財政金融委員会で所得税法等の一部改正法案の審議

2018.03.23 01:28(7年前) ブログ国会質疑 |里見りゅうじ(里見隆治)

3月22日、財政金融委員会で所得税法等の一部改正法案の審議。
私からは、麻生大臣ほか財政金融関係幹部に、事業承継税制や消費税の軽減税率などについて、現場で分かりやすく周知し、また、丁寧な相談を求めました。
また、高齢者や弱視の方で読み書きに一番困る場面が金融機関での手続きであるとの調査結果を示し、金融庁から金融業界に対して、窓口での代読・代筆などのサービス提供、そのための社員研修につき促すべき!と質しました!

 

財政金融委員会で所得税法等の一部改正法案の審議財政金融委員会で所得税法等の一部改正法案の審議

議事録

里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。
 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 一昨日、二十日の本委員会で、古賀先生から御報告がありました二月十九、二十日の青森、函館への委員派遣、私も御一緒させていただきました。そのときに御報告をいただいたとおり、地元中小企業との懇談で、事業承継税制の見直しや消費税の軽減税率に伴う事務負担増などの話題がございました。まずはこの二点についてお伺いをしたいと思います。
 委員派遣当日、長谷川委員長のお計らいで、事業承継税制の特例について、あらかじめ分かりやすい資料も皆様に配付をいただきました。ありがとうございました。財務省の皆様からもその場で御説明もいただきました。このような機会が全国津々浦々、あらゆるレベルで進められる必要があるというふうに考えております。
 そもそも事業承継税制については、昨年十二月の本委員会において私も質問をさせていただきました。そしてその実現を強くお願いしておりましたので、今回の法案は大賛成でございます。
 本日午前中の徳茂先生、古賀先生の質疑においても、その意義、概要等については質疑があり、御答弁もいただいておりますので、内容については割愛をするといたしまして、今後、制度改正ができた暁には、より多くの事業者にお使いをいただくため、まさに先ほど申し上げました周知、広報、そして相談が重要になってまいります。
 その際、課題となってまいりますのが、関係する省庁が多岐にわたっているという点でございます。相続税の納税猶予を受けるためには、会社が承継計画を策定し、まず認定支援機関に所見を記載してもらう、そして都道府県庁に認定申請、そしてその認定を受けて税務署に申告書を提出するといった手続が続きます。一方、様々な支援措置を行っているのは経済産業省、中小企業庁となっておりまして、どこに何を聞きに行けばいいかというような状況にございます。
 そこで、中小企業庁にお伺いをいたします。
 今回、抜本的に改正する事業承継税制をより多くの事業者にお使いいただくため、制度の積極的な周知、広報、また相談が重要であると考えます。財務省とも連携して進めていただく必要があると思いますけれども、中小企業庁としてのお取組についてお伺いをいたします。

政府参考人(吾郷進平君) お答えいたします。
 事業承継税制につきましては、御指摘のとおり、全国の事業者の皆様に制度の内容をお伝えして普及させていくというのが非常に大きな課題であると承知しております。
 足下、私どもの取組を御紹介しますと、ここ三か月間でも、地方経済産業局におきまして百二十七回の説明会を開催しておりますし、各地で開催されております事業者や専門家の方々向けの説明会におきましても、合計百二回、中小企業庁あるいは中小企業基盤整備機構の職員を派遣しているところでございます。その際に、地方財務局の方から金融機関の方にもこうした取組への参加を呼びかけるなど、財務省とも連携しながら普及活動を行っているところでございます。
 今後につきましても、しっかりと連携しながら取り組んでまいりたいと思います。

里見隆治君 これまでの認定件数、この税制の面で、相続税、贈与税合わせて平成二十七年分では五百件、また今日の午前中の御答弁でもこれを四倍以上に見込んでおられるとのことでございました。この件数、更に伸ばしていく必要があると思います。
 そこで、財務省にお伺いいたしますけれども、税収効果としては短期的には減税措置でございますけれども、中長期的には納税主体を維持、更に増進していくという意味で非常に意義があることだと思います。財務省としても、主体的にお取組をいただき、事業承継税制を円滑に施行するためどのようなお取組をされる御予定か、副大臣、いかがでしょうか。

副大臣(うえの賢一郎君) 事業承継税制につきましては、今委員御指摘のような非常に大きな効果があるものと考えておりますが、その円滑な施行に当たりましては、中小企業者や税理士等に対する制度周知というものが大変重要になってくると考えております。
 財務省といたしましても、新しい事業承継税制の理解や普及が進むよう、税理士会等が主催をされます税制改正の説明会等におきまして制度の周知、広報を行っているところであります。また、今し方中企庁の方から御紹介をいただきましたが、各財務局を通じまして、地域の金融機関に対しまして経済産業局等が主催する説明会への参加の呼びかけも行っているところであります。
 加えて、法施行後は、制度周知用リーフレット等の税務署窓口等への配置、あるいは国税庁ホームページへの制度周知用リーフレットや法令解釈通達などの各種情報の掲載、できるだけ分かりやすい形で掲載をしていきたいと思っておりますが、それなども予定をしているところであります。
 今後とも、経済産業省等の関係機関と緊密な連携、協調を図りながら、積極的な周知、広報を図ってまいりたいと考えています。

里見隆治君 是非、分かりやすい周知、そしてきめ細かな相談をよろしくお願いいたします。
 次に、消費税の軽減税率についてお伺いをいたします。
 既に法律では実施も予定されておりますが、改めてその意義を考えますと、消費税引上げに当たって、国民の理解を得るとともに景気への影響を最小限にするという観点でも、消費税の持つ逆進性や痛税感、これを緩和し、世界標準でもある軽減税率の導入をする意義は大変大きいものがあると考えております。
 しかし一方、私、先日、地元愛知、名古屋のおそば屋さんでちょっとした御意見をいただきました。例えば、出前と店内で扱いが異なるとか、仕入れの商品で消費税が掛かるもの掛からないもの、様々手続が面倒だと、そんな御意見でございました。おっしゃる現場の声としては、納得、なるほどというものもございます。そうした中、先ほど申し上げました委員派遣でも、青森で中小企業の皆様から手続面について御意見を賜りました。
 そこで、この軽減税率の導入に際しての手続、その事務負担の緩和という観点でお伺いをしたいと思います。
 中小企業庁にまずお伺いいたしますけれども、明年十月の消費税率の引上げと同時に実施される軽減税率制度について、中小企業・小規模事業者の経理処理等の負担を減らすための軽減税率対策補助金の積極的な活用が期待されております。現在の執行状況についてお伺いをいたします。

政府参考人(吾郷進平君) お答え申し上げます。
 軽減税率対策補助金の執行状況につきましては、申請受付を開始した平成二十八年四月から今年二月末までの二十三か月間の合計で、申請件数約六万四千件、申請金額約百八十億円となっております。
 この補助金の活用促進を含む軽減税率制度実施に向けた周知、広報に関しましては、中小企業団体等と連携をいたしまして百十八万部のパンフレットを配布するなどしているところでございます。
 今後とも、商工会、商工会議所等の中小企業団体、レジメーカーやベンダー等も通じまして、軽減税率制度の周知、広報と併せて、補助金の活用促進に取り組んでまいりたいと考えております。また、この際に関係省庁ともしっかり連携してまいりたいと存じます。

里見隆治君 活用促進、是非よろしくお願いいたします。
 その際に、今もおっしゃっていただいたとおり、他省庁との連携、この点、今日は国税庁についてお伺いしますけれども、この消費税の引上げ、また軽減税率、まだまだ一般に理解が深まっていないのではないかと考えております。国税庁の周知に際して、今御説明のあった中小企業庁の支援措置、この連携など、他の機関との連携を密に周知、広報、相談に応じるべきと考えますけれども、現在の取組状況について教えてください。

政府参考人(藤井健志君) お答え申し上げます。
 軽減税率制度につきましては、非常に幅広い消費者それから事業者に関係するものでございます。特に事業者の方には、制度の実施に向けて税率ごとの商品管理などの準備を行っていただく必要がございますので、制度の周知、広報、相談対応、これらが非常に重要になってくると認識しております。
 このような観点から、これまで、軽減税率制度の適用対象品目ですとか請求書の書き方について国税庁としてQアンドAを公表し、お問合せに応じて随時改定してきております。
 それから、説明会は、関係民間団体、これは税に関する関係民間団体、それから各省庁の所管しておられる様々な団体がございますけれども、そこと連携しながら説明会を開催してきております。ちなみに、政府全体で集計しておりますが、平成二十八年四月から二十九年十二月までに約一万九千回の説明会を実施いたしておりまして、延べ五十五万社程度の事業者が現在のところ参加なさっているということでございます。
 また、細かな点につきましては、私ども、電話相談をいただいて、それでいろいろと回答を差し上げるという仕組みをつくっておりまして、軽減税率電話相談センターを設置するということにしております。
 委員御指摘の補助金についてでございますが、国税庁が作成しておりますパンフレットの中にも補助金の説明に関するページを入れまして、まず事業者の方が認識できるようにしているということ、それから、私どものやります説明会におきましても、可能な限り中小企業基盤整備機構さんですとか商工会、商工会議所などの中小企業団体から講師派遣の協力をいただくようにして、補助金の方も併せてよく御説明するというような対応を取っているところでございます。

里見隆治君 ありがとうございます。そうした、たらい回しにならないような支援、相談体制、是非今後とも更に積極的に進めていただきたいと思います。
 じゃ、次に移ります。
 私、三月五日、確定申告のちょうど時期でございましたけれども、愛知県一宮市で税務署あるいは地元税理士会、自治体が行っている税務相談の会場を訪れました。国のみならず自治体の職員、税理士の皆様の共同作業で申告が行われている様子を現場でうかがうことができました。
 今回の税制改正もそうですが、時々刻々と時代に応じて制度を変化させる一方で、適正に納税いただけるような環境整備を進めること、これが大変重要だという認識を新たにいたしました。一方で、税務署などの窓口に来られる方への利便性確保という点でも配慮が必要だと考えます。特に、目が見えない方、弱視の方など、障害をお持ちの皆様には、金融あるいは税制という観点でアクセスを確保していくということは大変重要な視点であるというふうに考えております。
 そこで、少し角度を変えて質問させていただきたいと思います。
 社会福祉法人日本盲人会連合の平成二十八年の調査によりますと、弱視の方が書くことで困っている内容で最も多いのが、契約、解約等の金融機関の手続ということで、複数回答で八八・八%。ちなみに、二番目が役所や公共機関での行政手続で八五・〇%ということでございました。まさに本委員会、税制、金融の関係でございます。
 そこで求められますのが、読み書きに困難を抱える高齢者や障害者の読み書き困難者に対して代読、代筆の情報支援サービスを、例えば金融であれば金融機関の職員を対象とする研修会の開催を促すとか、あるいは、こうした情報支援サービスの実施を来店者にお知らせするための表示を金融機関の窓口に設置するといった対応を促すことだと考えます。
 実は、こうした措置については、既に金融機関では相当程度規定は整備されているようでございますが、一方で、現実には実行に移されていないという状況も伺っております。こうした点、金融庁としてどのように認識をし、また業界に対してどのような働きかけをされているか、金融庁にお伺いしたいと思います。

政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。
 金融庁といたしましては、平成二十二年から、障害者の方々からの御意見等を踏まえまして、毎年、障害者等に配慮した取組に関するアンケート調査、これを実施し、公表しております。これによって、金融機関における取組状況を把握するとともに、障害者の方々にとって利便性が高まるように、金融機関の自主的な対応を促しているところでございます。
 アンケート調査におきましては、障害者の方々から代読、代筆依頼があった場合の対応でありますとか、また、職員の障害者の方々への対応力向上のための研修等を行っているかという点についても確認しております。その結果、委員御指摘のように、この代読、代筆に関する内部規定はほぼ全ての金融機関で整備され、研修等の取組についても銀行を中心に着実に取組が進められていると承知しております。
 この規定でございますけれども、規定自体は金融機関において整備されているものということでございますが、障害者の方々からは、依然として代筆規定の内容が窓口担当者に周知されておらず、その都度上司に確認して対応しているとか、あるいは代筆を依頼したけれども断られたり、親族を連れてくるように言われたという声も聞こえているところでございます。
 このため、私どもといたしましては、金融機関の業界団体との意見交換会の場におきましても、幾つかの金融機関の進んだ取組事例なんかも参考にしつつ、障害者の利便性の向上に向けた現場レベルへの浸透、徹底を促しているところでございます。
 当庁といたしましては、障害者の方々の御意見を踏まえまして毎年アンケートの内容を見直すとともに、アンケートの結果を受けて金融機関に取組の改善を要請するなど、金融機関に対して、より利用者の意見を踏まえた対応の向上を促していく所存でございます。

里見隆治君 実のある対応について、今後とも積極的な対応をお願いいたします。
 国税、税務署においても同様の配慮、必要かと思います。この点、今日は質問はいたしませんけれども、是非、財務省また金融庁挙げてお願いをしたいと思います。
 それでは次に、国税庁にお伺いをしたいと思います。
 まず、マイナンバー制度との関連で、様々これは、個人情報保護の観点あるいは一方で利便性をどう活用していくかと、その両面からのアクセスであろうかと思います。
 マイナンバー制度の導入、これから二年が経過をいたします。国税の分野において、マイナンバーの活用状況、現状、また今後の方針についてお伺いいたします。

政府参考人(藤井健志君) お答え申し上げます。
 マイナンバー制度の導入によりまして、国税関係手続におきましては、平成二十八年一月以降、申告書や法定調書などの一定の税務関係書類にマイナンバー、あるいは法人につきましては法人番号でございますが、これの記載を、記載して提出いただいているところでございます。例えば、所得税の確定申告書について、昨年からマイナンバーの記載が必要となっております。導入初年度の二十八年分につきましては、約八三%の申告書にマイナンバーを記載いただいているというのが実績でございます。
 このマイナンバーの活用状況、効果といたしましては二つあると思っております。一つは行政の効率化、もう一つは納税者の利便性の向上ということでございます。
 まず行政の効率化といたしましては、マイナンバーを用いることによりまして、法定調書の名寄せですとか申告書との突合がより効率的かつ正確に行えるようになりますので、所得把握の効率化、適正化が期待できるところでございます。まだ導入当初でございますので、今後これらの効果が得られていくものと考えております。
 納税者利便の向上という点では、マイナンバー制度の導入を契機といたしまして、住宅ローン控除などの申告手続におきます住民票の添付省略などを実施してきております。また、マイナポータルというのが併せて、税の制度ではございませんけれども、ございます。これにログインすればe—Taxを一言で言えばより簡便に行えるようになるというようなこともやっております。
 今後もそのマイナポータルとe—Taxの認証連携ということを進めていきまして、対象手続の更なる拡大に向けて関係省庁とも検討を進めていくというのが私どもの考え方でございます。

里見隆治君 ありがとうございます。このマイナンバーの活用、まだ始めて間もないということで検証しながらということでございますが、様々な利点また欠点、その辺を確認をしながら、更に活用の方向で進めていただければと思います。
 次に、税務署含めての体制についてお伺いをしたいと思います。
 どうも、お伺いしたところでは、実地調査の割合というのが長期的には低下をしてきているということでお伺いしております。この長期的な推移、またその低下しているという背景、こうしたしっかりと税制改正をしながら制度を整えていく一方で、適正課税に向けてお取組をしていただく必要があると考えておりますが、その取組状況についてお伺いをいたします。

政府参考人(藤井健志君) お答え申し上げます。
 私どもの事務年度、各年の七月から翌年の六月なんですけれども、そこにおきます実地調査割合というのを見てみますと、個人の納税者につきましては、平成元年度が二・三%であったのに対しまして、直近の二十八年度は一・一%でございます。法人につきましては、平成元年度が八・五%であったのに対しまして、平成二十八年度は三・二%ということで、低下してきているということでございます。
 この原因のようなことですけれども、税務行政を取り巻く環境を見ますと、様々な事務量の増加がございます。例えば、経済活動の国際化、ICT化に伴う調査事務の複雑化、一件に掛かる時間が長くなるとか、そういうようなことがございます。また、平成二十五年一月の改正国税通則法の施行に伴いまして、税務調査手続の法定化がなされております。これに伴いまして幾つかの手続が増えますので、その分なかなか件数が増えていかないというようなこともございます。それから、申告件数自体も増加しております。
 一方で、国税庁全体の定員につきましては、二十四年度から二十八年度までの五年連続で累計五百九十七名の純減、この二か年は増えておりますけれども、八人の純増ということで、横ばいないしマイナスということになっております。こういう、事務量の増加と定員が増えないということが相まって実調率の低下を来しているという現状にございます。
 このままでは具合が悪いのですけれども、私どもとしては、与えられた条件の中で、実地調査については多額の申告漏れ、悪質な所得隠しが見込まれる事案を優先して実施する、それから、簡易な誤りであれば直接赴かずに電話や書面によって納税者の自主的な見直しを要請して課税の適正化を働きかけていくということで、効率的かつ効果的な調査の実施に取り組んでいるというところでございます。

里見隆治君 ありがとうございます。
 最後に、今の体制について、こうした状況を踏まえて、大臣に最後お伺いをしたいと思いますけれども、定員確保、体制整備を図るというこの点は、毎年の所得税法改正に対して附帯決議がされております。言葉は毎年同様でございますけれども、毎年毎年これは前進をしていくものでなければなりません。麻生大臣に御見解と、また御決意をお伺いしたいと思います。

国務大臣(麻生太郎君) 今御指摘のあった点プラスこれは税の国際化という問題が非常に大きな要素になってきております。加えて、いわゆるITとかいろんなものが入ってきておりますので、そういった意味では、税務行政を取り巻く環境というのはいろんな意味で変わってきておるというのは事実なんだと思っております。
 したがいまして、こういった状況に合わせて税務体制の強化というか変化も、それに対応して我々もやっていかないとと思っておりますので、平成三十年度の予算におきましては、国税庁の定員では七名のいわゆる増というか純増になっております。
 また、機構といたしましては、国際税務の専門官として十四人の増設などを行うこととしておりますので、引き続きの厳しい財政事情であろうとは存じますけれども、少なくともこの税務署の職員のことに関しましては、業務の効率化を図ると同時に、絶対的な量が不足していると私はそう思っておりますので、いろんな意味、役人の数を減らしておる中にあってここの部分はきちんとした対応をせねばならぬと思って、今申し上げたような数字をこの二年間やらせていただいているということであります。

里見隆治君 ありがとうございました。
 以上で終わります。

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