参議院本会議で年金制度などを質問

2016.12.02 23:00(7年前) ブログ国会質疑 |里見りゅうじ(里見隆治)

参議院本会議で年金制度などを質問

本日(12月2日)いよいよ参議院本会議で年金法案が審議入り。
各党代表が質問に立つ中、公明党を代表して、
安倍総理と塩崎厚生労働大臣に対して、
世代間の公平性を図り、年金世代も現役世代も安心いただける年金制度の構築を、など質問いたしました。
参議院のホームページで映像を視聴いただけます。
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/sp/index.php

議事録

里見隆治君 公明党の里見隆治です。
 ただいま議題となりました公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案について、公明党を代表して質問いたします。
 くしくも、本法律案が衆議院で可決、参議院に送付された翌十一月三十日は年金の日。厚生労働省がいい未来にとの思いを託して設定したと承知をしております。私も、いい未来にとの思いで、まずは、本法案の名称ともなっている公的年金制度の持続可能性の向上についてお伺いをいたします。
 我が国の公的年金制度は、現役世代が高齢世代を支える世代間の仕送り、支え合いの制度です。したがって、制度を持続させるには、世代間の公平性を図り、世代間の信頼関係を維持することが何よりも重要であります。しかし、これまでの本法案に関する議論においては、一部に世代間の不信感をあおるような発言があり、大変残念でなりません。
 平成十六年の年金制度改革により、長期的な視点に立って、保険料水準の上限を固定する一方、給付水準は少なくとも現役サラリーマン世帯の平均所得の五〇%を保障することとし、マクロ経済スライドにより給付水準を自動的に調整することで財政均衡を図るという枠組みを開始いたしました。以来、五年ごとの財政検証をしておりますが、直近の平成二十六年の検証においても、将来の所得代替率は五〇%を上回ることが確認されております。
 この年金制度改革から十二年経過いたしましたが、この間、二度の政権交代があり、平成二十四年の三党合意に基づく社会保障と税の一体改革を通して、我が国の急速な高齢化、少子化、そして数年前まではデフレ経済という制約下にありながらも、年金制度を維持していくための課題認識を与野党が共有し、その解決に取り組んでまいりました。参議院における今回の法案審議においては、これまでの経験を踏まえ、年金を決して政争の具にすることなく、将来世代への責任を強く持って、充実した議論が重ねられることを期待いたします。
 まず、安倍総理に、世代間の公平性を図り、高齢世代も現役世代も安心できる持続可能な年金制度の構築に向けた御決意をお伺いいたします。
 衆議院での審議において、仮に賃金変動が物価変動を下回る場合には、賃金変動に合わせて年金額を改定するという改正事項が論点となりました。この改正は、今後の不測の経済状況が起きた場合でも、将来の年金水準が低下しないよう万全の備えを講じるものであります。重要なことは、こうした状況が起こることのないよう、安倍政権が推進してきたデフレからの脱却、経済の好循環による賃金の引上げを更に強固なものとすべく、経済再生を強力に推し進めていくことと考えますが、総理の御決意を伺います。
 次に、短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進についてお伺いをいたします。
 既に本年十月から、五百一人以上の大企業の短時間労働者約二十五万人が被用者保険の適用となっております。本法案による五百人以下の企業への適用拡大により、更に最大で約五十万人が対象に加わり、企業規模間の格差が是正されるものと評価をしております。しかし、地元で年金の話題になりますと、個別には年金加入のメリットについて必ずしも理解が得られていないと感じることがございます。
 例えば、パートとして就労されている女性からは、年金に加入することになると手取り収入が減ってしまうのではないかとか、中小企業の経営者の方からは、パートの適用が進むと社会保険料の負担が増えて大変だといった御意見をいただきます。政府は、このような声に真摯に耳を傾けた上で、丁寧に説明や手続を進めていくべきと考えます。
 こうした方々に御理解いただけるように、塩崎厚生労働大臣に、短時間労働者への適用拡大の意義、メリットを御答弁願います。
 また、せっかくの適用拡大により、かえって就労調整により労働時間や賃金を抑制するような動きがあってはなりません。このため、事業主に対するきめ細かな支援が重要と考えますが、厚生労働大臣の御所見を伺います。
 次に、国民年金第一号被保険者の産前産後期間の保険料免除について伺います。
 既に平成二十六年四月から厚生年金で実施されており、公明党もかねてより国民年金に加入する女性についても同様にとの主張をしてまいりました。この対象者は年間約二十万人と見込まれ、その実施が待望されております。
 そこで、厚生労働大臣に、産前産後期間の保険料免除の意義についてお伺いをいたします。
 最後に、年金積立金の運用についてお伺いをいたします。
 年金積立金の運用については、先週、平成二十八年度第二・四半期運用状況が公表されました。公的年金の自主運用が始まった平成十三年度以来、収益率が年率二・四七%、運用益が累積四十二兆円を超え、収益率は引き続き財政計算上求められる運用利回りを上回っております。その上で、国家として重要なのは、運用益について短期的に一喜一憂するのではなく、適切に運用できる体制を確立し、長期的な視点で運用収益を確保していくことであります。
 本法案では、百三十兆円を超える世界最大規模の公的年金運用機関であるGPIFにおいて新たに設置する経営委員会が合議制で重要方針を決定し、分離した執行体制を監督することとしております。ガバナンス強化を法律上明確にするものとして評価できるものであります。
 こうした組織の見直しと併せて、リスク管理の方法の多様化や短期資金の運用方法の追加など、運用方法を一部追加すると承知しておりますが、今回の改革の意義と運用方法について更なる見直しの可能性、方向性について、厚生労働大臣の御所見をお伺いいたします。
 最後に、安倍総理、塩崎厚生労働大臣を始め政府におかれては、あらゆる機会を通じて、複雑な年金制度について国民の皆様に分かりやすく丁寧に御説明いただくようお願いをいたしまして、質問といたします。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 里見隆治議員にお答えをいたします。
 持続可能な年金制度の構築に向けた決意についてお尋ねがありました。
 今回の年金改革法案は、言わば将来の年金水準確保法案であり、中小企業の短時間労働者への被用者保険の適用拡大、国民年金の産前産後期間の保険料免除、年金額改定ルールの見直しなどを内容としています。
 平成二十六年までは、本来より高い水準の年金が支給されていた中で、少子高齢化による人口の構造の変化を踏まえて年金水準を調整するマクロ経済スライドが発動されなかったことにより、今の年金の所得代替率が上昇し、その分、マクロ経済スライドによる調整が長くなり、結果として、マクロ経済スライドが完了した時点での基礎年金の給付水準が約一割低下しました。
 このため、年金額改定ルールの見直しについては、マクロ経済スライドの調整期間の長期化を防ぎ、将来世代の基礎年金の給付水準を確保するため、マクロ経済スライドの未調整分を先送りせずに、できる限り早期に調整し、賃金に合わせた年金額の改定により、支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とする見直しを行うこととしたものであります。これは世代間の公平性を確保するための見直しでもあります。このような改定ルールの見直しを行うことが責任ある対応と考えております。
 ただし、年金額改定ルールの見直しに当たっては、低年金の方にも十分配慮しています。まず、少子高齢化による人口の構造変化を踏まえて年金水準を調整するマクロ経済スライドについては、賃金、物価がプラスのときに発動し、また、マクロ経済スライドによって、前年度よりも年金の名目額を下げないという配慮の措置を維持します。その上で、未調整分を繰り越して好況のときに調整する仕組みを導入します。
 そして、賃金が下がった際に賃金に合わせて改定する見直しについては、低年金、低所得の方に対する年最大六万円の福祉的な給付金を平成三十一年十月までにスタートした後の平成三十三年度から適用します。これによって、年金と相まって、今まで以上に高齢者の生活を支えます。もとより、安倍政権では、デフレ脱却、賃金上昇を含む経済の再生に全力で取り組んでおりますので、賃金が下がるということを前提としているわけではありません。
 里見議員が御指摘されるように、年金を決して政争の具とすることがあってはなりません。将来世代への責任を果たし、持続可能な制度としていくため、今回の法案を始め、不断の改革に取り組んでまいります。そして、将来にわたって所得代替率五〇%を確保し、高齢世代も若い世代も安心できる年金制度をしっかりと構築してまいります。
 経済再生の推進についてお尋ねがありました。
 議員御指摘のとおり、年金制度についてあらゆる事態に対応できるよう万全の備えを講じるとともに、年金を始めとする社会保障制度を支える力強い経済を実現すべく、経済再生に全力で取り組むことが重要です。
 政権交代後、アベノミクス三本の矢によって、二十年間続いたデフレからの脱却にチャレンジし、デフレではないという状況をつくり出すことができました。これまでも、過去最高水準の企業収益を雇用の拡大、賃金の上昇につなげることにより、正規雇用が昨年八年ぶりにプラスに転じ二十六万人増加し、賃上げは、中小企業を含め今世紀に入って最も高い水準の賃上げが三年連続で実現するなど、経済の好循環を生み出すことができました。
 この好循環を力強く継続していくことが大切であり、その鍵は来年の賃上げであります。そのため、十一月十六日の働き方改革実現会議において、来年の賃上げに向けて、少なくとも今年並みの水準の賃上げ、特に四年連続のベアの実施などを産業界に対しお願いをしたところであります。
 この流れをより確かなものとするために、働き方改革を始めとする構造改革に取り組むとともに、あらゆる政策を総動員し、デフレ脱却、そして力強い成長を目指してまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕

国務大臣(塩崎恭久君) 里見隆治議員にお答え申し上げます。
 短時間労働者に対する適用拡大の意義等についてのお尋ねを頂戴いたしました。
 短時間労働者の就業調整を防ぎ、労働参加を支援するとともに、所得や年金を確保していくためには、被用者保険の適用拡大を着実に進めていくことが重要であります。
 この十月から、大企業で働く約二十五万人の短時間労働者を対象に適用拡大が始まり、さらに、今回の法案は、中小企業等で働く約五十万人の短時間労働者にも適用拡大の道を開くものでございます。
 被用者保険に加入すると、基礎年金に加えて厚生年金が受給できるなど将来の年金額が増え、医療保険の給付も充実をいたします。また、単身の方など国民年金に加入している方については、保険料が安くなることもあり、よりメリットが大きいことから、こうしたメリットについて十分周知を図ってまいります。
 さらに、短時間労働者の賃金引上げや本人の希望を踏まえて働く時間を延ばすことで人材確保を図る意欲的な企業に対しては、キャリアアップ助成金を拡充し、積極的に支援を行ってまいります。
 産前産後期間の保険料免除についてのお尋ねがございました。
 産前産後期間の保険料免除については、厚生年金では平成二十四年に成立をした年金機能強化法で既に実施されていますが、国民年金では同法の附則で検討課題とされていました。このため、社会保障審議会年金部会における議論を踏まえ、国民年金第一号被保険者の産前産後期間の保険料を免除するとともに、免除期間は満額の基礎年金を保障することといたしました。あわせて、これに係る費用を国民年金制度全体で支えるという観点から、国民年金保険料を月額百円程度引き上げることといたしました。
 今回の措置は、年金の保障機能を強化するものであると同時に、次世代育成支援にも資する重要な施策であると考えております。
 GPIF改革についてお尋ねをいただきました。
 今回の法案では、GPIFに合議制を導入するとともに、意思決定や監督と業務執行を分離するなどのガバナンスを強化する内容を盛り込んでおります。この改革を通じて、積立金運用への国民の信頼を高めるとともに、運用の多様化や高度化が進む中、リスクを適切に管理しつつ機動的な対応を行う体制を整備をしてまいります。
 また、運用の在り方については、本法案の附則に基づいて、施行状況等を勘案しつつ検討を行い、必要があると認めるときは、施行後三年を目途に必要な措置を講じてまいります。(拍手)

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