4月12日、財政金融委員会で、私から質問。
森友学園への土地売却問題についての公文書改竄問題に関連して、度重なる国家公務員の過ちは看過できない。公文書管理のみならず、公務員の研修、働き方改革など、包括的に進めるべきと質しました!
議事録
里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。質問の機会をいただきましてありがとうございます。
既に幾つかポイント出ておりますけれども、昨年二月二十日に理財局職員が森友学園の弁護士に電話をして、虚偽の説明、口裏合わせを要求したという報道、これについては理財局長がその事実を認められております。これまで明らかになっている決裁文書の改ざん、これに加えて、まさに事実までも口裏合わせをして改ざんしようという行動は、信じられない、あってはならない行為でございます。この件、決裁文書の改ざんと同様、どのような経緯で、どのような背景でその行動に及んだのか、しっかり調査する必要があると考えます。
先ほどの御答弁、ちょっと明確でなかったものですから、再度、この点についての見解、また今後調査についての意向、理財局長から御答弁いただければと思います。
政府参考人(太田充君) お答えを申し上げます。
昨年、森友学園が国有地売却、国会で議論された初期の頃、二月二十日ということでございますが、森友学園による地下埋設物の撤去の状況について事実関係を十分確認しないまま、地下埋設物について、「売却後でございますので、具体的な撤去の状況につきましては把握してございません。」といった注釈は付けつつもということでございますが、「相手方において適切に撤去したというふうに聞いてございます」、あるいは、「適切に行ったというのは、近畿財務局で確認してございます。」という答弁をしておったところでございます。
こうした状況の下で、昨年二月二十日に理財局の職員が森友学園側の弁護士さんに電話をして、この答弁との関係を気にして、森友学園が地下埋設物の撤去に実際に掛けた費用に関して、相当掛かった気がする、トラック何千台も走った気がするといった言い方をしてはどうかという話をしたということでございました。
近畿財務局の職員にも、自分がこういう電話をしたんだけど念押しをしてもらえないかという話をしたんですが、近畿財務局の方は、事実関係に反するということでそういうことはしてございません。また、先方、森友学園の方も、この今のような話を踏まえた対応はされておられないということでございます。
森友学園側に事実と異なる説明を求めるという対応は、間違いなく誤った対応でございます。大変恥ずかしいことでございます。深くおわびを申し上げます。
〔委員長退席、理事三木亨君着席〕
それから、今御質問のあった今後の調査の話でございますが、まずは事実関係を明らかにさせていただいたという段階でございまして、どういう指揮命令系統の下でこういうことが起き、どういう範囲の職員が了解をしていたか、動機は何かといったことを含めて、それはきちんと調査をして御報告をさせていただきたいというふうに思ってございます。
里見隆治君 まさにその指揮命令という点について、私、今の経緯を聞きまして懸念をしますのは、当時から今に至るまで本省理財局とそして現場の近畿財務局との指揮命令系統がきちんとワークしていたのかと、かなり混乱があったのではないかという点でございます。
通常の業務でありましたら、そうした一業者あるいは一法人、これは現場の、このケースでいけば近畿財務局の担当者がきちんとその地域の法人、主体者に対応していくと。本省の職員が直接連絡を取るということは通常あり得ないのではないかと思います。
また、理財局長の答弁で、先ほどの答弁で、近畿財務局の職員にも再度念押しをするようにという話をしたけれども、近畿財務局の職員は、それは事実に反するということで断ったということでございます。断ったこと自体は正しいわけでありますけれども、善しあしは別にして、本省の職員が現場の財務局の職員に指示をして、それが聞かないというそういった中で、悪いことは悪いと、できないことはできないと、これは全く正しいわけですけれども、かなり、本省理財局と現場の近畿財務局との指揮命令系統がきちんと正常に動いていたか、あるいはその現場の近畿財務局の職員を飛ばして当事者と直接理財局の職員が連絡を取っている、大変これは疑問に感じるところが多うございます。
こうしたことというのは日常的に起こり得るのでしょうか。理財局長、この点、教えてください。
政府参考人(太田充君) 委員のおっしゃっているように、基本的にこうしたことは日常的に起こる話ではございません。要すれば、森友学園という問題の処理は基本的に近畿財務局がやっておった、やる話でございますが、要するに、国会で取り上げられてから、国会対応だということで本省もやらないといけないという中で、先方の弁護士さんとの連絡は週末あるいは夜中ということも含めることになったものですから、本省の職員が直接電話連絡をしてというようなことが生じて以降、こういうことが生じているわけでございます。
〔理事三木亨君退席、委員長着席〕
委員のおっしゃっているとおり、基本的に本省がどこまで何をやり、近畿財務局がどこまで何をやりということは、本当はきちんと、どういう混乱した状況においてもきちんと役割分担をし、きちんと意思疎通をしてということが必須だと思っていますが、そういうことが十分でなかったことはおっしゃるとおりであって、真摯に本当に心の底から反省をしなければならないことだと思ってございます。
里見隆治君 私、そうした状況の中で、委員会また予算委員会等で議論になっているのは、主に政府、官邸、あるいは対外的な外との関係で議論されることも多いわけですけれども、私、関心が一つありますのは、財務省の中で一体何が起こっていたのかと。もちろんこれは調査中ということで御答弁いただけない部分もあるわけですけれども、こうした混乱の中で私が懸念する一つに、本省理財局と地方の近畿財務局との上下関係、あるいはそれぞれの職場における上司と部下との関係という点で正常な指揮命令あるいは正常な仕事ができていたのかという点、非常に懸念をするわけでございます。
今のような改ざん、こうした点が数度続いてまいりますと、現場の職員の皆さんも本当に正当な指示なんだろうかと疑心暗鬼になってまいります。文書の改ざんあるいは説明内容の改ざんといったことを強要するとなると、これは業務上の指導の範囲を逸脱して、ある種精神的な苦痛を伴うパワーハラスメントにもなっている可能性が高いのではないかというふうに心配をしております。
そこでお伺いをしたいわけですけれども、現在、大臣官房で進められている決裁文書の改ざんに関する調査において、当初の目的としていなくとも、そうしたパワハラの可能性というのはそうした調査結果の中で見えてくるのではないかと、結果として把握されてくるというふうになるかと思いますけれども、この点はどのようにお考えでしょうか。
政府参考人(矢野康治君) お答え申し上げます。
財務省といたしましては、近畿財務局が作成した文書も含めまして、決裁文書の書換えは当時の理財局の職員によって行われたものであるとの判断にたどり着いており、その上で、現在、書換えの詳しい経緯や目的を明らかにするべく、職員からの聞き取りなどによりまして、個別具体的にどの職員がどの程度関与したかという調査を進めております。
これにつきましては、本省理財局から近畿財務局に対するパワーハラスメントがあったのかという点を直接的に調査するものではございませんけれども、調査におきましては、本省理財局と近畿財務局の間でどのようなやり取りがあったのかにつきましてできる限り把握していく必要がありますので、仮に委員御指摘のようにパワーハラスメントがあったということであれば、こうした調査の過程でその実態を把握していくということも結果的にはあり得ると思っております。
里見隆治君 今、そのような調査、内容に含まれていくということですので、是非実態を把握して、また厳正な対処も併せてお願いをしたいと思います。
私がいたたまれないのは、一連の経過の中で近畿財務局の職員が自らの命を絶たれたという事実があるということでございます。因果関係についてはまだ説明はございませんけれども、こうした調査の中で明らかになっていこうかと思いますけれども、こうした職場、職員の管理の面という観点からも、是非、実態解明、厳正な対処をお願いしたいと思います。
なお、パワーハラスメントに当たるかどうかというのは、これは調査の中で明らかになっていくことですし、また、仮に事実認定があったとしても、その上でどう解釈するかという二次的な問題もあろうかと思います。ただ、既に、なかったことをあったというふうに説明しろということは、かなりこれは適正な行為から逸脱していると。パワハラの様々なタイプ、これは攻撃型とか否定型とか、強要型とか妨害型、こうした類型の中でいきますと、この強要型という中には違法な不正行為を強要する行為といったものも入っておりまして、先ほど御指摘の経緯はまさにこれに当たるのではないかというふうに私は懸念をしております。そうした観点も含めて調査を進め、厳正な対処をお願いしたいと思います。
続いて、文書管理に関して御質問したいと思います。
平成二十八年度の決算の審議が今週から決算委員会で始まっております。少なくとも決算が国会で議決をされるまで、国会に対する説明責任という観点からも、財務省のみならず各省庁はその支出の裏付け、証拠となる資料、行政文書を保存しておくというのは当然だと考えます。この点、決算の裏付けとなる行政文書の保存年限という点について公文書管理法においてどのように規定をされているか、御説明をお願いいたします。
政府参考人(大鹿行宏君) お答え申し上げます。
公文書管理法を受けました施行令及び各省の定める行政文書管理規則におきまして、まず財務省において作成、取得しております閣議を求めるための決裁文書及び閣議に提出された文書、これは決算書でありますとか予備費使用書がこれに当たりますが、これらについては三十年というふうに定められております。また、各省が作成しております歳入及び歳出の決算報告書並びにその作成の基礎となった意思決定及び当該意思決定に至る過程が記録された文書、これは例えば歳入簿、歳出簿といったもの、それから会計検査院に提出又は送付した決算書及び証拠書類、これは例えば請求書でありますとか契約書等、これらにつきましては保存期間は五年というふうに定められております。ちなみに、この五年という期間でありますけれども、過去において最も長く閣議において議決に至らなかった決算におきましても、この五年の保存期間中には議決に至っているという事実がございます。
里見隆治君 今御説明があったとおり、この公文書管理法の法令上はきちんと国会の決算にも対応できるべく、国会審議にも対応できるように規定されているということであります。そうなると、法令はきちんと定められていたけれども、現に国会でこのような状態になっているということからしますと、もちろん、今年度から新ガイドライン、このガイドラインに基づいて各省が規定を新たに改定をして、委員会の了解ももらって実施をこの四月一日から始められておりますけれども、運用のみならず法令が本当に正しかったのかという点も含めてこれは見直していかないといけないと。既に与党として公文書管理の改革PT、これを立ち上げまして検討を開始しております。政府としてもしっかり取り組んでいただきたいということをお願い申し上げます。
今、公文書管理の話を申し上げました。これ、この数週間、この事態を打開する一つの方策としては話題になっておりますけど、私、今回の事態は公文書管理の改革だけでは済まされないのではないかというふうに考えております。一連の公務員の行為、例えば公文書の改ざん、あるいはデータの改ざん、隠蔽、口裏合わせ、情報公開への対応の不手際など、国家公務員をめぐる問題が続発をしております。公務の進め方、公務員そのものに関しての根本的な改革が必要だと考えております。
一方で、公務員に関して申し上げますと、三月に政府は六十五歳までの定年制の引上げの検討、これを人事院にも依頼をしております。こうした、民間が雇用が大変だという中で、なかなか国民の理解がこの定年引上げということについて得られないのではないかというふうに考えます。まして、今後の給与改定、八月に人事院勧告が出て給与改定というような話になりますと、これまた国家公務員の批判というものと併せて非常に厳しいものになってくるのではないかと考えます。
そうした意味で、今、国家公務員の関係では、公文書管理ですとか、あるいは研修をしっかりしますとか、公務員の働き方改革を徹底すると、個別メニューではばらばらと御答弁をいただいておりますけれども、私は政府に求めたいのは、公務員制度の運用面、公務の進め方の改革というものをしっかりパッケージとして、国民の皆様にも理解を求められるように、包括的に政府を挙げて取り組んでいくべきと考えますけれども、野上副長官の御見解をお伺いいたします。
内閣官房副長官(野上浩太郎君) 今般の一連の問題によりまして行政全体への信頼を損なう事態となっておりまして、極めて重く受け止めております。一度失われた信頼を取り戻すことは至難でありますが、一からやり直すつもりで信頼回復に全力で取り組んでまいらなければならないというふうに思います。
このため、改めて職員の一人一人が国民全体の奉仕者であることを自覚をして、職務の遂行に当たっては、法令を遵守するとともに、高い気概、使命感及び倫理観を持って職務に全力を傾注するように、委員御指摘のとおり、政府全体として徹底してまいりたいというふうに思います。
里見隆治君 御答弁のとおりだと思いますけれども、私は本当にこの夏の人勧が出る、あるいはこの年度内でしょうか、時期は明示されてはいませんけれども、定年の引上げという中で更に厳しい目で見られていくと思いますので、繰り返しになりますけれども、公務員への信頼回復、そのための目に見える改革というものを是非トータルでお示しいただきたいと、改めて重ねてお願いをしておきます。
それでは、続きまして、話題を変えまして仮想通貨についてお伺いをしたいと思います。
一月の二十六日だったでしょうか、五百八十億にも上る巨額の仮想通貨流出事件、この被害者補償について質問をさせていただきます。
この五百八十億という規模、私どもが先般審議をした国際観光旅客税、これが平年度ベースで四百三十億ということで、これを上回る相当規模の巨額の流出があったということでございます。その後、様々報道はございますけれども、ここで一旦確認をさせていただきたいのは、このコインチェックの五百八十億円分の仮想通貨NEMの流出について、コインチェックは被害に遭った約二十六万人の全員に対して日本円で返済するという表明をされていましたけれども、その後、補償はどうなっていたのか、金融庁としてどのように把握をされているか、お伺いいたします。
政府参考人(佐々木清隆君) お答え申し上げます。
コインチェック社におきましては、仮想通貨NEMの保有者に対しまして三月十二日に日本円で補償を行った旨、公表をしていると承知をしております。
金融庁といたしましては、同社に対しまして、三月八日、顧客保護の徹底を含む業務改善命令を発出したところでございまして、引き続き同社における顧客保護の取組状況等をモニターしてまいりたいということでございます。
里見隆治君 ありがとうございます。
そうしますと、これは日本円で返済をされているということでありますので、補償されているということでありますので、どのような課税になるのかと。政策論的には既に本委員会でもその課税の在り方について、分離課税がいいのか、あるいは今の雑所得等でいいのかと、そうした議論ございましたけれども、少なくとも今対象になっておられる方あるいは既に他の社で仮想通貨をお持ちの方がそれを円で利益を現出されるときにどのような課税になるのかというのは、かなり現場では混乱をしているといいますか、なかなか統一見解がないのではないかというような向きもございます。
一方で、今回のコインチェックのケースでいえば、顧客は被害者であって、損害賠償のためのコインチェックから支払われた賠償金は利益ではなく非課税だというような主張まで出ております。この点、今回のように円で仮想通貨が返済されたと、戻ってきたと、所得があったという場合にどのような課税方法になるのか、その点、御説明をいただきたいと思います。
政府参考人(藤井健志君) 御説明いたします。
まず、一般論で申し上げますと、預けていたものの返還に代えて金銭が支払われる場合、その金銭の課税関係については、補償金といった支払の名目いかんにかかわらず、当事者間の契約内容やその金銭の性質などを踏まえて判断することになるところでありまして、その金銭が本来所得となるべきもの又は得べかりし利益を喪失したことにより支払われるものであるときは、その金銭は非課税所得には該当せず、課税対象となるということでございます。例えば、預けていた資産が仮想通貨であって、その返還に代えて金銭が支払われる場合、その支払により、預けていた仮想通貨を売却して金銭を得たのと同一の結果が生じるときには、その支払を受ける金銭は受け取った年分の雑所得として課税の対象となるということでございます。
この場合の雑所得の金額は、支払を受けた金銭から預けていた仮想通貨の取得価格を差し引いた残額となるため、その支払金銭の金額が預けていた仮想通貨の取得価格を上回れば、その上回る部分が課税対象となり、その補償金の金額が預けていた仮想通貨の取得価格を下回れば、その下回る部分が雑所得の計算上の損失となります。
なお、その損失となった場合については、給与所得などの他の所得と損益を通算することはできませんが、他の雑所得があれば、その雑所得と通算することは可能でございます。
里見隆治君 今、的確に御説明いただきましたけれども、政策論は別にして、現行制度ではそのような扱いであると。ちまたでは、まだまだ課税されないんじゃないかというような方がいるぐらいですから、その点、国税庁としてはしっかりと説明いただいて、また次の確定申告、来年になりますけれども、それまでにしっかりと納税者の皆さんに丁寧に説明をして理解をいただくという必要があろうかと思いますので、国税当局としての対応をよろしくお願いいたします。
私からは以上で終わります。