参議院予算委員会公聴会で専門家の貴重なご意見を拝聴

2020.03.10 20:00(3年前) ブログ国会質疑 |里見りゅうじ(里見隆治)

議事録

里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。
 本日は、お二人の公述人の先生方、尾身先生、そして上先生、本当にありがとうございました。貴重な御意見をいただいて、またこの質疑をしっかり充実をさせて次の審議につなげていきたいと思います。
 まず、私から御質問したいのは、高齢者に関わるこの感染の拡大をどう防いでいくかという点でございます。
 今、私、出身が名古屋、愛知県名古屋市でございますけれども、名古屋市では先週末も、デイサービス、二つのデイサービスの事業所が集団で感染をして、その地域一帯で事業所が複数閉鎖を余儀なくされたという事態がございまして、この高齢者の非常に重篤な状態に結び付く可能性ということを考えても、これをどう防いでいくかということで、まずお二方の先生方から御知見をいただきたいと思います。
 上先生からは、高齢者がいかに大変かという資料も御提供をいただいて、その致死率についても御説明をいただきました。こうした高齢者、特に介護施設、また介護事業所におけるこの感染拡大をどう防いでいくかという観点での御示唆を、尾身先生、また上先生から続けていただければと思います。よろしくお願いします。

公述人(尾身茂君) もちろん、今回も、一番感染して重症化するリスクが高いのが高齢者あるいは基礎疾患を持っている人というのはもうみんな。そういう意味では、老健というか、老人保健施設とか介護施設とか、そういうところになるべく感染が広がらないようにするということが、これは当たり前のことですよね。
 それと同時に、やっぱりこのために、例えば今北海道なんかでもいろんなことをお願いしたんだけど、何でもやめろやめろというふうになっちゃうと、これは本当に息が詰まるような、人間というのはやっぱり多少は息を抜く時間も必要ですよね。そういう意味では、はっきりと、ジョギングしたりマラソンしたり散歩したりするのはどうぞということで、そういう意味では、高齢者も、動ける方もおられるし、それから車椅子で行かれる人もいますよね。そういう意味では、何か施設に囲うなんということをすると、今度は精神的な部分も出てきますから。
 だから、ウイルスがそういう場所に侵入しないようにするという、これはいろいろ考えられると思うんですけど、それと同時に、中にいる人の心身の健康ですよね、をどう維持していくかという、そっちの方も私は考える必要があって、我々自身も、今専門家会議なんかでも、これについては重要だというので、いずれこれについては深く議論をして、どんなレコメンデーションができるのか今考えようと、メンバーの間では今そういうブレーンストーミングを今始めたところであります。

公述人(上昌広君) とても難しい問題なんですね。これもまたトレードオフなんです。
 例えば、感染者が出たら閉鎖するというのがありました。高齢者は住環境を変えると多くが亡くなります。福島県の浜通り地区では、原発事故後、避難中に大勢亡くなりました。単に避難しただけですよ。
 現在、感染者が出ると、ある意味強制的に閉鎖しておられますよね。そういう施策が本当にいいのか、検証すべきです。さらに、隔離状態になると、それ自身で持病が悪化するんですね。この点については、私は分かりません。もうトレードオフなんです。
 どうするのがいいのか。現場の担当者に裁量を是非与えてやってほしいと思います。職員、私も医師として働くと、がんじがらめなんです。PCRのやり方から何から全部国が決めているんです。私たちは二〇一一年三月から福島でやっていますが、どうやって確立していったかと。現地の所長さん、市長さん、村長さんが独自にやっていって、やがてコンセンサスができたんです。あのときよりも現在の方が規制が厳しく、その結果、有効な方法が分かるまでに時間が掛かる気がします。
 この問題の当事者は、介護の職員さんや病院の、中小病院、特に民間病院の方々なんです。そういう方々の声が是非届くような仕組みをつくっていただきたいと思います。

里見隆治君 どうもありがとうございます。
 また、尾身先生からは、この高齢者の対策について、今ブレーンストーミング中であると、また対策打っていくということですので、是非またそれを政策につなげていただけるような御知見いただければというふうに思います。
 次に、自治体におけるこの情報提供、公表の在り方について、これもお二方の先生方にお願いをしたいと思います。
 これは、やはり住民、市民の皆さんに御理解をいただいて様々な行動の制約を、御協力をお願いしていくということになりますと、正確に迅速に皆さんに情報提供していく必要がある。その点において、今、各自治体見てみますと、ある程度、これは個人情報保護とのバランスになろうかと思いますけれども、そこに配慮しつつ、より広めに情報提供、公開をするという態度で臨んでおられる方もいらっしゃれば、そういう自治体もあれば、一方で、個人情報保護ということを相当気にして、より制約的に情報を公表されると。
 それぞれメリット、デメリットあろうかと思いますけれども、こうした情報の発信の方法について、特に住民、市民の皆さんに一番近い自治体においてどのようにされるべきか、お二方の先生から、尾身先生、上先生からお願いをしたいと思います。
   〔委員長退席、理事三宅伸吾君着席〕

公述人(尾身茂君) 個人情報については、もう先生御指摘のように、これ各自治体でかなり差があって、これについてはいろんな現場の状況で、より詳しい情報を出すところとやや控えめなところとあると思うんですけど、私自身はそのことは各自治体のいろんな裁量権でやったらいいと思うんですけど。
 もっと大事なことは、実はクラスターサーベイをやるときに、感染のどんどん拡大するときに、実は、感染者が出た場合に、自分はクラスターの一部だって申告して出てくるわけじゃないわけですよね。複数の感染者が出てきて、そこが共通の要素があるかどうかというのが、これがクラスターサーベイランスなんですけど、それをやるために、今御承知の、いろんなところでかなり広域にいっていますよね。この類いのことには各自治体あるいは県を超えた連携が必要なので、これについては、私は、もう本当に自治体の方、いろんな方がもう日に夜を継いで頑張っておられるのを、もう十分それを分かっていて感謝しておりますけれども、より連携を強めてより迅速な情報公開があると、より今まで以上に迅速にリンクを追えるということで。
 今、日本の状況は、私は今は持ちこたえるというふうに昨日申し上げましたけど、なぜ持ちこたえるかと言っていると、やっぱり二つあって、PCRについては私もキャパシティーをもっと早くなることを、高くなることを期待していますけど、それでも何とかしのいでいるのは、日本のお医者さんは肺炎という病気についてかなり知見があるんですね。これについてはかなりピックアップして、肺炎と思ったらやっているのが結構多いんです。そのことは、PCRのキャパシティーが今のままでいいなんということは絶対になくて、もっとやった方がいいと思いますけど、そういうことで、是非連携をしていただいて、早くリンクをやって、感染の拡大と同時に、感染者は高齢者が多いですから、それについては早く、重症化する前に治療をと。この二つは、柱は別ですけど両方つながっていますから、その努力が今求められていると思います。

公述人(上昌広君) その自治体の流行状況をどう捉えるかなんですね。流行していない地域は、お一人の方を見付けてその方の情報を出すことは、医学的には抑制すると思います、プライバシーの問題は別にしまして。ただ、ある程度流行している場合は、お一人見付けても無駄です。今日冒頭に御紹介したそのサイエンスの論文とまさに一緒で、蔓延していなければ有効ですが、していれば効果はありません。その地域をどう考えるかです。そのためには、広くPCR検査をしていないと分からないんです。尾身先生のおっしゃるクラスター、確かに重要な視点ですが、一方、もし蔓延していると、一人見付けて周囲を芋づる式にやれば、あたかもクラスターに見える可能性もあるんですね。
 科学というのは様々な見方で議論をいたします。このウイルスは、中国では去年の十二月に既にヒト・ヒト感染しています。日本が対策を講じたのは一月二十三だったか四なんです。一か月以上ノーガードです。これは仕方ないんです、分からないので。その間、一千万人以上が中国から日本に入っています。武漢だけでも恐らく十万単位で入っていると思います。二月五日には、既にタイ人の夫婦が日本に旅行し、帰国時に両方とも陽性です。感染源不明です。一例感染源不明が出ると、ある程度流行していると考えられます。現にアメリカは今回そういう対応を取りました。
 ですので、日本の都市、特に中国との交流が大きい都市はある程度蔓延していると考えてもおかしくありません。地域地域の実情に合わせて、きめ細かい対応を取る必要があると考えています。

里見隆治君 どうもありがとうございます。
 次に、これから国会でも審議が始まります新型インフルエンザ対策特措法との関連で御質問したいと思います。
 平成二十四年、このまさに法律を制定したときに、内閣委員会で、当時、尾身先生にやはり参考人として内閣委員会にお越しをいただいて、我が党の浜田理事、予算委員会の理事も当時委員としてちょうど先生に御質問されておりましたので、その議事録を拝見しておりました。
 その際に、この感染の状況、レベル、またその感染の力、強さと、それから、それへの政策的対応との関係、これをどういうふうに柔軟に変化させていくかという重要性についての質疑がございました。
 そのときの尾身先生の御発言、ここで御紹介をしますと、二十一年、平成二十一年の新型インフルエンザ、これがアメリカで発生したというときに、一番最初は最悪の状況を想定して取った対策、これはかなり強めに対策を打ったということですね、これは妥当だったと思いますという評価をされて。ところが、先生おっしゃるに、今反省すべきことは、その後、それほど強毒でなかったということがだんだんと分かってまいりまして、そのことはみんな認識をしておりましたが、その情報を基に対策のレベルを下げるというところにいささか時間が掛かり過ぎたというのが事実でありますと。
 まさに、今も全国に一斉に学校休業をお願いをしている、また大規模なイベントを自粛をお願いをしているという中で、これを、これからまだ一定程度感染の程度広がっていくだろうという見込みの中で、どこかでは落ちていく、その状況に応じてどういうふうにこの対策の規模感を、レベルを変化させていく、もう非常に厳しい選択を迫られていく、これはまさに未知の部分でもあろうかと思いますけれども、御専門のお立場から、改めて、この現時点においてこの観点どのようにお考えか、まず尾身先生にお話を、また同じ観点で上先生にも御意見をいただければと思います。

公述人(尾身茂君) 先生は、インフルエンザの前のときはおっしゃるとおりで、日本の場合、あのときは水際というのにかなり労力を費やした、ところが、だんだん必要なくなって、いろんな様々な理由があったんですけど、これを解除するのに時間が掛かった。
 実は、先ほど私は感染症対策の原則ということで、人と人との接触ということを言いましたけど、もう一つ実は感染症対策の原則がございまして、感染がまだ初期の頃で、本当にもう例のグラフの拡大のピークの方にもう行ったときは、もう何をやっても遅いというところが、はっきり言って、まあ社会への影響をどれだけ下げるかみたいなことしかできなくなると思いますけど、このまずは上がり口の初期、この拡大の、ちょうど北海道みたいな感じ、上がり、こういうときに実務の対策は極めて重要で、そこのときは、先ほどサイエンスという話がありましたけれども、やや文学的な表現すれば、やややり過ぎがいいんです、やややり過ぎが。ここのピークになったときやり過ぎしたって社会は混乱するだけですから。
 そういう意味では、いろんな、そこの今どういうふうに備えるかという意味では、やっぱり幾つかインディケーターがありますから、それを基になるべく合理的に科学的にやるんですけど、これ本当に私的な対応のレベルは、神様だけしか知らないんですね、このウイルスは、文学、やや。なぜかというと、感染の広がりを全て知っているのは神様だけですから。我々は表面に出ているものを見て、それである程度判断をするということで。
 そういう意味では、この初期というか、まだ感染がぐっと、今何とか国内で上がる、これ制圧はできませんから、ただ上がることを、ぐっと上がるのを抑える、ある程度終息に向けて低いレベルでやるということは可能なので、この時期にはやや多めがいいんです。少なめやると、これは、まあ私は先生たちと違って政治家のあれじゃないですけど、やや多めにやってもやや少なめにやっても、必ず批判されるんですね。これはもう感染症の歴史全てそうです。
 ただ、歴史の判断は、多めにやった方が、これはそのときの批判はされるけど、どっちにしても、だけど多めにやった方が、なぜかというと、小出しにやると後であれを、感染が広がる、多めにやると、ここはやや過大にやれば社会経済への、そういうバランスの問題で、私は、その今のいろんな議論が今政治、国会でやられていることを私も十分知っていますけど、やや、ややですね、多めにするのは、これは今の、これは後になってはなかなか効果がないので、それだけは、これは危機管理の要諦なので、是非このことは申し上げたいと思います。

公述人(上昌広君) これもとても難しいですね。なぜなら、中国から起こっているからなんです。物事がはっきり分かるまでに約一か月強掛かりました。もっと掛かったかもしれません。十一月に起こっていればもっと掛かっているんですね。その間に韓国、中国、日本はもう交流をやって、非常に密に交流していますから一定数入っていることが予想されるんです。特にノーガードでしたからね。ノーガードを私、責めていません。仕方ないんです、やりようがないので。そうしますと、現状に応じてやらなきゃしようがないんですね。
 今回、中国の研究者たちは一か月でこの病気をほぼ解明しました。伝染力はとても強いけど、致死率は若い人に弱く、高齢者に強いと。今、日本がやるべきは、感染症対策ではないと考えています。高齢者の命を守ることです。国民の視点に立った対策だと思うんですね。
 医学的エビデンスはとっても大切です。世界でどんどん研究が進み、かなりのことが分かってきています。ところが、その間、そのことを社会が合意形成するまで時間が掛かるんです。どこでも必ず一回パニックが起こるんです。それをどうするか。コミュニケーションなんでしょうね。メディアも政府も、もう全て含めたコミュニケーションだと思います。
 ウイルスとの、我々闘っているんです。ウイルスは強権を振りかざしても変わってくれません。変わるべきは我々なんです。この国が特措法という形で強権を強くした方が変わるならそれもありです。独裁国家はそうでしょう。そうじゃないんだったら、これもメリット、デメリットを含め、私は一国民として、先生方に柔軟に対応できるような仕組みをつくっていただきたいと思います。
 以上です。

里見隆治君 貴重な御意見、また御回答、丁寧にしていただきまして、ありがとうございました。
 以上で終わります。

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