沖縄とともに、奄美は観光の大変可能性があるというふうに思っておりますが、現状、残念ながら、飛行機代が沖縄と比べると相当割高になっていて、なかなかその辺ちょっと不利な状況がありますが、昨年からLCCも飛ぶようになって航空運賃も随分低減になっておりまして、人数も増えているようでありますので、しっかり、奄美諸島もこれからの日本の観光戦略の大きな一つの大事な拠点と考え、かつ、離島であることにおける、今御答弁ありましたけれども、不便なところはしっかり国交省として責任持って対応していきたいと、こう考えております。
チャンスがあれば、是非一度、今、災害、災害続きで、コロナ対策が落ち着いたら行かせていただきたいと思います。
里見隆治君 是非、早く奄美にも訪れていただきたい、そのことを最後お願いしまして、終わります。
ありがとうございました。