気付けば、もう年末。慌ただしい日々の中、ふと街角の本屋さんに立ち寄ることがあります。
私が小学生のころ、父は偉人の伝記をよく買ってくれました。はじめて買ってくれたのが、トヨタグループの創始者、豊田佐吉の伝記でした。1冊を読み終えると、父は私に感想を聞いてくれ、また次の本を買ってきてくれるのです。子どもながらに、本を読む喜びをかみしめました。
なかでもある時、父が分厚い英語の辞書をプレゼントしてくれた時のことを鮮明に覚えています。まだ英語がほとんど分からないため、分厚い辞書にとまどう一方で、希望に胸が膨らみました。いつか語学を勉強して海外で活躍したいと――。
そして当時の夢は、実現しました。11年前、イギリス日本大使館に一等書記官として赴任することができたのです。子どものころの本との出あいが、私の人生を世界に開いたといっても過言ではありません。
だからこそ、子どもたちに多くの本とふれ合ってもらいたい。先日、冬休みを迎える子どもに、動物と植物などの本をプレゼントしました。喜んで読んでくれていることを妻から聞くと、思わず笑顔がこぼれます。
ただ、妻から言われたことは、子どもたちがお父さんと遊びに出かけると、いつも本屋さんと図書館ばかりだねと・・・。
子どもの要望を聞くことも心掛けたいと思いました。