私が、労働省に入省した頃は、「男女共同参画社会」という言葉が出始めの頃で、働く女性が子どもを産み育てやすい環境を整備することは、大変重要なテーマの一つでした。
出産後一年間、子どもが一歳になるまでの間は雇用主に対し休業を請求できる「育児休業」の制度は、1992年に法律が施行。
しかし当時は、休業中の所得保障はなく、その間収入がなくなってしまうため、住民税の負担などかえって大変な状況をきたすという声が寄せられていたのです。
「子育てしながら働き続けられる環境を整備できないか」
関係者と知恵を出し合い、雇用保険法を改正することで、失業給付と同様に育児休業中の就業者を経済的にバックアップできることがわかりました。
その結果、育児で仕事ができない間でも一定の所得を保障して、働きながら子育てする人を支援する「育児休業給付」という制度の創設につながりました。
この法律案の国会提出を、政府で閣議決定するにあたっては、省内で私が起案文書を作成し、上司の決裁を受けたのち、最終的には当時の坂口力労働大臣のサイン(決裁)をいただきました。
少子高齢化する社会の課題に切り込んだ、意義深い制度づくりに携わらせていただくことができました。
これからはさらに、「働き方改革」「ワークライフバランス」をもっと進め、男女に関係なく、仕事をしやすい職場・雇用環境づくりをしてまいりたいと思います。