東京新聞「〈ママパパ議連 本音で話しちゃう!〉第5回 里見隆治参院議員 亡くなった次男が家族に伝えてくれたこと」より転載
参議院議員の里見隆治です。蓮舫議員からバトンを受け取りました。我が家には20歳から10歳の男女4人の子どもがいます。正確には5人。次男は生後3カ月で脳腫瘍が見つかり、わずか2年4カ月の人生でした。末っ子の10歳の三男は入れ違いで生まれました。亡くなった次男が我が家にもたらしたものは大きく、長男や長女、次女は命への意識は相当強いと思います。次女は看護師を目指して勉強しています。次男が入院したのは、厚生労働省から英国の日本大使館に赴任した期間中でした。私と妻がロンドンの入院先でつきっきりになるなか、当時幼かった子どもたちも外国の土地でよく頑張ってくれたのを思い出します。
私は2015年まで厚労省で勤務しており、転勤の繰り返しでした。前回のコラムで蓮舫議員から質問をいただいたように、我が家の5人の子どもたちの母子手帳は全員、発行場所が違います。東京都目黒区→長野市→東京都杉並区→英ロンドン→東京都北区といった具合です。引っ越すたびに、それぞれの土地土地になじむことを心がけました。孤立しないよう、なるべく地域の活動に参加しましたね。こう言うと無責任に聞こえるかも知れませんが、やはり自分たちだけで子どもを育てるのは大変。だからなるべく地域の皆さんとつながって親の連帯をつくり、複数の家族で複数の子どもたちを見る、というのが理想的だと思っていました。
例えば長男が地域のサッカークラブに入ったときは、合宿があれば一緒に泊まり込みをしたり、週末の練習には球拾いをしたりしました。ご存じのように子どものこうした活動は親がすごく大変ですよね。当時から厚労省の仕事は忙しくて、平日はほとんど会えなかったんですが、だからこそ逆にそうやって週末の活動に自分を押し込んでいくというか…。そうすると地域のネットワークができる。先日もお祭りで長男の同級生と久しぶりに会って「大きくなったな」と会話したところです。その後は小学校のPTA会長も務めました。これも今の霞が関の働き方からすると考えられないことですが、毎月の定例会議の日には「18時には帰ります」と宣言して、早く帰っていましたね。
妻は大変だったと思いますが、行く先々でママ友とサークルのようなものをつくって、定期的に集まったりしてお互いの子育てを助け合うようにしていました。なるべく1人で抱え込まないようにしていたんだと思います。抱え込んでしまうと、夫婦間でギクシャクしてしまいがちですが、そこは最小限に抑えてくれていたのだと思います。他にもファミリー・サポート制度を活用して2人でコンサートを聴きに行ったりしましたね。とにかく抱え込まずにいろんな人を巻き込んでやっていくということが大事なんだと思います。
パパ同士もそうやってつながっていけたらいいと思うんですけど、なかなかママのようにはいかない。ママは子どもを連れて歩いているから、それ自体がクッションになってその場にいるだけで会話が弾んだりする。パパも子どもを連れて歩く人が増えれば変わると思うんですが、残念ながらまだそういう理想的な社会にはなっていない。だから、さっきのサッカークラブや学校行事をきっかけにして関係をつくっていくのが、いいんじゃないかと思います。仕事から離れた場所で、同世代であればなおさら、いろんな話ができると思いますよ。
さて、最後に次回の朝日健太郎さんに質問です。私は自分の子育て経験から、スポーツは子育てや地域活動にとてもよい効果があると感じたのですが、元バレーボール、ビーチバレーボール選手でもある朝日さんのお考えはいかがですか。朝日さんも小学生のお2人のお子さんがいるとお聞きしました。スポーツを通じた子育てや地域活動のエピソードなどがあればお聞きしてみたいです。
里見隆治(さとみ・りゅうじ)
愛知県選挙区、1期、公明党。1967年10月17日生まれ。東京大経済学部卒業後、労働省(現・厚生労働省)に入省。2016年の参議院議員選挙で初当選。現在は議院運営委員会理事、ODA(政府開発援助)特別委員会理事など。