農林水産委員会で豚コレラ対策などについて質問

2019.03.14 00:43(6年前) ブログ国会質疑 |里見りゅうじ(里見隆治)

3月12日、農林水産委員会で吉川農林水産大臣はじめ農林水産省に、豚コレラ対策などについて質問。
ここに至るまでの1ヶ月間、愛知県田原市の辻ふみこ市会議員を通して現地の状況をつぶさに直に知り、また、前日11日には、第3回目の党豚コレラ対策本部を開催して、現場のご要望をダイレクトに役所の担当に投げかけました。

その上での委員会質問です。

目下、現場の養豚農家に必要なのは、経営再建に向けた経済支援。国も支援制度を拡充し、また、愛知県も補整予算でつなぎ融資など支援しています。また、住民の目線で、豚の殺処分後の住環境などについて、さらに空港等での水際対策についても質問。

また、中期的に中国などで猛威を振るうアフリカ豚コレラへの対策としてワクチンの研究開発、感染に耐えうる防疫のための衛生管理基準の徹底遵守など、さらに近年増加してきた野生イノシシの数、生息地域をどうコントロールできるか、という観点でも議論しました。

 

農林水産委員会で吉川農林水産大臣はじめ農林水産省に、豚コレラ対策などについて質問農林水産委員会で吉川農林水産大臣はじめ農林水産省に、豚コレラ対策などについて質問党豚コレラ対策本部を開催 愛知県田原市の辻ふみこ市会議員を通して現地の状況をつぶさに直に知り 農林水産委員会で吉川農林水産大臣はじめ農林水産省に、豚コレラ対策などについて質問

議事録

里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
 まず、豚コレラ対策について御質問をいたします。
 昨年九月に岐阜県で患畜が確認をされてから半年余りが経過をいたしました。先週も養豚場で豚コレラの発生が確認されるなど、まだまだ安心できない状況が続いております。被害に遭われた養豚農家の皆様に改めてお見舞いを申し上げますとともに、これから、まさに被害に遭われた農家の皆さん、経営再建に向けて動かれるわけでございます。私どもはしっかりお支えをしていきたいと、そのような決意に立って質問をさせていただきます。
 私もこの農林水産委員会において、昨年の十一月、十二月と二回にわたって豚コレラへの対応について、吉川大臣始め農林水産省にお伺いをしてまいりました。
 そしてさらに、先月二月の六日、愛知県での発生、そして五府県にも拡大をというその直後に、私ども公明党としまして、豚コレラ対策本部として吉川大臣に感染防止対策の徹底など、六項目について緊急の申入れを行い、大臣にも御対応いただいておりますこと、感謝を申し上げたいと思います。
 これまで、私の地元愛知県で殺処分を余儀なくされた養豚農家や周辺の農家、また住民の皆様から様々な御要望、御意見をいただいております。本日は、そうした点も踏まえて質問をしてまいります。
 本日も、もう数次にわたり御質問、また御答弁いただいておりますが、その中で、飼養衛生管理基準を国、農林水産省が定め、そして各都道府県が自治事務としてこの基準に基づく個別の農場への指導などを行うという仕組みから、どうしても制度的にはまず自治体による対策となっている、これは通常であればやむを得ないわけでございます。
 しかしながら、今回のように、初め岐阜県で発生をして、それが五府県に広がっていくという過程で、しかも二十六年ぶりというかなりインターバルを置いての発生でございますので、各県もその知見、また経験もばらつきがある、そういう中で国がいち早く前面に出て対応する必要があったと、それは振り返ってみて改めて感じる点でございます。そのことを私も昨年から申し上げてきたわけでありますが、一たび豚コレラ発症が発見されれば国が真っ先に前面に出ていく、そのことを徹底をいただきたいというふうに考えます。
 そこで、高鳥副大臣にお伺いをいたします。
 副大臣には、既に愛知県、また岐阜県に御訪問をいただき、現地の実情、お聞きをいただき対応いただいていること、大変感謝を申し上げたいと思います。
 その上で、今申し上げましたような感染拡大防止対策について、一度発生してしまった局面での国と県の役割分担の在り方、これについて御見解をお伺いいたします。

副大臣(高鳥修一君) 里見委員にお答えをいたします。
 今回の豚コレラ対応に際しましては、私も、今委員御指摘のとおり、岐阜県における二例目の発生を受けまして、昨年十一月二十一日に岐阜県庁を訪問し、新たな発生予防のための対策の徹底が必要であるとの認識を古田知事と共有したところでございます。
 また、本年二月二十八日には愛知県庁で大村知事と面会をし、二月二十六日に農林水産省が発表した追加対策の内容について説明をいたしました。そして、我が国初となる野生イノシシへの経口ワクチン散布への協力の要請をさせていただくとともに、飼養衛生管理基準の徹底をお願いをしたところでございます。
 越境性動物疾病に対する防疫対応は国が全面的に行うべきとの考え方もございますが、現実の防疫対応は日頃から現場の状況を十分に把握していないとできないものでありまして、このために、都道府県に家畜保健衛生所が置かれていることから、防疫方針の策定等は国が責任を持って行い、防疫方針に即した具体的な措置は都道府県が中心となって迅速に行うことを基本といたしております。
 このような家畜伝染病予防法に基づく基本的な役割分担に基づきながら、しかしながら、今委員の御指摘にもございましたけれども、積極的に関係自治体と関連をしつつ、国も前面に立つということで、引き続き豚コレラの蔓延防止に万全を期してまいりたいと考えております。

里見隆治君 是非、国が、農林水産省がリーダーシップを持って対応する、その姿勢で臨んでいただきたいと思います。
 本日も飼養衛生管理基準の徹底について数次質疑応答ございましたけれども、今後、アフリカ豚コレラへの対策のことも視野に入れますと、これをいかに現地で徹底していくか、大変重要な課題でございます。しかし、昨年来、もう半年過ぎようとしている中で、先週三月七日に十一例目が発生をするなど、まだまだ安心できる状況にはございません。
 この飼養衛生管理基準、これそのものが厳しいと言ってしまっては元も子もございません。この基準がなかなか行き届いていないということは、これは徹底する側の問題なのか、あるいは徹底される側の問題なのか、この点、農水省の見解を伺いたいと思います。

政府参考人(池田一樹君) お答えいたします。
 家畜の伝染性疾病の発生を予防するためには、家畜の所有者の方々が日頃から適切な飼養衛生管理を徹底することが重要でございます。
 このため、家畜の生産者の方々にも参加していただいた食料・農業・農村政策審議会の意見を聞きながら、畜産農家の皆さんに守っていただく事項を飼養衛生管理基準として具体的に定めているところでありまして、家畜の所有者の皆さんは毎年当該家畜の飼養に係る衛生の状況について都道府県知事に報告することを義務付けられており、都道府県は必要な指導を日頃から家畜の所有者に対して行っております。
 しかし、今般の豚コレラの発生におきましては、飼養衛生管理基準の遵守の徹底がなされていない事例があったことから、これ以上の発生拡大を防ぐため、疫学調査チームからの指摘などを各都道府県に共有するとともに、岐阜県、愛知県などの養豚場に対し、国主導で飼養衛生管理基準の遵守状況の再確認と改善の指導を進めているところでございます。
 今後とも、都道府県と連携をいたしまして、家畜の所有者による飼養衛生管理基準の遵守が徹底されますよう取り組んでまいりたいと考えております。

里見隆治君 これ、連携というと責任に隙間があるのではないかと、私、いつもそのように感じております。国も県も、そして現場の農家の皆さんも、それぞれが主体的に取り組んでいく、そのような姿勢が重要ではないかと考えます。
 次に、防疫措置後の発生農場周辺における住環境への配慮についてお伺いをしたいと思います。
 私、先日、愛知県田原市にもお伺いをしました。既に二月二十四日に防疫措置が完了しておりまして、周辺の地域の住民の皆様からは、今後の話であろうかと思いますけれども、埋葬した場所の周囲での臭いや土壌汚染への心配、また、生活道路上に石灰がまかれておりますので、例えば雨が降ると道路がどろどろになる、畑作への影響はないのかと、そうした心配のお声も伺っております。
 こうした地域の生活環境への影響についてどのように対応されているか、農水省にお伺いします。

政府参考人(池田一樹君) お答えをいたします。
 殺処分いたしました豚の埋却に当たりましては、家畜伝染病予防法施行規則の規定に基づきまして、人家、飲料水、河川及び道路に近接しない場所であって、日常、人及び家畜が接近しない場所が選定されることとされております。
 また、埋却場所は三年間は掘ってはならないとされておりますが、微生物による分解などの過程で発生し得る臭気、液体などについては、愛知県では、家畜防疫員が定期的に巡回をし、消石灰の散布等により吸着、消臭するなど、周辺住民の住環境への影響が及ばないよう取り組んでおり、今後、必要に応じて更なる覆土を行って管理していく方針と聞いております。
 また、愛知県の渥美半島入口の幹線道路などにおきましては、警察や国土交通省の協力を得ながら、消石灰の散布、散水車による消毒液の散布等を実施しているほか、各養豚場においても消石灰の散布が行われております。その際も、例えば交通量の多い幹線道路では、消石灰が舞い上がり近隣住民の方々の生活に影響を与えないよう、消石灰の散布に代えて路上に消毒マットを設置した事例もあると承知しております。
 引き続き、埋却や消毒につきまして、住環境に配慮しながら、適切な管理が可能となるよう必要な助言を行ってまいりたいと考えております。

里見隆治君 農業とそして住環境、これはもう密接不可分のことでございます。両者にらんでの対応、よろしくお願いいたします。
 続いて、こうした農家の皆さん、いよいよこれから経営再建に向けて重い課題が待ち受けております。しっかりとした支援がなければ、再建に向けた気持ちも萎えてしまう。もう後継者もいないのであればやめてしまおうか、そんな声も聞こえてしまいます。しっかりとした再建に向けての支援、その点について農水省にお伺いをしてまいります。
 特に融資制度につきましては、経営再建がこれからという前に拡充をいただきました。家畜疾病経営維持資金のうち経営維持資金についてはどのような改善を行ったか、その具体的内容を御説明ください。

政府参考人(枝元真徹君) お答え申し上げます。
 発生農家等の経営再開等に向けました融資制度でございます家畜疾病経営維持資金につきましては、先月の二十六日に新たな対策といたしまして、一点目として、移動制限区域や搬出制限区域以外の農家であっても、今般の豚コレラ発生によりまして経済的な影響を受けた場合には経営維持資金を借り受けられるように対象に追加いたしますとともに、二点目として、償還期限を七年以内、据置き三年以内ということに延長をする拡充を行ったところでございます。
 引き続き、これらの資金につきまして生産者への周知を図り、豚コレラの発生によりまして影響を受けた農家の方々が経営を再開、継続維持できるようしっかりと支援してまいりたいと存じます。

里見隆治君 よろしくお願いします。
 また、家畜伝染予防法による殺処分家畜に対する手当金についてでございますが、これは殺処分時の評価額を手当てしてもらえるという点では大変有り難いわけですが、これ時間が掛かるということで、現地からは不安の声も上がっております。実際に手当金が支給されるまでどの程度期間を要するのでしょうか。

政府参考人(池田一樹君) お答えします。
 手当金の交付に当たりましては、家畜防疫員、畜産の事務に従事する者及び畜産業経験者の三名から成る評価人により、殺処分された家畜の評価額を算出いたします。次いで、都道府県を介しまして、家畜の所有者の方々が国に手当金の申請を行います。国は、その評価額の妥当性を確認をするとともに、学識経験者に意見を聞いて減額の有無を決定し、国から家畜の所有者へ交付決定の通知を行い、都道府県を介して手当金を交付するということになっております。
 滋賀県及び大阪府の肥育農場におきましては、既に県から国に申請がありまして、現在交付の手続が進められているところです。その他の農場については、現在各県において豚の評価額の算定が行われているところであり、申請があり次第、速やかに支払手続を進めていきたいと思っております。

里見隆治君 速やかな対応、よろしくお願いいたします。
 発生農場や制限区域内の農家の皆様には、経営再建に向けて必要となる資金、直ちに確保できるよう支援が必要であります。
 愛知県では、本年二月の補正予算で、こうした農場へのつなぎ融資を行って、金融機関が農家に貸し付ける資金に対しての利子補給を行うとともに、農家が負担をする保証料を不要とするための金融機関に貸し付けた資金についての損失補償などを行っております。
 しかし、本来、こうした各県でのつなぎ融資のような支援措置に頼ることなく、国の支援策だけでもこうした機能を併せ持って十分だという対応がそもそも必要ではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。

政府参考人(枝元真徹君) お答え申し上げます。
 殺処分家畜等に対する手当金ですとか、家畜防疫の互助基金、これが農家に支払われるまでの間の当座の運転資金に対する国の支援といたしましては、先ほど御質問ございました家畜疾病経営維持資金等、こういうものが用意されてございます。
 この家畜疾病経営維持資金につきましては、国が利子助成を行ってございまして、これに加えて、地方自治体が利子助成を行う場合には農家は無利子で本資金を借りることができるようになりますので、地方自治体が行った利子助成額の二分の一について特別交付税を措置することといたしたところでございます。
 これを受けまして、愛知県及び岐阜県は四月から利子助成の上乗せを措置する予定でございますし、滋賀県は、本日、利子助成の上乗せを決定、公表するというふうに聞いてございます。愛知県におきます独自の資金につきましても、こういう国の資金への利子助成の上乗せが四月からとなるため、それまでのつなぎ的な要素も含めて措置いただいているということでございます。
 引き続き、関係府県とも連携いたしましてしっかりと支援してまいりたいと存じます。

里見隆治君 先ほど拡充をいただいたという点についての御説明ございました。これは恒久措置だというふうに理解をしておりますけれども、その点、万全の支援策をしっかりと、いつ何どきも発動できるようによろしくお願いいたします。
 そこで、先ほど御説明いただいた手当金について、また特別手当金についてでございますが、これも現場からのお声で、せっかく手当金の支援を受けても飼育経費などのコストを差し引いて所得が発生すれば、これは経済原理としては、経済活動としては基本だという理屈もあるでしょうけれども、その利益に対しては所得税、法人税の課税対象となるということでございます。したがって、翌年の税負担として重くのしかかってくると。これ、経営再建までに、いろんな読み方があるでしょうけれども、一年半前後、元に戻るまでに掛かるんじゃないかと、そういうようなことを言われる方からすると、非常に当面の資金繰り、これが大変心配であると。
 そういう中で、大変参考になりますのが、本日、資料の一ページ目に、お手元に配付をしておりますけれども、平成二十二年に宮崎県の口蹄疫問題で、当時、大変御苦労された被害農家への手当金などに課される所得税や住民税を非課税にするための立法措置が議員立法により措置をされたという経緯がございます。
 農林水産省として、当時の立法による非課税措置による効果、これをどのように評価されていますでしょうか。

政府参考人(池田一樹君) お答えいたします。
 平成二十二年四月以降に宮崎県において発生が確認された口蹄疫でございますが、我が国の家畜防疫史上最大級の被害をもたらし、これにより宮崎県及びその周辺地域の経済全体が深刻な打撃を受けたことから、被害を受けた発生農家などの税負担の軽減を図り、地域の基幹産業である畜産業の早期の再建を目指して緊急に対応すべき措置を講じるため、所得税及び法人税などの免税措置が議員立法により制定されたものであると承知しております。
 同法案は、平成二十二年十月二十二日に、衆議院及び参議院において全会一致で可決していると承知しております。

里見隆治君 そういった経過がございまして、これ当時、議員立法ということですから、なかなか政府として、どうということはないと、答えが、評価しづらいという点はあろうかと思いますけれども、大臣、例えば議員の中でこうした取組をという、そういう評価、期待がある中で、大臣としての御見解を教えていただければと思います。

国務大臣(吉川貴盛君) ただいま答弁を申し上げましたように、また里見委員からも御指摘がありましたように、平成二十二年の宮崎県での口蹄疫の発生の際に、この手当金の交付により生じた所得に対する所得税の免除などが議員立法によって特例的な処置としてなされました。私は大変画期的な議員立法だったと、こう思います。
 今回、豚コレラが発生した農家の皆様に対しましては、鳥インフルなどほかの家畜伝染病ですとか、あと災害等との公平性にも留意をしながら、経営再開に向けてきめ細やかな支援を速やかに進めたいと考えております。
 また、議員立法等々の御勘案に関しましては、国会でお決めをいただければと、このように思います。

里見隆治君 これ、今、支援措置を様々講じていただき、かつ拡充をいただいているところですから、今後の推移も見守らなければなりません。
 しかし、私、この点を議論したときに、誰とは言いませんけれども、当時と規模が違うよねと言うような方がいらっしゃるわけですが、これは今日、藤木先生もおっしゃっていたと思いますけれども、これは被害の規模とかそういうものではなくて、一軒一軒の農家あるいはお一人お一人の農家の皆さんからすれば、その重みというのは全く同じであるわけでございます。そうした意味で、我々はあらゆる手だてを、可能性を追求していかなければならない。そういう意味で、あらゆる手だての中の一つとしてこれも念頭に置きながら、これからの農水省のフォロー、支援も、しっかりフォローして、その上で判断していきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、これ、厚生労働省、今日来ていただいておりますけれども、農家の皆さん、もちろん自らの経営についても御心配をされていますが、農家でも何人も労働者、働き手を雇って経営をされている。しかし、当分、豚がいない、少ないという中で経営を縮小して今後活動しなければならない。そのときに、今解雇しなければならないのか、あるいは何らかの助成があれば、ある一定程度休業させて、また再開のめどが立ったときに復活をする、そうした経営判断を求められていると。非常に苦しい時間を迎えているということでございます。
 これに対しては、雇用調整助成金の活用という話もありまして、どうもその対象によって、ケースによって雇用調整助成金の対象となったりならなかったりということがあるようでございまして、これをしっかり説明をいただくとともに、これ、ハローワークでもお問合せしたところ、余りはっきりとした回答がなかったということでございまして、この点、まずどういった制度であるのか、そして周知についてもしっかりやるべきということについて、厚生労働省のお考え、教えてください。

政府参考人(北條憲一君) お答え申し上げます。
 雇用調整助成金は、景気の悪化などの経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業や教育訓練等により労働者の雇用の維持を図った場合に、それに掛かった費用の一部を助成する制度ということでございます。
 御指摘の豚コレラによる被害で休業を余儀なくされたような場合につきましても、それが経済上の理由に当たる、経済上の理由によって事業活動の縮小に該当するといったような場合におきましては雇用調整助成金を活用できる場合がございます。
 これ、具体的に申し上げますと、移動制限ですとか搬出制限が解除された後におきまして、新たに家畜が購入できないなど、豚コレラの被害前の規模で事業を再開できず、これに伴い事業活動が縮小している場合、これが一つでございます。もう一つは、移動制限、搬出制限を受けていない事業者であっても、例えば飲食店などにおきまして食肉の入手が困難になり、結果的に売上げが減少し、事業活動が縮小している場合などが該当するものでございます。こういった場合におきまして雇用調整助成金を活用することができるわけでございます。
 今後、この取扱いを労働局、ハローワークの現場におきまして徹底するとともに、豚コレラの発生している地域の畜産農家に対しまして丁寧に丁寧に周知を図ってまいりたいというふうに思っております。

里見隆治君 ありがとうございます。
 これ、私も事前に見せていただいた、これもまさに口蹄疫のときのチラシですけれども、そのときは今のようなことを懇切丁寧に記述をしてハローワークで配布をされていたというふうに聞いております。今回地域は限定されておりますけれども、特に必要となるような地域については今のようなパンフレットをしっかり配布いただくなど、きめ細かな対応をよろしくお願いいたします。
 では続いて、野生イノシシに関して質問をさせていただきます。
 豚コレラがもちろん発生してからでもあるんですけれども、この数年の中長期的な時代の変化の中で、野生イノシシの増加が様々な鳥獣被害を農業に対しても起こしていると。そういう、我々、生態系の中でこの問題を捉えていかないといけないんじゃないかと。そういう視点で、環境省にも今日お越しをいただいておりまして、事前に環境省からも本日の私からの配付資料の二枚目、三枚目頂戴しておりまして、皆様とも共有をさせていただきますけれども。
 これ環境省にお伺いをしますけれども、そもそも、野生イノシシの生息状況の現状、それから分布の状況について近年どのような変化をたどってきているのか、それについて資料に基づいて御説明をいただきたいと思います。その際、野生イノシシをめぐる環境が変化をして、例えば山から人里に下りてくる野生イノシシが増えてきているとすれば、野生イノシシを介した豚コレラウイルスの拡大のおそれが増大するということにもつながるわけでございます。
 環境省はどのようにこの野生イノシシの生息状況把握をされているか、また、その増加に対応しての対応策についても併せてお伺いをいたします。

政府参考人(鳥居敏男君) お答え申し上げます。
 全国におけるイノシシの生息状況につきましては、その生息地は昭和五十三年から平成二十六年の三十六年間で約一・七倍に広がり、生息数は平成元年度から平成二十三年度の二十二年間で約三・五倍に増加したと見られております。
 分布拡大や数の増加により農業被害等が深刻化していることから、環境省では、農林水産省とともに、抜本的な鳥獣捕獲強化対策を平成二十五年十二月に策定いたしまして、イノシシの生息数については二〇二三年度までに半減させる目標を掲げているところでございます。
 環境省では、目標達成に向けた捕獲強化策として、平成二十六年に法改正を行いまして、指定管理鳥獣捕獲等事業を創設し、平成二十七年度から交付金により都道府県が行う捕獲等の事業を支援してきているところでございます。
 こうした捕獲強化策の結果、平成三十年に公表した全国のイノシシの推定生息数は平成二十八年度末に中央値で約八十九万頭となり、ここ数年減少傾向が続くようになりました。
 野生イノシシで豚コレラウイルスの感染が確認された岐阜県につきましては、指定管理鳥獣捕獲等事業交付金の追加交付を行いまして捕獲の強化を行っているところであり、今後とも引き続き支援をしてまいります。

里見隆治君 あわせまして、この野生イノシシの増加への対応、農水省も推進をされていると伺っております。その点、具体的な説明をお願いいたします。

政府参考人(室本隆司君) 農林水産省では、農作物被害防止の観点から、地域ぐるみで行う鳥獣被害対策の取組を支援しているところでありまして、具体的に申し上げれば、農作物被害を及ぼすイノシシの捕獲活動、イノシシの侵入を防ぐための侵入防止柵の設置、イノシシの隠れ場所となるようなやぶを刈り払うなどの環境整備、こういったことについて支援をしているところでございます。
 このうち捕獲活動につきましては、平成二十五年十二月に、環境省と農水省におきまして、鹿、イノシシの生息頭数の十年後までの半減を目指すこととしました抜本的な捕獲強化対策、これを作成し、捕獲の強化を図っているところであります。
 そして、今般の豚コレラの発生を受けまして、緊急対策として、豚コレラウイルスの拡散防止のため、猟友会等によるわなを用いた一斉捕獲の取組、あるいは岐阜県、愛知県の要望に沿ったイノシシの侵入防止柵の増設、こういったことを支援しているところでございまして、引き続き、環境省、関係県とも連携しながら対策に取り組んでまいりたいと考えております。

里見隆治君 ありがとうございます。
 そうした野生イノシシへの対策の中で、今回、これは初めての試みということですが、野生のイノシシへのワクチンの散布の国の決定をされ、それを受けて去る三月八日、先週金曜日になりますが、岐阜県、愛知県で関係者を集め対策協議会を発足されたと伺っております。いよいよこの散布の計画を実行段階に移すということでございます。
 この野生イノシシへのワクチンの散布についてですが、これは農水省にお伺いをいたします。
 四点お伺いしたいんですけれども、まず、ワクチンの使用による効果、それから効果の目標、そしてその検証ですね。そして二点目に、予定している実施期間。三点目に、ほかの動物への影響はないのかあるのか。また四点目に、野生イノシシのワクチンの備蓄の必要性。これらについてどのようにお考えか、お伺いをいたします。

政府参考人(池田一樹君) お答えします。
 野生イノシシに対する豚コレラ経口ワクチンの野外散布につきましては、野生イノシシにおける豚コレラの感染拡大防止などを目的としておりまして、効果の検証のためには、計画的にイノシシの捕獲を行いまして、その血液検査等を行うということとしております。
 ワクチン散布の実施期間や経口ワクチンの備蓄についてですが、まずは一年間、経口ワクチンの散布を実施し、その効果あるいは経験等を踏まえて判断していきたいと考えております。また、ワクチンメーカーによりますれば、この経口ワクチンは野生動物に対しても安全だとされていると承知しています。

里見隆治君 ありがとうございます。
 次に、水際対策について、これも今日、朝からるる質疑応答ございましたけれども、これはもう答弁は結構ですけれども、今後のアフリカ豚コレラの脅威も考えますと、まさに動物検疫体制の強化、これは私も喫緊の課題だというふうに思っております。外国人の来日が年々増加するそのスピードに合わせて探知犬の増頭や家畜防疫官の増員をしていく必要があると、これは私からも改めてお願いをしておきたいと思います。
 このアフリカ豚コレラについて、これワクチンがありませんのでと、そういう説明ずっと続いておりますが、これはどのワクチンも昔はなかったものを開発しているわけでありまして、ワクチンがないという、そのないという危機感の下に我々しっかり最前線で体制を組んでいく。そのことをしつつ、最前線ではそういった慎重な対応をしつつ、やはり研究開発という意味ではこのアフリカ豚コレラのワクチンということもしっかり研究開発をしていかなければならない、そのように思います。
 これはスペイン等で既に着手をし、進められているというふうにもお伺いをしております。日本としても、こうした取り組んでいる国と国際的に協力をして積極的に研究開発を進めていくべきと考えますが、農水省はいかがお考えでしょうか。

政府参考人(池田一樹君) アフリカ豚コレラのワクチンについてのお尋ねでございますが、御指摘のように、アフリカ豚コレラのワクチンにつきましては、現在有効なワクチンは世界的に存在がございません。このため、ワクチンの開発に資する基盤的研究と既存の防疫資材の有効性を確認するための研究を現在実施中でございます。その成果に期待をしたいと考えております。
 また、国際間の連携ということでございますが、例えば我が国では、アフリカ豚コレラの診断を農研機構動物衛生研究部門において実施することとしておりますが、国際間でウイルスの情報などのやり取りをするといったことをしておりまして、これにより、海外で発生したウイルスに対しまして既存の検査方法が有効であるか、そういったことの検証を行うといった研究も行っております。

里見隆治君 よろしくお願いします。
 それから、水際対策について、これは先ほど税関の話あるいは検疫の話が出ておりますけれども、旅客の携行品検査の強化なども進めていただいておりますけれども、これ、衆議院での農水委員会での答弁でしょうか、台湾などの例も引かれながら、この罰則を強化していく、厳罰化を強化していく、そういった動きがあるというふうに承知しておりまして、これ日本も是非、例えば違反金払えなければもうお国へお帰りいただく、それぐらいの強硬な措置が必要ではないかと、是非早急に御検討し、また御決断をいただきたいと思いますけれども、他国の例など、これをまず事務方から御説明いただき、最後、大臣からこの点についての御見解をお願いいたします。

政府参考人(池田一樹君) お答えいたします。
 台湾では、昨年十二月、過去三年以内のアフリカ豚コレラ発生国からの畜産物の持込みを申告せず発覚した場合の違反金を、日本円で約五万円から初回約七十万円に引き上げたと承知しております。さらに、本年一月から、直ちに違反金を支払わなかった外国人は入国法により国の安全と秩序を乱す者として入国を拒否をしていると承知しております。これらの規則について台湾当局と情報交換をしたところによりますと、検疫探知犬などにより発覚し自発的に放棄した場合には、日本と同様に違反金は科さない運用であるということを確認をしております。
 日本における罰則につきましては、不正に畜産物を持ち込んだ場合、家畜伝染病予防法で最も重い三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処すこととなっておりまして、このことにつきましては、広報活動等により国内外に積極的に周知をしているところでございます。

国務大臣(吉川貴盛君) 台湾における罰則強化、ただいま御説明をしたとおりでございます。私どもも、こういった他国のことも参考にしなければという思いはございます。
 現在、いろいろなお話がございますように、このアフリカ豚コレラに関しましては、中国のみならず、新たにベトナムでもこの発生が確認をされるなど、我が国への侵入リスクというのが一層高まっていると認識をいたしておりますので、極めて緊張感を私ども持たなければなりません。
 現在は家畜伝染病予防法でどのような対応が新たに可能か、今検討もしているところでもございますので、しっかりと対応していきたいと、こう思います。

里見隆治君 是非検討を速やかに、結論に、もって、そして厳格化の方向で私は是非御対応いただくべきと考えますので、よろしくお願いいたします。
 もう時間もなくなりましたので、最後、高野政務官にお伺いをしたいと思います。農泊の推進について、これ、大臣所信でもお述べをいただいた点でございます。
 政府は、二〇二〇年度までに農泊をビジネスとして実施できる体制を持った地域を五百地域創出するという目標を掲げ、今年度、三百五十七地域、あと百四十三地域でございます。
 私の地元、愛知県では四地域が指定され、いずれも個性的、特徴的なものでございます。例えば、西尾の一色ウナギのかば焼きとか、南知多のタコやシラスなど、地場の名産や郷土料理と結び付くと、交流人口の増加という効果に加えて、地域産品、地場の食材のブランド力を高める、そうした相乗効果が期待できます。高野政務官の地元、高知県でも既に六地域が指定されているということでございます。
 この農泊と、そして地域の食材のブランド力向上、こうした効果、これらを含め、五百地域創出に向けての御決意をお伺いいたします。

大臣政務官(高野光二郎君) 御質問ありがとうございます。
 観光客を農山漁村に呼び込み、農山漁村の、お話にございました所得向上や活性化を図っていくためには、農泊をビジネスとして実施するための体制整備が重要でございまして、農林水産業・地域の活性創造プラン等に基づき、このような体制の整った農泊地域を二〇二〇年までに五百地域創出すべく取組を進めているところでございます。
 このため、農林水産省では、平成二十九年度から農泊推進対策を創設をし、また、昨年の十月には専用の農泊推進対策室を設置して推進を強化しているところでございます。
 農泊の中心的な役割を担う法人と宿泊業者、旅行業者等の地域内の多様な関係者が一丸となった推進体制の構築や、地域の自然、景観、伝統文化等の支援を活用した体験プログラムの開発等、魅力ある観光コンテンツに磨き上げ……(発言する者あり)失礼しました、先ほど、農林水産業・地域の活性創造プラン等と申し上げましたが、それを訂正させていただきまして、活力創造プランでございますので、よろしくお願いします。古民家等を活用した滞在施設等の整備等の支援を行っているところでございます。
 平成三十一年度当初予算においては、インバウンド需要の更なる拡大等を図るため五十三億円を計上しており、二〇二〇年までに五百地域の達成と質の高い地域の創出に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 高知県のことを御紹介いただきまして、ありがとうございます。

里見隆治君 もう時間になりますので終わりますが、これ、地域の活性化また活力、いずれも大事でございますので、いずれも議事録に残ってよろしいかと思います。
 実は今日、もう一問、農福連携についてもお伺いしようと思いましたが、これはまた次回に譲るとして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

公明党
公明党青年委員会
公明党愛知県本部