6月8日、内閣委員会で国家戦略特区等の法案審議、3日目です。
私からは、テレワークの推進、公務員の働き方改革について、山本幸三大臣、厚生労働省の藤澤審議官(前愛知労働局長)等に質問。
3年後の東京オリンピック・パラリンピック開会式予定日である7月24日を「テレワーク・デイ」と決定済!
ロンドン五輪の成功例にならって、今年から3年間、7月24日、多くの企業、個人に呼びかけ、テレワークの普及につなげます!
議事録
里見隆治君 公明党、愛知県選出の里見隆治でございます。先週に続いて質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
特区では、各事業分野について規制改革を進めるとともに、人の働き方にも変化をもたらします。本日は、特区と働き方改革についてお伺いをしてまいります。
本法案には、テレワーク活用のための事業主等に対する援助に関する規定が盛り込まれております。テレワークには、働く方にとってはライフ・ワーク・バランスの向上、企業にとっては生産性の向上など、働く方、企業双方にとってメリットのある働き方であり、政府の働き方改革実行計画にも盛り込まれ、今後一層の推進を図るべきものと考えます。特区でないとテレワークができないということではないわけですが、特区においてテレワーク推進に向けた相談拠点を整備するということを想定していると承知をしております。
厚生労働省として、地方自治体と連携して国家戦略特区で実施する狙いは何か、また、具体的にどのようなことを行うのか、お伺いをいたします。
政府参考人(藤澤勝博君) お答えを申し上げます。
テレワークは、子育てや介護と仕事の両立の手段となり、多様な人材の能力発揮が可能となるものであり、働き方改革を進める観点からもその推進を図ることが重要であると考えております。
今御質問の、今回、国家戦略特別区域法の改正におきまして、テレワークを導入しようとする企業等に対しまして、国と自治体が連携をしまして各種相談支援を行うテレワーク推進センターの設置を盛り込んでいるところでございます。
これは、現時点では、東京都と連携をしまして本年夏頃より事業を実施する予定でありますけれども、国は専門的な助言、相談を行い、また、東京都はワーク・ライフ・バランス施策と連携して対象企業の掘り起こしを図るなど、企業に対してテレワークに係る情報提供、相談、助言などをワンストップで実施をすることとしております。
今申し上げましたように、国と地方自治体、それぞれの強みを生かして支援を行うことで、テレワークの普及について一層の効果が高まることを期待しているところでございます。
里見隆治君 テレワークの意義、これは非常に十分理解できますし、一方で様々な課題も指摘されております。
労働政策研究・研修機構の一昨年の実態調査によりますと、テレワークの実施の課題として企業からは、進捗状況などの管理が難しい、また労働時間の管理が難しいといった意見が出されております。また、働く皆さんからは、仕事と仕事以外の切り分けが難しい、長時間労働になりやすいといった意見が多く寄せられております。
テレワークを推進していく上で、こうした課題や懸念を払拭していく必要があると考えます。テレワークによってかえって長時間労働を招いたり、あるいは深夜労働を助長するようなことがあってはならないと考えます。
厚生労働省としてどのように対応されておられますでしょうか。
政府参考人(藤澤勝博君) お答えを申し上げます。
今御指摘のとおり、テレワークの普及を図っていくためには、テレワーク利用者の適切な労務管理が行われるようにすることが重要であると考えております。
本年三月に取りまとめられました働き方改革実行計画に基づき、今年度は有識者から成る検討会を開催をしまして、テレワークのガイドラインを改定することとしております。その改定に当たりましては、企業がテレワークの導入にちゅうちょすることがないように、フレックスタイム制や通常の労働時間制度における中抜け時間や移動時間の取扱い等、時間管理の方法を明確化をするとともに、長時間労働を防止するために、企業の実例などを踏まえて、深夜労働の制限や深夜、休日のメール送付の抑制などの対策例を推奨するなど、テレワークの普及加速に向けたガイドラインとする予定でございます。
また、この改定後のガイドラインにつきまして、ホームページ等での周知や企業向けのセミナーなどで活用するとともに、テレワーク推進センターにおいても紹介する予定であります。
こうした取組を通じまして、良質なテレワークが普及するように努めていきたいと考えております。
里見隆治君 今御答弁いただいたように、テレワークの推進に当たっては、その労働の質について十分配慮いただく必要があると考えます。
先ほど申し上げた労働時間の問題に加えまして、賃金についても十分な配慮が必要だと考えます。
例えば、テレワーク推進と併せてこのような主張がございます。深夜労働の時間帯の割増し賃金、すなわち二五%以上割り増して賃金を支払わなければならないとの規定は、もうテレワーク、時間に、また場所にフリーな働き方なのだから、こうした深夜割増しは適用しなくてもいいのではないかといった主張があるようですけれども、私は、健康面への配慮からそのような考えはいかがなものかと考えます。
また、最低賃金の適用についても、例えば東京の事業所に雇われる労働者について、労働者が地方で、ローカルな地域でテレワークをするのであれば、高い東京の最賃ではなくその地方の最低賃金、低い方の最賃を適用すれば安上がりで雇えてよいのではないかといった御意見もあります。
少しややこしいので、この現行の最低賃金の適用についてどのようになっているか、厚労省から御説明いただけますでしょうか。
政府参考人(藤澤勝博君) お答えを申し上げます。
最低賃金についての御質問でございますけれども、最低賃金につきましては、これは使用者の事業場の所在地がある都道府県の地域別最低賃金が適用されることとなっているところでございます。
里見隆治君 今、最低賃金、地方別の最低賃金の価格ですけれども、最高が東京で時給九百三十二円、最低は沖縄県と宮崎県が七百十四円、またその次、ワーストツー、スリーが福岡県以外のその他の九州各県、そして鳥取県や高野先生の高知県が七百十五円と、これ非常に格差が大きい状況が続いております。この格差をいかに縮めていくか、これが地方創生という観点から重要だと考えます。
地方が賃金の低さをセールスポイントにして雇用を誘致するというような低きに向かう競争ではなく、地方の特性を生かし、労働の質をいかに高めていくかという高きに向かう競争こそが求められていると考えます。
山本大臣は、この内閣委員会でも、今国会、所信等何度も、地域資源を生かした仕事をつくり、地方の平均所得の向上を実現してまいりますと繰り返し述べられております。賃金を下げることで雇用を誘致するという考え方は山本大臣のお考えに反すると考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
国務大臣(山本幸三君) おっしゃるとおりです。テレワークは、ある意味で有能な人材を時間や場所に縛られずに新たな雇用ということで可能にするものでありまして、産業の国際競争力の強化等に大きく寄与するものだと思っております。その際に、地方だからといって最低賃金でよければいいというようなものではないというふうに思っております。逆に、むしろテレワークを活用することによって高い賃金でもできるというようなふうにやっていくのが本来の姿だと思っています。
先般、私、広島に出張、視察したんですけれども、そこにドリーム・アーツという会社がありました。そこを視察させてもらいました。大変、事務所は非常に近代的なものと同時に、サロン的に大変快適な事務所になっているわけですが、その会社はまさにアプリを作る会社でありまして、本社は東京の恵比寿にあったんですけれども、広島で事業をやると。本当のIT系の企業ですから、もうどんどんテレワークで同じ仕事ができるんだと。そして、人材はむしろ地方の方が東京でよりも採りやすいということで、仕事がもうちゃんとできればそれは東京と同じ賃金でやるんだということでやっておられまして、これこそが本来のテレワーク推進の一環ではないかなと、そういうふうに思った次第でありまして、是非、イノベーションや新産業の創出を通じて、地域産業競争力の強化に向け、各地域の創意工夫の下で有効にテレワークが活用されるように関係省庁とも連携しながら対応を進めてまいりたいと思っております。
里見隆治君 力強い御答弁、ありがとうございます。
前回、前々回と、規制改革と価格の関係について議論がございました。賃金というのは、言わば労働の対価としての価格でございます。今後の地方創生の議論が労働の価格、すなわち賃金相場を下げることで雇用拡大、成長といった方向ではなく、生産性を向上し賃金水準を上げながら地方経済を活性化させていく方向で進めていただきたいと、改めて山本大臣にお願いをいたします。
本題のテレワークに戻りますけれども、生産性の向上につながる良質なテレワークの推進、こうした点で、私の地元愛知県では、既に国家戦略特区に御指定をいただいております。また、テレワークに関しては、地元トヨタ自動車が、ワーク・ライフ・バランスや女性活躍推進の観点からテレワークを万人単位を対象にして積極的に推進していると既に報道もされているとおりでございます。
こうした全国各地での取組が広がる中、今般のテレワーク推進に向けた相談拠点の整備は、まずはこの夏東京で実施をしたいということと承知をしておりますが、今後全国に広げていくべきと考えますけれども、厚生労働省のお考えをお伺いいたします。
政府参考人(藤澤勝博君) お答えを申し上げます。
テレワークを普及し活用を広げていくことは、ワーク・ライフ・バランスの実現や企業の生産性向上につながるほか、地方における雇用の創出やそれに伴う地域活性化など地方創生にも資するものであり、今回のテレワーク推進センターの事業は東京以外の地域においても効果が期待されるものと考えているところでございます。今後、意欲のある他の特区がありますれば、よく連携をして事業を展開をしていきたいというふうに考えているところでございます。
里見隆治君 よろしくお願いいたします。
あわせて、特に中小企業でのテレワーク推進という点では、既に実施をされている職場意識改善助成金のテレワークコース、こうしたものについても来年度に向けてその拡充をお願いしておきたいと思います。
続けて、総務省にお伺いをいたします。
テレワークの普及を国民運動として後押ししていこうということで、総務省が七月二十四日をテレワークデーと定め、企業等が一斉にテレワークを実施する日としていくと呼びかけられたと承知をしております。この七月二十四日は、三年後、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開会式開催予定日に当たると承知しております。まさに一九六四年の東京オリンピックであれば、十月十日、体育の日に相当する日であります。この日をテレワークデーとして国民運動としていくとのこと、総務省から詳しく御紹介いただければと思います。
政府参考人(吉岡てつを君) 御指摘ございましたように、テレワークを広く普及、定着を図る取組といたしまして、今年度より、二〇二〇年東京オリパラの開会式に当たります七月二十四日をテレワークデーと位置付けまして、国民運動として集中的に取組を進めることとしております。
これは、二〇一二年のロンドン大会の際に、ロンドン市の交通局がテレワークによる交通混雑回避を呼びかけたところ、ロンドン市内の企業の約八割がテレワークを導入したという事例を踏まえたものでございます。
現在、テレワークデーの実施に当たりまして、関係府省、東京都、経団連等とともに、幅広く企業、団体等にテレワーク実施を呼びかけているところでございます。
具体的には三つのタイプでの参加を募っているところでありまして、一つ目には、百人以上がテレワークを実施し、その効果測定も行う特別協力団体。二つ目には、一人以上のお試し的なテレワークでも参加できる実施団体。そして、三つ目には、テレワークのツール、スペース、ノウハウ等を提供する応援団体というものをそれぞれ募集するとともに、政府広報、ポスターを始め様々な媒体でPRを進めていくこととしております。
また、国家公務員につきましても、山本大臣の指示の下、率先して実施をすることとしております。
今後、二〇二〇年にかけて毎年その輪を広げていき、テレワークによる良い社会の形成ができるよう、朝の通勤風景ががらっと変わる、通勤のストレスが解消する、働き手の満足度や生産性の向上にもつながるといった社会が形成できるよう、国民運動として果敢に展開をしていきたいというふうに考えております。
里見隆治君 官民またがっての運動だというふうに承知しております。また、この中には国家公務員も率先してテレワークを実施するということでございますので、皆様協力して積極的な推進をお願いいたします。
次に、公務員の働き方について伺います。
今回の特区法案の改正事項、各改正事項の青写真を描いているのは、昨年の今頃閣議決定をした日本再興戦略二〇一六でございます。
その中で、この特区関連として、特区における公務員等の働き方改革の先行実施という項目がございました。その一部をそのまま読み上げます。「自治体等からの提案に基づき、特区制度を活用して、公務員を対象に、時間にとらわれない働き方、柔軟な働き方、テレワークの大幅な導入拡大等も図る。」とあります。しかし、残念ながら、この一年間、自治体等からの特段の提案の実績はなかったとのことでした。しかし、今後、自治体同士が切磋琢磨して、テレワークなど働き方改革に臨んでいただきたいと思います。
一方で、実績がなかったという点で私感じましたのは、やはり特区制度の活用と働き方改革、これを直接結び付けるのが無理だったのではないかなと。その辺いろいろ検証しながら進めていただければと思います。
それからもう一点、昨年の再興戦略の特区関連の項目を読み上げます。「同一労働同一賃金に向けて、公立保育所、消費生活センター等の公的事業所で勤務する正規職員と非正規職員の待遇格差是正に関する取組に係る自治体の状況を踏まえて、一定の規制改革事項の適用の在り方を検討すること等により、役所で先行して問題を解消することを促す。」とございます。
ちょっと、私、これ理解が難しいなと。理解に苦しみますのは、規制改革事項の適用の在り方を検討するということと、それから、正規、非正規の待遇格差是正というものが結び付けられているという点でございます。
規制の在り方を検討とありますので、これは私の推測でしかないわけですけれども、例えば、ある自治体が仮に運営経費の節減を目的として公立保育所における保育士の配置基準の緩和を要望、それが仮に実現したとすると、正規の保育士の数は減らされて、その分、無資格の補助職員が増やすなどという結果がもたらされることになります。かえって待遇格差が開いてしまうといった懸念もございます。結局、この項目に関しても確認しましたところ、特段の実績はなかったということでございました。
私は、処遇改善、また待遇格差是正という点は規制改革とは別次元で進められるべきであると考えます。その点、総務省におかれては、こうした規制改革とは別次元で、正規、非正規の待遇格差改善、これについては取り組んでおられるというふうに伺っております。その具体的な取組状況についてお伺いいたします。
政府参考人(高原剛君) 御答弁申し上げます。
地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律が先月国会で成立し、五月十七日に公布されたところであります。
この改正法は、地方公務員の臨時・非常勤職員について一般職の会計年度任用職員制度を創設し、任用、服務の適正化を図るとともに、あわせて、勤務条件面においても国家公務員の取扱いとの均衡を踏まえ、期末手当の支給を可能とするものであります。
このような勤務条件面での取扱いは、これまで期末手当の支給が認められていなかったことを考慮すれば、民間部門における同一労働同一賃金ガイドライン案における、いわゆる賞与についての正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消という方向性にも合致しているものと認識しております。また、政府の働き方改革実行計画にも位置付けているところでございます。
総務省としては、今後とも、各地方公共団体における定着状況や民間の動向、国家公務員に係る制度運用の状況等を踏まえ、また厳しい地方財政の状況にも留意しつつ、会計年度任用職員に係る適正な任用、勤務条件の確保を推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
里見隆治君 今御答弁いただきました地方公務員のみならず、山本大臣は国家公務員制度の担当大臣でもいらっしゃいますので、是非、公務部門の同一労働同一賃金、またテレワークにも積極的にお取組をいただきたいと思います。
私も官民交流で国家公務員から民間企業に出向をいたしまして、民間でのテレワークを経験いたしました。職場外での携帯端末やパソコンも貸与され、またデータ漏えい防止策も取られ、そして労働時間管理も適切にされていると、このテレワークの先進事例を体験させていただきました。是非、国家公務員でも積極的な取組を行うべきだと考えます。
また、既に非常勤職員採用予定者に対する給与等の条件、勤務条件についても見直しを進められているということですが、現在のこうした国家公務員についてのお取組の状況について、山本大臣にお伺いをいたします。
国務大臣(山本幸三君) まず、国家公務員の非常勤職員の処遇につきましては、昨年、内閣人事局におきまして給与等に関する事項に関して実態調査を行ったところであります。期末手当の支給状況等、一部の項目に差異があることが分かりました。
そうした結果や民間の同一労働同一賃金の議論なども踏まえ、本年五月には、非常勤職員の給与に関し、支給率の低いパートタイム職員を含め非常勤職員全員に対し期末手当を支給することを目指すこと等について全府省で申し合わせました。
引き続き、実態調査や同一労働同一賃金ガイドライン案、さらには民間の取組なども踏まえながら、関係機関とも連携して実効が上がるよう必要な取組を進めてまいりたいと思います。
また、テレワークは、育児、介護等を担う職員を含めた全ての職員のワーク・ライフ・バランスの推進の観点から有効な働き方であります。しかしながら、昨年十一月の実態調査によれば、テレワークに使用できるパソコンの台数に制約があるなど、希望者が自由にテレワークをできる環境にない省庁も相当あるのが現状であり、直近把握している平成二十七年度の本省職員全体に占めるテレワーク実施割合は三%強にとどまっております。
このような状況を踏まえ、本年三月取りまとめられた働き方改革実行計画では、二〇二〇年度までに、必要な者が必要なときにテレワークを本格的に活用できるようにするための計画的な環境整備を行うこととされたところであります。
引き続き、こうした計画等を踏まえ、環境整備の遅れている省庁に対し更なる取組を加速させるよう必要な後押しを行うなどにより、国家公務員のテレワークを積極的に推進してまいりたいと思います。
里見隆治君 山本大臣、積極的なお取組、是非とも推し進めていただきますようお願いいたします。
本日お伺いをしてまいりました労働分野、またその他の福祉分野なども同様だと思いますけれども、必ずしも規制改革一辺倒で地域の経済活性化、平均所得の向上につながるとは限らない面がございます。大胆な規制改革はもちろん進めていただく一方で、社会的な規制については今後ともよくそのプラスマイナスの効果を見極めた上で進めていただくようお願いをして、私からの質問を終わります。
ありがとうございました。