5月9日、農林水産委員会に竹谷とし子参議院議員と出席。
豚コレラ対策について農林水産大臣等に質問。
農林水産省が岐阜県・愛知県に提案している県内の養豚農家での早期出荷した上での衛生管理の強化について伺いました。
養豚農家、関係者の皆様が安心して経営を続けられるよう万全の対策をお願いします!
議事録
里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
私から、豚コレラ対策についてお伺いをいたします。
この十連休中も、豚コレラ対策については、農林水産省、そして現地の岐阜県、愛知県など、関係する行政機関、また現地の農家、関係団体におかれては、連日の御対応をいただいております。まず、私から感謝を申し上げたいと思います。
ちょうど十連休前の一週間、感染の発生が連続をしておりましたので、この十連休中も本当に眠れない日々が続いておりました。連休中に新たな発生はありませんでしたが、感染した野生イノシシが五月八日、昨日の時点で、岐阜県内で累計三百九十頭に上るなど、現地の農家には大変、日々不安を抱えながらの生活でございます。
田原市で私も様々伺っておりますけれども、養豚農家の中では、出荷停止の状況の中で豚舎内でもう既に豚があふれていると、出荷できないためにですね、入り切れなくなっていると。この間は、その分、餌代も通常以上に掛かる。また、正常なはずの豚も、この季節の変わり目で気温が上がったり下がったりと、体調不良に陥っていて、またこれが何か感染に及んでいるのではないかといった御心配をしたりと、眠れない日が続いているというふうに伺っております。養豚農家の中には、先が見えない不安感、そして構造的な後継者不足が相まって、既に廃業を決めてしまったという農家さんもあると聞いておりまして、政府においては、こうした農家に対してのこれからの対策の見通しをしっかりと示していただく必要があろうかと思います。
こうした中で、農水省として、早期出荷対策について、これを岐阜県、愛知県に提案をしたということでございます。まず、この早期出荷対策について、どのような目的、観点から行うものなのか、お伺いをいたします。
政府参考人(新井ゆたか君) お答え申し上げます。
豚コレラにつきましては飼養衛生管理基準の遵守が最も重要ということは変わらないところでございまして、こうした中におきまして、愛知県、岐阜県に対しまして、一定の農場につきまして、一旦空舎にするということで、その期間内にバイオセキュリティーの能力を向上してもらおうということでソフト、ハードの支援をする、さらには経営再開のための支援をするといったパッケージの対策といたしまして、早期出荷の施策をそれぞれ両県に今提案をしているところでございます。
里見隆治君 これ、農水省からまずは県当局への御説明ということだと思いますけれども、報道で様々、部分部分報道されているところもありまして、かえって不安に思われている農業関係者もおられます。
ここで、正式な場で、できる限り、その支援内容また出荷対策の内容について詳しく教えていただきたいと思います。
政府参考人(新井ゆたか君) まだ農家の方々に個別に具体的に説明するという段階に至っておりませんので、私ども、現地の報道で部分的にいろんな報道が流れているということは承知をしております。そういうことで、本日は、現在両県に提示をしております対策につきまして御説明をさせていただきたいと思っております。
農場のバイオセキュリティーを向上と、それから経営再開、安定に向けた全体を支援する対策ということで、一定地域の農場に対しまして、早期出荷の促進による空舎期間の設定、空舎期間中にハード、ソフトの支援をする、それから三番目といたしまして経営再開後の母豚導入の支援をするという、三つを柱とする対策を提示しているところでございます。
具体的には、早期出荷促進の奨励金といたしまして、肥育豚については一定額、繁殖豚については評価額、出荷した場合は販売額との差額分を支援するということ、それから空舎期間中につきましては固定経費の相当分の支援をする、それから農場のバイオセキュリティー向上のための施設整備に関する費用の負担、経営再開のために必要な母豚の再導入の支援を実施をするということと、それに加えまして、現在、要望がございます消毒液等の消耗品の購入支援につきましても検討をしているということでございます。
両県につきましては、早期出荷により農場の飼養衛生管理水準の向上を図るという本対策の目的を共有いたしまして、その実現に向けて、連休中も県と調整を行いまして、現在詰めの協議を行っているところでございます。
里見隆治君 今御説明いただいた支援内容ですけれども、これ、何か法的な措置ということではないということからすると、結局、手挙げ方式といいますか、これを希望する農家に対してということだと思います。
その確認と、もしこれが任意の希望される農家さんだけということになりますと、地域における感染対策ということからすると、やはり集団的に地域丸ごとで対応していただくということの方が効果的だと思うんですけれども、これが希望制あるいは手を挙げられた農家だけとなると、何か歯抜けが生じて効果が衰えてしまう、効果が下がってしまうんじゃないかというような懸念もございます。
こうした観点で、農水省としてどのようなお考えをお持ちか、教えていただきたいと思います。
政府参考人(新井ゆたか君) 御指摘のとおり、この早期出荷あるいは経営再開の支援のパッケージの対策につきましては、地域のバイオセキュリティーを高めるということが目的でございます。対象地域内の全養豚農家が実施をするということが効果的でございます。しかしながら、本事業は養豚農家の自主的な参加を促す仕組みであるということでございます。したがいまして、本事業の趣旨を理解していただき、できるだけ多くの養豚農家に参加していただくよう、県とともに丁寧な説明を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
理想的には全農家が参加をいただくということでございますけれども、仮にということではございますが、一部の養豚農家が仮に事業に参加をしなくても、その農家が現状の施設を活用いたしまして経営を継続しても飼養衛生管理基準が遵守を徹底するということが可能であるといたしますれば、地域全体としての飼養衛生管理の強化が図られるということになりますので、本事業の目的は達成されるものというふうに考えているところでございます。
里見隆治君 これ、希望に応じてということですから、できるだけ地域で意思を統一していただいてという工夫、また丁寧な説明とコミュニケーションが必要だと思います。県を通じてということでありましょうが、是非、これは効果的な取組という意味で、こうした各農家とのコミュニケーションを深めていただいた上で、是非集合的な、集団的な取組を促すと。これはもちろん強制をするようなものであってはならないという前提でございますが、こうしたコミュニケーションを是非よろしくお願いをいたします。
また、これも確認をした上で御答弁いただきたいんですけれども、今これは愛知県と岐阜県にそれぞれ提案をされているというふうに先ほどお伺いをいたしました。岐阜県の中ではもう既に発生している範囲が広がっているということもありますし、それはもう県境にまで近づいているということから考えますと、今後、これは余り考えたくないことではありますが、愛知県、岐阜県以外でもこうした措置をとらなければならない、そうしたことも想定をして様々な手を打っていかないといけない、また準備をしておかなければならない。そうした意味で、今後、仮に岐阜県、愛知県以外で感染イノシシの発生エリアが拡大した場合に同様の対応となるのか、その点、確認をさせてください。
政府参考人(新井ゆたか君) 今回の対策につきましては、環境中にウイルスが存在している可能性が高いということで、陽性の野生イノシシが確認されております半径十キロ以内の両県の地域を対象にするということでまずは提案を行っているところでございます。
委員御指摘のとおり、仮にその他の地域でもこのような事情が発生したということでございますと、その感染状況を踏まえまして、前向きに対応することになるというふうに考えているところでございます。
里見隆治君 まず、今、岐阜県、愛知県に御提案をされていると、また農水省の職員も現地に入って一緒に対応いただいているということでありますけれども、この提案を受けて、具体的に岐阜県、愛知県からどのような反応、回答があったのか、また調整中ということであれば、どのような調整状況であるのか、その点をお伺いしたいと思います。
政府参考人(新井ゆたか君) 四月末に両県に提案をいたしまして、連休中、両県といろいろな意見交換をやってまいりました。そういう中で、現在では調整中ということでございますけれども、両県の状況について御説明をさせていただきたいと思います。
まず、制度の趣旨、目的、それから詳細な制度の設計でございますね、単価でありますとか、どういうものが支援対象になるのかといったことを、今各県と細部につきまして要望を踏まえながら調整をしているというのがまず第一点でございます。
そういう中におきまして、愛知県とは事業実施のための大枠の調整を終えております。岐阜県につきましては、事業実施のための現場の説明をする段階にまで至っておりまして、五月八日には養豚協会の会長さん、それから市町村会の方々と意見交換するという段階に来ております。これから個別の農家との話合いも県とともにやっていきたいというふうに考えているところでございます。
このように、農家や関係者の方々に沿った対策となるよう細部を詰めながら、それぞれ粘り強く調整を行いまして、より多くの方々が本対策を実施していただくように努めてまいりたいというふうに考えております。
里見隆治君 愛知県の地元の関係者から、スキームの全体像は今お示しをいただいたとおりだと思いますけれども、この支援の対象となる範囲、またメニューですね、最初だけ、早期出荷した際の一時的な費用だけが支援対象となって、その後、まずどのぐらいこの経営再開に対して期間を要するのかと。この期間が余りにも長い場合に、果たして支援をし続けていただけるんだろうかという将来的な見通しと併せて、また、その間の支援がどの程度あるのかということをきちんとお示しいただかないと各農家さんも安心してこのスキームに乗れないといった懸念、御心配を伺っております。
これ今、先ほどは、早期出荷の際の一時的なものではなく、中期的というと長いと思いますけれども、連続的、継続的な支援というふうにも聞こえたんですけれども、果たしてこれが経営が安定するまでの間の支援なのかどうか、もう一度その支援対象となる内容と、それから経営再開まで安心してこのスキームに乗っていただけるんですよという、そういった点おありでしたら、きちんともう一度御説明をいただければと思います。
政府参考人(新井ゆたか君) お答え申し上げます。
今回の対策は、早期出荷の促進と、それから経営対策、空舎期間中のハード、ソフトの支援、さらには経営再開後の母豚の導入の支援というものを組み合わせたということでございます。
したがいまして、まだ細かな仕組みにつきましては農家の方にお示ししていない部分もございますけれども、基本的には経営再開まで皆様が滞りなくできるように、まずは早期出荷奨励金の単価の設定、それから経営再開支援の支払の期間、さらには農家の方にそれらの支援金を支払う時期につきまして特段の配慮をするということを考えておりまして、これらの具体的な内容を更に皆さんにお示ししながら、それから、更にまいりますと、全体の経営再開に至るスケジュールのイメージといったものも示しながら、皆様とこの支援策を使っていただくように更に調整を深めていきたいというふうに考えております。
里見隆治君 今まさに御答弁をいただいた今後の見通しですね、これが立たないということで、現実以上の不安感が現地農家で非常に抱かれていると。
そういうことからしますと、農水省として先行きを見通せるような、これ非常に不確実性が高いわけですけれども、少なくとも政府の対応策についてスケジュール感をお示しいただくことというのが大変重要だと思います。例えば直近の、当面の愛知県、岐阜県へのこの早期出荷の対策についてはこれいつ頃までに決定をするという予定で今調整をされているのか、また、この早期出荷から今後個別のそれぞれの農家で経営再開までの期間、これをどのように見込んでおられるのか、もう一度改めて確認をしたいと思います。
政府参考人(新井ゆたか君) まず、この対策をいつまでに実施をするかということでございます。できるだけ早く実施をしたいということが我々の思いでございます。野生イノシシにおける豚コレラの感染が継続しているということでございまして、生産農場へのウイルスの侵入リスクが高い状況が続いているということでございます。したがいまして、それぞれの、国におきましては、この予算事業につきましては直ちに支出できる状況に既になっているということでございます。
こういう中、大枠について調整が進んでおります愛知県におきましては、六月の補正予算を組む方向で検討をしているということを承知をしておりまして、それぞれできるだけ早く農家の方々に支援が行われる体制をつくってまいりたいというふうなことを考えております。
それから、経営再開に向けたイメージということでございます。これは、各県との調整の中でもそれぞれどういう段階でどういうことが行われているのかということをやはりそれぞれ共有しながらやっていきたいというお話がございましたので、今、これから半年あるいは一年たったときにどのようなステージになるのかというイメージを図に示しまして、それを示しながら農家の方々と話をしていきたいというふうに考えているところでございます。
里見隆治君 今おっしゃったように、これは県も、県だけで判断できるものではなくて、関係者の理解の上に、また協力の上に進められるものだと、また判断できるものだと思います。
その意味で、これは冒頭御説明を、答弁をいただきましたけれども、県とのやり取りだけではなくて、そろそろこれはしっかり養豚農家また関係者の説明、これを農水省もしっかり出先に出っ張ってしっかり説明を丁寧に進めていただきたいと思います。
この辺のお取組状況、また今後どうされるのか、お伺いをいたします。
政府参考人(新井ゆたか君) まさに御指摘ありましたとおり、農林水産省も県あるいは農家の方々への説明というのもしっかりやっていこうというふうに考えているところでございます。
愛知県とは、愛知県が農家の方への説明をしていただいているということでございまして、県との調整ということでございますが、岐阜県につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおり、それぞれ養豚農家の代表者でありますとか、各市町村の代表者、あるいは獣医の関係者の方々の説明会に農水省からも出向いております。さらに、来週にかけましては、今県と相談をいたしまして農家の方々への説明にも一緒に行こうということになっておりまして、そういう意味では、丁寧な説明に心掛け、生産者の皆様方の不安を払拭していきたいというふうに考えているところでございます。
里見隆治君 せっかく個別の農家さんとお会いいただけるということですから、もちろん今回の、当面はこの早期出荷の対策ということでしょうけれども、これはワクチンへの要望ということもありますし、また殺処分というようなお話もありますので、そうしたこれ以外の様々な意見、そうした御要望も是非お受けいただきたいと、そのように希望します。
これは最後大臣にお伺いをしたいと思うんですけれども、例えば、これ今、愛知県といっても、これは感染野生イノシシが発生している範囲ということですから、愛知県でいえば南の方の渥美半島、田原市は原則としては入っていないということだと思います。そうすると、むしろ田原市の方は、我々は何ら対策がないのかというような、また御不安の声もございます。
そうした中で、これは、今、早期出荷対策ということでフォーカスを当ててやってはいただいておりますけれども、それ以外にも次はどういった策を講じてもらえるのかというふうに待っておられる農家の皆さんがいらっしゃるということ、是非念頭に置いて現地に入っていただきたいと思います。
私自身、この豚コレラの問題、昨年十一月から本委員会で質問させていただいておりますけれども、発生当初から、これは当初、どちらかというと、これ私の印象ですけれども、国というよりは県の責任として、まず県がというような趣旨の御答弁がある中で、私は初動が遅れてきたのではないかなと率直に思っております。
そうした中で、県の判断に任せるのではなく、国としても前面にと、これは二月、三月とそういった体制強化はしていただいておりますけれども、精神面においてのみならず、しっかりと行動でそれを表していただきたいと、そのように考えます。
吉川大臣は、四月二十六日の記者会見で、どうしても豚コレラが防げないという状況になれば、早期出荷が考えられ、さらには予防的殺処分、最終的にはワクチンも考えられますと、提案を順序立てて申し上げ、相談しているところだというふうに御発言をされています。
これ、ワクチン接種をすぐにはしないということであれば、今回の早期出荷もそうですけれども、豚コレラ終息に向けた道筋を適切に適時に示していかなければ、もう既に現場は耐え切れない状況だと思います。最後に大臣に、この豚コレラ問題、終息に向けての決意をお伺いいたします。
国務大臣(吉川貴盛君) 今、里見委員におかれましては、それぞれ各般にわたって細かな部分につきまして議論をしていただきました。
いずれにいたしましても、今、愛知県、岐阜県と様々な形で議論もさせていただいておりまして、この終息に向けていろいろな手だてをこれからやっていこうと、そういったことの一つが早期出荷を今促しているところでもございます。
安定した養豚経営を実現をしていくために、先ほどからも申し上げてまいりましたけれども、一定地域の農場に対する早期出荷の促進による空舎期間の設定、さらには空舎期間中のハード、ソフトの支援、そしてまた、経営再開のための母豚の再導入の支援等によりましてバイオセキュリティー向上を図る新規対策案を両県に今提案をしたところでございますので、早急にこれを進めていきたいと、このように考えております。
両県に対しましては、早期出荷により農場の飼養衛生管理基準の向上を図るという本対策案の目的を共有をしていただきまして、その実現に向けて繰り返しまた協議も行ってきているところでございまするけれども、国が前面に立ちまして蔓延防止と経営再開に向けて総合的な対策を講じることによりまして、豚コレラの終息に向けて最大限努力をしていきたいと考えています。
里見隆治君 よろしくお願いします。
以上で質問を終わります。