5月30日午前、農林水産委員会で、愛知県で開催される全国植樹祭の意義、農林水産大臣からのメッセージを直接伺う。
午後は、農業農村整備事業について、奄美の森田徳之島町長、高岡徳之島町長、元山宇検村長から要請を受けました。
議事録
里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。
本日は、法案の審議に入る前に、全国植樹祭についてお伺いをしたいと思います。
午前中の審議においても吉川大臣から御紹介をいただいておりますけれども、今週末、六月二日日曜日に第七十回全国植樹祭が愛知県で開催をされる予定でございます。令和になって初めて、そして、しかも天皇皇后両陛下として最初の行幸啓として御臨席をいただけるということで、愛知県でも格段の思いを込め、現在植樹祭成功に向けて準備を進めさせていただいております。吉川農林水産大臣にもお越しをいただけると伺っております。どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
ところで、この全国植樹祭でございますけれども、昭和二十五年に第一回として開催をして以来、国土緑化運動の中心として回を重ねてきたわけでございます。これまで営々と全国植樹祭を行ってきたその意義について、高鳥副大臣にお伺いをいたします。
副大臣(高鳥修一君) 里見委員にお答えをいたします。
全国植樹祭は、戦後荒廃した国土の緑化に国民を挙げて行っていくことを目的として、昭和二十五年に山梨県で第一回が開催されて以来七十年にわたって、国土緑化運動の中心的な行事として各都道府県持ち回りで毎年春に開催されております。ちなみに、五年前、第六十五回は新潟でございました。
式典では、天皇皇后両陛下に御臨席を仰ぎ、全国各地から多数の参加者を得て、両陛下によるお手植え、お手まきや、各種表彰、参加者による記念植樹等が行われます。
全国植樹祭は、これまで、国土面積の三分の二を占めている我が国の豊かな森林を守り育てる国土緑化運動のシンボルとして、森林、緑に対する国民の理解の醸成に寄与してきたと考えております。
里見隆治君 ありがとうございます。
そこで、今回お越しをいただける吉川大臣にお伺いをしたいと思います。
この植樹祭を通じて大臣が、今副大臣から趣旨、意義として御説明いただきました、森林、また国土緑化について、国民の皆様に伝えたいメッセージ、この場でもお伺いをしておきたいと思います。よろしくお願いします。
国務大臣(吉川貴盛君) 里見委員からお話をいただきましたように、第七十回全国植樹祭あいち二〇一九は、令和になりましてから天皇皇后両陛下の初めての地方行幸啓と聞いておりまして、大変光栄なことと感じているところでもございます。
今回の大会は、「木に託す もり・まち・人の あす・未来」がテーマとなっておりまして、木材の利用を懸け橋として、健全で活力のある森づくりと町づくりを進めていくという開催理念となっているところでもございます。
このように、切る、使う、植える、育てるという森林の循環利用の推進を目指す今回の全国植樹祭を契機といたしまして、森林の大切さや木材利用の重要性が令和の時代にも伝わっていきますことを期待をいたしておりますし、さらに、森林の大切さ、そして緑やあるいは山の大切さというものが伝わればこんなすばらしいことはないなと思っておりますので、是非、里見委員におかれましても、御地元でもございますので、式典に御出席をいただきまして多くの皆さんの森づくりに御激励をいただければと、こう思います。
里見隆治君 大臣、ありがとうございます。私も楽しみにしております。
それでは、今大臣からお話をいただいた、こうした森林、また山への思いということを基に、その下に国有林野の管理経営をどのように進めていくか、そうした観点で法案に関連しての質問を進めさせていただきます。
一昨日の本委員会におきまして、参考人質疑で高篠和憲参考人から林業を経営するお立場からの御意見を伺う中で、やはり人材確保が大変であると、雇ってもなかなか他産業並みの給料が払えない、そうした中で高校生又は大学校を卒業した女性も雇っておられ、その労務また人員確保、大変御苦労されているというお声を伺うことができました。
今後、本年四月に施行されました森林経営管理法や、あるいは本法律案の施行で木材の安定供給体制の構築を進めていくというその中で、やはり林業を担う人材が長期的、安定的に育成をされなければ事業を担っていくことがそもそもできないわけでございます。そうした中、林業労働者数は近年減少傾向で進んでおりまして、木材の安定供給を担う人材の確保、育成が必要だと考えますけれども、まず、この人材確保、育成という点について、基本的な考え方、高野政務官からお伺いしたいと思います。
大臣政務官(高野光二郎君) 御質問ありがとうございます。
戦後造成された人工林を中心に森林資源が本格的に利用可能な段階を迎える中、木材の安定供給体制を構築していくためには、それらを支える人材の確保、育成が極めて重要だと考えております。
御案内のとおり、平成十五年度に緑の雇用の事業が始まりまして、それまでは二千人弱だった新規の就業者が三千人強、ずっと毎年増えているのが今の実態でございます。
このため、農林水産省といたしましては、林業の成長産業化を図り、林業経営体の収入を増やすとともに、素材生産から造林、保育まで一年を通じた複数の林業作業に対応できる現場技能者の育成を支援するほか、労働災害への対応といたしまして、林業の現場への巡回指導や安全教育に対する支援等を行うとともに、伐採等の作業を人ではなく機械に行わせるようにするため、高性能林業機械の導入への支援や、伐木等作業の無人化に向けた林業機械の開発等にも取り組んでいるところでございます。
今後とも、これらの施策も通じまして、委員御指摘のとおり、定着を重視をしてしっかりと進めていきたいと考えております。
里見隆治君 ありがとうございます。
そうした中で、今回の国有林野に関する仕組みについて、現行ではこれは毎年度の契約ということでありますので、入札のタイミングの問題でなかなか仕事がない時期が発生をしてしまって通年雇用が難しい、そうした要因の一つとなっているというふうに承知をしております。今後、法改正によって、例えば例示をされている十年という期間にわたって樹木採取を行うことができるようになれば、林業従事者の通年での雇用と、これ通年雇用というのが非常に大事だと思いますけれども、それが確保できて、林業従事者の労働条件の向上や従事者の確保につながることが期待をできるというふうに考えております。
今回の法改正が林業従事者の安定した雇用という観点でどのような影響を与えることになるのか、その点、確認をしたいと思います。
政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
委員からただいま御指摘ございましたように、事業者からは、この通年雇用の確保の観点から、年度当初とかあるいは年度末といった発注事業のいわゆる端境期に事業が確保しにくいということが課題だというような声をたくさん頂戴しているところでございます。
今回、この樹木採取権の設定を受けました事業者は、長期における確実な事業量の見通しが得られるということに加えまして、どの森林をどの時期に伐採するかということについては、国有林の伐採のルールを守る範囲におきまして自らの裁量で選択できることになるということでございます。このことから、年間、ひいては事業期間を通じて、これまでより計画的に事業を実施できるようになるというふうに考えているところでございます。
このため、樹木採取権につきましては、林業従事者の通年雇用あるいは給与形態などの労働条件の向上を通じまして、林業従事者の確保にも寄与し、林業経営者のみならず、そこで働かれる林業従事者にとってもメリットがあるのではないかというふうに考えているところでございます。
里見隆治君 そこで、今、現時点で働いておられる、あるいはこれから働こうとされる従事者、労働者の皆さんだけではなくて、今後、林業ですから三十年、五十年、百年の体系で考えていくとなると、若い方をどのように育成をしていくかという観点が重要だと思います。林業、また森林に関する教育を行ういわゆる農林高校とか農業高校の森林科とか、様々な形態がありますが、こうした林業系の高校は次世代の林業を支える人材育成に大変重要な役割を果たしていると考えます。
まず、全国にどの程度こうした林業、森林の関係で教育を行っている高校、また森林科があるのかという点を伺いたいと思いますが、併せまして、以前、私も愛知県の北設楽郡という、長野県境の方になりますが、そちらの高校生の卒業の状況について伺ってまいりました。三年間せっかく林業を学んでも、かなり森林地域ではあるんですけれども、結果的には就職先に林業を選ばない生徒が多数存在するといった事態も伺ってまいりました。こうした卒業生を始め、若い世代の林業就業の促進に向けて、希望を持って林業に就いていただけるような、そうした環境整備、農林水産省としての支援が重要だと思いますけれども、こうした高校の、全国にどういった状況になっているのか、またそれをどう対策を推し進めようとされているのか、高野政務官にお伺いいたします。
大臣政務官(高野光二郎君) ありがとうございます。
森林・林業に関する科目やコースを設置しているいわゆる林業高校は、平成三十年四月、去年の四月時点で全国で七十二校ございます。これらの高校では、森林科学、林産物利用、測量、森林経営など、森林・林業の様々な分野について学んでいらっしゃいます。近年、森林・林業分野への就職者や進学者の割合は残念ながら約二割となっています。その一方で、林業技術者を育成する林業大学校の設置も進められておりまして、森林・林業分野への進路の選択肢が広がってきていると認識をしています。
このような中、林業の担い手の確保に向け、林業高校や林業大学校の学生などを対象として就業促進のための対策を講じることは大変重要と考えておりまして、我が省といたしましては、林業への就業に対する関心を高める林業就業体験やインターン受入れなどの取組への支援や、森林管理局等から講師派遣や森林・林業に関する情報の提供などを行っているほか、林業就業を目指す林業大学校の学生に対する給付金の支給、さらに緑の雇用事業による新規就業者の育成等を行っております。
今後とも、これらの取組によりまして、若い世代の森林・林業分野への就業を促進してまいりたいと考えております。
里見隆治君 ありがとうございます。
そうして人材育成をしていただいて、これも先ほどの話に戻りますけれども、しっかり就職をした上で仕事を続けていただくためには、安全、安心、それは災害防止という観点も含め、また収入面、労働条件面でもしっかりと確保が必要だと思います。そうした中で収益を上げていく、そのための生産性の向上ということが林業分野でも求められているわけでございます。
この国有林の仕事へ入ってくる事業者が収益を確保して、また人材確保して安定した経営を行っていく、そのための生産性向上という観点で何点かお聞きをしていきたいと思います。
まずは、国有林の林道あるいは路網の整備という観点で国としてどのような支援をされているか、その点を確認していきたいと思います。
この路網整備、これは事業コストを左右するものでありますけれども、樹木採取権者にとっても一つの契約するに当たっての関心事項であろうと思います。様々な経営判断の一つだというふうに考えます。今回の法改正後に、公募時に将来の路網整備計画に関する情報がどの程度開示をされているのか、そのことを知った上で事業者側としても判断をされると思います。また、計画どおりに路網整備がされていれば問題ないわけですけれども、これが予定と異なる、例えば遅れてしまった、あるいは予定されていた整備が行われなかったと、そうした変更が行われた場合に樹木採取権者に何か悪影響が及ぶことがあるのか。これについて林野庁としてのお考えを聞かせていただきたいと思います。
政府参考人(牧元幸司君) お答え申し上げます。
この樹木採取区につきましては、まず、その公募時の路網の現況に基づきまして、林道から離れていないような森林を指定する考えでございます。また、公募に当たりましては、地域管理経営計画等の森林計画において公表しておりますところの路網の開設、改良の計画量等を周知をする考えでございます。
なお、これらの計画につきましては、災害の発生状況とかあるいは工事の進捗等によりまして必ずしも計画どおりに開設等が行われない場合もあるわけでございます。このことから、公募時にそういう旨も明らかにいたしますとともに、毎年算定をいたします樹木料の額に影響いたしますこの樹木料の申請額につきましては、これは公募時の路網の現況、あくまでもその現況ですね、公募時の路網の現況に基づいて申請するべきというその旨も公募時に明らかにするということを考えているところでございます。
里見隆治君 今御答弁いただいたとおり、公募時の現況に基づいて契約をするということですから、それについては安心してやってくださいと。
ただ、これが十年、場合によって十年を超える、あるいは二十年、三十年ということも視野に入れてということになるとやはりこの計画をしっかりお示しをするということも大事だと、経営の見通しを立てるという意味で大事だと思います。また、その変更があればそれをしっかりお伝えしていくと。その辺のコミュニケーションというのは、確かに契約は五年おきということだとは思いますけれども、中間的なコミュニケーションというのはよく取っていただく必要があるのではないかと、そのように考えます。
この路網の整備が進めば効率的な施業が行いやすくなりますし、そういう意味では、事業コストの低減、これは、樹木採取権者にもまた国側にもメリットになると考えます。こうしたコストが変化する、そしてメリットが変化をするという中で、この料金の設定ですね、権利設定料あるいは樹木料の見直しというのがどのようなメカニズムで変わっていくのか、その点を御説明いただきたいと思います。
政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
まず、権利の設定料についてでございますが、この権利の設定料は長期にわたる権利の設定によりまして期待されますところの管理費用などの低減に見合う額としておりまして、その算定方法は伐採、搬出といった施業のコストとは直接関係しないことから、路網の整備等によりまして当初設定した額が影響を受けるものではないというふうに考えております。
一方、樹木料でございますけれども、樹木料につきましては、当該箇所から生産が見込まれます丸太のその時点の市場の価格、これを基に、この市場の価格から当該箇所における伐採、搬出コストを差し引いた額をベースに算出をするということを想定しているものでございまして、したがいまして、この樹木採取権の設定後に計画に沿って路網整備が行われた場合には伐採、搬出コストが低減をするということから、当該コストの低減分につきましては毎年の樹木料の算定においてこれを反映することになるというふうに考えているところでございます。
これによりまして、国にとっては路網整備前よりも収入が多くなるということが考えられますし、樹木採取権者にとっても、路網整備によりまして当該箇所における事業期間が短期で済むとか、あるいはより効率的な施業が行えるようになるということで、生産性が向上するというメリットがこの樹木採取権者にもあるというふうに考えております。
いずれにいたしましても、この路網の計画と整備に関する事項、あるいは樹木料の申請額は公募時の路網の現況に基づいて申請をすべきこと、また、路網の整備によります樹木料への算定への影響につきましては、公募時にこれをしっかり明らかにしておく必要があると考えております。
里見隆治君 今御説明があったとおり、権利設定料は当初、もうこれは確定をすると。そして、樹木料はそうしたコスト、市場価格に応じて変わっていくものであるという、そういう整理、改めて御説明をいただいたわけでございます。是非、この契約時、公募時においてできるだけ情報開示すること、これはもちろん契約を進めていくという意味で、また国側にとっても、いい契約を勝ち取るという意味でも必要なことだと思いますし、またその後の事業の見通しについても是非事業者側に分かりやすくお伝えいただく必要があろうかというふうに思います。
この生産性の向上という観点で、路網整備と並んでこの場で確認をしておきたいのが、プロセッッサー等の高性能林業機械の導入、またその支援という点でございます。
私ども委員会としましても、先月の委員会視察で群馬県渋川市の国有林を視察させていただきました。あれはプロセッサーと言えばいいんでしょうか、高性能の林業機械によって、あっという間に伐倒、また枝払い、玉切り、集積と、作業がスピーディーに進んでいるのを目の当たりにいたしました。まず、こうした高性能林業機械の導入の状況、そして背景について確認をしておきたいと思います。
政府参考人(牧元幸司君) お答えをいたします。
高性能林業機械についてでございますけれども、林業における作業の負担軽減とか、あるいは効率的な作業を行うために、この高性能林業機械の開発というものは、これは大変大事だというふうに考えておりますし、また、この高性能林業機械を林業経営体が導入するに当たりまして、購入やリースに要する費用への支援、こういったことも行うことも大変大事だというふうに考えているところでございます。
このような支援もございまして、林業事業体が保有いたしておりますプロセッサーを始めとする高性能林業機械の台数というものは、これは年々増加してきております。平成二十九年度で見ますと、プロセッサー、ハーベスター、フォワーダーなどの車両系の機械を中心に約八千九百台全国に入っておりまして、十年前と比べて約二・六倍に増加をしているところでございます。
さらに、現在は、急傾斜地での作業の安全性、生産性を向上させるための、いわゆる架線系の搬出の機械とか、あるいは植林のための苗木植栽ロボットなど、こういう伐採、造林の各作業に対応した機械の開発につきましても事業者に対して支援等を行っているところでございます。
里見隆治君 今おっしゃっていただいた高性能林業機械、これは生産性の向上だけではなくて、省力化、また労働強度の軽減、そして労働安全性の改善といった点でも非常にメリットがあると考えます。これを導入していく、これは大変政策的に重要なことだと思います。
先ほども急斜地等ということがありましたけれども、林業は足場の悪い山の中で伐採木等重量物を取り扱うために、他産業に比べて労働災害、これが非常に発生率が高いという問題がございます。こうした労働災害の防止という観点からも、是非その導入を進めていただくべきと考えます。農水省としてどのように考え、対応をいただいているか、また今後の方針についてお伺いいたします。
政府参考人(牧元幸司君) お答えをいたします。
林業労働につきましては、急傾斜地などの厳しい作業環境の中で、チェーンソーといったような刃物を使う、また重量物でございます木材を扱うということで危険を大変伴うということでございます。このため、委員から今御指摘ございましたように、労働災害の発生率が他産業と比べて高いということになっているわけでございます。
この高性能林業機械の普及に伴いまして、林業労働における休業四日以上の死傷災害の発生件数というものは、過去五年間で約三割減少しているというふうに承知をしているところでございます。このように、機械の導入もありまして、労働災害については長期的には減少傾向にあるというふうに承知をしております。
農林水産省といたしましては、生産性の向上、省力化に加えまして、労働災害を防止するというような観点からも、高性能林業機械の導入、あるいは急傾斜地での安全に資するような機械の開発というものを引き続き推進してまいりたいと考えております。
里見隆治君 三割減少というのは、これは相当な数字だと思うんですね。やはり、人の命、また体を傷めるという点、これは経済的に代替ができない部分もあろうかと思います。是非、政策的にも御配慮をお願いしたいと思います。
それでは、もう一つ、これも四月の本委員会の視察で拝見をした中からのヒントですけれども、私ども視察で訪問した群馬県の製材所で、これはその製材所だけではどうもないようですけれども、アメリカ合衆国向けのフェンス材の輸出が大変好調であるというお話を伺ってまいりました。米杉の代替材として日本の杉が注目をされているということでございました。
二〇一八年の我が国の木材輸出額の品目別で見ますと、その四割は丸太ということでありますが、今後は製材等の付加価値の高い木材製品の輸出拡大を図っていく必要があると考えます。
こうした輸出を拡大していくという点について、基本方針を大臣にお伺いしたいと思います。
国務大臣(吉川貴盛君) 我が国の木材輸出額は年々増加をいたしております。平成三十年は、対前年比七%増の三百五十一億円となりました。
今、里見委員からも御指摘がございましたように、最近では米国への住宅フェンス用の製材の輸出が増加をしているところでございまして、まさに、今もお話しいただきましたけれども、品目別には丸太が四割を占めているところでもございます。木材につきましては、この丸太中心の輸出から付加価値の高い製品輸出への転換を推進することが最も重要なことと考えているところでございます。
このため、農林水産省におきましては、今現在、日本産木材を利用したモデル住宅等による展示ですとか、あるいはセミナー開催等によるプロモーション活動、さらには企業連携によるモデル的な木材輸出の取組、さらには木材製品の植物検疫条件や流通、販売、規制等に関する調査などに取り組んでいるところでもございます。
今後とも、ジェトロなど輸出関連団体とも連携をしながら、付加価値の高い木材製品の輸出促進に積極的に取り組んでまいりたいと思います。
里見隆治君 丸太だけではない、これから付加価値の高い木材製品を輸出していくという。これは、ハード面、物だけで捉えるのではなくて、今大臣がおっしゃっていた制度面あるいはこの製品を取り扱う技術、そうしたソフト面についても配慮が必要だと思います。
例えば、この日本産の木材、木材製品を輸出する場合に、特に木造住宅を輸出しようとする場合に、実際には輸出先の国で住宅の設計、また施工に関わる技術者にそうしたノウハウが不足していては使ってもらえないのではないかという懸念もあるわけでございます。
そうしたソフト面の課題、技術面の課題についてどのような御認識をお持ちか、また、その取組について併せてお伺いしたいと思います。
政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
この日本産の木材製品を利用いたしました木造住宅を輸出するに当たりましては、今委員から御指摘ございましたような日本産の木材製品を使った設計技術とかノウハウを持った技術者の育成といったようなことが大変大事ではないかと思っているところでございます。
こうした中、中国におきましては、日本の建築基準法に相当するというふうに伺っておりますが、木構造設計規範が改正をされまして、木構造設計標準として昨年八月一日に施行されたというふうに聞いているところでございます。これによりまして、新たに日本の杉、ヒノキ、カラマツが構造材として規定をされますとともに、日本の在来工法でございます木造軸組み工法が新たに工法の一つとして位置付けられたということでございます。
こういう状況も受けまして、農林水産省といたしましては、輸出先国における設計、施工に当たっての現場向けの指針の作成でございますとか、あるいは建築士などを対象といたしました木造軸組み工法の技術研修会の開催といったようなものの支援をしているところでございます。
引き続きまして、輸出先国の技術者の育成に取り組みまして、日本産の木材製品の輸出拡大を推進してまいりたいと考えております。
里見隆治君 ありがとうございます。
輸出促進については、ハードだけではなくてソフト面、技術面での支援、また相手国との様々な制度面での交渉ということも是非お進めいただきますようお願いいたします。
最後に、今我々が議題としているこの国有林野、これを担っている行政体制、森林管理局、また森林管理署の人員体制、組織についてお伺いしておきたいと思います。
この森林管理局・署については、国土の二割、森林面積の三割を占める国有林野の適切な管理運営、そして大規模災害時の復旧支援、地域の森林・林業への支援など、重要な役割を果たしていただいております。度重なるこれまでの合理化の取組の結果、これは午前中の審議でもありましたが、かつて八万人を超えた職員が現在では約四千人という規模の職員数となっております。特に、昭和の終わり頃から平成の初期にかけて、抜本的な改正、改革で大幅な職員削減が行われました。
ちょっとやや横道にそれますけれども、私、平成十一年から十三年頃、長野県庁に出向していた時期がございます。当時、私自身はハローワークの人事、組織を預かる立場でございましたけれども、中部森林管理局と定期的な連絡を取りまして、当時、営林署職員だった方を部門間配転、要は、もう片道切符でハローワークに受け入れるという、移籍をいただくという、そうしたケースが相当数ございました。もう五十を過ぎてから転職をされるという元営林署の職員の方もいらして、なかなか慣れないハローワークの業務で御苦労をされていた。しかしながら、一方で、夜、山の話なんかになりますと、大変山を守ってきたという誇りを持って語っておられたこと、非常に鮮明に覚えております。
こうした国有林野の職員体制というのは、これまでの合理化を経て、完全に現場作業は民間委託をされるという、そうした抜本的な体制の改革を行ってこられたわけですけれども、今後は、こうした今回の改革、改正も、新たな仕組みを含めて、国有林野事業に対する国民の期待ということもあるわけですから、必要な組織、定員の確保、そして人材育成という点では一層頑張っていただく必要があろうかと思います。
この点、農林水産大臣の御決意を伺って最後にしたいと思います。
国務大臣(吉川貴盛君) 国有林野事業につきましては、公益重視の管理経営の一層の推進とともに、民有林に係る施策との連携を図りつつ、その組織、技術力、資源を活用して林業の成長産業化の実現に貢献していくこととしております。
国有林におきましては、資源の成熟に伴い事業量が増加する見通しとなっておりまして、これまでも国有林事業全体の効率的な執行に努めてきたところでもございます。引き続き、事業全体を通じた事務、業務の改善や必要な組織、定員の確保に努めますとともに、国有林野の管理経営のみならず、民有林の指導やサポートに必要な技術や能力を持った人材の育成に取り組んでまいりたいと存じます。また、新たな仕組みの導入におきましても、職員の負担増につながらないように、現場の実情に応じた効率的な運用に取り組んでまいりたいと思います。
全国植樹祭に私が行けるようになりましたならば、里見委員御地元には愛知森林管理事務所もございますので、その管理事務所の皆さんとも率直な意見交換をさせていただきたいなと、こうも思っております。
里見隆治君 大臣、また今週末、愛知でお迎えをしたいと思いますけれども、是非、現場の皆様の声もしっかりと受け止めいただき、これは民有林含めて、民間の事業者さん含め、また国の体制整備含めて、しっかりと今の決意に立ってお進めいただければと思います。よろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。