農林水産委員会で質疑

2019.05.23 20:00(5年前) ブログ国会質疑 |里見りゅうじ(里見隆治)

議事録

里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。
 本日は、法案の審議にすぐ入りたいところでありましたけれども、残念ながら、豚コレラ、またしても五月十七日、二十三例目が愛知県内で発生をいたしました。まずこの件について政府に確認をし、また大臣の現在の受け止め、そして御決意をしっかり聞いた上で、法案審議に、質問に入っていきたいと思います。
 この五月十七日に愛知県田原市で二十三例目が発症いたしまして、私も先週末、田原に様々な関係者、お声を聞いてまいりました。ちょうど先週末、野村哲郎先生も愛知県にお越しいただきまして、一緒に農業関係者のお話をお伺いいただいたところでございます。ありがとうございました。
 まさに、この二十三例目が起こってしまったということは、また次があるのかと大変な御不安の中で、農業者の方、そして関係者の皆さん、本当に寝られない日々が続いております。
 こうした中で、この一週間だけでも行政で様々な動きがありましたので、まず事実関係を事務方にお伺いしたいと思いますが、一昨日、第七回拡大豚コレラ疫学調査チーム検討会が、国内の十三例目から二十二例目について、現時点で判明している事実関係を基にして豚コレラの感染経路、そして今後の対策を検討した結果を取りまとめたと承知をしております。農場への感染経路、また今後の対策について、その検討結果を具体的にお示しいただきたいと思います。

政府参考人(新井ゆたか君) 二十一日に第七回の拡大豚コレラ疫学調査チームを開催いたしました。委員御指摘のとおり、三月二十七日に発生いたしました十三例目から二十二例目の発生事例につきまして、それぞれウイルスの侵入時期、農場への侵入要因、豚舎への侵入要因等について分析が行われ、この結果概要については公表しているところでございます。
 その結果、今回検討が行われた全ての事例におきまして、豚舎専用の長靴や衣料の交換などがその都度なされていないというような飼養衛生管理の実践面での不十分な点が指摘されているところでございます。
 また、農場への侵入要因といたしましては、豚コレラに感染した野生イノシシ由来のウイルスが人や車両等を介すること、感染した野生イノシシが直接農場内に入ること等により侵入した可能性、それから近隣の発生農場由来のウイルスが猫やカラス等の野生動物、重機を介することにより侵入した可能性というのが指摘されているところでございます。これを踏まえまして、今後の対策として、飼養者が立ち入る頻度の高い分娩舎等におきましては、専用長靴の使用、立入り前の手洗いを小まめに行い、より丁寧な個体ごとの臨床検査が必要であるという指摘がなされているところでございます。
 また、特に養豚密集地帯におきましては、周辺道路及び発生農場の消毒を更に徹底すること、それから粘着シートの設置や殺鼠剤の散布を実施する必要があること、発生農場の近隣農場では農場周囲への消石灰の散布を徹底するということによりまして、ネズミ等によります新たな侵入を防ぐ必要があるという指摘が行われているところでございます。
 これらを踏まえまして、飼養衛生管理の徹底に加えまして、昨日、全国の都道府県に対しましてこのような指摘、毎日の健康検査及び早期発見、それからネズミ等の小動物の実施を行うよう指導し、今後、会議を通じまして更に情報共有していくことというふうにしているところでございます。

里見隆治君 いろいろ言いたいことはありますけれども、まず事実確認をもう一点。
 五月の二十日に愛知県が豚コレラ蔓延防止のための緊急的な消毒等の実施を決定したというふうに承知をしております。その実施内容、また国としての評価、そしてこの県の実施に伴って国としてどのような対応ができるのか、これをお伺いしたいと思います。

政府参考人(新井ゆたか君) 五月十七日に愛知県田原市におきまして発生いたしました二十三例目の事例を受けまして、大臣の指示を受けまして五月二十日に愛知県に出向きまして大村知事と今後の対応について協議をさせていただきました。
 既に五月十七日には疫学調査チームが現地に入っておりますので、この現地調査の速報、それから疫学チーム長の助言を踏まえまして、大きく三つの点について実施をしていくということで決定をしたところでございます。
 一つ目は、環境中のウイルス対策といたしまして、散水車等を用いた道路の消毒を徹底すること。二番目が、農場内へのウイルス侵入対策といたしまして、農場境界及び畜舎周辺の石灰散布を更に徹底するということで、これを家畜伝染病予防法第三十条に基づく農場への命令として実施をしていくということ。それから三番目といたしまして、消毒の徹底を含む農場へのウイルスの侵入対策を徹底するということで、飼養衛生管理につきましてきちんとチームで、国、県のチームで入っていくということ。それから、サーベイランスを強化するということを決めたところでございます。
 委員御指摘のありました告示は、これに基づきまして知事が即日判断をして発出いただいたものということでございます。具体的には、田原市内におきまして五月二十一日から六月二十日まで、農場内及び農場周辺につきまして消毒あるいはネズミ、昆虫等の駆除を行うということでございます。この命令によります緊急的な消毒につきましては、この資材について国費で支援をするというスキームになっているところでございます。

里見隆治君 ありがとうございます。
 連日御対応いただいているということは有り難い、感謝したいところでございますが、結局、今の疫学チーム調査の検討結果、その要因を聞いておりますと、これまでと同様の原因であると。そして、更なる徹底ということでございますが、結局はこの散布車で路上をしっかり消毒していく、あるいは長靴の交換ができていなかったところをしっかり注意していくと。結局はこの一個一個の飼養管理衛生基準が不徹底だったということの繰り返しがもうこの数か月行われているわけでございます。
 ただ、こういうふうに言いますと、何かその一軒一軒の農家を責めるように聞こえますけれども、地元の農家の皆さんは、それはそれは一生懸命やっておられます。やはりこうして連続して発症している、発生しているということは、これが構造的また組織的、仕組みの問題、システムの問題でありまして、そこはやはり国が前面に立って責任を持ってやっていただきたいと、それを繰り返しお願いをしているところでございます。
 本当に同じことを繰り返して、大変私もこの同じ質問をするというのは非常に苦しいわけでありますが、一番苦しいのは現地の農家の皆さんであります。そして、これは決して一軒一軒が何か対応を怠っているとかそういうことではないということからすると、しっかりと対応を、これはもう更なる徹底の更なる徹底という同じことの繰り返しでは困ります。この時点で、あのときにやっていればよかったということのないように御対応いただきたいと思います。
 結局、ワクチンの接種というお声出ていますけれども、これは結局今のままでは不安であるというその声の裏返しなわけですね。そういう意味では、今の現状をしっかり受け止めて、大臣として御決意を持って進めていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(吉川貴盛君) 里見委員から御指摘を受けましたようなことが一番私も心配な部分でございまして、それゆえに、この度二十三例目に起きました件につきまして、先ほど答弁をさせていただきました新井局長と愛知県の大村知事といろいろと御協議をさせていただきました。
 その上で、二十一日に開催された第七回の拡大豚コレラ疫学調査チーム検討会におきましては、この二十二例目までの発生事例についての侵入時期ですとか農場への侵入要因ですとか豚舎への侵入要因等について分析が行われたところでもございます。その結果でありますが、この侵入要因として検討が行われた事例全てにおいて飼養衛生管理が不十分であったことが指摘をされたところでございます。こういったことも愛知県の大村知事ともつぶさにお話をさせていただき、今後どうするかということもいろいろと協議もさせていただいたところでございます。
 この豚コレラの発生予防につきましては、飼養衛生管理基準の遵守、感染野生イノシシからのウイルス侵入リスクの低減が重要であると再認識したところでございまして、これまで、終息に向けまして、三月二十九日の農林水産省豚コレラ防疫対策本部で決定をした追加対応方針に基づきまして、国が主導をして県の農場への指導内容を含め確認することによる飼養衛生管理基準の遵守の徹底ですとか、野生イノシシの捕獲、囲い込み、経口ワクチン等の野生イノシシ対策の総合的な推進といった対策を引き続き講じていただくことにしているところでございます。
 このため、四月末には、一定地域の農場に対する早期出荷の促進等による農場のバイオセキュリティー向上を図る新規の対策案も岐阜県及び愛知県に提案をいたしたところでもございます。今般のこの二十三例目の発生を踏まえまして、全国の、今も、先ほど答弁もさせていただきましたけれども、都道府県に対しまして、毎日の健康観察及び早期発見、早期通報の徹底等、養豚密集地帯における消毒の徹底、ネズミ等の小動物対策の実施を行うよう指導もさせていただいたところでございます。
 今後も、国がもちろん前面に立ちまして、蔓延防止と経営再開に向けて総合的な対策を講じることによりまして、豚コレラの終息に向けて最大限努力をしてまいりたいと存じます。
 なお、少し長くなって恐縮でありますが、二十一日の疫学調査チーム検討会後のチーム長であります津田先生のコメントはこのようになっております。疫学調査チーム検討会の後に行われた記者への説明におきまして、津田委員長より、愛知県田原市での二十三例目の発生に関して、発生農場から周囲にどんどん広がっているという印象はない、僅かな量のウイルスが衛生対策の隙間を縫って運ばれ発生につながっているイメージである、より丁寧な手洗いや消毒、早期発見が大切との説明があったと、このようでございまして、これらの徹底によって終息に向かうのでないかとのコメントをされたようでございますので、これからも、この疫学調査チームの検討を踏まえまして、調査チームとの連携もしながら蔓延防止に努めてまいります。

里見隆治君 今、津田委員長のコメントを御紹介いただきました。これは、しっかり疫学調査、これは客観的、学術的に第三者として検証するということだと思います。実践するのは農水省、そして現場の自治体、また農業関係者であります。もう二度と同じ質問の繰り返しにならないように、これからの行動をしっかり見守っていきたいと思います。
 それでは、国有管理経営法案の質疑に入りたいと思います。
 今回の法案、これはまさに国有林野の管理経営という全体観に立って見ていくべきであると思います。その意味で、国有林野の管理経営に関する基本計画、これが昨年の十二月に改正をされております。これを確認いたしますと、この基本計画の中では三つの柱が掲げられておりますが、一つ目が公益重視の管理経営の一層の推進、二点目が農業の成長産業化への貢献等、三点目が国民の森としての管理経営、地域振興への寄与等の取組を計画的に推進するという三点でございます。ともすると、最近の農林水産業、成長産業化という点が強調されがちでありますけれども、国有林野につきましては、一つ目の公益重視、また三つ目の地域振興と、こういった点もしっかりと見据えて取り組むべきというふうに考えます。
 まず、国有林野の管理経営に関する今申し上げた基本的な計画の中で、本法律の目的が何か、大臣から基本的な方針、お立場をお述べいただきたいと思います。

国務大臣(吉川貴盛君) 平成三十年の十二月に策定をいたしました国有林野の管理経営に関する基本計画におきましては、公益重視の管理経営の一層の推進、林業の成長産業化への貢献、地域振興への寄与などの取組を推進することといたしております。
 本法案は、国有林が民有林を補完する形で、意欲と能力のある林業経営者に長期安定的に木材を供給することにより、森林経営管理制度の円滑な実施を支援をして、林業の成長産業化や地域の産業振興に寄与することを狙いといたしております。
 また、本法案におきましては、樹木採取権者に、事業を開始する前に権利の行使方法等を定めた五年ごとの契約を農林水産大臣と締結させるなど、公益的機能を確保するための措置も設けているところでございます。
 このように、本法律案は、国有林野の管理経営に関する基本計画で定める取組の方向性に沿ったものと考えているところであります。

里見隆治君 今大臣からも触れていただきました公益的機能、これは大変重要なものだと考えます。
 農林水産省からいただいている資料で、これは平成二十七年の森林資源の循環利用に関する意識・意向調査、これは国民の皆さんに意識調査をしている。まさに今日午前中も、関係業者だけではなく国民の意識、そうした観点も踏まえての改正であるべきというお話、討議ございました。まさにそれを見てみますと、国民の森林に期待する働きとして項目順に並べますと、一位が災害防止、二位が温暖化防止、三位が水資源の涵養、そして四位が木材生産、五位が野生動物の生息の場ということであります。もちろん生産ということもこれは経済活動として重要であるわけですが、こうした公益的な機能というものについてやはり国民の皆さんも期待を大きくお持ちであるということでございます。
 こうした公益的機能という点について、農林水産省、どのように捉えておられるか、高鳥副大臣にお伺いいたします。

副大臣(高鳥修一君) 里見委員にお答えをいたします。
 今委員からも御指摘をいただきましたけれども、森林は、国土保全や水源涵養、生物多様性保全、地球温暖化防止などの公益的機能を有しております。国民の安全で安心な暮らしは、これら森林の公益的機能の発揮により支えられておりまして、森林は欠くことのできない緑の社会資本であると認識をいたしております。
 このため、木材生産と併せまして、森林の公益的機能が持続的に発揮されるよう、引き続き森林の適切な整備保全と利用を推進してまいりたいと考えております。

里見隆治君 この公益的機能の確保という観点から、国有林の人工林を伐採した後の森林づくりについて、これも様々な分野から御心配のお声をいただいております。
 私の公明党の先輩議員で、赤松正雄さんという元衆議院議員、兵庫県の選出だったわけですけれども、その赤松さんが顧問を務めておられます日本熊森協会という法人がございます。豊かな森を次世代につないでいこうという自然保護をされている団体ですけれども、同協会からも、お話を伺っている中で、天然林を再生していくべきだと、あるいは針葉樹と広葉樹の混交林化を推進するべきだと、そうしたお声を頂戴しているところでございます。
 農水省として、こうした考えに対しての御見解をお伺いしたいと思います。

政府参考人(牧元幸司君) お答え申し上げます。
 平成二十八年に策定をされました森林・林業基本計画、ここの計画におきましては、それぞれの森林に期待されます機能でございますとか自然条件等に応じまして、広葉樹の導入等によります針広混交林化など、多様で健全な森林へ誘導するというふうにしているところでございます。
 国有林におきましても、自然条件でございますとか社会的条件に応じて、必要な箇所につきましては、針葉樹の育成単層林を天然更新等によりまして針広混交林化するような施業を推進をしております。その実行に当たりましては、多様でまとまりのあるフィールドを持ち、国自らが実施主体であるという国有林野事業の特性を活用いたしましてモデル箇所を設定をいたしまして、検証を行いながら実践的な取組を行っているところでございます。このような取組によりまして、国有林におきましてはこの五年間で広葉樹林及び針広混交林化が約五万五千ヘクタール増加をしているというふうに承知をしております。
 今後とも、国有林が針広混交林への誘導に向けた取組を先導的に進めまして、多様で健全な森林づくりを推進してまいりたいと考えてございます。

里見隆治君 ありがとうございます。そうしたバランスの取れた森林づくり、よろしくお願いいたします。
 もう一つ、公益重視という観点で、総合的な流木対策、また最近の大規模災害の発生、また気候変動による大雨の発生など、こうしたことを踏まえますと、治水事業の推進ということも大変重要だと考えます。
 近年、地震や豪雨等で激甚の山地災害が多発する中、山腹崩壊等に伴って、その上に生息していた樹木が流れ出して被害をもたらす流木災害も顕在化をしているところでございます。昨年、大変災害の多い年でございましたが、七月豪雨で広島とか高知でも大変な土砂災害がございました。また、九月の北海道胆振東部地震でも、そして同じく九月、台風二十四号による土石流の被害と、全く油断のならない状況でございます。
 こうした相次ぐ山地災害から国民の命と財産を守るために、森林の適切な保全を着実に進め、山地災害の防止を図ることが大変重要だと考えます。林野庁としてどのような対策を進めておられるか、お伺いをいたします。

副大臣(高鳥修一君) お答えをいたします。
 近年、集中豪雨や地震等による大規模な山腹崩壊や土石流、流木災害が多発しておりまして、これまで以上に事前防災・減災対策等の総合的な治山対策の推進が求められております。
 こうした状況を踏まえまして、昨年十二月に決定されました防災・減災、国土強靱化三か年緊急対策等を実施するため、平成三十年度補正予算におきまして百九十五億円を計上し、治山施設の設置等による荒廃山地の復旧、予防対策、植栽や防潮堤等による海岸防災林の整備、流木捕捉式治山ダムの設置や間伐等の流木対策などを実施しているところでございます。
 さらに、令和元年度当初予算におきまして、三か年緊急対策の二年目の対策を行うための臨時特別の措置を含む荒廃山地等の復旧、予防対策などを実施する治山事業に八百五十六億円、これは前年度対比で一四三%であります、を計上したところでございます。
 今後とも、所要の予算を確保し、災害に強い森林づくりを推進することで、国民の安全、安心の確保に全力で努めてまいりたいと考えております。

里見隆治君 今、副大臣から今年度の事業を中心にお話をいただきましたが、これは、緊急対策は三か年、そしてこれは三か年にとどまることなく、これからも計画的に進めていただきたいと思います。
 その上で、先ほど冒頭確認をいたしました国有林野の管理経営に関する基本計画、一つに公益、二つ目が成長産業化、そして三つ目の地域振興への寄与という、この三点目の関係でお伺いをいたしたいと思います。
 地域の産業を振興していくというこの点につきまして、現行の国有林野事業の立木販売等の入札におきまして、地域外また県外の者をこれは制度的に排除できないということはそうだと思いますけれども、現実には九割を地元の事業者が落札しているというふうに承知をしております。ただ、今日の午前中の審議でも何点か先生方から論点として出されておりましたが、地域外の比較的大きな企業が入ってくるのではないかといった懸念の声も聞かれるわけでございます。
 この制度の中でどのような仕組みにおいてこの地域の事業体を育成していくのか、その点を確認させていただきたいと思います。

政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
 現在の国有林の立木販売の入札におきましては、そのほとんど、御指摘いただきましたように、九割は地元の事業者が落札をしているというような状況にあるわけでございます。
 そのような中、今回の新たな仕組みにつきましては、引き続きまして現行の入札による方式というものは基本としながらも、今後供給量の増加が見込まれます国有林材の一部につきまして導入するという考え方でございます。
 また、樹木採取区の規模につきましては、地域の意欲と能力のある林業経営者が対応できるような規模を基本といたしますとともに、樹木採取権者の選定に当たりましては、樹木料の高低だけではなくて、地域における雇用増大への取組など、地域の産業振興に対する寄与の程度などを総合的に評価することとしております。
 このような措置によりまして、地域の林業経営者の育成に資するものとなるように制度を運用していきたいと考えているところでございます。

里見隆治君 地域の産業振興という観点、これは非常に大事な点だと思いますので、バランスの取れた審査実施をよろしくお願いいたします。
 次に、私、愛知県は国有林は少のうございまして、ただ、奥三河と言われる静岡、長野県境、山林地域でございます。そこで、先日、森林組合の幹部の皆さんとも懇談をしてまいりまして、様々御意見を聞いてまいりました。その中で気になった点ありましたので御紹介したいと思うんですけれども、今回の法律案では、国有林野に一定期間、安定的に樹木を採取できる権利を民間事業者に設定すると。それによって、地域の林業事業体が国有林の事業の実施に偏ってしまって民有林の整備を行わないような、そうした事態を懸念しているということでございました。
 人手不足の地域と、ある程度人手が確保できている地域、それは少ないと思うんですが、その地域差もあろうかと思いますけれども、特に愛知県は人手不足で困っていて、新しい事業にまで手が回らないのではないかと。さらに、従来行っていた事業よりも優位な条件で国有林の仕事が入れば、これまでのお客様向けの仕事に影響が出かねないのではないかと、そうした御反応、声も伺っております。
 こうした民有林、これまでの事業に悪影響が生じないようどのような仕組みを設けられているのか、お伺いします。

政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
 樹木採取権者の公募の際に、樹木採取権者におきましては、それまでの事業に加えて、機械とか人材などの確保も含めまして経営規模を拡大しなければならない旨を提示をしていただきまして、それを遵守していただくということを考えているところでございます。このように、樹木採取権者は、権利取得に当たりまして経営規模を拡大をするということが前提となってございます。国としても、これらの取組が適切に行われているのかを確認をしていきたいというふうに考えております。
 また、樹木採取権の取得に当たりましては、経営規模の拡大に対応するための機械とか人材とか、そういったものの確保も伴うものでございますので、事業開始後にそれまで民有林で行っていたような事業を安易にやめてしまうということにはならないのではないかというふうに考えているところでございます。

里見隆治君 今の民有林への影響という点で、この法律の制度の仕組みと併せて、川中、川下に至る新規需要の創出、これをやっていくんだというお話でございましたけれども、その意味で、この法律案の検討過程において、林野庁が民間事業者からの提案を募集するマーケットサウンディングを行ったという点は評価できると思います。
 このマーケットサウンディングにおいて民間事業者からどのような提案がなされ、どのように今回の制度改正、検討に生かされたのか、お伺いいたします。

政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
 一昨年の未来投資戦略二〇一七に基づきまして、林野庁におきまして、国有林の木材販売に係る民間業者からの改善提案の公募を行いました。その結果、森林組合、素材生産業者、様々な民間の事業体の皆様方から、現行よりも長期にわたり国有林の樹木を伐採できるような制度、こういったものの希望が多数寄せられたところでございます。
 具体的には、例えば三十年ないし六十年程度の長期にわたる伐採、販売に必要な権利の取得とか、あるいはこの伐採と併せた造林など低コストな森林整備でありますとか、あるいは伐採コストの低減によりまして立木価格の向上を図っていく等々の御提案があったところでございます。
 このような中、当時検討中でございましたこの森林経営管理法案に基づく新たな森林経営管理システムを円滑に機能させるためには、このシステムの要でございます意欲と能力のある林業経営者の育成が不可欠でございまして、国有林が民有林を補完するような形で、長期安定的にこのような林業経営者に木材を供給できるような仕組みを措置することが有効ではないかというふうに考えまして、この法案の検討を進めてきたところでございます。

里見隆治君 もう時間ですので終わりますけれども、このようにしっかりとマーケットと対話をして需要を拡大していくと。その一方で、今日は時間がなくなりましたので次回に譲りますけれども、それを支える林業の担い手の育成、また確保、この点についてはまた引き続き質問をさせていただくということを予告をさせていただいて、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

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