今政府が進めている「働き方改革」は、長時間労働の是正や同一労働同一賃金などの推進により、ワークライフバランス、健康に配慮しながら、一人一人の能力を最大限に発揮できる社会にするために、是非とも進めなければならない課題です。
公明党としても、一昨年来、私も事務局次長として参画した推進本部で議論、検討し、政府を後押ししてきました。
そして、政府は、こうした「働き方改革」に、3年前に提出した労働基準法の改正法案に含まれていた①「企画業務型裁量労働制の見直し」(従来も制度運用されてきた「裁量労働制」の対象に課題解決型提案営業を加え、裁量労働者の健康確保措置の充実を図ること等)や、②いわゆる「高度プロフェッショナル制度」(特定高度専門業務・成果型労働制)などを合わせて、「働き方改革関連法案」として一括した法案の提出を検討しています。
その3年前の法案について、私も法案提出の半年前まで厚生労働省労働基準局に勤務していましたので、直接の担当ではないにせよ様々なご意見があったことは承知していますが、その後、何とか労使の折り合いがつくところで決着をみて、一端は国会に提出され、審議がされないまま、昨年9月の衆議院選挙解散に伴い他のすべての審議未了の法案とともに廃案となったものです。
年初より、総理は今国会を「働き方改革国会」としてその成立を期し、一方の野党の一部は「裁量労働制」を「残業代が支払われない働き方」だとして、この法案に対決する姿勢を強く示していました。
こうした政府の姿勢、野党の追及テーマ、いずれの面からも「働き方改革国会」といえたわけで、既に前哨戦としての火花はこれまでも断続的に散っていました。
そして火に油を注ぎ、更に勢いづけたのが、この半月ほどの「裁量労働制に関する厚生労働省のデータ問題」です。
データ、そしてその使い方に誤りがあり、総理と厚生労働大臣が予算委員会で過去の答弁を撤回して謝罪するという異例の事態になり、与野党問わず国会での追及が続いています。
公明党としては、国会の委員会のみならず、私も党内の厚生労働部会に出席していますが、部会でもこの件を取り上げ、厚生労働省に対してこれまでの経緯、事実関係の説明を求めるとともに猛省を促しています。
まずはこの「データ問題」についてしっかりと精査をした上で、関連法案については国民の皆様の理解が得られる形で国会提出すべきです。
なぜなら、本来の「働き方改革」の趣旨、働き方を取り巻く環境からして、これら法案は、一部野党の言うような「法案提出阻止」ではなく、法案提出を受けて、国会としてしっかり議論し、結論を出していくべき課題だと考えるからです。