6月13日、内閣委員会で国家戦略特区・構造改革特区法案について審議。私からはこの法案について3回目の質問です。
自動車の自動走行のための実証実験をやりやすくして、日本が自動車の自動走行分野で世界のトップランナーになれるように!
さらに、私から山本大臣に各省庁との丁寧な審議、審議過程の透明化について進めていただくよう求めました。
途中、山本大臣の問責決議案が提出されて、委員会は散会となりました。
政策面ではしっかり政府を追及しますが、決して政策、法律案を政争の具にすることなく、会期を今週末に控え、国会の終盤戦に臨みます!
議事録
里見隆治君 公明党、愛知県選出の里見隆治でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
愛知県は、地域的に中山間地、過疎地から大都市圏までをカバーし、産業面でも農業と製造業がバランスよく発展している地域でございます。特に、製造業の中でも自動車産業、航空宇宙産業が日本、世界をリードする産業として集積をしている地域でございます。
愛知県のみならず我が国を牽引する産業として、あるいは世界経済をリードしていく産業として期待されるのが自動車産業でございます。さらに、自動車関連で自動運転技術は、近年、国内外において完全自動運転を視野に入れた技術開発が進展をしており、世界の主要国がその取組を加速化させております。
私は、先週末、名古屋大学を訪れまして、官民共同による自動走行の最先端の研究開発現場を視察させていただきました。我が国として、まさに官民一体となって国家プロジェクトとして政策資源を集中投資し、自動走行の早期実用化を加速化させることが急務であると考えます。
政府においては、去る五月三十日に官民ITS構想・ロードマップ二〇一七を決定し、多様な高度自動運転システムを持った社会の実現に向けたロードマップを策定されたと承知をしております。政府として今後どのように取組をされるか、お伺いをいたします。
政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
自動運転は交通事故の減少や高齢者を含めた地域の新たな移動サービスの実現などに寄与するとともに、我が国の自動車産業が世界をリードする競争力を維持する上で不可欠な技術であると認識してございます。
このような認識の下、政府では、IT総合戦略本部におきまして、民間事業者や関係省庁の参加の下、自動運転に関する総合的戦略として官民ITS構想・ロードマップを二〇一四年に策定し、以降、急速に変化する国内外の動向を踏まえつつ、毎年改定しているところでございます。
先月三十日に、先生御指摘のロードマップ二〇一七を決定いたしました。この中で、国家戦略特区を活用した実証実験の推進についてもロードマップにおける重要な取組として位置付けているところでございます。今後とも、引き続き関係省庁と連携し、政府一体となって自動運転の早期実用化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
里見隆治君 愛知県は、交通事故死者数が平成十五年から昨年まで連続十四年間ワースト一という残念な記録が続いております。愛知県は、ワーストワンの汚名を返上しようと、自動車安全技術プロジェクトチームを設置し、活動を積極的に推進しております。
そして、その活動の一環として、自動走行実証実験ワンストップサービス事業が提供されています。まさに今回の法案で提案されている近未来技術実証ワンストップサービスセンターの原型ともいうべき事業であります。
今後の参考としまして、愛知県にこの現在のワンストップサービスの実施状況から得られる知見を伺っておりますので、御紹介をしておきたいと思います。
まず、実験実施者のメリットとして挙げられるのは、本来多数の窓口が必要な自動走行実証実験の窓口が一本化されることにより、実験コスト及び調整に掛かる時間の削減といった高い効果が得られたと、第二に、行政機関に対しての申請、手続であることから、公務員としての守秘義務が存在することで公開したくない実証実験の取組を公開せずに行うことが可能であると、第三に、一本化された窓口において実証実験のために関係する各種法令及びその解釈など様々なアドバイスが得られたという以上の三点でございます。
行政側から見た改善点、課題としては、第一に、今後、本サービスの増加が見込まれるため、サービス支援体制の強化が必要、すなわち人件費、物件費等の確保が必要であると、第二に、道路交通法などの走行に関する各種法令とともに、新しくなる制度を常に理解、熟知した専門人材の確保が必要であるという二点でございます。
さらに、行政からこうしたことを今後全国に広めていくに当たっての要望として、恒常的な相談窓口の設置に伴う人件費、物件費への財政的な支援、また相談窓口を担う専門人材の養成や確保への支援といった二点が挙げられます。
法律案では、近未来技術実証ワンストップセンターを含め、国、地方公共団体が事業者に対して情報提供、相談、助言その他の援助を行うとされておりますけれども、こうした愛知県の経験も踏まえて、より良い情報提供、相談等の援助をいただきたく、お願いをしておきます。
また、本法案において提案されています日本版レギュラトリーサンドボックスは、自動走行の早期実用化に向けた民間の挑戦を後押しするものだとされております。自動走行の早期実用化に向けて、今回の改正はどのような意義を持つのか、加速化の契機とできるのか、内閣府にお伺いをいたします。
政府参考人(佐々木基君) お答えを申し上げます。
今、国家戦略特区の各地域では自動走行などの先端技術の実証実験を行っておりますけれども、今後、更に最先端の実証実験を進めていく上で、多方面との事前の協議や手続のために実験が迅速、円滑に進まないということにならないようにする必要があると考えております。
このため、先端技術の実証実験の際に、安全性に十分配慮しつつ、事前の規制、手続を抜本的に見直すための具体的方策を一年以内に検討し、必要な措置を講ずる旨の検討規定を盛り込んでいるところでございます。また、さらに、その検討をしていく間にも、事業者ができる限り円滑に実証実験を行えるよう、区域会議の下に近未来技術実証ワンストップセンターを設置いたしまして、実証事業の実施に際して必要となる各種の手続、道交法でございますとか電波法、航空法でございますが、こういったものにつきまして、情報提供や相談あるいは代行等の各種援助を行うこととし、今般の特区法改正案の雑則に関係規定を設けることといたしました。これは、今先生御紹介いただきました愛知県で行われていることを大変参考にさせていただいておりまして、これをモデルにして全国的に普及させていきたいという意向もあるわけでございます。
この規定に基づきますワンストップセンターの運用によりまして、実証実験の実施主体の手続負担が軽減されまして、実施主体が迅速かつ集中的に実証実験を推進できるものと考えているところでございます。
里見隆治君 ありがとうございます。
愛知県は、去る六月六日、公道での遠隔型自動走行実験を県内で行うと発表をいたしました。自動車の運転席にドライバーが乗らず、離れたところからの遠隔操作ということでございます。既に、運転手がいない無人バスの走行は、特区指定されている秋田県仙北市で、昨年、山本大臣も乗車を経験されたというふうに伺っておりますが、更に広範囲の公道で実現をすることになります。公道での実証実験ということで、一般のドライバーや歩行者の皆さんに不安を与えず、安全に行われるべきと考えます。
警察庁は、去る六月一日に、遠隔型自動運転システムの公道実証実験に係る道路使用許可の申請に対する取扱いについて通達をされたと承知をしております。その内容、意義についてお伺いをします。
その中で、安全性の確保、緊急時の体制などはどのように配慮されているか、また、ドライバーでない遠隔監視・操作者が法令上の運転者に課された義務を負うとのことですけれども、これらの点が道路交通法の改正がなくても可能なのか、その点も含めてお伺いをいたします。
政府参考人(井上剛志君) お答え申し上げます。
自動運転技術は、我が国の将来における交通事故の削減や渋滞の緩和を図る上で不可欠な技術でありますことから、警察といたしましても、その進展を支援する観点から積極的に取組を進めているところでございます。
本年六月一日には、遠隔型自動運転システムの公道実証実験に係る道路使用許可の申請に対する取扱いの基準を策定、公表をしたところでございます。具体的には、運転者席に運転者が乗車しない遠隔型自動運転システムの公道実証実験に関し、新たに道路使用許可の対象行為とし、一定の安全性を確保しながら円滑に実験を実施することを可能とするものであり、自動運転に係る技術開発の進展に資するものと認識いたしております。
また、遠隔型自動運転システムは、実験段階にある技術であります。一般交通と混在する中で実験を行うに当たりましては十分な安全確保が図られることが必要でございます。こうした観点から、本基準においても、事前に実験施設等において公道実証実験を想定した走行を行い、実験車両が安全に走行できることが確認されていること、緊急時には現場に急行することができるよう体制を整備していることなどの一定の安全確保のための必要な措置が実験主体において講じられていることを求めるとともに、警察官等が走行審査を行い、一定の安全性を確保した上で許可することといたしております。
なお、遠隔型自動運転システムにおきましては、遠隔監視・操作者が道路交通法上の運転を行う者、すなわち運転者に当たると解されるところでありまして、本基準においては、道路使用許可の枠組みを用いて安全確保のための一定の条件や技術、装備要件が満たされていることが確認されることにより、遠隔型自動運転システムに係る公道実証実験の安全かつ円滑な実施が現行法の範囲内で可能となるものでございます。
今後とも、自動運転の早期の実現に向け、交通の安全と円滑の観点から必要な取組を推進してまいりたいと考えております。
里見隆治君 今の道路交通法との関係、ちょっと私もまだ頭の中で整理できていない状況ですけれども、ケース・バイ・ケース、一つ一つの安全性を確認しながらケースごとに審査、判断をされているということだと思いますし、まさに規制改革は、そういったケースを積み上げていく中でまたそれが制度化していくということだと思いますので、いずれにしても、この安全の確保ということは第一に、その上での推進、お取組をお願いしたいと思います。
自動走行は、経済社会において様々な分野、領域で実用化されることが期待をされております。特に私は、山間地域での移動、高齢者の生活支援などの分野での自動走行の実用化に大きな期待を持っております。今後、この分野において政府全体としてどのようなビジョンを持って取り組まれるか、お考えをお伺いいたします。
政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
御指摘のとおり、山間部を含めた過疎地域等地方での移動手段や高齢者等の移動困難者の移動手段を確保することが重要な課題であると認識してございます。このような認識の下、官民ITS構想・ロードマップ二〇一七では、地方、高齢者等向けの無人自動運転移動サービスの実現を重点項目の一つとして位置付けるとともに、二〇二五年をめどに全国の各地域で高齢者等が自由に移動できる社会を実現することを目指すというビジョンを持っておるところでございます。
今後とも、このようなビジョンを念頭に置きつつ、山間地域での移動、高齢者等の生活支援等に向けた自動運転の実用化も含め、関係省庁と連携し、政府一体となって取り組んでまいりたいと考えております。
里見隆治君 今、全体像、お話をいただきましたけれども、各省庁お取組をいただけるということですけれども、今年度から国土交通省において、高齢化する中山間地域において、人の流れ、物の流れを確保するために、道の駅を拠点とした自動運転サービスの社会的な実験を始められたと承知しております。その概要を御紹介いただけますでしょうか。
政府参考人(青木由行君) お答え申し上げます。
今御指摘ございましたように、中山間地域では高齢化が進行してございまして、日常生活における人流、物流の確保、これが喫緊の課題になっているというふうに認識してございます。
一方、この道の駅でございますが、これは全国で今千か所以上設置をされているところなんですが、その約八割に当たる道の駅がいわゆる中山間地域に設置をしてございまして、物販施設ですとかあるいは診療所、行政窓口、こういった多様な生活に必要なサービスが集積されつつあると、こういった実態にございます。
国土交通省といたしましては、こういった道の駅など、地域の拠点を言わば核といたしまして、技術が進展してございます自動運転車両、これを活用いたしまして、例えば買物や通院など高齢者の生活の足の確保を図るとか、あるいは宅配便、農産物の集荷など物流の確保、あるいは観光への活用、あるいは雇用の場の創出、こういった形で地域生活を維持いたしまして地方創生を実現していくために、言わば車両と道路、これが連携した移動システム、これを構築することを目指しまして実証実験に取り組むことといたしました。
今年度、実験開始いたしますが、主に二つのタイプを想定してございまして、一つは、道路構造、交通への影響、気象条件など車両と道路に関する技術的な検証を行うタイプのものでありまして、これは四月に実験箇所五か所を選定したところであります。もう一つのタイプは、これはビジネスモデルに関する検討ということで、例えば貨客混載あるいは観光などの活用、こういったことを想定した検討を行うものでありまして、現在、二十六地域から応募をいただきまして選定作業に入っているということでありまして、いずれにいたしましても今年夏頃から順次実験を開始したいと、こういうふうに考えております。
私どもといたしましては、道路の現場技術とそれから自動車の車両技術、制度、この双方が連携それから工夫を行うことで、地域社会を支える自動運転の早期実現に向けまして、関係省庁とも連携をいたしまして取組を加速してまいりたいと、このように考えております。
以上でございます。
里見隆治君 今御答弁をいただきました高齢化する中山間地域の自動運転サービスの社会実験など、今後の地域社会の足、高齢者の足の確保という意味で、今回の法案による対応など、自動走行の実証実験を加速させるなどして更に積極的な推進をお願いいたします。
最後に、山本大臣にお伺いをいたします。
六月一日の本委員会審議において、私から冒頭、大臣に対しまして、内閣主導とはいえ、規制の在り方については所管省庁の担当部局と丁寧に協議を行う必要があるということでお伺いをしましたところ、大臣より、最終的には関係省庁の合意を得た上で特区諮問会議で政府決定するというのがあるべき姿だと、また、スピーディーかつ丁寧に議論を進め岩盤規制改革を進めてまいりたいという御答弁を頂戴いたしました。関係省庁の合意が得られるよう丁寧に協議を進めていただきたいと心から思いますし、さらに、その協議の過程を見える化することが極めて重要だと考えます。
従来、政府は、構造改革特区、最近はこれに国家戦略特区を加えて、二十九次、二十九回にわたり定期的に特区の提案募集を行ってこられました。提案者の提案の趣旨、またそれに対する関係省庁の反論などは、一々丁寧にエクセル表に論点としてまとめ、公表されております。
一方、国家戦略特区の特区会議での自治体等からの随時の提案に対しては、区域会議、また諮問会議、ワーキンググループなどで議論されることになり、必ずしもそのようなフォーマットの形で公表ということはございません。したがって、その内容については、会議の配付資料、議事録、議事要旨によるしかないわけでございます。
こうした議事の過程の論点を随時適切に公表することが、当事者のみならず、内外で納得感のある結論を出すために重要なことと考えますけれども、山本大臣の御所見をお伺いいたします。
国務大臣(山本幸三君) 国家戦略特区は、岩盤規制改革を実現するため、特区諮問会議や区域会議、ワーキンググループといった推進組織を整えております。その中で、規制改革事項については、最終的には関係省庁の合意を得た上で特区諮問会議で政府決定しており、また、法律事項は、国会での御審議をいただいているところであります。事業を実施する区域計画についても、関係省庁の同意を得た上で認定を行っております。一方、地方議会や住民の意見は、特区自治体の長による区域会議への参画を通じお伺いする仕組みとしております。
こうした多くの関係者による参画の仕組みに加え、できる限り情報の公開の徹底を図り、透明性を十分に確保することが重要と認識しております。このため、集中受付期間における特区提案に係る関係省庁とのやり取りの公表に加え、特区諮問会議、区域会議、分科会、特区ワーキンググループなどの議事要旨や関係資料はホームページなどにおいてできる限り公表し、調査審議の中立性、公平性を確保しているところであります。
今後も、透明性の確保を一層徹底し、速やかに公表に努めることで見える化に努めてまいりたいと思います。
里見隆治君 大臣に具体的にそういった実行をお願いをしまして、私からの質問とさせていただきます。