国家戦略特区、構造改革特区の改正法案の審議

2017.06.01 23:17(7年前) ブログ国会質疑 |里見りゅうじ(里見隆治)

6月1日、内閣委員会で国家戦略特区、構造改革特区の改正法案の審議。
5年前、構造改革特区改正法案の審議を行なった際、私は内閣府の特区担当として出向中で、政府側の担当者側におりました。

特区については、規制改革による経済再生はもちろん重要ですが、規制緩和による副作用、弊害にも目を配る必要があります。
その意味で、内閣主導で進める一方、規制所轄官庁との調整も丁寧に行う必要がある!と山本幸三大臣に訴えました。

また、外国人の受け入れが様々拡大していく中で、生活面、職業面の環境整備の一環として、日本語教育の充実を訴えました。

 

特区については、規制改革による経済再生はもちろん重要ですが、規制緩和による副作用、弊害にも目を配る必要があります。 その意味で、内閣主導で進める一方、規制所轄官庁との調整も丁寧に行う必要がある!と山本幸三大臣に訴えました。内閣委員会で国家戦略特区、構造改革特区の改正法案の審議

議事録

里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
 この特区法案、私にとっても大変思い入れのある法案でございます。と申しますのも、この構造改革特区については、五年ごとに新たな規制措置の提案募集や特区計画の認定申請の期限の延長をしております。この法案につきまして、五年前に私もこの特区法案の提出の担当者として、事前の説明から審議の対応まで、当時の内閣府の担当参事官の一人として内閣委員会への対応をさせていただいたことがございます。
 通常は構造改革特区の担当として、要望される地方自治体と規制所管省庁との間に入ってその調整に汗をかいたというふうなこともございました。ちなみに、当時は民主党政権下でございまして、特区制度に関しては、構造改革特区に加え、新たに創設された総合特区の立ち上げにも携わりましたが、この今回の国家戦略特区に至るまで、いずれの特区制度においても、特区の申請や規制の特例措置の提案などは地方自ら手挙げ方式により行われる一方で、国においては、内閣官房あるいは内閣府が強力なリーダーシップを持って規制の特例措置の内容などを決定していくという手法は基本的に貫かれているというふうに認識をしております。
 この内閣主導という点につきましては、橋本行革以来、橋本行革で中央省庁改革をして以来、一貫して強化されてきておりまして、こうした特区制度を通じて規制改革を大胆に行い、経済構造改革、地域活性化、さらに産業競争力強化という面で成果を収めてきたものというふうに理解をしております。
 今後とも規制改革を進めていく必要はもちろんございますけれども、一方で、規制改革には負の側面、起こり得る副作用や弊害についてもあらかじめ配慮し予防するとともに、事後の評価、検証が大変重要であると考えます。
 したがって、国家戦略特区の基本方針など、重要事項を決定する特区諮問会議の事務局となる内閣府において、内閣主導とはいえ、規制の在り方などについては所管省庁の担当部局と丁寧に協議を行う必要があると考えます。こうした内閣府と各省庁との調整の在り方について、山本大臣の考え方をお伺いします。

国務大臣(山本幸三君) 国家戦略特区は、過去何年も手が着けられなかったいわゆる岩盤規制の改革に突破口を開くものであります。岩盤規制改革を実現するため、たとえ反対論があったとしても、自治体に反対を乗り越えて粘り強く取り組む覚悟がある限り、まずは議論の俎上にのせることは内閣府の責任であると考えております。
 また、内閣府と規制所管省庁との調整に当たりましては、まずは規制所管府省庁がこれらの規制・制度改革が困難と判断する場合には、当該規制所管府省庁において正当な理由の説明を適切に行い、その上で内閣府は制度を所管する関係省庁と時に厳しい折衝を行って議論を尽くしつつ、最終的には関係省庁の合意を得た上で特区諮問会議で政府決定するというのがあるべき姿だと考えております。
 委員の御指摘を踏まえ、今後とも引き続きスピーディーかつ丁寧な議論を進めて岩盤規制改革を行ってまいりたいと思います。

里見隆治君 こうした丁寧な調整、是非ともよろしくお願いいたします。
 また、規制の特例措置を決定する事前の調整のみならず、事業を開始した後の検証、評価も重要であると考えます。国家戦略特区の規制の特例措置の全国展開の好事例としては、今国会で成立した都市公園法の改正がございます。東京都と荒川区が提案をして、国家戦略特区制度を活用して、荒川区の都立汐入公園内に保育所を設置するという事業がこの四月にスタートをいたしました。保育所の用地不足に対応するもので、好評を得て、私ども公明党としても強く推進をしてまいりました。そして、いよいよ都市公園法の改正により全国展開に至ったわけでございます。こうした好事例も多く現れてくることを期待しておりますけれども、一方でうまくいかないケースもあろうかと思います。
 そこで、内閣府にお伺いをしたいんですけれども、国家戦略特区における規制の特例措置について、例えば構造改革特区の評価・調査委員会における評価のように、中立的に評価を行い、全国展開、あるいは要件の見直しによる拡充又は是正、廃止などを決定してはどうかと考えております。私も以前、評価・調査委員会の運営を担当していた時期がございました。ここで中立的にと申し上げておりますのは、実務的に自治体での実施状況を確認するとともに、規制の所管省庁からもヒアリングを行い、冷静に判断ができるというメリットがございました。
 確かに、国家戦略特区においても区域会議で評価をされるということになっております。しかしながら、特にこの規制の特例措置につきましては、区域会議ではどうしても事業をプラスに評価しようというバイアスが掛かるのではないかといった懸念もございます。また、特区諮問会議で省庁から意見を聞く機会があるとの説明も受けておりますが、ハイレベルの大臣クラスが並んでの短時間の議論では実務的な検証まで行えるとは考えられません。
 区域会議における規制の特例措置の評価に際しては、規制の所管省庁も関与して弊害に関する視点も含めて行う必要があると考えますが、内閣府、いかがでしょうか。

政府参考人(川上尚貴君) お答え申し上げます。
 特区につきましては、先生、御造詣の深いところでございますけれども、構造特区の規制の特例措置に関しましては、御指摘のとおり、有識者から成る評価・調査委員会が評価を実施いたしますけれども、関係省庁も、規制の特例措置の全国展開により発生する課題について、その立証と必要な情報把握をすることとなってございます。
 一方、国家戦略特区の特例措置に関しましては、区域計画の作成主体である区域会議自らが効果や課題の評価を行い、その上で諮問会議が特例措置の全国展開の可否等を検討することとなっているところでございます。この際、御指摘のとおり、諮問会議におきましては特に規制所管省庁からの意見を聞くこととしてございます。
 昨年八月に示されました経済対策に沿いまして、経済効果が高く、特段の弊害がない国家戦略特区の成果については全国展開を進めることともなってございます。その際には、まさに今委員の御指摘のとおり、客観的、中立的な評価を行いまして、関係省庁の意見も適切に踏まえながら、丁寧に対応を進めてまいりたいというふうに思ってございます。

里見隆治君 是非、そうした検証も丁寧に行っていただきたい。そうした事後のフォローアップがしっかりなされるという保証があってこそ、じゃ試してみようかなということでまた規制改革の道も開けていくというふうに思いますので、そうした取組を是非ともよろしくお願いいたします。
 それでは、規制の各論について伺ってまいります。
 まず、農業外国人の就労解禁についてでございます。
 農業分野は、成長産業として更に発展をさせるべく、あらゆる手を打ち、また国内で人材確保、育成にも努力していく必要がございます。そうした総論の上に、今回の農業外国人の就労解禁については慎重に検討すべき部分があろうかと思います。
 農業分野に外国人の就労を認めるというのはこれまで技能実習で例がございますが、現行の技能実習でも試行錯誤の連続であったというふうに認識をしております。今回、農業分野での就労を認めるにしても、適切な制度設計にしなければ、うまく運用がされず、かえって将来の道を閉ざしてしまうことになるのではないかというふうに心配をしております。
 農業分野での就労を認めるに当たって、法律案で政令委任されている部分についても、白紙委任するのではなく、国会でしっかりとした審議をして、適切な制度設計を行い、将来につながる制度にしていくとの観点から、何点か質問させていただきます。
 まず、外国人の受入れについては、安倍総理が働き方改革実現会議において、「専門的・技術的分野とは評価されない分野の外国人の受入れについては、ニーズの把握や経済的効果の検証だけでなく、日本人の雇用への影響、産業構造への影響、教育、社会保障等の社会的コスト、治安など幅広い観点から、国民的コンセンサスを踏まえつつ検討すべき」と発言をされております。
 現行制度において農業は専門的、技術的分野には該当せず、技能実習は別として、外国人に就労目的の農作業従事を認められていないという現状にありますけれども、本法案による農業人材の就労解禁は従来の政府の考え方と整合が取れているのか、農林水産省にお伺いをいたします。

政府参考人(山北幸泰君) お答えいたします。
 外国人材に関します政府の考え方につきましては、昨年六月に閣議決定されました日本再興戦略におきまして、「経済・社会基盤の持続可能性を確保していくため、真に必要な分野に着目しつつ、外国人材受入れの在り方について、総合的かつ具体的な検討を進める。」というふうにされているところでございます。また、「移民政策と誤解されないような仕組みや国民的なコンセンサス形成の在り方などを含めた必要な事項の調査・検討を政府横断的に進めていく。」というふうにされているところと承知しております。
 現状、農業分野につきまして就労する外国人労働者の中には、厚生労働省さんが取りまとめられております外国人雇用状況の届出状況によりますと、専門的、技術的分野の在留資格により入国し農業に従事している方も一定数おられるというふうに承知しております。今回、制度で受け入れる外国人材につきましては専門的、技術的分野に該当する人材ではございませんが、閣議決定を踏まえた上で関係省庁と協議いたしまして、経営規模の拡大ですとか、あるいは経営の多角化、高度化などによりまして強い農業を実現していきたい、そうした過程で即戦力となる技能を備えた外国人材を在留期間に制限を設けた上で国家戦略特別区域において限定的に受け入れることを可能とするものということでございまして、外国人労働者の受入れに対する基本的な考え方については転換するものではないというふうに承知しているところでございます。

里見隆治君 今御答弁いただいた中で、限定的にということでございました。
 法律案におきましてもこの対象となる農業等の範囲につきまして、これ、農業というと余りに広い概念であって、もう少し具体的に列挙して明示をいただければと思っております。特に、この農業に付随する作業というふうに法案でございますけれども、付随といいますと、どこまでも付随するとなってしまいますので、こうした付随というその範囲ですね、農作物を原料とした食品加工、製造の業務もどこまで入るのかといった点も論点となります。
 この農業等の範囲について具体的にどのような範囲で予定をされているか、農水省にお伺いいたします。

政府参考人(山北幸泰君) お答えをいたします。
 農業支援活動の詳細につきましては、現在政府部内で検討しているところでございますけれども、まず、法律案で定めておりますところの農業に従事するというのがまず一つでございます。又は、農作業及び農畜産物を原料若しくは材料として使用する製造若しくは加工の作業に加えまして、今御指摘がございましたように、農業に付随する作業として行うところの貯蔵ですとか運搬、販売、堆肥や飼料といった農業生産に必要な資材の製造についても対象としたいというふうに考えているところでございます。
 ただし、この場合、農業支援活動につきましては、法律案におきまして、農作業に従事するというのがまず一つございますし、また、農作業と農畜産物の原料若しくは材料として使用する製造若しくは加工の作業その他付随する作業ということでございますので、例えば、加工製造のみに外国人農業支援人材を活用することはできないというふうに考えているところでございます。

里見隆治君 そうした農業の範囲を前提としまして、その農業支援活動を行う外国人、これは農業の専門知識と経験を有する熟練作業者であるという説明をいただいておりますけれども、その専門知識あるいは経験を有する、また熟練ということですけれども、具体的にどのような基準で選ばれるのでしょうか。

政府参考人(山北幸泰君) 御指摘のとおり、本事業で受け入れる農業支援活動を行う外国人材につきましては、農業の専門的知識と経験を有する熟練作業者ということで考えております。
 具体的には、派遣先の農業経営者の与えた裁量の範囲内で、現場の状況に応じて作業手順を自ら考え、施肥、農薬散布等の栽培管理ですとか、あるいは出荷、収穫、そういった調製の作業等を行ったり、必要に応じて臨時の作業員に対し助言を与える、そういったことが行える者ということで考えているところでございます。
 この場合、専門的知識と経験につきましては、農業機械の操作ですとか、あるいは農薬の取扱い、施肥設計といった具体的に必要不可欠な項目につきまして、試験等によりまして一定以上のレベルであることを評価、確認する方向で検討しているところでございます。

里見隆治君 先ほどの業務の範囲ですね、これが拡大解釈されても困りますし、また、能力もある程度の基準というものをきちんと設定しないと、ともすると、これまでの例にありますような単純労働の肩代わりになってしまうんじゃないか、そんな懸念もあるわけで、そういったことがないように制度設計をお願いしたいと思っております。
 そのために、制度の濫用を防ぐという観点でどのような制度設計が考えられるか、更に詳細を教えていただければと思います。

政府参考人(山北幸泰君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、外国人材が行う農業支援活動につきましては、農業経営体の経営発展に着実に資するものとなるようにする必要があるというふうに考えております。
 このため、特定機関との雇用契約におきまして、その職務内容を明確にして締結するとともに、農業支援活動の内容につきまして、関係自治体と国の機関等で構成する適正受入れ管理協議会が特定機関に対して定期的に報告を求めまして、また、報告を受けた適正受入れ管理協議会は、必要に応じて派遣先農業経営体における農業支援活動の状況等を現地調査するといった仕組みを考えておりまして、これらによりまして、外国人支援人材が行います農業支援活動が適正に行われるようにしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

里見隆治君 単なる単純労働ではないと、一定の農業経営者との間でのコミュニケーションをもって、ある程度包括的な指示を受けて自分でも主体的に動けるようにということですから、そうなりますと、コミュニケーション手段としての日本語ですね、これも重要な要素になると考えます。
 この日本語能力についてどの程度の水準を要求されているのかという点で教えていただきたいと思います。
 昨年度制度化されました外国人の家事使用人につきましては、日本語能力試験で五段階のうち下から二番目に当たるN4、これは基本的な日本語を理解という程度ですけれども、そのレベルだというふうに承知をしておりますけれども、今回の農業人材、これは農業の専門知識と経験を有する熟練作業者ということですから、それなりの高度な日本語の語彙や農業の専門用語についても理解できるようなレベルにする必要があるのではないかと考えます。
 こうした日本語能力について、入国時の要件とされるのか、あるいは入国後の研修を誰かに義務付けるのか、その辺の制度設計について教えてください。

政府参考人(山北幸泰君) お答えいたします。
 本事業で受け入れます外国人材に必要な日本語能力等につきましては現在検討中でございますが、まずは、農林水産省といたしましては、日本語能力につきまして、経営者の作業指示を理解する程度備わっていればよいとした上で、在留中に特定機関による日本語研修を義務付けまして、更に能力の向上を目指してもらおうということで考えているところでございます。
 これは、本事業の趣旨が、最も大事なのは熟練作業者としての技能を有する者であるかどうかというのが求められるということから、そのような考えで進めているところでございます。

里見隆治君 確かに、仕事上、作業の指示が分かる程度の日本語と、それは必要最小限のものだと思いますけれども、実際にこれはよく言われることですけれども、外国人を就労者として呼べば、それは単なる労働力ではなくて人間としてもちろんお越しいただくわけですから、その背景には生活もありますし、またコミュニティーで共に生活する方という位置付けもあるわけです。
 そういう意味で、余りに必要最小限ということで限定してしまいますと、結局は地域社会から遊離してしまう、あるいは宿泊されるところでのコミュニケーションがなかなか取れないということでトラブルにつながってしまう、そういった懸念も考えられます。そういった意味で、仕事の指示がという観点だけではない、もう少し生活面も含めての研修をやるべきであるというふうに考えます。
 また、今の御説明、御答弁では、入国前にというよりも入国した後に何らかの研修をということでしたけれども、これも、入ってしまえばもうあとはこっちのものだというようなことにならないように、これは外国人御本人にも、また、これを受け入れる、これは派遣事業者になるのかその就労先になるのか、そこも後でまた御答弁をいただきたいと思いますけれども、そうした研修をさせる義務、その責任をしっかり明確にしていただければというふうに思っております。
 この日本語研修につきまして、私、最近考えておりますのは、国家戦略特区において、この農業人材に限らず、クールジャパン・インバウンド外国専門人材の就労促進という項目もございますし、また、過去の特区による外国人の受入れメニュー、これは拡充を続けてきております。また、昨年の入管法の改正などで技能実習制度の拡充、介護分野の外国人の受入れが進んでおります。また、海外からの留学生の受入れ拡大という課題もございます。
 こうした中で、外国人の受入れを円滑に進めていく上で国内外における外国人の日本語教育の充実は大変重要でありまして、これはまさに国の成長戦略、また骨太の方針においても明確に位置付けて推進するべきというふうに考えます。この国内外における日本語教育の重要性についての認識、また今後の日本語教育の充実に向けた取組について、まず文化庁から御答弁ください。

政府参考人(永山裕二君) お答え申し上げます。
 我が国に在留する外国人の増加に伴いまして日本語学習者も増加しており、その学習目的も、就学、進学、また就職、生活のためなど多様化する中で、日本語教育は単に言語の習得にとどまるものではなく、我が国の経済活動、また国際文化交流において極めて重要な役割を担うものであるというふうに考えております。
 このため、文部科学省におきましては、学校における外国人児童生徒に対する日本語教育、また大学等における外国人留学生に対する日本語教育、また地域における定住外国人等に対する日本語教育などについて施策を展開しております。
 また、今後の課題という点につきましては、文化審議会国語分科会日本語教育小委員会におきまして、日本語能力の判定基準の在り方、また、日本語教員を含む日本語教育人材の養成、研修の在り方など、日本語教育の今後の推進に当たっての論点として整理しており、現在は日本語教育の人材育成の、人材の養成、研修について御議論いただいているところでございます。さらに、関係府省や関係団体をメンバーとする日本語教育推進会議というものを設けまして、日本語教育関係者間の情報交換等を行っております。
 現在、里見委員もメンバーでございます超党派による日本語教育推進議員連盟におきまして、基本法の制定に向けた議論が行われているというふうに承知しております。
 文部科学省としましては、今後、議連における議論の動向も踏まえつつ、関係府省との連携を更に深め、日本語教育の総合的な推進に向けてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

里見隆治君 続けて、国外での研修につきまして、教育につきまして、外務省から答弁を求めます。

政府参考人(大鷹正人君) お答え申し上げます。
 海外における日本語の普及でございますけれども、外務省といたしましても、我が国に対する理解や認識を深め、諸外国との友好関係を強化する上で重要であるものと理解しております。また、外国人が十分な日本語能力を身に付けられるようにすることは、日本として必要な人材を確保するという観点からも重要というふうに認識しております。
 外務省といたしましては、国際交流基金と連携いたしまして、海外において自立的な日本語教育体制が確保されますよう、専門家の派遣、現地教師等への研修、教育機関に対する支援、日本語能力試験の実施など、あり得べき様々な事業に取り組んでいるところでございます。
 委員が事務次長をお務めになっている日本語教育推進議員連盟で基本法制定の動きということを今言及ございましたけれども、そういった議論も踏まえながら、海外における日本語の普及についても積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

里見隆治君 こうした日本の産業を興していこう、また、経済を発展、成長させていこうという中で、外国人の受入れ、それだけは先行して議論が進んでいくわけですけれども、そのインフラ整備という意味でソフト面、特にこの日本語の教育体制というものを国内外にしっかりと整備しておく、これがまた日本の潜在力を高めていくということになると思いますので、是非こうした取組、推進をお願いいたします。
 それでは、続きまして、この人材を海外からどのようなルートで受け入れることになるのかという点についてお伺いをしたいと思います。
 まず、今農林水産省で様々詳細のスキームを検討されていると思いますけれども、想定している送り出し機関、海外のですね、送り出し機関、またこの送り出し機関と日本の国内の受入れを行う特定機関とのマッチングについてどのような手続になるのか、また、外国人本人が送り出し機関に支払う手数料のようなものも想定されているのかという点も確認をしておきたいと思います。この手数料に関しましては、従来、技能実習制度においても、多額の借金を技能実習生が入国前に既に課せられたりというトラブルが絶えないとも伺っております。こうしたトラブルを回避するための方策についてどのようにお考えか、農水省にお伺いいたします。

政府参考人(山北幸泰君) お答えいたします。
 本事業におきましては、外国人農業支援人材を直接雇用する特定機関が自ら様々な手法によりまして外国人材を募集し受け入れる方向で検討しているところでございます。ただし、その場合、特定機関等が講ずべき措置等を定める指針の内容につきまして今検討しておりますが、家事支援外国人受入れ事業の例も参考にいたしまして、外国人農業支援人材の受入れに当たっては、特定機関はもとより、送り出し機関のような他の機関が介在する場合、それらの機関も含めまして外国人材から保証金や違約金等の徴収を禁止することを定める方向で調整してまいりたいというふうに考えております。
 それから、先ほど、地域でもって生活するというようなこと、御指摘ございました。外国人の技能実習の例におきましても、例えば地域のお祭りに参加していただく、あるいはスポーツイベントに参加する、逆にその出身国の、例えばカンボジア祭りといったような形で、そういったイベントを開くというようなことで地域の融和を図っているというような例も聞いております。そういった技能実習におきますところの優良事例といったようなものは、こういった事業を行っていく上でも広く紹介をし、横展開していくような、そういう配慮も併せてしていきたいというふうに思っているところでございます。

里見隆治君 今指針で検討中であって、送り出し機関からはそうした手数料の徴収をさせないという、そういうお話ですけれども、結局、送り出し機関というのは国外にあるわけで、日本政府がそのまま直接介入することはできないわけです。そういった意味では、その受入れを国内において行う特定機関を介してということになろうと思います。間接的になる分なかなか手が届かない、見えない部分というものがあろうかと思います。そこはしっかりと、どのように不正を防いでいくのか、あるいは借金漬けになるような不幸な外国人が出ないように、そういった配慮を是非ともお願いいたします。
 この特定機関についてお伺いをしたいと思います。
 農業支援外国人の受入れについては、特定機関と呼ばれる労働者派遣事業者が外国人を雇用し農業経営体に派遣するスキームを考えているというふうに承知をしております。現行の技能実習制度では、現場の実習機関にあっせんする監理団体が特定機関に近い存在だというふうに考えますけれども、この今の技能実習の例でいいますと、監理団体が自ら定期的に巡回して監理していても、外国人が失踪するなど入管法上の問題や就労現場での労働関係法令上の違法事案が発生すると、監理団体としての事業が継続できなくなってしまうという事態が発生しているというふうに伺っております。
 そこで、厚生労働省にお伺いをいたしますけれども、こうした労働関係法令の遵守について、この特定機関となる労働者派遣事業者は、労働者派遣法上の規定上、派遣就労が適正に行われるように適切な配慮を行うとされておりますけれども、具体的にどのような義務を負っているか、お答えください。

政府参考人(鈴木英二郎君) お答え申し上げます。
 御指摘の派遣元事業主が講ずべき適切な配慮につきましては、労働者派遣事業関係業務取扱要領に規定してございます。具体的に申し上げますと、派遣先に適用される法令の規定を習得すること、派遣元責任者に派遣先事業所を巡回させまして法違反がないよう事前にチェックすること、また、派遣就業に関します問題につきまして派遣先で問題が発生している場合には派遣先との密接な連携の下に解決を図ること、さらには、派遣先で法違反が行われている場合にはその是正を派遣先に要請すること、また、そういった派遣先に対しまして労働者派遣を停止し又は労働者派遣契約を解除することといったことを規定しているところでございます。

里見隆治君 ありがとうございます。
 こうした労働条件の中で特に代表的な労働条件、労働基準法上の労働時間、休憩、休日といった規定がございますけれども、この現在の、現行の労働基準法上の枠組みでいいますと、こうした労働時間、休憩、休日という規定は農業分野には規定されていないというふうに承知をしております。
 こうした中で、今回の農業人材の、外国人を農業分野で受け入れるというこの今回のスキームにおいては、今回の労働基準法の適用はどのようになるのでしょうか。また、適用されない場合、労働基準監督官が監督できないといった事態が生じるのではないかというふうに懸念をしておりますけれども、その点、厚生労働省に答弁を求めます。

政府参考人(藤澤勝博君) お答えを申し上げます。
 議員御指摘のとおり、一般に農業に従事する労働者につきましては、労働基準法第四十一条の規定によりまして、労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用されないこととなっております。さらに、お尋ねの農業に従事をするこの農業支援外国人の方についても同様でございまして、同法の労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用されないということとなります。
 その場合に、適用のないそれらの規定につきまして労働基準監督官が指導するということはできないわけでございますが、一方で、このスキームの農業支援外国人の方であっても、それ以外の労働基準法の規定は適用されることになりますので、例えば労働契約に定められた賃金が支払われないでありますとか、あるいは書面により労働条件を明示をしていないと、そういったようなことなどの労働基準法等の違反が認められた場合にはその是正を指導することとなります。

里見隆治君 確かに賃金不払等の段階では監督できるということですけれども、そういった背景の中で、派遣先となる農業経営体、どうしても労働時間管理に慣れていないケースも考えられるのではないかと思います。こうした労働時間の管理についても、今まさに進めている働き方改革というこの日本全国の取組の中で、長時間労働とならないようなそうした措置が必要だというふうに考えます。この点、どう対応されるのか。
 それから、もう一点、労働者派遣事業者である特定機関は就労現場から離れてきちんと管理ができるのかという課題もございます。また、特定機関が、労働者派遣事業者としての義務以外にどのような責務を負っているか、この点、農水省に確認をしたいと思います。

政府参考人(山北幸泰君) お答えいたします。
 派遣先の農業経営体につきましては、一定の欠格事由を設けるほか、本事業を的確に遂行できる能力がある者として、まず雇用経験がある者ですとか、あるいは派遣先責任者講習を受講した派遣先責任者の選任といった要件の導入を検討しているところでございます。こうした措置によりまして、派遣先におけます適正な管理が図られるよう努めてまいりたいというふうに思います。
 また、特定機関につきましては、本事業の適正な運営を確保するため、指針におきまして、本事業を実施する区域内に所在すること、あるいは日本人と同等額以上の報酬額や適切な住居を確保すること、あるいは適正受入れ管理協議会への定期、随時の報告を行うとともに、協議会の巡回指導、監査を受けること、あるいは外国人材が在留上又は就業上理解しておくべき事項等について必要な研修を実施すること、先ほど日本語研修ということも申し上げましたけれども、特定機関にそういった研修を実施することについての責務を負うこととする方向で検討しているところでございます。

里見隆治君 ありがとうございます。
 こうした特定機関にも一定の責務、義務を課しているということですけれども、やはり物事を制度として動かしていくにはダブルチェックということも必要だと思います。
 その点で、今答弁にもいただきましたような適正受入れ管理協議会というものを設置されるということでございます。この協議会、関係自治体と地方農政局、地方入国管理局、都道府県労働局、また内閣府地方創生推進事務局などで構成されるということでございます。
 ただ、こうした何とか協議会ということで様々な主体を並列いたしますと、どうしても責任の所在というのが不明確になりやすいというふうに感じております。その点、この協議会の責任の所在、誰がトップで誰が責任者であるのかと、そういった点が明確にされるのかどうかという点を確認させていただきたいのと、それから、外国人が就労している現場を現地調査を行うということでしたけれども、どの機関がどの程度の頻度で行うのか、そういった点も教えていただきたいと思います。

政府参考人(山北幸泰君) 今御指摘ございましたように、今回の制度におきましては、関係自治体と国の行政機関が参画いたします適正受入れ管理協議会を設けまして、特定機関の労働関係法令への基準の適合性等を確認するとともに、監査や巡回指導を行うなど、国、自治体が自ら特定機関を直接管理する仕組みとする方向でございます。
 したがいまして、国家戦略特別区域制度を所管いたします内閣府、入管法を所管する法務省、外国人労働者の保護を所管する厚生労働省、農業を所管する農林水産省と地域の農業の振興をする立場の特区指定自治体が適正受入れ管理協議会の中でそれぞれが有する権限を発揮いたしまして、必要な対応を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
 また、適正受入れ管理協議会が、少なくとも年に一回は関係法令や指針の遵守状況につきまして派遣先の農業経営体に対する現地調査を実施する方向で考えておりますけれども、この場合、特定機関からの定期、随時の報告ですとか、あるいは外国人材からの苦情相談の状況等を基に協議会の構成員でチームを編成して対応したいというふうに考えているところでございます。
 いずれにしても、協議会を構成する各機関が連携して本事業の適正な運営を確保してまいりたいというふうに考えているところでございます。

里見隆治君 それぞれの機関がそれぞれの所管に応じてと、それは当然のことですし、この協議会がなくても労働局も入管局もそれぞれ動くものだと思います。
 そうした意味で、本当にこの協議会がきちんと機能していくかどうか、まず私は、国の、国家戦略特区ですから、国のリーダーシップというのも重要ですけれども、これを受け入れた、まさに手を挙げて、地域の振興につなげていこうと、また国家戦略特区としてモデルをつくっていこうという、その受け入れた自治体の責任、責務というものも大変重要だというふうに考えております。
 私、以前、構造改革特区を担当しておりましたときに、今この特例措置というのはもう全国展開されていると思いますけれども、外国人研修生の就労人数を増やすという特例措置がありまして、これもその当時、担当として各自治体にそれぞれ責任を持って遂行してほしいということを申し上げておりました。しかし、自治体ですから、なかなか入管法あるいは労働基準法と、それぞれの法令についてそれぞれ詳細に分かっているわけではないわけですね。
 そういった意味で、内閣府としてもしっかり自治体をケアしていただきたいと思いますし、また、受け身ではなく、自治体にはしっかりとその責任を果たしていただきたいと、そうした意味で、この地方公共団体の責務、これをどのように認識をされているか、これは内閣府にお伺いをいたします。

政府参考人(川上尚貴君) お答え申し上げます。
 自治体の責務についてのお尋ねでございますけれども、これまでもお話ございましたように、今回の農業外国人材の受入れにおきましては、国と自治体が合同で協議会を設置し、国、自治体が自ら特定機関を直接管理するほか、派遣先の農業経営体に対して現地調査を実施するなど、労働時間や賃金等の労働条件等を適切に管理する仕組みを導入する予定でございます。
 この協議会の業務の中でも、特定機関に対する監査、派遣先農業経営体に対する現地調査、外国人材からの苦情相談の受付など、多くの業務については現場に近い自治体が果たすべき役割がとりわけ大きいものというふうに認識をしているところでございます。
 国と自治体がそれぞれの所掌に応じ、また互いに連携し責任を持って対応することで、適切な業務運営を図ってまいりたいと考えているところでございます。

里見隆治君 もう時間が参りましたので、大臣に質問の予定でしたけれども、最後、意見だけ申し上げておきたいと思いますけれども。
 今日、農業人材の就労解禁、様々な点でしっかりと歯止めを掛けるべきところは掛けると、その上で大胆な規制改革という意味では前に進めていくと。その意味では、この法案を見ましても、大事なところは政令委任をされているということで、明確になっていない点が多いわけでございます。そうした観点で、こうした今日の議論も含めて、様々な意見が今来ていると思います。こうした点を踏まえて、また、これまでの外国人技能実習制度の課題なども踏まえて適切に対応をお願いして、私からの質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。

公明党
公明党青年委員会
公明党愛知県本部