参議院ODA(政府開発援助)特別委員会で代表して報告

2018.02.18 00:40(7年前) ブログ国会質疑 |里見りゅうじ(里見隆治)

2月16日、参議院ODA(政府開発援助)特別委員会で、昨年9月上旬に藤川政人団長をはじめとする5人の参議院議員によるパプアニューギニア、ソロモン諸島におけるODAの実施状況の視察、太平洋戦争の激戦地の慰霊に訪れたことを、私が代表して報告、質疑応答の場に対応しました。

戦争から70年以上が経過し、ODA、JICAの青年海外協力隊などによる貢献により、日本との関係は大変友好的。
日本ならではの質の高いインフラ整備、教育・人材育成などソフト支援により、更に国際貢献してまいります!

 

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議事録

里見隆治君 ODA調査派遣第二班について御報告いたします。
 当班は、昨年九月二日から十日までの九日間、パプアニューギニア独立国及びソロモン諸島に派遣されました。両国へのODA調査派遣は初めてであります。
 派遣議員は、団長の藤川政人議員、馬場成志議員、田名部匡代議員、倉林明子議員、そして、私、里見隆治の五名でございます。
 本日は、今回の調査を通じて得られました所見を中心に御報告をいたします。
 まず、インフラ整備について申し上げます。
 パプアニューギニアでは、東ニューブリテン州及び周辺島嶼部における拠点空港である新ラバウル、トクア空港を視察いたしました。同空港は、一九九四年、近郊の火山噴火に伴い閉鎖された旧ラバウル空港の代替として無償資金協力で緊急整備されたものであります。
 同空港は、旅行客の増加に伴い手狭な状態で、しかも施設の老朽化は否めない状況であります。建物は改修工事中でしたが、地域における物流等の拠点として更に発展させるためには、空港機能を強化する必要があります。
 コンガ東ニューブリテン州知事からは、観光の拠点として開発するためトクア空港の再編等のプロジェクトに日本政府や日本企業に協力を求める意見が述べられました。また、ココポ・ラバウル地域の発展のためには、空港の機能強化だけでなく、舗装の劣化が進む道路を補修、改善するなど運輸・交通インフラを一体的に整備する必要があると考えます。
 ソロモンでは、まず、二〇一六年に整備されたホニアラ港を視察しました。同港は、強度不足により軽量貨物しか扱えなかった港湾施設を無償資金協力で改修、増強したものであります。同港では、施設の荷さばき能力が飛躍的に向上したとの説明を受けました。今後、貨物の輸出入増加が一層見込まれており、より効果的、効率的な港湾運営のためには、施設の管理能力の向上の取組を支援する必要があります。
 次に、ホニアラ市のククム幹線道路を視察いたしました。増加する交通量による路面の損傷や慢性的な渋滞が発生しているため、無償資金協力で道路の改修、新マタニコ橋の改修、拡張等を行っています。道路改善事業ではバス停改良が施されていましたが、工事中の新マタニコ橋前後の区間は四車線から二車線に幅員減少するため、渋滞が発生してしまいます。視察時には、突然の大雨で道路が冠水し、渋滞に拍車が掛かる場面に遭遇しました。橋の建設による拡幅とともに、道路排水機能の強化を着実に行うことが求められます。
 ソフ・インフラ開発大臣からは、現在の道路改修区間の延長について要望を受けました。他の整備計画との兼ね合いはあるものの、渋滞軽減のため道路改善事業の延長計画の検討は欠かせないと考えます。
 両国においては、基礎インフラが依然未整備であり、複数のインフラ整備が進行しています。強靱な橋梁などの日本のクオリティーの高いインフラは高い信頼を得ております。今後、民間投資を呼び込むためにも、適切な優先度を踏まえつつ、インフラ整備に対する積極的な支援が求められると考えます。
 次に、環境保全について申し上げます。
 パプアニューギニアでは、建設工事中のポートモレスビー下水処理場を視察しました。首都ポートモレスビーでは、下水道サービスの提供及び沿岸海域への汚水流出抑制のための下水道整備事業が円借款で行われています。同事業については、本年十一月に同国で開催されるAPEC会合までの完成を目指しており、今後、予定どおり下水処理場が完成することが求められています。処理場完成後の戸別接続は二〇一九年中の見込みであり、沿岸沿いの住民七万人分の処理が予定されていますが、公衆衛生の改善や自然環境の保全にどの程度寄与するのか引き続き注視する必要があります。また、将来的にはポートモレスビー全体をカバーする下水処理サービスの検討が重要であると考えます。
 ソロモンでは、大洋州地域廃棄物管理改善支援プロジェクト、J―PRISMが実施されているラナディ廃棄物処理場を視察しました。廃棄物の埋立てに福岡方式を導入してごみを軽減させるとともに、家庭ごみの分別収集システムの構築に取り組んでいます。また、回収したペットボトルをプレス機で圧縮する様子やその保管状況を見ることができました。ただし、圧縮後のペットボトルの流通ルートが確立していなければ保管庫にたまる一方でありますので、今後は再利用に向けた方策が不可欠であると感じました。
 環境保全・気候変動対策は、太平洋島嶼国に共通する課題であることから、各地での取組を大洋州全体で共有するとともに、政府、民間、NGO等が十分に連携して取り組むことが重要であります。
 次に、教育支援について申し上げます。
 パプアニューギニアでは、理数科教育の質の改善プロジェクトの実施機関である教育省カリキュラム開発局及びプロジェクトに基づく授業が行われているコキ小学校を視察いたしました。
 カリキュラム開発局では、同国において初めて標準化された教科書を開発しており、カリキュラム開発を通じて職員の能力向上、人材育成にもつながっているとの説明がありました。また、コキ小学校では、試作版の教科書と指導書を用いた授業を行っており、生徒の学力向上を実感しているとの説明を受けました。教科書、指導書はいずれも具体的で分かりやすく、生徒が積極的に授業に参加している様子が印象的でした。
 パイロット校の実践を踏まえ、パプアニューギニア独自の教科書、指導書を全国に導入することが同国における教育の質の向上につながり、今後、算数、理科以外の教科についても支援を検討する必要があると考えます。
 また、同国のラバウルでは、青年海外協力隊員が活動するカラマナグナン小学校を視察しました。JICAボランティアは他の学校でも活動しており、隊員の指導がすばらしく、生徒の成績が改善されたとの意見が聞かれました。同様に隊員が活動する障害者支援施設カランサービスでは、手話を取り入れた授業や理学療法的なリハビリ活動を視察しましたが、多くのJICAボランティアが専門を生かしながら地域に根差した活動を行っています。派遣期間が二年程度と短期間であっても、引き続きJICAボランティアが活動を継続することが重要であります。
 基礎教育の拡充は国の社会経済発展に必要不可欠なものであることから、引き続き、各種プロジェクトを通じて教員の指導力改善、児童の学力向上に資する取組や人材育成に対する支援を継続的に行う必要があると考えます。
 次に、天然資源開発について申し上げます。
 パプアニューギニアでは、同国初の天然ガスプロジェクトの施設であるLNGプラントを視察しました。油ガス田で産出される天然ガスをLNGプラントで液化して輸出するPNGLNGプロジェクトは、日本企業が事業化検討段階から参画、建設し、二〇一四年に完成したものです。プラントで生産されるLNGの約半分が日本向けに輸出されています。
 パプアニューギニアでは、投資額約二兆円に上るプロジェクトの成功を受けて、更なるLNG開発が計画されており、日本企業による投資への期待が高まっています。また、プラントでは、地元の若手技術者たちがLNGの生成過程等について分かりやすく説明する姿が印象的であり、プロジェクトが技術者の人材育成に貢献していると言えます。
 次に、これらの案件視察を通じて必要と考える今後に向けた支援について申し上げます。
 まず、投資環境の改善についてであります。
 パプアニューギニアでは、政権が今後経済成長を最優先する意向を示しています。海外からの投資拡大が見込まれ、日本企業に投資を求める声は強いものがあります。
 単に木材、魚類等の一次産品を輸出するだけでなく、国内で加工産業を育成し、輸出につなげていくことが重要であり、雇用創出に貢献するものです。また、豊かな自然環境を活用した観光開発の潜在性は高いと考えられます。
 各分野における民間投資の拡大が経済成長の実現に向けて鍵を握ると言っても過言ではなく、官民連携を一層推進する必要があると言えます。なお、悪化している治安等の問題を抱えたままでは投資を一層促進することは困難であり、こうした投資環境の改善に資する支援の在り方についても検討が求められます。
 ソロモンでは、ニッケル等の資源開発が期待される一方で、豊かな自然環境を活用した観光開発が経済発展に結び付く可能性を秘めています。また、治安維持のためのソロモン地域支援ミッション、RAMSIが昨年六月に完全撤退しており、今後の治安情勢が懸念されます。
 両国においては、今後、投資環境の改善に資する支援を行うことが重要であります。また、治安面での留意が必要であり、日本企業関係者やJICAボランティアが安心して活動できるようなバックアップ体制が必要と考えます。
 次に、太平洋・島サミットプロセスに基づく協力についてであります。
 第八回太平洋・島サミット、PALM8が本年五月に福島県いわき市で開催されますが、今後、PALM8を成功に導き、その成果を太平洋島嶼国の経済発展に結び付けることが重要であります。
 また、パプアニューギニアやソロモンでは、地震、津波、サイクロン等の被害を受けやすいため、日本と共通の課題である自然災害の脅威への対策について協力する必要があります。さらに、気候変動・環境分野で日本は指導的役割を果たすことが求められているため、こうした課題に対する支援を的確に講じていく必要があると考えます。
 次に、遺骨収集の推進についてであります。
 パプアニューギニア、ソロモンにおいて、派遣団は戦没者の碑や慰霊公苑を訪れ、献花を行いました。両国はさきの大戦の激戦地であり、戦没者は東部ニューギニアで約十二万七千六百人、ビスマーク・ソロモン諸島で約十一万八千七百人に上る一方で、両地域で未収容の遺骨が今なお約十三万五千柱となっています。
 政府は二〇二四年度までの集中実施期間に遺骨収集の取組を強化していますが、迅速な収容に向けてこうした取組を加速する必要があると考えます。
 最後になりますが、政府関係者等との意見交換、案件視察の際には、日本からの支援に対する感謝の言葉が必ず寄せられました。日本と両国が長年にわたる協力関係を構築してきた成果であります。
 終わりに、今回の調査に当たって多大な御協力をいただきました視察先の関係者、外務省及び在外公館、JICAを始め、JICAボランティア及び専門家、日本企業関係者、国際機関の方々に改めて感謝申し上げます。
 以上でございます。ありがとうございました。

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