ODA特別委員会で河野外務大臣等に質問

2019.03.20 00:08(6年前) ブログ国会質疑 |里見りゅうじ(里見隆治)

3月19日、ODA特別委員会で河野外務大臣等に質問。
中国に40年間実施してきたODAについての評価、今後アジアで広域的に取り組むべき豚コレラ、アフリカ豚コレラなどに対する動物検疫、感染症対策等についてアジア諸国と如何に協力していくか質しました。
また、海外における日本語教育の重要性について河野外務大臣の見解を伺いました。

 

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議事録

里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、対中国のODAについてお伺いをいたします。
 一九七八年日中平和友好条約が結ばれた翌年、一九七九年になりますが、中国に対するODA、対中ODAが開始をいたしました。以来四十年間これを継続してきたわけでございますが、先ほど河野外務大臣からお話がございましたとおり、昨年十月の安倍総理訪中の際、対中ODAの終了が発表されたわけでございます。
 まず、これまでの対中ODA四十年を振り返って、その実績、意義、効果をどのように評価をされているか、外務省にお伺いをいたします。

政府参考人(梨田和也君) 一九七九年に開始しました対中ODAは、中国沿海部のインフラのボトルネック解消、あるいは環境対策、保健医療などの基礎生活分野の改善、人材育成などの分野で実施してきました。昨年秋の総理訪中の際に、中国の改革・開放四十周年を契機に対等なパートナーとしての新たな次元の日中協力を推進すべきとの考えの下、二〇一八年度をもって全ての対中ODAの新規採択を終了することといたしました。
 対中ODAは、中国の改革・開放政策の維持促進に貢献するとともに、日中関係を下支えする重要な柱の一つとして強固な基盤を形成する意義及び効果があったものと考えております。

里見隆治君 ありがとうございます。
 この対中ODA、四十年継続する中で、当初、経済インフラ整備を通じて中国の経済の安定的な発展、これに寄与をし、そして中国の投資環境が整ったところで日本企業の中国進出を後押ししたと、そうした意義もあろうかと思います。
 さらに、近年は、今御答弁ありましたように、環境、また私、感染症対策なども注目しておりますけれども、こうした分野での技術協力等を通じまして、日本にも悪影響を及ぼすこうした感染症、こうした対策を行って、中国にも、また翻って日本の利益にもつながったというふうに評価をいたしますが、この点、外務省、いかに評価をされていますでしょうか。

政府参考人(梨田和也君) 中国に対する支援の大部分を占めておりました円借款及び無償資金協力を二〇〇七年までに終了した後も、今委員御指摘の感染症対策など、我が国国民が直接裨益する真に必要と認められるものに限って支援を実施してきました。
 感染症対策分野におきましては、西太平洋地区でポリオ患者の八五%を占めていた中国のポリオ撲滅に貢献したポリオ感染症対策支援、我が国の感染症輸入リスク軽減にも貢献したパンデミックインフルエンザなど新興・再興感染症等対策支援を実施してきました。
 また、中国に対する最初の無償資金協力として建設した中日友好病院は、二〇〇三年のSARS発生時に重症患者の受入れ指定病院に指定されるなど、中国の感染症対策の重要な拠点となっております。
 このように、御指摘の感染症対策の分野においても対中ODAは着実に成果を上げてきたものと評価しております。

里見隆治君 ありがとうございます。
 この感染症について、特に今日は深掘りをして御質問したいと思います。
 今、ちょうど昨年の九月から日本国内で豚コレラの感染が広がっていると。またさらに、中国やモンゴル、ベトナムで発生をしておりますアフリカ豚コレラ、これは豚コレラよりも更に病原性が強く、また現在ワクチンや治療法がないということでありまして、その脅威にさらされているわけでございます。また、数年前には鳥インフルエンザ、こうした事案を考えますと、感染症の中でも特に動物検疫や獣医・畜産分野での協力というのは大変重要と考えます。
 これまでアジアを中心に動物検疫、獣医・畜産分野でどのような協力事例があったか、外務省、更にございましたらお願いいたします。

政府参考人(梨田和也君) 御指摘の分野におけるアジア地域における実際の協力事例としましては、例えば、ミャンマー・ヤンゴン市の国立口蹄疫研究所において、口蹄疫診断、ワクチン製造に係る施設及び機材を整備いたしました。また、モンゴルの国立生命科学大学獣医学部の新たなカリキュラムの整備、教員の指導、あるいは獣医・畜産分野人材育成能力強化プロジェクト、さらに三番目としてキルギスにおける生乳生産工程における搾乳衛生技術の改善を図るプロジェクト、こういった具体例が挙げられます。

里見隆治君 ありがとうございます。
 同様に、国境を越えた動物疾病に対する対応ということで伺っておりますと、例えば日本と中国、韓国の間で動物疾病に関する大臣レベルの覚書を結び、協力をして進めているといった事例も伺っております。こうした点も含めて、農林水産省としての具体的な取組事例についてお伺いをいたします。

政府参考人(小川良介君) お答え申し上げます。
 ただいま委員御指摘ございましたように、我が国は、口蹄疫あるいは豚コレラなどの非清浄国であるアジアの国々に取り囲まれております。これらのいわゆる越境性の動物疾病の我が国への侵入を防ぐためには、水際対策を強化するだけでなく、疾病の発生国との協力によって我が国ヘの侵入リスクを下げる取組が重要と認識しております。このため、二国間、あるいは複数国間、さらには多国間など、様々な枠組みを活用した取組を実施しているところでございます。
 具体的に申し上げますと、二国間の取組としては、例えば平成二十八年に日韓の高病原性鳥インフルエンザの防疫対策に関する会議を開催しまして、我が国の生産者が安心して早期に通報できる体制を韓国側に紹介をしております。
 また、先ほど御指摘のございました日中韓の三か国では、例えば、平成二十七年に農業大臣会合で署名した覚書に基づきまして、各国の口蹄疫の検査技術を統一いたしました。
 さらに、動物の疾病に関する国際機関でございます国際獣疫事務局、OIEを通じた多国間の取組といたしまして、アジア各国の口蹄疫制御のためのロードマップの作成を支援したほか、本年四月にはアジア地域のアフリカ豚コレラの専門家会合を開催し、防疫戦略、診断技術、国際検疫措置等を話し合う枠組みを立ち上げる予定になっております。
 これらの取組を通じまして、周辺国の越境性動物疾病のリスクを下げる取組を行ってまいりたいと考えております。

里見隆治君 こうした御答弁を踏まえて、外務大臣にお伺いをしたいと思います。
 まず、直接御通告はしておりませんけれども、これまでの四十年間の中国へのODAについて、これを振り返っての御評価をいただいた上で、今深掘りをさせていただいた感染症対策、特に昨年来の豚コレラ、アフリカ豚コレラの脅威もある中でのアジア各国への技術協力、また、中国ともこれからまたODAという形ではない連携によりこうした感染症対策、拡大防止策を行っていく必要があるというふうに考えておりますけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。

国務大臣(河野太郎君) この中国への日本のODAの供与は、中国の改革・開放と重なりまして、中国の経済発展に非常に貢献をした、そう言っていいかと思います。
 昨年、先ほども申し上げましたように、安倍総理から、対中ODA、新規の供与は二〇一八年度で最後とするという話を申し上げたときに、習近平国家主席から、日本のODAによる貢献に非常に感謝の言葉があったわけでございます。そういう意味で、この中国の改革・開放を日本のODAはしっかりと支え、中国の発展を支えてきたというふうに言ってよろしいかと思います。
 また、アジア地域におけるODAによる獣医学分野での人材育成ですとか家畜の衛生改善、疾病防除に関する支援というのは、中国を始め様々なところで高く評価されてきていると言ってよろしいかと思います。
 中国はODAを終了し、今後、日中、対等なパートナーとして様々な協力をしていこうということでございますので、こうした保健衛生あるいは家畜のこうした疾病対策などに関しても、地球規模で日中が協力をしていける分野というふうに思っております。
 ODAあるいは非ODAにかかわらず、こうした分野でしっかりと感染症対策を日本としても今後力を入れてまいりたいと考えております。

里見隆治君 ありがとうございます。
 中国とは新しい段階に入ったと。パートナーシップを持って、パートナーとしてこのアジア、また世界を引っ張っていく。そうした日本の立場、役割を期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、海外における日本語教育についてお伺いをしたいと思います。
 海外との人の往来がますます拡大をする中で、今申し上げました日本語教育の重要性、更に増していると思います。
 昨年十二月に政府が決定をいたしました外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策においても、海外における日本語教育基盤の充実がうたわれております。
 海外における日本語教育については、これは決して相手国に押し付けるというようなものとなってはいけないというふうに考えますけれども、したがいまして、これまで外務省の事業の中では、国際交流基金による事業などが一定の役割を果たしてきたというふうに承知をしております。その上で、JICAにおける日本語教育支援というのは、これは開発途上国の要請に基づいて開発協力の一環として実施されたものであるというふうに承知をしております。
 これまでのODAの事業として日本語関連事業としてはどのような実績があるのか、外務省にお伺いをいたします。

政府参考人(梨田和也君) ODA事業の一環としての日本語関連事業としては、例えば、文化無償資金協力を通じたもの、あるいはJICAの行う青年海外協力隊、あるいは日系社会支援などを通じて行ってきております。
 具体的には、草の根文化無償資金協力では、これまで四十七か国八十三件の事業に対して日本語教育機関への機材あるいは施設の整備などを支援しております。また、青年海外協力隊は、これまで七十か国に対して約三千人の隊員を派遣して、現地教育機関における日本語教育の実施、日本語コースの新規立ち上げ、あるいは日本語、日本文化の学習を通じた日系社会の人材育成などを行ってきております。
 加えまして、海外の日系人に対して日本語教育を含めた研修を実施しており、平成十七年度以降三百十四名を受け入れております。また、海外における移住者の団体に対して日本語教育支援などの助成金事業を実施しており、平成十七年度以降約五億円を助成してきております。

里見隆治君 今御答弁をいただいたODAの事業、これにかかわらず、日本語教育というのは、その要請をされている諸外国においても利益を生む、また私ども日本サイドにとっても利益にかなうという観点からしますと、今後さらに、海外での日本語関連事業、これを広げていくべきというふうに考えます。
 これはODAに限らない話でございますけれども、海外における日本語教育に関する河野外務大臣のお考え、また今後の方針についてお伺いをいたします。

国務大臣(河野太郎君) 最近、日本の漫画、アニメが入口となって、日本語に対する興味あるいは日本の文化に対する興味というのがいろんな国で広がっているようでございます。
 フランスの漫画熱なんというのは昔から言われておりまして、谷口ジローさんなんかが非常に高く評価されておりましたが、思いもよらぬ国に行って、いや、うちでは日本語が外国語の中で人気ナンバーツーだみたいなことを言われると、びっくりして、これは何かやらにゃいかぬなと思うことがしばしばあるわけでございます。
 日本語を学ぶということは、その向こうの日本あるいは日本の文化についても興味を持ってくれる、あるいは理解を示してくれるということで、非常に重要な外交のツールでもあるわけでございます。もちろん、語学ですから、押し付けたところでやる気がなければうまくならないというのは、多分、ここの部屋にいる方の多くはいろんな外国語で実際に経験をされているんではないかというふうに思っておりますが、これまで国際交流基金と連携をして、四月から始まります新制度のための日本語のテストの開発みたいなことも外務省として関わってまいりました。そして、開発途上国における文化、教育の振興を目的として、草の根文化無償というようなもので、様々な日本語教育に関連する機材ですとか、ソフト、人材、いろんなものの支援というのをやってまいりました。
 こういうソフトな、何というんでしょうか、ツールでの日本の理解を広めるというのは非常に大事ですし、結構根が深く張れるものだというふうに思いますので、ここはしっかりやってまいりたいというふうに思っております。ハードウエアを整備する、あるいは機材を送るということだけでなく、この教え方とかあるいはソフトウエア、そういうことも含め、少し真剣に考えていきたいというふうに思っているところでございます。

里見隆治君 今大臣が御答弁をいただいた漫画大賞ですけれども、私も二月下旬の表彰式に参加をさせていただき、本当に、アジアまた中東の方含めて、本当に日本のものかと思えるような、またそれ以上のものを拝見をして、大変感銘を受けたわけでございます。
 そういった意味で、日本語だけということではなくて、あらゆる行動様式、また文化交流の中で、日本語、また日本文化への理解も深まっていくのだろうというふうに大変その行事を通じて感じたわけでございます。
 今大臣からも御答弁ありましたように、日本への理解、また日本語の普及という点で、また外務省に更に御努力、御尽力いただくことをお願いをいたしまして、質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。

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