参議院本会議 2020年11月30日

参議院本会議の様子を是非ご覧下さい

党を代表して質問した、参院本会議の様子をYouTubeにアップしました。是非ご覧下さい。

里見隆治君 公明党の里見隆治です。
 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました令和元年度決算について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 会計検査院からの指摘事項への真摯な対応について、まず求めます。
 令和元年度決算においては、新型コロナウイルス感染症の影響による経済の落ち込みや納税の特例猶予などにより、税収が五十八・四兆円と三年ぶりに減収となりました。今後、財政状況の更なる悪化も懸念されますが、経済再生のための十分な財政出動なくして今後の税収の回復、財政再建もあり得ません。
 政府においては、今般、会計検査院から指摘された税金の無駄遣いなどについて早急に改善を図り、真摯に対応すべきであります。その上で、第三次補正予算や来年度予算の編成に当たっては、国民の生活、雇用を守り、経済を確実に回復軌道に乗せるとの観点から、積極的な財政出動が必要と考えます。総理の御所見を伺います。
 雇用情勢は、年末にかけて予断を許しません。公明党として、第三次補正予算編成に向けて度重ねて提言をしてきましたとおり、雇用を守るため、雇用調整助成金の活用により、休業による雇用維持を支援しつつ、在籍出向も従来以上に支援を手厚くする必要があります。
 企業間の移籍、出向を支援する機関として産業雇用安定センターがあり、公明党として東京や名古屋のセンターを訪問しました。所管の厚生労働省に加え、経済産業省など各産業の所管省庁や自治体、金融機関、経済団体、労働組合等と連携をし、求人求職情報の共通プラットフォームを構築することが支援強化の鍵を握るとの認識を得ました。
 現在の情勢下では、雇用調整助成金の特例措置を延長するとともに、在籍出向も手厚く支援をし、中長期的には、成長産業や社会のデジタル化を担う人材育成、労働移動支援を進めなければなりません。今後の成長戦略を見据えつつ、政府を挙げての雇用対策の推進が求められます。雇用対策に取り組む総理の御決意を伺います。
 新型コロナウイルス感染症対策においては、予備費が有効に活用されてまいりました。令和元年度予備費は、中国からの日本人の帰国支援、病床確保、中小企業の資金繰り支援などに活用されています。また、令和二年度補正後予算においては、過去にない十兆円を超える予備費が計上され、見通しの立てにくい感染症対策にあっても、医療体制の確保、持続化給付金や雇用調整助成金の特例措置などを積極果敢に進めることができました。特に、ワクチンの確保に当たり、開発が先行する外国企業との間で交渉が進展できたのも、予備費の存在が大きく貢献したと考えます。公明党としましても、その活用を大きく後押しをいたしました。
 さらに、いまだ予断を許さない感染症対策に向け、予備費を更に積極的に活用すべきと考えますが、総理の御所見を伺います。
 新型コロナ感染症対策の事業の中には、国民に直接支給される給付やサービスに充てられる費用以外に、委託団体の事務費に充てられる間接経費が高過ぎるとの意見を踏まえ、実施方法を変更したものがありました。今後、委託であれ直轄事業であれ、決算において間接経費が見えるように工夫が必要です。
 かねてより公明党が強く求めてまいりました財政の見える化の一環として、個別事業のフルコスト情報の開示の更なる活用、本格実施は、その有効な手段となります。
 フルコストとは、事業費本体だけでなく、関連する人件費、物件費、減価償却費などの間接経費を加えたものであり、平成二十六年度決算分から、事業の一部で個別事業のフルコスト情報、単位当たりコストの開示が試行的に取り組まれております。例えば、参議院の業務の一日当たりコストは平成三十年度で一・一億円、ちなみに衆議院は一・八億円となっております。
 このフルコスト情報開示の対象事業を大幅に拡大するとともに、その積極的な活用を図るべきと考えます。また、フルコスト情報を含む国の財務書類の国会への提出に関して、特別会計は現在法定義務化されている一方で、一般会計は法定義務化されておりません。速やかに法定義務とすべきと考えますが、財務大臣の御所見をお伺いします。
 近年の災害の激甚化、頻発化を踏まえ、防災・減災、国土強靱化三か年緊急対策として、今年度までの三か年で百六十か所の緊急対策を実施してまいりました。
 しかしながら、例えば、我が国有数の産業貿易拠点の名古屋港においては、昭和三十四年の伊勢湾台風による高潮被害を教訓に防潮壁が整備されましたが、我が国最大のゼロメートル地帯を擁する濃尾平野を背景にしてもなお、切迫する南海トラフ巨大地震の大規模災害に対する防潮壁の地震・津波対策はいまだに五〇%以上実施されておりません。伊勢湾台風などの甚大な浸水被害に遭われた地元住民の皆様からは、早期の整備を求める切実なお声をいただいております。
 公明党は、防災・減災、国土強靱化を令和三年度以降も同規模以上で、また、通常予算と別枠で計画的に進めるべきと主張してきましたが、今後の取組について総理の御所見をお伺いします。
 耐震化対策に関して、例えば、令和元年度決算検査報告においては、経済産業省の関係事業で、関東以西の十二の石油製品の製造工場について、南海トラフ巨大地震等の大規模地震の想定が十分でなかったと指摘されています。
 耐震強化を始めとして防災・減災対策は一朝一夕にできるものではなく、質、量共に十分な計画を立てて着実に進めるべきと考えますが、国土交通大臣の御所見を伺います。
 政府は、行政のデジタル化について、各省庁や自治体の縦割りを打破し、今後五年で自治体のシステムの統一・標準化を行うとしています。公明党は、先般、政府にデジタル庁設置に向けた提言を行いましたが、デジタル庁設置は、単に行政組織、システムの構築にとどまらず、結果として誰一人取り残さず、豊かな国民生活をもたらすものでなければなりません。
 また、住民サービスの最前線、自治体のデジタル化を確実に進めるために、今後構築する自治体共通システムについては、国が無償で提供し、各自治体の実情に合わせた住民サービス向上のための施策についても国が財政上の支援を行うべきと考えます。
 一方、令和元年度決算検査報告においては、地方自治体の情報セキュリティー対策について、自治体により十分でない事態が指摘されています。この点も含め、自治体のシステムが統一・標準化されるまでの間も、デジタル庁が司令塔となって自治体のデジタル化を支援すべきと考えます。
 地方自治体のデジタル化に対する国としての支援策について、デジタル改革担当大臣の御所見を伺います。
 最後に、公明党は、コロナ禍や相次ぐ災害の影響を受ける国民の皆様にどこまでも寄り添い、断じて国民生活を守り抜くことを改めてお誓いを申し上げ、質問を終わります。
 ありがとうございました。

内閣総理大臣(菅義偉君) 里見隆治議員にお答えをいたします。
 決算検査報告についてお尋ねがありました。
 令和元年度決算検査報告において多くの指摘を受けたことは誠に遺憾であります。これらの指摘については、私から各大臣に対して、確実な改善に努めるよう指示を行いました。指摘の内容に応じて着実に改善策を講じ、今後の予算や会計事務などにしっかりと反映をさせてまいります。
 第三次補正予算等についてお尋ねがありました。
 感染対策を万全なものとし、経済を回復させていくために、現在、経済対策、補正予算の検討を行っております。
 医療機関などの支援、雇用や事業の支援、近年の災害に対応した国土強靱化、ポストコロナに向けたデジタル化やグリーン社会の実現などについて、経済の回復に向けて十分な中身となるよう検討を進めております。
 また、来年度の当初予算についても、感染対策をしっかり行いつつ、これまでの改革を反映させたものにしたいと思います。
 雇用調整助成金の特例措置などの雇用対策についてお尋ねがありました。
 雇用調整助成金の特例措置の取扱いについては、十二月までとしていたところ、現下の情勢を踏まえ、来年二月末まで現行の特例を延長することとしました。
 また、在籍出向を活用した雇用の維持への支援や失業なき労働移動を進めるとともに、デジタル分野を始め技術革新と産業界のニーズに合った人材育成に取り組んでまいります。
 雇用対策については、新たな日常の下での経済社会活動に適合した新たな雇用就業機会の確保に産業政策との連携を図りながら取り組む必要があり、引き続き関係省庁が連携しつつ、必要な対策をちゅうちょなく講じてまいります。
 いまだ予断を許さない新型コロナウイルス感染症対策の予備費についてお尋ねがありました。
 コロナ予備費については、これまで医療機関の支援、ワクチンの確保、雇用調整助成金や持続化給付金の追加など、その都度必要な経費四・二兆円を使用しています。今後も、感染状況や経済状況を踏まえ、緊急に予算の手当てが必要となった場合には、コロナ予備費も活用し、新型コロナウイルス感染症への対応に万全を期してまいります。
 防災・減災、国土強靱化についてお尋ねがありました。
 三か年緊急対策後の取組については、骨太の方針二〇二〇においても、中長期的視点に立って計画的に取り組むため、国土強靱化基本計画に基づき必要十分な予算を確保し、オールジャパンで対策を進めることとしております。省庁、自治体や官民の垣根を越えて、引き続き災害に屈しない国土づくりを進めていけるよう、年末に向けて予算編成の中でしっかりと対応をしてまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。

国務大臣(麻生太郎君) 里見議員から、個別事業のフルコスト情報の開示と国の財務書類の法定義務化について、計二問お尋ねがあっております。
 まず、個別事業のフルコスト情報の開示についてお答えをさせていただきます。
 個別事業のフルコスト情報の開示の取組につきましては、平成二十六年度より開始をさせていただきました。逐次事業数を増やしてまいったところでもあります。
 その上で、平成二十九年度決算分以降につきましては、フルコスト情報を行政活動の効率化、適正化につなげることが重要という認識の下に、有効活用できると考えられる事業等への重点化を行わさせていただき、コスト情報の質の改善を図っているところでもあります。
 今後とも、フルコスト情報の開示について、更なる充実に向けて取組を進めてまいりたいと考えております。
 国の財務書類の法定義務化についてお尋ねがありました。
 一般会計の国の財務書類につきましては、法律で義務付けられてはおりませんが、平成十五年度以降決算分より毎年作成をし、公表いたしており、実態として十分に定着していると考えております。
 このような実態からすれば、国に一般会計の財務書類の作成を法律で義務付けることは必ずしも効果的であるとは考えにくいところでもあり、今後とも、一般会計の国の財務書類の作成、公表は継続してまいりたいと考えております。

国務大臣(赤羽一嘉君) 里見隆治議員にお答えをいたします。
 防災・減災対策についてお尋ねがございました。
 私自身、昨年九月、大臣に就任直後より、令和元年房総半島台風、同東日本台風、令和二年七月豪雨災害など計三十か所以上の被災地を視察いたしましたが、いずれの被災地におきましても、気候変動の影響による災害の激甚化、頻発化、そして被害規模の甚大化を目の当たりにし、抜本的な防災・減災対策の必要性を痛感しているところでございます。
 被災地の首長の皆様からは、異口同音に三か年緊急対策について高く御評価いただくとともに、来年度以降も更に充実した防災・減災、国土強靱化の取組を計画的に実施できる必要十分な予算の継続を強く求められております。
 国土交通省は、抜本的な治水対策として、上流から下流、本川、支川の流域全体を俯瞰し、国、県、市町村、地元企業、住民が一体となってハード、ソフト両面の流域治水を推進するため、特に国が管理する百九の一級水系において、本年度中に流域治水プロジェクトを作成してまいります。
 また、南海トラフ巨大地震や首都直下地震などに備え、住宅の耐震化や不燃化、道路の無電柱化、港湾・空港施設の耐震化等を推進するとともに、インフラ老朽化対策につきましても計画的な維持管理、更新に取り組んでまいります。
 里見議員御指摘のとおり、こうした耐震強化を始めとする防災・減災対策は一朝一夕に実現できるものではなく、中長期的な見通しを持って継続的かつ強力に取り組む必要があると考えます。与党からも、骨太方針の策定過程におきまして、三か年緊急対策後の取組に関し力強い後押しをいただきました。
 国土交通省といたしましても、防災・減災が主流となる安全、安心な社会の実現に向けた取組を中長期的視点に立って計画的かつ着実に執行できるよう、必要十分な当初予算、補正予算の確保に努め、全力で傾けてまいる所存でございます。更なる御支援をどうかよろしくお願いいたします。

国務大臣(平井卓也君) 地方のデジタル化についてのお尋ねがありました。
 先日、公明党デジタル社会推進本部より、デジタル庁設置に向けての提言をいただきました。まずは、この短期間に御提言を取りまとめられた公明党の皆さんに心から敬意を表します。
 御提言にありましたデジタルにより国民の生活が豊かになったと実感できる社会、誰一人取り残さない社会を構築するとの方向性は、私も常々目指すべき社会像として申し上げてきているビジョンでもあり、この実現に向けて是非お力添えをよろしくお願い申し上げたいと思います。
 今般の新型コロナウイルス感染症への対応を通じて、各省庁や地方自治体が個別にデジタル化を進めてきたことによる課題が様々な分野で浮き彫りとなったと認識しています。また、小規模な地方自治体となると、予算、人員の制約もあり、今後、システムの保守、維持管理が負担になっていくと考えられます。
 このため、これからは、国が整備する共通的な基盤、機能を提供する複数のクラウドサービスを地方自治体も安全にかつ安心して利用していただけるようにしたいと考えています。
 こうして国が地方自治体のシステムについてもリードすることにより、地方自治体におけるシステム調達の負担軽減が図られます。また、新たな政策の選択肢が増えたとしても、システム改修に手間、コストを掛けることなく、地域の実情に即した住民サービスの向上に注力できます。
 住民から見れば、どの市町村に住んでいても、様々な分野で使いたいときにデジタルやオンラインで同じサービスを利用できる環境を地方自治体と一緒に整えていきます。
 なお、地方自治体の業務システムの統一・標準化については、国が財源面を含め主導的な支援を行うこととしており、地方自治体の負担に配慮するとともに、現場の実務等をよく知る自治体職員の方々とも対話をしながら進めてまいります。
 さらに、地方自治体からは、全国的に不足する民間人材を国と地方の間で共有する仕組みや、優秀な自治体職員を国に派遣する仕組みについての御要望もあるため、こうした考え方についても検討してまいりたいと思います。