農林水産委員会で農業の担い手、新規参入、農地の効果的活用などを質問

2019.05.14 23:12(6年前) ブログ国会質疑 |里見りゅうじ(里見隆治)

5月14日、農林水産委員会で農地中間管理事業推進法案審議に、佐々木さやか議員(神奈川選挙区予定候補)と相次いで質問に立ちました。

農地では、構造的な担い手不足が続いていますが、新たな人材を受け入れ、農地の効果的な活用をどう進めて行くか。
地域で話し合って進められるような仕組みの統合がこの法律改正の一つのポイントですが、農業の担い手・新規参入者・農村地域の立場に立って制度改正を進めます。

 

農林水産委員会で佐々木さやか議員(神奈川選挙区予定候補)と相次いで質問農林水産委員会で佐々木さやか議員(神奈川選挙区予定候補)と相次いで質問 農林水産委員会で佐々木さやか議員(神奈川選挙区予定候補)と相次いで質問 農林水産委員会で佐々木さやか議員(神奈川選挙区予定候補)と相次いで質問

議事録

里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。
 まず、法案の質疑に入る前に、G20の農業担当大臣会合について一問だけお伺いをしたいと思います。
 まず、吉川大臣、先週末のG20農業担当大臣会合、大変お疲れさまでございました。世界の人口増に対応した食料生産の実現に向け、生産性向上などの取組について認識を共有したと。非常に大きなテーマで議長として大臣がリーダーシップを果たされたということでございます。私もうれしく思っております。
 その中で、この農相会合と相前後して、中国、韓国など各国とのバイ会談もされたと伺っておりまして、特に私、前から本委員会でもお願いをしておりまして、また取り上げさせていただいております豚コレラ、そしてアフリカ豚コレラの感染防止対策についても大臣が自ら提起をしてリードされていると、大変有り難く思っております。
 今回の成果について、特にこの感染防止対策の関連で、大臣から、その成果について、またその意義についてお伺いをしたいと思います。

国務大臣(吉川貴盛君) 今般のG20新潟農業大臣会合におきまして、欧州、また東アジアで発生が拡大をしておりますアフリカ豚コレラにつきまして、私から、アフリカ豚コレラは今やもう世界的な脅威でもあり、情報共有の強化や、また国際獣疫事務局、OIE等の国際機関への協力などを通じて国際社会が一致団結して対処することが重要であると申し上げました。参加国から賛同が得られましたとともに、その点が閣僚宣言に盛り込まれまして、採択もされたところでございます。
 また、中国、フランス、韓国との二国間会談におきましても、各国におけるアフリカ豚コレラへの対応状況や、また旅客への違法な持込み防止等について意見交換も行わせていただいたところでございます。各国で協力して対応していくことの重要性につきまして、認識も共有をさせていただきました。
 引き続き、周辺国のアフリカ豚コレラの発生状況に鑑みまして、我が国におきましては、不法持込みへの厳格化等による水際での摘発強化及び飼養衛生管理基準の遵守の徹底等による農場へのウイルス侵入防止策の強化に万全を期するとともに、G20加盟国及び国際機関との連携も更に図ってまいりたいと存じております。

里見隆治君 ありがとうございます。
 国内対策についてはまた改めての機会取りますけれども、この根絶に向けて更なるお取組、お願いをしておきたいと思います。
 それでは、法改正、法案についての質問に入りたいと思います。
 本法律、これは五年後の見直しということでございます。平成二十六年度から、農地中間管理機構への期待として、これは政府が掲げられております二〇二三年に担い手の利用面積を八割という、そうした目標を掲げられ、その役割をこの機構に期待していたということであったと思います。
 今日、午前中も農地面積の話がございました。面積も重要なポイントでございます。そのうちどれぐらいが、何割が担い手により利用されているか、その割合、これも重要な指標と考えます。
 この集積目標、今どこまで達成されていますでしょうか。

政府参考人(大澤誠君) 担い手への農地集積の状況でございますけれども、平成二十九年度にこれが五五・二%ということになっております。

里見隆治君 これは、目標は八割ということで掲げてきたと、そして二十九年度末で五五・二%という、まだ開きがある状況でございます。
 これまでどのようなお取組をされてきたのか、また、この機構がどのような役割を果たしてきたのか、それを政府としてどう評価しているか、その点をお伺いいたします。

政府参考人(大澤誠君) 平成二十五年が機構が発足する直前ということでございますけれども、その直前四年間を見ますと、平成二十一年の担い手への農地集積は四八・〇%、平成二十五年は四八・七%ということで、四年間で〇・七%の増加にとどまっていたわけでございます。平成二十五年から平成二十九年までは四八・七%から五五・二%ということで、農地バンクを設立し、必要な支援措置を行うということでこの集積率を上げていこうと、八割目標に向かって上げていこうということを二十五年、二十六年辺りに決断をしたわけですけれども、その数字だけから見ますと、その成果は一定程度上がったのではないかなと思っておりますが、他方で、ここ二年間を見ますと、一番伸びたのが平成二十六年から二十七年、これが五〇・三から五二・三ということで二%の増加だったわけですが、二十七年から二十八年の増加率は一・七%、二十八年から二十九年にかけては一・二%と、その増加の伸びが鈍ってきているということでございます。
 この分析といたしまして、今回の五年後見直しの際にいろいろな数字を見まして考えましたところ、我々としては、幾つか論点ありますけど、一番大きいのはやはり地域の話合い、これが、既に機運があった平場の水田地帯の活用が一巡し、今後新たに進めていくところでは話合いから始める地域が多くなっていると。これを典型的に示しますのは、集落営農法人への農地バンクからの転貸面積、これが二十七年度に約三万ヘクタールございましたのが、それが一万三千ヘクタールぐらいに二十八年度、二十九年度は半減しているということで、やはり集落営農があったところは機運があったんだろうと、それが落ちているというのが顕著に表れているわけです。集落営農法人以外への転貸面積は上がったり下がったりはしていますけれども、その集落法人への転貸面積のように顕著には変わっていないところでございます。
 ですので、今回の見直しにおきましては、地域の話合いというのを何よりもやはりこれから重要視していくべきだろうというふうに考えている次第でございます。

里見隆治君 今御答弁をいただいた地域の話合い、これ、法律を制定したときからその観点は与野党共に指摘をされていた点だろうと思います。そこがこの五年間の実績を踏まえてある程度現実に根差したものに近づいているということは、私は評価をしたいと思います。
 その上で、この地域の話合いというのはまた後ほど人・農地プラン等で触れますけれども、今回、特に二十六年度から二十七年度にかけてはある程度増えたけれども、最近、この三年程度、二年程度鈍化しているということでございます。そうした中での今回の法改正かと思います。これは集積率ということでお話をしましたけれども、もう一点重要なのが集約化という点であろうかと思います。
 私どもも、本委員会で四月下旬に栃木県の足利市にお伺いをし、そして好事例ということで御紹介いただきましたけれども、集約化の好事例も非常に地域の農業委員会の委員の皆さん頑張っていただいているということでございました。
 集約化という点でこの法律の目的に立ち返りますと、農地の利用の効率化、高度化、そういう推進であれば、この集積以外の、分散の解消、集約を進める必要があります。この集約化というのは非常に数字的にも捉えづらい概念でありまして、余り農水省から何か数字的なことが見えにくい、御説明をいただきにくいという印象を持っておりますけれども、この集約化の状況、また実績をどのように把握をし、また評価をされているのか、お伺いしたいと思います。

政府参考人(大澤誠君) 委員御指摘のとおり、農地バンクの目的は集積にとどまるものではございませんで、農地バンクがまず分散、錯綜している農地を取りあえず一手に借り受けまして、必要なら条件整備等を行いながら、長期間農地バンクが借りている中で事情がいろいろ変わってくると、で、担い手同士の農地を交換するなどによりましてまとまった形で担い手の方に農地を使っていただく、これが最終的目標でございます。
 そういうところに向けまして、委員の御指摘のように、じゃ数字的なものはということなんですが、これにつきましては衆議院の農林水産委員会で御議論いただいたときもあったわけですけれども、我々としては、まず集約の数字を見ていくということがありまして、集約については、サンプル的なものしか今のところではお示しできていなかったところでございます。その点も御指摘を附帯決議の形でいただきまして、これは早急に研究しなければいけないと思っております。
 現在の集約の状況把握につきましては、やはりいい事例を幾つか取り上げた上で、それを公表しまして、多くの方に見ていただいて横展開を図るという手法を取っております。
 一つだけ御説明をいたしますと、福井県の越前市におきましては、市や地区内の農業法人等とともに地域の話合いを継続的に進めながら、二年間で農地バンクの配分計画を十二回公告をしたと。これは、要するに事情があるたびに農地バンクが転貸先を変えたということですが、最終的には地区内農地の八割が一つの集落営農と一人の担い手に集約されたというような事例もございまして、これを積極的に横展開するように今努めているところでございます。

里見隆治君 ありがとうございます。
 好事例の横展開、これはもちろんのことですけれども、やはり目標設定をし、そしてそれに向けてあらゆる施策を駆使していくというサイクルの中で、やはり何らかの数値化、これは必要だと思います。既に衆議院でも附帯決議があるということでしたけれども、是非これは早急に研究をし、研究にとどまらず実現を何らかの形でしていただきたいと、そのことを御要望しておきます。
 その上で、大臣にお伺いをしたいと思います。
 これは、数字だけで見ますとまだ順調に進んでいるとは必ずしも言えない、そういう状況の中で、この今までの五年間、それをどのように評価をして、そしてこの法改正にどのようにつなげてこられたのか、また、今後この法改正によりこの中間管理事業をどういった方向にお持ちいただこうと考えているのか、大臣の御見解をお伺いいたします。

国務大臣(吉川貴盛君) 平成二十六年の農地バンク創設以来、担い手への農地の集積状況が四八・七%から平成二十九年度には五五・二%に上昇はしたものの、近年、集積率の伸びが鈍っていることは事実でございます。これは、もう既に農地の集積、集約化の機運があった平場の水田地帯での取組が一巡をしたためと思われます。新たに地域の話合いから始めなければならない地域が多くなってきていることによるものであろうかと思います。
 今回の見直しのポイントでありますけれども、このような新たに地域の話合いを活性化させるという課題に対処するため、農地バンクとJA、農業委員会など、地域でコーディネーター役を担ってきた組織とが一体となって農地集約化のための地域の話合いを推進していくことであろうかと存じております。

里見隆治君 今、まさに県単位の中間管理事業と、そして地域の話合い、これをうまくつなげていくんだというお話でございました。
 私は愛知県の選出でございますけれども、実は、愛知県はこの前から存在しておりました農地利用集積円滑化事業、これ非常に積極的に進めてまいりましたので、ほかの道府県でいいますと、北海道、栃木、長野、新潟などと並んで、この農地利用集積円滑化事業においては相対的に高い実績を示しております。
 それがゆえに、昨年、この中間管理事業についての見直し案が出ましたところ、地元の農業関係者の皆さん、やや戸惑いを感じておられたというのが正直なところです。自分たちはこうやってしっかり集積をしているじゃないかと、何も後から出てきた新しい団体にそんな余計なことをやってもらわなくていいんだと、そんな言われ方をする方もお見えでございます。そうした中で、今回、これをどちらかを廃止とかいうことではなく、うまく統合していこうと、一体化していこうという、そういう御趣旨だというふうに思います。
 そこで、大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、何か現場で円滑化事業をしっかり頑張ってきたのにという、そんな思いをお持ちの方に、これ別に決して否定するものではないと思いますので、この円滑化事業の果たしてきた役割、これをどのように評価をされているのか、また今回、その円滑化事業と中間管理事業との統合一体化、これをどういった目的でされようとしているのか、その点、大臣から御答弁いただきたいと思います。

国務大臣(吉川貴盛君) 農地利用集積円滑化事業の実績は、農地バンク創設以降、ピーク時の三分の一程度まで今減少いたしております。全国的には農地バンク事業への移行が進んでいるものと思われます。
 一方、一部の道県におきましては、特色ある取組を行い、現在でも担い手への農地の集積ですとか集約化に寄与しているものと認識もいたしております。今、里見委員御指摘をされました御地元愛知県におきましては、円滑化団体であるJAが米、麦、大豆のブロックローテーションに配慮した形で担い手への農地集積に係る土地利用調整を実施している顕著な例もございます。
 このため、今回の見直しにおきましては、このような実績ある団体が農地バンクの配分計画案を作成できることとする等によりまして、旧円滑化団体の事業を農地バンクの事業として実施できるようにすることといたしております。これによりまして、利用権等の特定を求める農地のリストが県段階で統一をされて、担い手農家にとっても利用する農地の集約化のチャンスが更に広がるものと考えているところでございます。

里見隆治君 そうした意味で、今御答弁お伺いしておりますと、これまでの円滑化団体の役割を否定するものではないということでしょうし、今後もしっかりとその役割を担っていただくということだと思います。
 そこで、これ統合一体化だというのはある程度理解は進んでいるんですけれども、制度改正後やや戸惑いがありまして、円滑化団体として集積円滑化事業としても続けられますよと、ただ、こちらに、中間管理事業に乗ってもいいですよと、そういう選択肢を与えられているわけですけれども、実際には、もう様々なインセンティブもありますから、この中間管理事業に移行していくという御希望も多いように聞いております。
 そうした中で、地域でこれまで利用調整を行っていた、今大臣御答弁いただいたJAなどの地域の取組に支障が出てこないように、また、何か打ち切られるものではないと、継続性があるんだということを改めて確認をしたいと思います。
 これは局長からで結構でございますが、改正法の施行に当たって、経過措置等を含めてどのように御配慮をいただけるのか、その点、お教えいただきたいと思います。

政府参考人(大澤誠君) お答えいたします。
 今回の見直しの中で、一部の地域、道県におきまして、大臣が御説明になりましたように、特色のある取組を行っていただいている、それが農地の利用集積につながっているというところについて、いかにしてその方々のプライドなりやる気をそぐことのないように、かつ、この農地の仕事、仲介する仕事というのがあっちではこれがやり、こっちではこれがやりということになかなかならないように、全体として体系立って一体的にできるようにということが一番意を尽くしたと思っているところでございまして、特に愛知県におきましては、私自身を始めといたしまして、経営局の審議官、担当課長、担当室長が相次いで愛知県のJAに赴き、あるいは東京でお迎えし、それで意見交換をして案を作ってきたというふうに考えてございます。
 先ほど大臣のお話にありましたこの配分計画の原案を作ることができるようにするというアイデアも、このいろいろな話合いの中から生まれてきたものだというふうに理解しております。
 加えまして、やはり一気に変わっていくということではなかなか御理解も進まないと思いましたので、この権利義務を引き継ぐ期間については経過期間を三年ほど置くとか、長期の期間を置くということを始めとして、経過措置、それから対象地域についても同じようにするようにするとか、そういうことをやっております。
 実は、法律案ができた後もそういうようなもっと細部に至るまでの議論を行っているところでございます。例えば、円滑化事業、県の事業で機構の事業に一体化するとしても、せっかく特色あるブロックローテーション等の取組、これ機構ではなかなかできませんので、そのブロックローテーションの取組をどうやったら続けられるか、それはこの農協という名前がいいのか、あるいは機構の名前がいいのか、あるいは違う名前がいいのかとか、そういう議論をさせていただいたりもしておりますし、今まで円滑化団体としては手数料を取っていたと、これが仕事の質を高めていた面もありますので、これをどうしていくか、委託料の形で解決していくのか、そうでないのかなど、そういう細部に至るまで現場の意見を聞きながら今詰めているところでございます。

里見隆治君 今お話がありましたとおり、やはり今回の改正のポイントは、県一元化ではなくて地域というところに光を当てるということですから、何かこの中間管理事業に全部糾合するんだというよりも、地域地域の自主性というか、それぞれが誇りを持って動いていただけるような、そうした御配慮をお願いしたいと思います。
 この実務のレベルですけれども、様々な費用面、また手間においての御懸念の声もございます。
 例えば、私がいただいた御意見としては、統合一体化に当たって農地の権利関係を機構に切り替える移行手続において手間や費用の面で現場の負担とならないようにこれを簡便にしてほしいですとか、あるいは、現行契約を途中契約して機構に移行すると、本来なら改めて登記簿謄本を取ったり手間や費用が掛かるのではないかと。
 これ、どこまで実際の手間暇、費用が掛かるかというのはまた実際いろいろと御説明いただかなければなりませんけれども、こうした意見も伺っておりますので、是非現場には丁寧な対応をお願いしたいと思います。この点、いかがでしょうか。

政府参考人(大澤誠君) お答えいたします。
 先ほど委員御指摘の点につきましても、団体からの要望もございまして、今回の法律案の附則の第四条第一項におきまして、この権利義務を円滑化団体から農地バンクに一括して承継できるという規定を設けているところでございます。これは、個別に円滑化団体が現在農業者等と結んでおられます現契約を個別に解約して改めて農地バンクと契約を結び直すということになりますと、御懸念のとおり手続が非常に煩雑になりますので、こういう公告による一括承継という形で、そこを簡素化したところでございます。ただ、これについては、移行期間は先ほどお話ししたとおり十分準備しながらやるということで、三年間一括継承できる期間を余裕を持っているところでございます。
 その他の点につきましても、今後とも、現場の意見も伺いながら、移行手続の簡素化に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

里見隆治君 次に、新規就農の支援についてお伺いをしたいと思います。
 そもそも、我が国の農業生産をしっかり維持そして拡大をしていくという点においては、新規参入者、新規就農者の確保、これは先ほど来諸先生からお話があったとおりでございます。また、農地の配分計画においても新規就農の視点が大変重要だと考えます。
 ただ、新規就農者、当初の様々な、農水省等で御支援をいただいている資金確保、研修、こうした準備はいただいておりますけれども、かといって準備を終えたらすぐ農業に従事できるかというと、必ずしもそうではないということを耳にしております。新規就農の確保、耕作放棄の防止などのために、新規就農のタイミングに合わせて農地確保が望ましいというふうに考えます。
 まず、これは事実関係をお伺いしますけれども、機構の転貸先として新規就農者の実績どのようになっているか、お伺いいたします。

政府参考人(大澤誠君) 着実に増えているというふうに認識しております。
 まず、制度がスタートした平成二十六年度については年間百二経営体、七十ヘクタール程度が農地バンクを通じて新規就農した実績でスタートしたわけですが、その後年々増加いたしまして、平成二十九年度におきましては、単年度で六百六十四経営体、約千五百ヘクタールの農地が新規就農者に転貸されました。この四年間を合計いたしますと、千六百経営体に三千四百ヘクタールの農地が新規就農者に転貸されたところでございます。

里見隆治君 ある程度増えてきているということですけれども、やはりこれはもう桁違いに増やしていかなければ維持ができないというのが認識だろうと思います。
 その上で、これは大臣にお伺いをしますけれども、新規就農者のための農地確保という観点でどのような方策が考えられるか、非常にこれは、今回の法律案にかかわらず、もっと広い観点で、大きな政策的観点から大臣にお伺いをしたいと思います。

国務大臣(吉川貴盛君) ただいま大澤局長から、年々増加をしておりまして、この四年間で合計一千六百経営体に約三千四百ヘクタールの農地を転貸しているとお答えをさせていただきましたが、この新規就農者への農地あっせんが更に円滑に行われるよう、私ども農林水産省といたしましても昨年十月に通知を発出をいたしまして、農地バンクに対して、新規就農相談センター等の関係機関からの情報収集を常に行い、研修生の意向を踏まえながら、あらかじめ農地を確保するよう指導をいたしたところでございます。実際に、静岡県ですとか大分県におきまして、新規就農者向けの研修後、円滑に農地を確保できるよう、関係機関と連携をして農地の中間保有も進めていく取組が見られているところでもございます。
 こうした取組を通じまして、農地バンクを通じた切れ目のない新規就農の促進を進めてまいりたいと考えております。

里見隆治君 この新規就農という関連で、報道等でもちらほら出ておりますけれども、農業次世代人材投資事業の予算、これは我々も与党としてしっかりチェックをしておりますけれども、昨年度に比べて一割減額だと、百五十四億。これは、昨年度百七十五億から一割以上減額だということでいろいろと自治体で波紋を呼んでいるというような報道がございます。ただ、一方で、政府として支給対象年齢を原則四十五歳未満から五十歳未満に引き上げるとか、非常に期待をされている事業でもございます。
 これ、よくよく説明を聞けばなるほどという点もありますので、これは単純に総額が減ったということだけ見ると、何か次世代人材投資後ろ向きなのかというふうにも見えますけれども、なぜ減っているのか、ここはしっかりと御説明をいただく必要があると思います。いかがでしょうか。

政府参考人(大澤誠君) 今年度の予算の減額の理由でございますけれども、幾つかございますが、一つは、交付三年目に、これは過去の改正で行われたのですが、新規就農者につきましては、地元の事業体や農業関係者による中間評価を実施して、経営が順調に発展している場合には、これは元々は五年間資金を交付される可能性がある事業でございますけれども、早期に卒業するということで、最大百五十万円の経営発展支援金を支払った上で早期に支援を終了するというパターンができました。逆に、経営の継続が三年たってもなかなかこれは難しいんじゃないかというふうに判断を地元の自治体等がされる場合には、農業の断念をアドバイスすると、こういう取組を行うということにしているわけでございます。
 これに伴う所要額の変更、あるいは、就農準備段階の研修の事業につきまして、先進農家で研修をしていた部分があるんですけれども、これがかえって、研修だからいいやということで労働時間を余り過重に見積もりながらやってきた例というのも散見されることから、やはり農の雇用事業の中で労働基準もしっかりした上でやっていただこうということで、この先進農家での研修支援を農の雇用事業に移行したわけでございますが、それに伴う所要額の減少、こういうものを見込んで所要の減額となったわけでございます。
 典型的に支援を必要とされる方々、最初、まず生活資金が足りない、支援が必要だという方々が徐々にスキルを上げながら五年間この資金を交付するというパターンについては、これまでどおり交付ができるように措置しているわけでございます。そういうことにつきまして、減額の原因、あるいは制度の改善内容等々、現場への説明は丁寧に行ってまいりたいというふうに考えてございます。

里見隆治君 もう時間ですので終わりますけれども、単に減額をしたというところだけ見ますと非常に後ろ向きに見えますが、そうしたことを丁寧に御説明をいただきたいと思います。
 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

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