3月22日、内閣委員会で予算案の審査。
私からは、加藤大臣(障害者施策担当)、松本国家公安委員会委員長、末松国土交通副大臣ほかに質問。
鉄道、バスの運賃について、身体障害者や知的障害者は割引されている一方で、精神障害者に対する割引を実施している事業者の割合が4割に満たないことを追及。
高齢ドライバーが免許更新時などに認知症の疑いを持たれた場合の医師の診断が適切に行われるよう、公安委員会の運用体制を確認。
企業主導型保育について、企業主導型らしく、企業にとって柔軟な運用を可能とするよう要望しました。
議事録
里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。
質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けまして様々な取組がなされております。公明党としましても、世界に誇れるバリアフリー先進都市東京、そしてその全国展開に向けて全力で取り組んでおります。
政府におかれても、本年二月、ユニバーサルデザイン二〇二〇関係閣僚会議で行動計画を策定し、全国においてユニバーサルデザインの町づくりと心のバリアフリーを政府一丸となって、しかも民間企業も巻き込んで取り組まれると承知しております。本日御出席をいただいております加藤大臣、また松本国家公安委員長も、さらに国土交通大臣もその閣僚会議のメンバーであるというふうに伺っております。
そこで、本日は、交通弱者として配慮が必要な障害者や高齢者について政府の対応状況、今後の方針について質問をさせていただきます。
まず、お手元の配付資料の一ページ、二ページを御覧いただきながら、公共交通機関における精神障害者の運賃の割引についてお伺いをいたします。
鉄道、バスなどの事業における障害者割引運賃について、身体障害者や知的障害者は一〇〇%の事業者が導入している一方で、精神障害者を対象としていない事業者がまだまだたくさんあるというふうに承知をしております。こうした中で、障害者のうち精神障害者だけが差別を受けているのではないか、早急に精神障害者もその対象に加えてほしいとの切実なお声をいただいております。
まず、国土交通省に、現在の精神障害者を対象とする割引の導入の現状をどのように把握されているか、お伺いをいたします。
政府参考人(篠原康弘君) お答えを申し上げます。
障害者に対します運賃等の割引につきましては、各事業者の自主的な判断に基づき、割引による減収を他の利用者の負担で賄う形で行われているところでございます。
精神障害者に対する割引運賃を実施している交通事業者は、委員のお配りの資料にもございますけれども、鉄軌道事業者で七十一者、乗り合いバス事業者で七百六十二者、合計八百三十三者となっておりまして、全体の事業者の約四割弱のレベルとなっております。また、経年的に見まして、平成十三年度から比較しますと増加傾向にあるという状況にございます。
里見隆治君 ありがとうございます。
この資料にはございませんけれども、身体、知的が一〇〇%導入されているという一方で、この配付資料の一ページにあるとおり、これ平成十八年からとなっておりますが、これは手帳に顔写真が貼られるようになって本人確認ができるようになった年だというふうに認識をしておりますが、それ以降、導入件数が少しずつ伸びているとはいえ、導入率が四割に満たないというのは公平性を欠くものであるというふうに言わざるを得ません。国土交通省は、所管の鉄道、バス等の事業者に対して、これまでどのような対応をされてこられたのでしょうか。
また、本年四月からは、九州の西鉄が精神障害者への割引運賃を導入するというふうに承知をしております。こうしたものを含めて、今後の割引運賃の導入の見通し、そして、国土交通省としてどのように導入を進めていかれるか、方針を伺いたいと思います。
副大臣(末松信介君) 大変大切な御質問をいただいたと思っております。
障害者に対する運賃割引につきましては、割引による減収を他の利用者の負担によって賄うという事業者の自主的な判断の中で理解と協力を強く求めてきたところであります。
具体的には、鉄軌道事業者に対しましては、毎年障害者団体等からの要望を周知するとともに、障害者割引の適用拡大について理解と協力を強く求めてきたところであります。また、バス事業者に対しましても、新規参入時や運賃変更などの各種の手続の際に理解と協力を求めてきたところであります。
国土交通省といたしましては、今回の西鉄による取組も含め、精神障害者割引の実施状況につきましては、各交通事業者や事業者団体等の関係者に対し、引き続き幅広く周知をいたしてまいりたいと思います。里見先生の精神障害者への割引につきましての、この理解と協力をしっかりと求めてまいりたいと思っております。
里見隆治君 確かに、企業の経営判断ということが最終的にはあると思いますけれども、国土交通省におかれては、是非ともそういった周知、また御指導をよろしくお願いいたします。
冒頭申し上げましたとおり、今や二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックを前にユニバーサルデザインの町づくり、そして心のバリアフリーを官民で取り組んでいると。その中で、政府を挙げて民間企業とも協力をして取り組んでいただきたいと思います。
この点、厚生労働行政におきましては、精神障害者が、一年後、来年四月から企業における障害者雇用の法定雇用率の対象となると。その際の通勤手段として公共交通機関が重要となってまいります。まさにこれが好機、この機会を捉えてしっかりと取扱いを進めるべきであるというふうに考えます。厚労省からも、国土交通省に対して精神障害者の割引について毎年要請をされているというふうに伺っております。
また、警察庁の業務統計を見ますと、前回の道路交通法の改正による自動車運転免許の厳格化によりまして、平成二十六年度から一定の病気等による免許の取消し件数が増加をしております。これによりまして、鉄道などの公共交通に頼らざるを得ない方が増加しているという状況も発生しております。
さらに、総務省におきまして、この五年だけでも、地方の六つの管区行政評価局が地方運輸局に対してあっせんを行っているという状況で、それぞれ各省庁ごとには取組をその範囲においてされているところでございます。
本日は、一億総活躍また障害者施策担当の加藤大臣にも御出席をいただいております。このような各省それぞれの動き、対応の中で、精神障害者の割引運賃制度について、是非、各省庁の総合調整、政府全体としての後押しをお願いしたいと思いますけれども、加藤大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(加藤勝信君) 委員から運賃割引について、障害の中においても身体、知的と障害者の中において差があるという御指摘がございました。全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現、これを目指す観点から、正当な理由なくして障害種別によって取扱いに差が生じるということは望ましいことではないというふうに考えております。
今委員からも御指摘ありました、関係省庁においても、事業団体などに対して様々な割引の対象拡大に向けた働きかけが行われているというふうに承知をしておりますけれども、引き続き、こうした働きかけを通じて精神障害者に対する運賃割引への理解と協力を得て、より多くの事業者においてこうした取組が広がっていくことを期待するとともに、私どもの立場としては、いわゆるユニバーサル社会の実現、あるいはユニバーサルデザイン等に対する理解を高めていく、またそうした機運を醸成すべく引き続き取り組んでいきたいと考えております。
里見隆治君 今大臣おっしゃっていただいたとおり、ユニバーサル社会の実現という観点、また二〇二〇年のオリパラ、来年の障害者雇用率の改正、障害者雇用制度の改正など、様々な情勢下で今見直しの契機を迎えていると思います。そうした意味で、障害者施策担当の加藤大臣には、関係大臣と是非御調整をいただいて、御検討をお願いいたしたいと思います。
加藤大臣におかれては、委員長のお許しをいただければ御退席をいただいて結構でございます。
委員長(難波奨二君) 加藤大臣、御退席いただいて結構です。
里見隆治君 次に、高齢運転者について御質問いたします。
一昨年、高齢運転者による交通事故の発生の状況などを踏まえ、本内閣委員会での審議を経て、附帯決議もなされた上で改正された道路交通法が、ちょうど十日前、三月十二日に施行されました。七十五歳以上の高齢者が、一定の違反行為があった場合に加えて、免許の更新時に認知機能検査を受け、認知症のおそれがあると判定された方は医師の診断を受けなければならないというものでございます。
この施行のタイミングで、地元でも、御高齢の皆様あるいは認知症の診断を行う医師の皆様から不安の声などが上がっておりますので、こうした不安を解消すべく何点か確認をさせていただきたいと思います。
一昨年の道交法の審議の際の附帯決議でも、臨時適性検査等の対象者の大幅な増加が想定されることから、同検査等を実施する専門医の確保に努めること、医師の数が少ない地域において医師の紹介を行うことと決議をされております。
今回の改正により、高齢者の免許更新、一定の違反行為を行った際の認知機能検査で認知症のおそれありとされた高齢者は医師による診断を受けることとなりますが、この医師の診断を受ける方はどの程度見込まれていて、これに対してきちんと十分に対応できる医師が確保されているのか、松本国家公安委員長にお伺いをいたします。
国務大臣(松本純君) 改正法によります認知機能検査の結果等により医師の診断を受けることとなる方は、年間約五万人になると見込まれております。
そこで、警察といたしましては、施行前から医師会等関係団体の御協力をいただき、診断体制の確保を図ってきたところでございます。その結果、診断への協力のみならず、診断を必要とする方に紹介することまで御了承いただいた医師だけでも本年二月末現在、約三千百人に上っているものと承知をしております。
他方、この医師の数には地域的な偏りが見られるなど課題もあることから、警察におきましては医師の確保に向けた取組を更に進めてまいる所存であり、医師の方々の御協力や高齢運転者を始めとする国民の皆様の御理解をお願いしたいと存じます。
里見隆治君 どうもありがとうございます。
今御答弁をいただきました医師の量ですね、この確保とともに、質の面におきまして一つ心配事がございます。
認知症の診断に当たっていただく医師の中には、診断結果によって高齢者の運転免許の返上につながってしまうことに心理的な抵抗感を感じるですとか、あるいは逆に、認知症でないと診断したものの、その後の交通事故が発生した場合の刑事上あるいは民事上の責任を問われるのではないかといった心配のお声を伺っております。
今月になって、警察庁も協力をされて、日本医師会がかかりつけ医向けに「認知症高齢者の運転免許更新に関する診断書作成の手引き」を示されたというふうに伺っております。
警察庁として、こうした医師の不安に対してどのような対策を講じておられるのか、お伺いをいたします。
政府参考人(井上剛志君) お答えいたします。
医師が作成した診断書によりまして都道府県公安委員会が運転免許の取消し等の行政処分を行う場合は、聴聞等の手続を経まして、都道府県公安委員会の判断と責任において処分が決定されるものでございます。また、処分を受けた方に不服があるときには、都道府県公安委員会に対する審査請求や処分又は裁決の取消し訴訟の提起をすることができることとされております。
他方、認知症でないとの診断書が都道府県公安委員会に提出されたものの、その後、事故が発生したときには、医師が故意に虚偽の診断書を作成したような場合は別といたしまして、その良心と見識に基づき行った診断について医師の刑事責任が問われるということは通常想定できないと考えられるところでございます。
警察におきましては、都道府県警察に連絡責任者等を置き、都道府県の医師会と情報交換等を行う場を設けるとともに、医師会等との連携強化に努め、質問、要望等に誠実に対応することとしており、訴訟リスクに関することを含め、診断に御協力いただく医師が抱える様々な不安を払拭し、その御理解が得られるよう今後とも努めてまいる所存でございます。
里見隆治君 円滑な施行を是非ともよろしくお願いいたします。
ところで、警察庁が開催をされています第二回高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議の資料の中で、ちょうど愛知県にございます国立長寿医療研究センターの予防老年学研究部長島田裕之先生の発表資料を興味深く拝見いたしました。その抜粋を配付資料の三ページ目以降で御覧いただくことができます。
三ページにございますとおり、免許を停止するなどして自動車の運転をやめてしまうと、要介護発生の確率が高くなるとの研究調査結果でございます。これを受けて、島田先生は、高齢者の運転寿命が延びるように高齢運転者のためのトレーニングを提唱されております。トレーニングの内容は、四ページにある安全運転技能教習、さらに、資料では配付しておりませんけれども、眼球、目の運動を行うトレーニング、危険予測のためのトレーニングなどが含まれております。
五ページ目を御覧いただきますと、こうした実車、すなわち車に乗ってのトレーニングを受けられた方や、ビジョン、すなわち眼球の運動や危険予測のトレーニングを受けられた方は、単に講習を受けられた方と比べると運転技能が顕著に向上し、しかもそれが一年経過してもある程度維持されるということを示しております。
こうした研究を是非御支援いただいて、その実用化に向けて応援いただきたいというふうに考えておりますが、警察庁としてこうした研究をどのように評価されますでしょうか。
政府参考人(井上剛志君) お答えいたします。
国立長寿医療研究センターが過去三年にわたり実施された研究におきましては、認知機能が低下している高齢運転者に対し運転技能の向上を目的として開発されたプログラムを実施した結果、運転技能の改善が見られ、その効果が一定期間にわたって継続したとのことでありました。
警察庁といたしましても、高齢運転者に長く安全運転を継続していただくためにこのような研究が行われていることは極めて有意義であると考えているところでございます。
今後、これまでの成果を踏まえて、大規模な実験の実施が愛知県において計画されているとお聞きしておるところでございまして、高齢運転者に安全な運転を継続していただくためのこの取組に警察庁としても協力してまいる所存でございます。
里見隆治君 是非御協力をよろしくお願いいたします。
松本国家公安委員長におかれては、委員長のお許しがあれば御退席をいただいて結構でございます。
委員長(難波奨二君) 松本国家公安委員長、御退席いただいて結構でございます。
里見隆治君 今御紹介をしたトレーニングに加えて、車の安全技術の性能向上をさせていくということが高齢社会という観点からも重要と考えます。
自動ブレーキ機能や踏み間違い時の加速抑制装置など、先進安全技術の性能向上や普及促進に向けた取組について、例えば自動ブレーキなどの安全基準の策定など制度面の環境整備が重要であると考えますけれども、国土交通省の取組と今後の対応方針についてお示しください。
副大臣(末松信介君) 先生御指摘の問題は、国土交通省が取り組む最重要課題の一つでございます。
国土交通省といたしましては、高齢運転者の安全運転を支援する先進安全技術を搭載した安全運転サポート車の普及啓発を図るべく、関係省庁とともに、私が共同議長を務める副大臣等会議を設置しまして検討を進めているところでございます。高木経産副大臣と越智内閣府副大臣と、それと警察庁の井上交通局長と私でございます。本日午後から中間取りまとめを行う予定でありますし、今日、自動ブレーキの機能を持ちました車八台にそれぞれ試乗をする予定となってございます。
先生御指摘のとおり、先進安全技術の性能向上や普及促進のためには、一定水準の安全効果が見込まれる装置について順次安全基準を策定するなど、制度面の環境整備が重要と認識をいたしております。この一環として、国土交通省では、乗用車等の自動ブレーキの安全基準の策定を目指し、本年一月、国連におきまして国際基準を策定することについて提案を行いました。この提案につきまして他国の支持が得られたことから、今後、国際基準案について議論を行う専門家会合の設置が決定されたところでございます。
国土交通省としては、こうした制度面の環境整備に関する取組を含め、安全運転サポート車の性能向上と普及促進のための方策につきまして、冒頭御紹介しました副大臣等会議での議論を踏まえて幅広く検討いたしまして、先進安全技術を搭載した自動車の普及啓発、導入促進を図ってまいりたいと思います。よろしく御指導のほどお願い申し上げます。
里見隆治君 非常に前向きな、積極的な御答弁をいただきましてありがとうございます。
今御答弁をいただいた中で、安全基準について制度的な環境を整えるということでございました。こうした基準がしっかり整備されれば、例えば税制上の優遇措置もそうした基準に基づいて進め、これを促していくことができるといったことも考えられます。そういう意味で、是非その整備についてスピード感を持って進めていただくようにお願いをいたします。
最後に、この交通関係の最後でございますが、運転免許が取消しになってしまった高齢者の移動手段の確保についてお伺いいたします。
この点、一昨年の本内閣委員会の附帯決議においても、「地方自治体等とも連携しながら中長期的な視点も含め適切に対策を講じていくこと。」とされております。免許のない高齢者、特に大変な事例としては、例えば過疎地で腎臓病を患っている高齢者が二日に一度定期的に人工透析のために長時間通院するなどというケースでは、地域での公共交通が必須でございます。私の地元愛知では、日進市という市がございますが、こちらでも地域交通の活性化再生法の活用に熱心に取り組んでおります。
乗り合いタクシーなどを含め、こうした交通弱者の足の確保についてどのようにお進めいただけるか、国土交通省にお伺いします。
副大臣(末松信介君) お答え申し上げます。
高齢化が急速に進行する中で、高齢者が自家用車に依存しなくても安心して移動できるよう、公共交通を始めとする地域の移動手段を確保することは大変重要であると認識をいたしております。
このため、国土交通省では、地域の公共交通サービスを確保するため、路線バス、コミュニティーバス、乗り合いタクシーなどの運行に対して財政的な支援を行っているところでございます。また、地域公共交通活性化再生法に基づきまして、地域の関係者が協力をしまして、地域の実情に合った移動手段を確保する取組を促進をいたしております。里見先生御指摘の乗り合いタクシーの活用につきましても、この一環として取組の推進を図っているところでございます。
加えて、先般、地域交通や高齢者の移動特性に対して知見を有する学識者等を委員とする高齢者の移動手段の確保に関する検討会を立ち上げました。この検討会での議論を踏まえつつ、幅広い検討を進め、引き続き、自動車の運転に不安を感じる高齢者の移動手段の確保に努めてまいりたいと思います。
以上でございます。
里見隆治君 今御答弁いただきました検討会でも具体的な、そして効果的な結論を出していただくよう是非お願いいたします。また、具体的な地域交通のシステムという意味では市町村が大きな単位となると思います。そういった意味で、都道府県任せということではなく、是非市町村ごとにきめ細かな地域ごとの対応をお願いいたします。
次に、子ども・子育て支援についてお伺いをいたします。
企業主導型保育については、昨年四月に制度がスタートしてちょうど一年となります。この間、実施してみて、この制度について運営主体の企業から様々なお声をいただいておりますので、そうしたお声も御紹介しながら、その運営を運営主体である企業にとって使いやすくできるよう改善をお願いしたいと思います。
そもそも、企業主導型保育の財源が一般事業主から徴収する拠出金であることからして、もちろん保育の質を担保したというその大前提でございますが、企業にとって使い勝手を良くするというのは拠出者に理解をいただくという意味で必要なことだと思っております。
具体的な御要望として、例えば企業主導型保育において、通常、日中はほかで保育施設を利用している従業員のお子さんについて、臨時的に夜勤、残業などの場合の利用を認めてほしいといった声をいただいております。また、企業主導型保育内の給食について、企業内の通常の社員食堂の調理場を使っての調理が可能になるようにしてほしいという声も伺っております。
こうした点については、明らかに認められるケース、また認められないケース、またグレーゾーンと、なかなか線引きが分かりにくい、そういった中で、むしろグレーな部分は認められるような方向で柔軟に運用してほしいという御要望をいただいております。こうした御要望に対して柔軟に対応いただきたいと。この点、内閣府としてどのようにお考えでしょうか。
政府参考人(西崎文平君) 企業主導型保育事業におきましては、例えば、委員御指摘のように、ふだん認可保育所を利用している方が一時的に夜間の保育が必要となるような場合におきましては、人員配置基準や施設基準を満たした上で、一時的にその方のお子さんを預かることも可能でございまして、その場合には補助額の加算が出る仕組みとなっております。
また、食事の提供に当たりましては、子ども・子育て支援新制度の事業所内保育事業等と同様に自園調理により提供することが原則ではございますが、一定の要件の下、食事の外部搬入を行うことも可能となっております。ただし、満三歳未満の乳幼児向けに外部より食事を搬入する場合においては、設置企業等が運営する企業主導型保育施設や社会福祉施設等からの搬入に限定させていただいているところでございます。
企業主導型保育事業につきましては、認可保育所等と同水準の補助がなされる一方、新制度における事業所内保育や小規模保育事業の基準等を参考に実質的に同等となる基準を定めておりますので、こうした基準を遵守していただくことが必要であると考えております。
里見隆治君 やはり企業主導型ということですから、当然、他の保育施設との並びということもあろうかと思いますが、財源としては、先ほど申し上げたとおり企業の拠出金が財源であるということで、是非企業の皆さんの御意向が沿うような形で柔軟にお願いしたいと。今、時間外、臨時的に夜勤、残業などの場合は補助も対象としてというお話でしたけれども、例えば、突発的な事前の予想もしなかったような場合でも、仮に補助金がなかったとしても柔軟にと、そんな話も出ているところでございます。
是非、内閣府におかれては、こうした個々のケースございますけれども、柔軟な対応をお願いいたします。
次に、保育職員の処遇改善についてお伺いをします。
昨年の十月の質疑でも、子ども・子育て支援について、自治体との連絡調整をきめ細かに行っていただきたい旨お願いをいたしました。間もなく新年度、四月を迎えますけれども、幼稚園、保育所、認定こども園などの職員の処遇改善について、予算案の上で四月から予定をされておりますけれども、現場では年度替わりに当たっていて、給与改定の事務が間に合わないなど混乱が生じるのではないか、こういった保育の現場からの心配の声が上がっております。
地方自治体との連携を密にして処遇改善について円滑な実施に努めるべきと考えますが、内閣府としてどのようにお取り組みになられる御予定でしょうか。
政府参考人(西崎文平君) お答えいたします。
来年度の処遇改善のうち、技能、経験を積んだ職員に対する追加的な処遇改善のための加算につきましては、キャリアアップの仕組みを構築する観点から、対象職員について発令等を行っていただき、職務手当を含む月給により賃金改善を行っていただくことなどを要件とする予定でございます。しかしながら、導入初年度である平成二十九年度の当初におきましては、対象職員への発令等の準備が整わないケースも想定されるところでございます。
こうした中、四月時点で発令等の準備が整っていなくても四月分から加算の支給ができるようにすることを念頭に、その場合にどのような要件を必要とするかについて現在検討しているところでございます。
いずれにいたしましても、早急にその取扱いをお示しし、保育等の現場における処遇改善が円滑に実施されるように取り組むことにより、現場で働く職員がやりがいを感じながら安心して働き続けられる職場の構築を支援してまいりたいと考えております。
里見隆治君 もう時間ですので終わりますけれども、これ、今大変現場では混乱をしておられます。そういう意味で、是非とも早急な対応を内閣府にお願いをしまして、私からの質問とさせていただきます。
ありがとうございました。