3月24日、予算委員会で安倍総理、岸田外務大臣に質問。今日の審議のテーマは安全保障、内外の諸情勢。
他党の議員が森友学園について殆どの時間を割く一方で、公明党からは、安全保障や生活者視点の質問を。
浜田まさよし議員は、北朝鮮の核・ミサイル開発の脅威への対応や核兵器禁止条約交渉への対応、東日本大震災の被災者支援を質問。
私は、党が政府に提言してきた働き方改革の推進について、また、県内の日系人との共生、フェアトレードなど草の根の活動を通して、政府も人道、人権に配慮した政策推進を訴えました。
(内容は、改めて、月曜日のメルマガで配信します!)
議事録
里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。よろしくお願いいたします。
まず、働き方改革についてお伺いをいたします。
政府の働き方実現会議において重ねられてきた議論がいよいよ実行計画として結実をいたします。公明党といたしましても、働き方改革実現推進本部として安倍総理に対して、昨年十二月に続き、働く人の立場に立った働き方改革の実現に向けた提言をさせていただくこととしております。
具体的には、罰則付き時間外労働の上限規制の導入など時間外労働の是正、長時間労働の是正や、同一労働同一賃金による非正規労働者の処遇改善などを提言してまいりました。さらに、勤務間インターバル制度、すなわち終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を設ける制度について、これを法律上明確に位置付け、企業に努力義務を課して、助成金を活用し、制度の普及を図ることを求めております。
実行計画を取りまとめるに際して、総理の働き方改革に向けた御決意をお伺いいたします。
内閣総理大臣(安倍晋三君) 働き方改革実現会議は、私自らが議長となりまして、労働界と産業界のトップと有識者が集まって、これまでよりレベルを上げて議論する場として設置をいたしました。今月中の働き方改革実現計画の取りまとめに向けて議論を行ってきたところであります。
この会議の中では、同一労働同一賃金の実現に向け、ガイドライン案の提示や法改正の在り方についての議論を行うとともに、長時間労働の是正については上限規制についての労使合意を経て政労使による提案を行ったところであります。これはまさに、労使が合意を行い、そして政府も一体となるという意味においては画期的な出来事だったと、こう考えております。
全体で九つの分野について具体的な方向性を示すための議論を行ってまいりました。実行計画はこの集大成であり、実効性のある取りまとめを行い、早期に関係法案を国会に提出していくこととしたいと思います。
御党との関係におきましては、特に御提言をいただきました勤務間インターバル制度の導入についても、三月十七日の政労使提案において、労働時間設定改善法を改正し、事業者に対し、前日の終業時刻と翌日の就業時刻の間に一定時間の休息を確保する旨の努力義務を課すこととしたところであります。
働き方改革は日本経済再生に向けた最大のチャレンジだと考えているわけでありまして、全力で取り組んでいく決意でございます。
里見隆治君 今インターバル制度の法律上の位置付けということを明確におっしゃっていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
実行計画を受けて、今度は法制度の整備とともに具体的な改革について働く現場で労使の皆様にお取り組みいただく段階に入ります。既に先週集中回答日を迎えた春闘では、ベースアップの流れが四年連続で続いていたことに加えて、電機業界が長時間労働を減らすことで労使が初めて共同宣言をまとめたり、個別企業で退社から出社まで十時間以上の休息を確保する勤務間インターバル制度の導入が進むなど、労使による意欲的な働き方改革が進んでいます。定時退社を促すため、残業ゼロで手当がもらえるというノー残業手当の導入も話題になりました。
これまで働き方改革にリーダーシップを持って取り組んでこられた総理のお立場として、今後の労使の取組に対する期待をお伺いいたします。
内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほども御紹介をさせていただきましたが、時間外労働の上限規制については、今月十三日、経団連と連合が歴史的な労使合意を行ったのを受けまして、前回の実現会議で政労使として提案を行ったところであります。
有識者の方からは、こうした政労使の合意ができたのは、最低賃金制度、これは岸内閣のときでありますが、それ以来ではないかということでございました。今まで労政審で実はずっと議論をしたんですが、結局これはできなかったんですね。今回、その意味において労使合意が成立したことは本当に画期的なことであり、双方に対しまして本当に敬意を表したいと、こう思っております。
時間外労働時間の限度は月四十五時間かつ年三百六十時間が原則であり、労使は上限までの協定締結を回避する努力を図ることで合意をしています。政府としても、可能な限り労働時間の延長を短くするため、使用者及び労働組合等に対し必要な助言、指導を行えるようにします。
働き方改革を進めていくためには、各企業において処遇体系全体を労使の話合いによって確認し、労使で共有することが必要、重要だと、このように思います。働き方の実態を最もよく知っている労働者側と使用者側が意欲的かつ主体的に働き方改革を進めていただきたいと思います。
この働き方改革によって、労働者の人たちはワーク・ライフ・バランスを変えることができます。それによってより人生を豊かにするんですが、同時に、そのことによって効率性が上がっていく、生産性も上がっていくことも十分に可能であり、これは労使双方にとっても日本全体にとってもプラスであるという共通認識を持ちながらこれを進めていきたいと、このように思っております。
里見隆治君 私ども公明党といたしましても、この働き方改革実行計画を受けて、更にその推進に取り組んでまいります。
この働き方、さらに人権や環境に配慮した経済活動を推進すべきとの考えは、公明党が重視をしてまいりました人間の安全保障という観点から国際社会にあっても同様と考えます。
卑近な例といたしまして、私の地元愛知県の名古屋市は、熊本市に次いで日本で二番目のフェアトレードタウンに認定されております。フェアトレードとは、開発途上国において適正な労働による原料や製品を適正価格で継続的に購入することにより、現地の労働者や生産者の生活改善と自立を目指すもので、国内では札幌、逗子、垂井などでも活発な市民活動が行われています。
例えば名古屋のNPO法人は、フェアトレードで輸入した生地の衣装を使い、大学生や高校生も巻き込んでファッションショーを開くなどして、若い世代にも学びや刺激を与える活動をされています。こうした草の根の活動のみならず、国際的なレベルで政府や企業も取組を更に進めていくべきと考えます。
そこで、人権を尊重する企業の責任や国と企業の連携をうたった国連のビジネスと人権に関する指導原則というものがございます。世界各国が行動計画を作成することとされております。しかしながら、G7の中で、五か国が作成済み、残念ながら日本を含む二か国が未作成となっております。
まずは我が国も行動計画を早急に作成すべきと考えますが、外務大臣の御所見をお伺いいたします。
国務大臣(岸田文雄君) 企業活動が人権に与える影響について国際的な関心が高まる中にあって、この人権を保護する国家の義務、あるいは人権を尊重する企業の責任、こうしたものを求める声、ますます高まっていると認識をしています。
その中にあって、御指摘がありましたこのビジネスと人権に関する指導原則ですが、我が国としても、まずこの原則、支持をしております。そして、各国において同指導原則を着実に実施していくことでビジネスと人権の分野における人権保護促進が推進されることになる、このように考えています。
そして、我が国もこの原則、是非着実に履行するべく、昨年十一月ですが、ビジネスと人権に関する国別行動計画、作成すること、政府として決定をいたしました。そして現在、国別行動計画の作成に向けて関係省庁間の間で協議しているところであります。
また、作成に当たっては、経済界、労働界、市民社会の意見を得ていくこと、これも重要であると考えます。国別行動計画の作成を通じて企業の責任ある行動を促すとともに、ビジネスと人権の分野における日本の取組を国際社会にアピールしていくことを行っていきたい、このように考えております。
里見隆治君 市民社会の意見も聞きながら、行動計画の早期作成ということでございました。どうぞよろしくお願いいたします。
次に、国内の外国人との共生についてお伺いをいたします。
私の地元愛知県に在留する外国人は約二十二万人、人口に占める割合は約三%と、東京に次いで二番目に高い県でございます。特に県内では、入国管理法を改正した一九九〇年代から急増した日系ブラジル人など外国人が集住する県営住宅や町が点在しております。
先日、私はその一つ、西尾市内の県営住宅の自治会長さんと懇談をする機会を持ちました。その自治会長さんに地域の状況を伺いますと、日本語を話すことができない外国人が住宅で多数を占めているため、元々いた住民の高齢化と相まって自治会などコミュニティーの維持そのものが危機的な状況になっている、また、外国人の児童が、日本語の問題もあり、学校の授業に付いていけないと。こうした中、地元の公明党市会議員と協力して、外国にルーツを持つ子供たちのために、学習支援、また日本語学習の機会を地域で提供するなど奮闘されているということをお伺いいたしました。尊い活動に頭が下がる思いでございます。
来年度以降、外国人児童の日本語指導に配慮して教員数の枠を増やすなどの配慮はいただいておりますが、親御さんを含む定住外国人との共生のための環境は十分とは言えません。観光立国や国際貢献などといっても、足下の地域社会における身近な外国人との共生の成功なくして我が国の真の国際化はないと考えます。
総理は、特に九〇年代以降の定住外国人の受入れの現状、これをどのように評価され、今後共に地域で生活していくために国として更に何ができるとお考えか、お伺いいたします。
内閣総理大臣(安倍晋三君) 一九九〇年代以降、日本に在留する外国人数は二倍以上増え、二百万人を超えています。こうした現状を受けて、政府としては、外国人本人及びその帯同者の日本語教育や子供の教育、社会保障、就職、住宅確保など、受け入れた後の地域における住民としての視点から支援をしております。
具体的には、外国人が日本で生活するための日本語教育の推進、教職員の重点配置など、公立学校における外国人児童生徒の受入れのための体制の整備、外国人児童に対する学校内外の日本語指導の受講率向上や、日本語指導と教科指導を統合したカリキュラムに基づく指導の充実、外国人向けの職業教育の実施、外国人患者を受け入れる体制が整った医療機関の整備といった施策に取り組んでいます。
今後、これらの施策の一層の充実に努め、定住外国人を日本社会の一員としてしっかりと受け入れていくための施策を進めていく考えでございます。
里見隆治君 この共生社会のために、日本語教育を始め地域での活動、更に御支援をいただくことをお願いしておきます。内なる国際化といえども、この外国人との共生、是非とも注力をいただきますように重ねてお願いいたします。
先ほど御紹介をいたしました県営住宅の自治会長さんも、学習支援を通じてその心は子供たちに通じております。また、名古屋市でのフェアトレード関連のイベントには私も参加してお話を伺いました。若い世代に対する持続可能な開発の最高の学びの機会となっております。
平成二十六年に名古屋市でESD、すなわち持続可能な開発のための教育に関する世界会議を開催したこともこうした活動の機運を盛り上げる契機となりました。持続可能な開発目標、すなわちSDGsの誰一人取り残さないと、この理念を次世代にも受け継いでいく、このことを草の根のみならず政府としてもしっかり取り組んでいただくようお願いをいたします。
この点、代表質問で我が党の山口代表から、SDGsの理念を教育に取り入れるようということを求めましたけれども、その具体化を含め、総理の御所見をお伺いいたします。
内閣総理大臣(安倍晋三君) 持続可能な開発目標、SDGsには、我が国が率先して国際社会に提唱してきた人間の安全保障の理念が反映されております。政府としては、私が本部長を務める持続可能な開発目標推進本部の下、多様な担い手とも連携しつつ、SDGsの達成に率先して取り組んでいく考えであります。
SDGsを達成していく上では広報も重要でございます。政府としては、SDGsの重要性が国民に広く認知されるよう積極的に広報を行うとともに、国連広報センター等のあらゆる担い手と連携して広報効果を高めていきたいと思います。
代表質問で山口代表から要望をいただいた教育については、持続可能な開発のための教育、ESDを更に推進をしていきます。学習指導要領の改訂を進め、二〇二〇年度からSDGsに関する指導を盛り込んだ新しい指導要領に基づいた教育課程を実施するとともに、学校現場で活用される教材の改善充実を推進をしてまいります。
里見隆治君 どうぞよろしくお願いいたします。
以上で終わります。