公明の提言受け 行動計画、財源の確保明記
党合同会議で政府が報告
公明党の雇用・労働問題対策本部(本部長=山本香苗参院議員)と「就職氷河期世代」支援検討委員会(委員長=里見隆治参院議員)は26日、参院議員会館で合同会議を開き、30代半ばから40代半ばの「就職氷河期世代」の支援強化に向けた「行動計画」について政府側と意見交換した。
政府側は、支援に関し「関係者が安心して取り組めるよう国として継続的に財源を確保することとし、今年度補正予算を含め、3年間で650億円を上回る財源を確保する」と行動計画に明記したことについて、「公明党が11月末に政府に提出した経済対策に関する提言への回答だ」と説明した。提言で公明党は、数年度で集中的に支援に取り組めるよう、財源の基金化の検討を含めた財政上の措置を求めていた。
計画では、国家公務員の中途採用や、氷河期世代の社会参加を促す自治体の取り組みを後押しする交付金の創設なども明記した。
出席議員からは「当事者に支援策が届くよう、『氷河期世代』向けと分かる周知の工夫が必要」「一人一人の事情に応じて寄り添えるよう、関係者で一体的に取り組めるようにすべきだ」といった意見が出た。
動き出す就職氷河期世代への支援
政府は、バブル崩壊後の不況期で就職難だった「就職氷河期世代」の就労支援を本格化させます。同世代の現状と、国の支援策をまとめました。(イラスト・福山英治)
就職氷河期世代とは、バブル崩壊による不景気で就職が厳しかった1990年代半ばから2000年代初頭に高校・大学などを卒業した世代です。1991年に2.86倍だった大卒の求人倍率は0.99倍まで急落し、未就職や非正規雇用になる人が増えました。
2018年時点で35歳から44歳の人は約1689万人。アルバイトなどの非正規社員は約371万人、このうち不本意ながら非正規で働く人は約50万人に達します。他世代と比べ、給与にも差が生じています。大学・大学院卒業者の10年から15年までの現金給与の推移を年齢別で見ると、同世代に当たる年齢の区分はマイナスです。バブル期に就職した人が多く、昇給がなかったとの指摘があります。
就労環境が改善していない実情を重くみて、政府は支援を本格化させています。「経済財政運営と改革の基本方針2019」(骨太の方針)では今後3年間で、同世代の正規雇用者を30万人増やす目標を掲げました。今年度補正予算案と来年度予算案で、ハローワークへの専門窓口の設置や企業への助成金の拡充など施策を前に進める方針です。
公明党はこれまで、就職難の若者の支援につなげるため実態調査を実施したほか、「ジョブカフェ」の設置も進めました。2月には党「就職氷河期世代」支援検討委員会を設置。5月には政府に提言を行い、同世代への支援強化を訴えてきました。