議事録
里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
私から、まず法案に入る前に二点、大臣に御質問したいと思います。
まず、私からも一問だけ豚コレラについて確認をさせていただきます。
豚コレラ対策については、一昨日も本委員会で決議をいたしました。まずは、これについてしっかり政府で御対応いただくということだと思います。
この決議においては、国内対策、そして水際対策を主な内容としておりますけれども、ちょっと視点をもう少し広げまして、これはやはり、これからのアフリカ豚コレラのことも考えますと、これは中国、ベトナム、そしてモンゴルという、あちらの大陸の方にも視野を広げていかなければならない、その意味で国際的な取組をどう日本も技術協力的なことも含めてやっていくべきかと、その点よく考えていかなければならないと思います。
今年は、ちょうど日本はG20の議長国にも当たっております。また、先ほど大臣からもお話がありましたとおり、G20農業担当大臣会合も五月にホストをされるという予定で、今後日本がリーダーシップを取って様々な国際的な枠組みで協議をできる、そうした機会も増えてくるものと考えられます。
私、別の委員会で、特別委員会、ODA特別委員会に所属をしておりまして、同様の趣旨で先般農林水産省にも御質問いたしましたけれども、特に中国との関係におきまして、現在経済問題でも大臣レベル含めての対話を進めていただいているということでございます。
経済、様々な問題ありますけれども、特に今問題となっております豚コレラ、さらにアフリカ豚コレラの感染、こうしたことが、こうした脅威が目前に迫っているという状況下で、アジアというこの広範な地域での感染拡大の防止という観点から、更に日中間の連携、また技術的な面での協力を進めていくということが大変重要かと思います。これについて大臣の御所見をお伺いいたします。
国務大臣(吉川貴盛君) 我が国は、口蹄疫あるいは豚コレラなどの汚染圏であるアジアの国々に取り囲まれております。これらの疾病の我が国への侵入を防ぐためには、水際対策を強化するだけではなく、疾病の発生国との協力によって我が国への侵入リスクを下げる取組が重要でございます。里見委員御指摘のとおりであろうかと思います。
そこで、二国間、複数国間、多国間など様々な枠組みを活用した取組を実施しているところでございまするけれども、特に中国との関係におきましては、日中韓三か国の農業大臣会合で署名をいたしました協力覚書に基づきまして、平成二十七年以来連携を進めているところでもございます。昨年十一月には、私自身がこの大臣会合に出席をいたしまして、アフリカ豚コレラを始めとした越境性動物疾病の蔓延防止に向けてより一層協力関係を強化していくことを合意もいたしたところでもございます。
また、国内唯一の動物衛生に関する研究機関でもあります農研機構動物衛生研究部門は、中国の研究所と越境性動物疾病の対応につきまして、日中の農業協力関係を深めるため、平成二十八年に覚書も締結をいたしておりまして、共同研究、技術協力、研究者の交流等も行っております。
さらに、国際獣医事務局を通じまして、多国間の取組として、昨日、北京で第一回アジア地域アフリカ豚コレラ専門会合が開催をされまして、当省からも担当者が出席した上で、今後、アジア地域の連携の強化に向けまして、継続的に対策を協議、議論していくことも決定をされたところでございます。
あらゆる機会を通じて、今後とも周辺国との連携協力を進めていきたいと思いますし、我が国におけるこの越境性動物疾病侵入リスクの引下げを図ってまいりたいと存じます。
里見隆治君 大臣から、あらゆる機会を通じてと御答弁をいただきました。このアジアの地域全体を視野に入れて、中国を始めとしたアジア諸国との協力、また技術的な面での協力、連携を何とぞよろしくお願いいたします。
もう一点、法案に入る前にもう一問だけ聞きたいと思います。
先月の本委員会においても、大臣に農福連携についてお伺いをいたしました。大臣も大変積極的な姿勢をお示しをいただきまして、先週四月五日に発表されておりますとおり、今月にも農福連携の推進会議を立ち上げて、政府を挙げて推進をされるというふうに伺っております。
これを具体的にどのようにお進めいただくのか大臣にお伺いしたいと思いますけれども、例えば、これ、レクを受けましたところ、今後会議を開いて有識者からもヒアリングを受けますということでございました。確かに、有識者のヒアリングということも大事かと思いますけれども、実際現場で携わっておられる方がどのような点を困難に、また障害に捉えられているのかというところをよく聞いていただきたいというふうに思います。
私、昨年、東京都の多摩地域の農福連携の取組を視察に参りました。これは一つの例ですけれども、障害者の方でなかなか移動が難しいという中で、畑の中に簡単なトイレというよりもう少し休憩所に近いような施設を設置したいと。しかし、地元で当局に、農地の利用規制について地元の農業委員会から大変厳しく指摘されるので、少し離れた場所にそうした休憩施設を設置せざるを得なかったと、そんなことも伺いました。ただ一方で、農水省の方に聞くと、いやいや、これはある程度柔軟に対応いただけることになっていますよというお話でして、この当局、本省と自治体、農業委員会との間にギャップを感じる点もございました。
しっかり柔軟な運用が可能だということは農水省としてお示しをいただいて、現場でもう少し柔軟に動いていただけるような、そんな対応も必要ではないかと思います。
この点は指摘だけにとどめますけれども、大臣には、今後こうした現場の視点をしっかりと踏まえての御対応を御推進をいただけると、その点について確認をさせていただきたいと思います。
国務大臣(吉川貴盛君) 農福連携には、障害者の皆さんに農業で活躍してもらって、自信や生きがいを持って社会に参画していただくための取組であると思っております。農業者、障害者双方に良い影響をもたらすウイン・ウインの私は取組であろうかとも思っております。
私自身も、実際に農福連携に取り組まれている現場を幾つか視察もさせていただきました。お話を伺っておりますと、その真摯な取組に大変感銘を受けた部分がたくさんございます。今国会の大臣所信におきましても、そういったことから農福連携を今後の農業政策の中心の一つに据えて展開すべき取組と申し上げたところでもございます。
今般、この農福連携につきまして、全国的な機運の醸成を図って、今後強力に推進していく方策を検討するために、菅官房長官を議長といたしまして、私と根本厚生労働大臣を副議長とする農福連携等推進会議を設置することとされたところでもございます。
当省といたしましても、農業が障害者の皆さんにとって生きがいを持って就労できる場となりますように、この会議で主導的な役割を果たしていきたいと思いますし、農福連携を強力に推進をしてまいりたいと存じます。
日本農業賞を獲得をされた京丸園という大変すばらしい農業を営んでいるところがございますが、百人の従事をしている社員の皆さんの中で、その四分の一が障害者の方だと言われております。その作業の過程の中でラインを、障害者に優しいラインを自らつくられて、そういった作業をしていただいているということでもございますので、そういったことも、細かい部分も含めながらこれからの農福連携の中にしっかりと私どもも注視しながら生かしていければなと、このようにも思います。
里見隆治君 大臣、是非よろしくお願いいたします。
それでは、法案について御質問をいたします。
前回の平成二十六年における改正、またそれ以降の五年間の効果、これらについては、当初質問を予定しておりましたけれども、るる質疑応答ございましたので一部省かせていただきますけれども。
去る二月一日には、日EU・EPA等の発効を受けまして、省令改正で菓子製造業等が対象業種として追加をされたと。したがって、この法律の枠組みによって更に現場を守っていくと、そのことについて私も期待をしているものでございます。
こうした中で、五年前の前回改正時に規則改正をその直後行った、地域の農産物の利用の促進又は地域の農産物の特色を生かした農産加工品の生産の促進に資するものであることという条件を経営改善計画、この承認に当たっての基準として追加をされたと、これは大変重要な点であろうかと思います。先ほど来、国内の農業生産とのリンクの中で、農業生産も農産物の生産も、そして加工業の振興も両者をにらみながら図っていくと、そのことが非常に重要な視点であろうかと思います。
この規則改正によって、その意義、またその結果どのような効果が得られたのか、その点を答弁願います。
政府参考人(塩川白良君) 今委員御指摘いただきましたように、特定農産加工業者に国産農産物の積極的な利用を促していくことが非常に重要だというふうに考えておりまして、実は、平成元年の法制定当時から、計画の承認基準として地域の農業の健全な発展に資するものであることという要件を課しておりまして、その具体的な運用として現状以上の国産農産物の利用を促してきているところでございますが、二十六年の九月に省令を改正しまして、特定農産加工業者と農業者の連携を更に促進するという観点から、地域の農産物の利用の促進又は地域の農産物の特色を生かした農産加工品の生産の促進に資するものであることということで、計画の承認基準として明確に位置付けをしたところでございます。
委員今御指摘いただきましたこの省令改正の効果でございますが、実は、計画の多くが実は五年間という、そういう事業期間を設けているものですから、なかなか省令改正後の融資を受けた事業者の国産農産物の取扱量の変化について、現時点ではまだちょっと把握できていないところでございます。
ただ、先ほどちょっとお話ししましたように、平成三十年度に日本政策金融公庫が行った調査によりますと、これは省令改正前でございますが、二十四年度の融資先三十三事業者、この農産加工品の原料の国産農産物の取扱量が五年後には一九%増加をしております。
したがって、前回の省令改正後の融資先につきましても、これと同様に国産農産物の取扱量が増えていくという効果があるのではないかなというふうに期待をしているところでございます。
里見隆治君 是非ここはフォローアップをしていただいて、地域また国内の農業の利用促進という点と併せての推進をお願いしたいと思います。
この点に関してもう一つ教えていただきたいのが、特定農産加工業に係る農産加工品における国内生産の割合について、これは現状どの程度の割合を占めているのか。また、現状はお答えいただくとして、農産加工品における国内の政府において目指すべき目標といったものを定めて推進をされているのか。これは高野政務官にお伺いしたいと思います。
大臣政務官(高野光二郎君) 御質問ありがとうございます。
日本政策金融公庫が、平成元年度から二十九年度までに公庫から融資を受けた特定農産加工業者に対し、国産農産物の利用状況について聞き取り調査を行いました。そうすれば、現在使用量は約一万七千トンのうち、国産農産物は約一万四千トンであり、国産の割合は八割でございました。
里見議員御指摘のとおり、国産、とりわけその地域の農産物を使っていただくということは大変重要だと考えておりまして、本法の支援措置を受けた特定農産加工業者が国産農産物の取扱量を現状より標準的な計画期間の五年間で二割増加させることを目標といたしております。
本法に基づく支援を通じて、引き続き特定農産加工業の国産農産物の利用を促進し、地域農業の振興を図ってまいりたいと考えています。
里見隆治君 もう一つ、別な観点なんですけれども、この指定を受けた場合に、計画が認定された場合に税制上の措置を受けることができると。これ地方税と国税とあって、地方税についてはるる御説明がありましたが、実は平成二十八年の三月末で廃止されていた生産設備の特別償却制度ですね、これが所得税法改正により廃止をされているということでございます。したがって、五年前のこの審議の場ではまだ現存していたわけですけれども、これについて、廃止された理由と、その後、特段問題は生じていないのかどうか、併せてお伺いしたいと思います。
政府参考人(塩川白良君) 今委員御指摘いただきましたように、平成二十七年度をもって廃止された特定農産加工品生産設備の特別償却、これについては、経営改善計画に従って機械や装置を取得した場合に三〇%の特別償却ができるというものでございました。
この制度は、実は中小企業投資促進税制という、より有利なメニュー、これ実は一〇〇%特別償却できるという、こういうものが充実をしたものですから、逆にこの特定農産加工設備の特別償却の方が使われなくなるんじゃないかということで廃止をしたところでございます。したがって、より有利なものがあるものですから、特段の支障はなかったというふうに考えております。
なお、税制の在り方につきましては、社会経済情勢や政策ニーズの変化を踏まえまして、適時適切に見直しが行われていくものだというふうに承知をしているところでございます。
里見隆治君 中小企業対策として、別途しっかりとした支援がされているということでございました。
これ、私、先ほども幾つか論点として出ておりましたけれども、この特定農産加工業に限定せずに、やはり我々は食品製造業全体を見ていかなければならないというふうに思います。
今日、お手元に資料を配付させていただいております。いずれも農林水産省からいただいた資料でございますが、結局、食品製造業全体というのは非常に生産性が低いということが言われております。したがって、もちろん、この特定農産加工業についての支援、これはこの法律によって特別に支援をしていただくとして、我々は、やはり問題意識として、この食品製造業全体の生産性の向上を図っていくべきだと。
まず、今日配付をさせていただいている資料も含めまして、食品製造業の生産性についてどのように認識をされているか、お伺いしたいと思います。
政府参考人(塩川白良君) 食品製造業につきましては、多品種少量生産で労働集約的な作業が多いということから、他業種に比べまして生産性が低く、全製造業平均の約六割というふうな状況になっております。また、労働生産性は、製造業全体では中小企業の方が大企業よりも低いというのが一般的でございますが、実は食品製造業では大企業でも低くなっているという状況でございまして、労働生産性の低さは中小企業だけの課題とは言えないというふうに考えているところでございます。
このため、食品製造業におきましては、規模のいかんにかかわらず、新たな設備投資や経営改善の取組を促進し、生産性向上を図ることが重要であるというふうに認識をしているところでございます。
里見隆治君 こうした労働生産性の向上と、また一方で、先ほどもお話がありましたが、労働力確保と、こうした努力をされている中で、昨年の臨時国会でも私、ここでも質問しましたが、いよいよ特定技能による外国人の受入れということが本年度始まっていくわけでございます。
そのときに、私もくぎを刺す意味で質問いたしましたが、しっかりと生産性向上、また労働力確保、国内人材の登用と育成ということもしっかりやった上での外国人の受入れだということは確認をしておりますけれども、まずこの四月に入国管理法の施行がもう既に行われておりまして、技能実習からの移行については始まっていると。また、十月から、海外から新規に受け入れるための特定技能実習試験が開始をされるということでございます。その辺の状況、また準備状況についてお伺いをいたします。
政府参考人(塩川白良君) 飲食料品製造業分野におけます在留資格、特定技能の制度につきましては、今委員御指摘いただきましたように、本年四月から開始されたところでございまして、当面、技能実習二号修了者からの移行が見込まれているところでございます。また、技能測定試験を本年十月以降に国内外で実施することとしておりまして、今後、具体的な実施場所、それから日程につきまして決定をしていきたいというふうに考えております。
農林水産省としては、飲食料品製造業分野において即戦力となる技能を有する外国人材が早期に確保できますように、関係省庁と連携しながらしっかり準備を進めてまいりたいと考えております。
里見隆治君 私、外国人の受入れは、まあ業界的には非常に急いでおられる方もいらっしゃいますけれども、これは準備をしっかり整えて、準備万端整えて受け入れていくということが必要だと思いますので、特に技能実習からの移行分というのは、それなりに、むしろそこに滞りがあるとかえって御迷惑をお掛けするということがありますけれども、十月実施ということを予定してということですけれども、しっかりとした準備をお願いしたいと思います。
こうした生産性の向上、そして労働力の確保、これは、国内のみならず、外国人の受入れということもいよいよ今年度始動するという中で、これらの三つの項目をうまくバランスを取ってこの食品製造業について振興を図っていくと、これが、私ども、日本社会の課題の一つだと考えます。
そこで、大臣に最後にお伺いいたしますけれども、本法案の対象者は特定農産加工資金などによって設備投資の促進が期待をされております。しかし、食品製造業全体について、この生産性向上、また賃金の引上げ、そして労働力確保、これらを同時に進めていくような環境整備、これについてどう取り組んでいかれるか、大臣の御決意、御認識をお伺いしたいと思います。
国務大臣(吉川貴盛君) 食品製造業は、多品種少量生産で労働集約的な作業が多いために、その生産性は全製造業平均の約六割にとどまっております。
このため、農林水産省におきましては、食品製造業の生産性向上に向けて昨年の四月に食品産業戦略を策定をいたしました。それは、ロボット、AI、IoT等の活用実証への支援、さらには専門家による工場診断等への支援、食品事業者の生産性向上に対する意識改革等を目的といたしました研修会の開催等の取組を推進をしているところでございます。
また、飲食料品製造業におきましては、この人手不足がほかの製造業にも増して高いことから、本年四月から、新たな在留資格制度であります特定技能の対象として、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を受け入れることにもいたしたところでございます。
こうした措置に加えまして、特定農産加工法による支援措置を活用いたしました生産性向上に向けた施設整備ですとか機械の取得なども促進をいたしておりますので、これらの施策によりまして食品製造業全体の体質強化というものをしっかりと今後とも図ってまいりたいと存じます。
里見隆治君 よろしくお願いします。
以上で質問を終わります。