農林水産委員会で漁業法改正案の質疑と社会保険労務士制度創設50周年記念祝賀会

2018.12.06 07:47(5年前) ブログ国会質疑 |里見りゅうじ(里見隆治)

12月4日、農林水産委員会で漁業法改正案の質疑に立ちました。
吉川農林水産大臣に、沿岸漁業の漁業権の新規参入・変更等の基準をより明確にわかりやすく浜の漁業者の皆様に説明し、理解が得られるよう求めました。

また、委員会終了後、都内で開催された社会保険労務士制度創設50周年記念祝賀会にお祝いに駆けつけました。
私も厚労省時代からお世話になり、一時期は社労士試験の試験作成にも関わったことがあります。
また、労働関係の様々な相談業務を社会保険労務士会にお願いしていました。
議員になってからは、地元・愛知で働き方改革に際して社労士の先生方からアドバイスを頂いています。

 

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委員会質疑から

議事録

里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。
 本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 今日は漁業法の改正法案についてということで、まず、この前提となります漁業の実態、またその認識、分析に関して政府の見解を確認するところから始めたいと思います。
 漁業生産量の推移を拝見をいたしますと、昭和五十九年の一千二百八十二万トンをピークに、平成二十九年、直近では四百三十万トンと約三分の一に落ち込んでおります。その背景としては、水産資源の総量が減少しているのかとか、あるいは消費者の食生活の傾向の変化、あるいは漁業の担い手が減少している、また漁業経営の環境変化など様々なことが考えられるというふうに思います。
 この三十年近くの漁業生産量の減少の要因について政府がどのように分析をされているか、確認をさせてください。

政府参考人(長谷成人君) かつて世界一を誇った我が国の漁業生産量でありますけれども、昭和五十八年をピークに減少傾向で推移し、現在はピーク時から大きく減少しております。
 漁業生産量の減少の要因としては、まず、マイワシ資源の大幅な漁獲量の減、そして遠洋漁業の縮小が挙げられます。しかしながら、このほかにも減少している水産資源があります。より適切に管理をしていれば減少を防止、緩和できたものも多いと考えているところでございます。また、水産資源を活用する漁業者の減少、高齢化も漁業生産量の減少の要因となっていると認識しております。
 一方、外に目を向けますと、国際的な水産物の需要の高まりにより、我が国周辺水域で外国漁船による操業が活発化するなど、我が国の漁業者が水産資源を十全に活用できていない状況もございます。
 さらに、一人当たりの魚介類の消費量も減少傾向にあるなど、消費面についての課題もあり、こうした様々な要因が相まって漁業生産に影響を及ぼしてきた部分があるものと考えております。
 このため、水産政策の改革によりまして、まずは生産面の課題の解決を図り、漁業の生産力を高めていくとともに、消費対策等も含めて総合的に施策を講じ、現在の減少傾向に歯止めを掛けたいと考えているところでございます。

里見隆治君 ありがとうございます。
 そうした背景、また時代の変化に応じて総合的に対策を進められるという、そういうお話でございました、御答弁でございました。
 そうした前提条件、認識の上に今回の法律案を提出したものというふうに承知をしておりますけれども、ともすると、衆議院の審議あるいは本会議での審議、拝見をしておりますと、何かこの今回の法案が規制改革推進会議からの検討要請に応えて水産改革が行われているかのように質問をされる向きもございます。確かに、並行して規制改革の議論もございましたし、そうしたことを横にらみでということもあったというのは分かりますけれども、こうした本来の日本の漁業をどうしていくのか、水産行政をどう動かしていくのか、そうした観点からいえば、今おっしゃったような課題、水産資源の管理を充実する、あるいは漁業の成長産業化を図るという本来の水産政策の意図、それをしっかりと政府としても説明をいただく必要があるのではないかというふうに考えます。
 また、ともすると、もちろん、生産現場ということですから、生産者に対してどういうアプローチを掛けていくかということが議論になりますけれども、むしろ、これは流通あるいは消費者というその全体の川下、川上から川下、水産ですからなかなか川が適当かどうか分かりませんけれども、そうした生産から消費者全体を見通して、視点、そういった全体観に立って見ていかなければならない。そうした意味では、流通あるいは消費者の視点というものも大変重要かというふうに考えます。
 そうした全体観に立っての今回の漁業法の改正のメリット、これを大臣から分かりやすく御説明いただきたいと思います。

国務大臣(吉川貴盛君) 里見委員も既に御承知のとおりと存じますけれども、我が国の漁業は、まず国民に水産物を安定供給するという重要な役割を担っていると存じます。ですが、一方では、漁業生産量が長期的に減少傾向ということもありますし、さらには漁業の就業者数も減少するという厳しい課題を抱えております。
 今回の水産政策の改革でありますけれども、今申し上げましたような状況を踏まえまして、水産資源のこの持続的な利用を確保するとともに、水面の総合的な利用を図り、漁業生産力を発展させることに本腰を入れて取り組むことが必要であるとの認識の下に、昨年の四月でありますけれども、に策定をいたしました水産基本計画がございます。これによりまして、数量管理等による資源管理の充実ですとか、漁業の成長産業化等を強力に進めるために必要な施策について、関係法律の見直しを含めて引き続き検討を行うとされたことを出発点といたしております。水産政策の実施に責任を有する農林水産省として、主体的に検討を進めて法案提出に至ったものでございます。
 今般の改革によりまして、漁業生産量や漁業の就業者数の減少に歯止めを掛けて、全国各地でこの特性を生かした多様な漁業が営まれるようにすることで、我が国の消費者が将来にわたって多様で豊かな日本の水産物や魚食文化を享受することができる、そのように考えております。

里見隆治君 ありがとうございます。
 しっかり政府としても、国民の皆様、それから漁業生産者、また消費者に至るまで丁寧に御説明をいただく必要があると思います。
 私も、地元愛知で漁業者の皆様とこの間対話を重ねてまいりました。愛知県も、知多半島を挟んで三河湾また伊勢湾等、沿岸漁業が盛んな地域が集中しておりまして、そうした方々と今回の法案についても様々意見交換をさせていただきました。そうした中で、やはり先ほども議論がございましたけれども、漁業権の設定方法、これについてはまだまだ理解が十分ではない、また認識が薄い分、御心配も多い点であろうかと思いまして、これもしっかりとこの審議を通じて明確にし、安心感を与えていく必要があると思います。
 まず、この漁業権の設定方法の変更についてでございますけれども、新規参入を認める場合の地元漁業者との調整、これが果たしてどのように行われるんだろうかと、そのことを現場の皆さんも不安に思われております。また、既存の漁業者が適切、有効に漁場を活用している場合、これは今回の法案の一つのキーワードになっておりますけれども、適切、有効に漁場を活用している場合は、引き続き漁業権が免許されるということでありますけれども、この点も基準を明確にし、そして漁業者の皆さんにしっかり理解をいただく必要がある。でなければ、不安が払拭されないものというふうに考えます。
 漁業者に不必要な懸念をお持ちいただくことは、政府にとってもまた現場の皆様にとっても不幸だと考えます。こうした手続が公正、適切かつ丁寧に行われるということを改めて明確に御説明いただきたいと思います。大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(吉川貴盛君) 漁業の免許に当たりましては、都道府県知事は、事前に漁業者等の利害関係人の意見を聞いて検討を加え、その結果を踏まえて海区漁場計画を策定しなければならないこととされております。
 新たな漁業権を設定する場合につきましても、利害関係人の意見を聞くとともに、地元の漁業者が主体となる海区漁業調整委員会の意見を聞くことを通じまして周辺で操業する地元漁業者との調整がなされるものと考えております。
 また、既存の漁業権者が漁場を適切かつ有効に活用している場合に優先して免許されますけれども、適切かつ有効に活用している場合とは、漁場の環境に適合するように資源管理ですとか養殖生産を行い、将来にわたって持続的に漁業生産力を高めるよう漁場を活用している状況と考えております。具体的には、漁場利用や資源管理に関わるルールを遵守した操業が行われている場合、さらに、漁場の潮通しを良くする目的で漁場の一部を利用していない場合、さらには、資源管理のために漁業活動を制限している、病気やけがなどで出漁していない場合等、合理的な理由があるものについては適切かつ有効な利用をしていると考えられるところでございます。
 実際には、個々の事案ごとに、この地域の漁業に精通する都道府県が実態に即して判断することとなりまするけれども、都道府県によってこの判断基準が大きく異なることがないようにする観点から、都道府県の実務担当者から更に意見を伺わなければならないと思っております。そして、国が技術的助言を含めて適切かつ有効な考え方を示していく考えでございます。これにつきましては、法案の成立をさせていただきました後にはガイドラインというものも設定をしていく必要が私はあるのではないかと、こう思っておりますので、そういったことも含めて検討させていただきます。

里見隆治君 ありがとうございます。
 これ、国会での審議でありますので、法律を審議していますので、やはり基本的な考え方は政省令で、あるいはガイドラインでということでなく、しっかりここで議論をさせていただきたいと。その上で、法律の立て付けとして、やはり政省令、運用基準、ガイドライン等ありますから、それはそれで、今大臣がおっしゃったように、個々の現場に応じて具体的にどうその法の適用をしていくのか、それはまた個別に御説明いただきたいと。
 そういう意味では、私どもも、公明党として、農林水産部会、稲津部会長を筆頭にして、十月二十九日に大臣の下に今回の水産政策の改革について提言をさせていただき、六点ほどにわたって提言をさせていただき、御理解をいただいているものと理解をしております。その六点、ここで改めては申し上げませんけれども、今大臣がおっしゃった、この水域を利用している漁業者からの意見聴取などの事前の十分な調整というところは念には念を入れてしっかりと着実に進めていただくよう、お願いをしたいと思います。
 結局は、今おっしゃったように、個々の現場ごとにと、また全国各地で特性を生かして多種多様な漁業という、そういうお話の趣旨からいえば、基本的な考え方はこの法律でしっかりとお示しをすると。そしてまた、具体的な法の適用について個別に説明を丁寧にし、かつ手続を進めていくと。そういうことからすると、やはり現場とのコミュニケーション、説明をしっかりしていただくということが大変重要だと思います。
 水産庁としては、既に御説明があったとおり、本年の六月に「水産政策の改革について」、これ発表して以来、各地で水産政策の改革についての説明会を行ってきたというふうに承知をしております。しかしながら、対象者がどうしても漁協の幹部あるいは役員といった方に偏りがちではないかと、広く組合員の皆様にも伝わるような説明を求めたいというふうに思います。
 今回の法律案、その中で、政省令、運用基準、そうしたものも、今後、法律だけではなくて、しっかりと現場にその情報が届くように、安心感を与えるようにお願いをしたいと思います。
 こうした、これまでの説明、また今後どのように現場とのコミュニケーションを図っていくのか、その点について確認をしたいと思います。

政府参考人(長谷成人君) これまで、農林水産省と団体が協力して、改革の内容や改正法案の考え方につきまして、漁業者団体の開催する会議など様々な機会を通じて、漁協や漁業者等と意見交換を行い、本年六月から十月末までの間に全国各地で九十九回の説明会等を実施してきたところでございます。こうした説明会等を通じて漁業者の全国団体から改正法案について理解をいただいているところでございます。さらに、漁業者や一般の方々がアクセスできるよう、改革の趣旨、内容等を解説した動画やQアンドAを水産庁ホームページに掲載もしているところでございます。
 今後も引き続き説明を実施するとともに、全国の浜々の要望に応じて説明に出向き、政省令や運用基準など制度の細かな運用を含めまして漁業関係者の方々に御理解いただけるよう更に努力してまいりたいと考えております。

里見隆治君 どうかよろしくお願いいたします。
 そのほか現場での対話で論点となりましたことに、沿岸漁場管理制度、これは先ほども質疑応答ございましたけれども、先ほど政府から内容の説明がありましたのでその部分ははしょりますけれども、この管理制度の整備、これまでは地元の漁協が担ってきた活動を一層推進するものというふうに期待をしているところでありますが、漁場の有する多面的機能を通じて沿岸漁場管理団体以外にも広くその受益が及ぶ、すなわち公益性があるということから考えますと、費用負担の範囲を今回拡大するということでありますが、更に広くその利益が及ぶ、公益性があるということでありますれば、これはしっかりと公的な支援も充実させていくことがこの表裏一体のものとして必要であるというふうに考えます。
 水産庁がこれまで行っております水産多面的機能発揮対策、これは、環境、生態系の維持、回復や安心して活動できる海域の確保など、水産業、漁村の多面的機能の発揮に資するそうした活動を支援するものだということでございますけれども、こうした事業の活用、更にこれを拡充させ、今後予算もしっかりと付けていただいて支援をいただく必要があると思いますけれども、今後の方針について政府にお伺いいたします。

政府参考人(長谷成人君) 沿岸漁場管理制度につきましては、先ほど赤潮監視ですとか漁場清掃等の例を挙げて御説明したところでありますが、この制度の導入のほかにも、漁業、漁村の有する多面的機能がこれからも更に発揮されるよう、漁業、漁村を支える人材の育成確保や干潟の保全など、漁村における地域活動の促進のための支援策を積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。

里見隆治君 よろしくお願いいたします。
 そのほか、今回の法律案で論点として挙げておきたいのですけれども、今回は法律、規制制度をつくっていくということと併せて、そろそろ年末に向けて私どもも予算の方もにらみながら両輪で進めていく必要があると思います。その中で考えなければならないのが、漁業構造改革総合対策事業、いわゆるもうかる漁業についても触れておきたいと思います。
 漁業の成長産業化のために漁船の高船齢化への対応、また古い漁業設備の高性能化を公的支援により進める必要があると考えます。水産庁として、もうかる漁業、この事業によって用船方式で高性能な漁船の導入等を進めてきたということで承知をしておりますが、漁業の現場でも大変評価をされておりまして、これを更に拡充していく必要があると思います。
 これまで補正等で積み増していくという、そうしたやり方が多かったように見受けられますけれども、これをしっかり継続的、恒常的な事業として事業費を確保していく、それによって成長産業化を進めていくべきというふうに考えますけれども、今後どうした方向でこの事業を進めていかれるか、大臣にお伺いしたいと思います。

国務大臣(吉川貴盛君) 今御指摘をいただきましたように、漁業の成長産業化を進める上で、漁業者の所得向上というのはとても大切なことだと考えます。さらに、この漁業が若者にとって魅力である産業とすることが重要であると考えておりまして、このために、漁業者が資源管理に取り組みつつ、収益性が高くて、かつ居住性、安全性、作業性の高い漁船を導入するに当たりまして、漁船の建造等に対する金融支援措置のほか、その導入手法を実証するために、今御指摘をいただきました漁業構造改革総合対策事業、いわゆるもうかる漁業に支援を行ってきたところでもございます。
 今後とも、こうした支援措置等によりまして、漁業の成長産業化をしっかりと促進をしてまいりたいと存じます。

里見隆治君 改正案の関係で、もう一点、これも漁協の皆さんとのお話の中で、先ほどの漁業権の制度変更と併せて御心配、御懸念の声が上がっていたのが、海区漁業調整委員会の委員の選出方法についての変更点でございます。
 これは、公選制から都道府県知事の任命に移行するという改正案でございますが、海区漁業調整委員会が今後も公的な役割を果たせるように、この委員の選出に当たっては、漁業者の代表を中心とする組織という基本的な性格が維持されるようにすることが求められていると思います。この点、法案においてはどのように担保されているのか、お伺いします。

政府参考人(長谷成人君) 今回の海区漁業調整委員会の委員の選出方法の見直しにつきましては、委員会が一層適切に漁業調整の役割を果たすことができるよう、漁業者を主体とする委員会の組織、機能をしっかりと残しつつ、地域の実情に柔軟に対応できるよう、公選制から知事の選任制に移行するものでございます。
 具体的には、委員の定数は原則十五名、これは変わりませんけれども、その選任に当たっては、学識経験を有する者及び利害関係を有しない者を最低一名ずつ含めた上で、漁業者が過半数を占めるようにしなければならないこととしております。この場合、漁業者委員は法律で九名と、十五名の場合九名と、こう決まっておったわけですけれども、改正案におきましては、漁業者の委員は十五名中八名から十三名の中で都道府県知事が地域の実情に応じて柔軟に選任できるようにしているところでございます。

里見隆治君 私が現にこの調整委員会の委員をされている方から伺ったのは、これはなかなかまだ十分理解が、説明ができていないということもあろうかと思いますけれども、何か選挙をされないと公的性というものが疑われるんじゃないかと、そんな言われ方もしておりまして、そういう意味では、しっかりとした透明、また公正な手続を踏む、そしてしっかりと、議会を通じたそうした公的性をしっかり担保していくものだと、そこの理解は、是非理解を求めていただく必要があろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ちょっと角度を変えまして、漁業の担い手の確保についてお伺いをしたいと思います。
 冒頭、今までの漁業生産量の推移についての様々な要因分析の中で、この担い手をどう確保していくか、この点、大きな今後の漁業政策の論点であろうかと思います。こうした中で、まずは基本的な認識として、漁業の担い手の推移と、また今後の見通し、見込みについてどのような認識をお持ちか、お伺いをいたします。

政府参考人(長谷成人君) 漁業就業者数は一貫して減少傾向にありまして、統計上遡れる最も古い年である昭和三十六年には六十九・九万人であったものが、平成二十九年には十五・三万人となっております。
 また、近年の年齢階層ごとの変化率や新規就業者数を前提として水産庁で試算したところ、今後、漁業就業者数は徐々に減少いたしますけれども、二〇五三年以降約七万人程度で収束する可能性があるというふうに予測しているところでございます。

里見隆治君 この減少傾向に歯止めを掛け、そして、人数はそんなに大幅に増えないにしても、しっかりと一人当たりの生産量を上げ、そしてもうかる漁業にしていくと、そういう作戦だというふうに思いますけれども、これまでのそのための方策、政策ですね、水産庁として漁業の人材確保対策にどのように取り組まれてきたのか。また、今、法務委員会では外国人の受入れについても議論をされております。私ども農林水産委員会としては、しっかり漁業分野での人材確保という観点で、これはこれとしてしっかり議論をしていくべきだと思いますけれども、ただ、外国人を受け入れるからといって決して外国人頼みになるようなことなく、基幹的な担い手はしっかりと国内で育成をしていく、その施策について後退はあってはならないと考えております。
 今後、どのような人材確保、また育成をしていく方針か、お伺いをいたします。

政府参考人(長谷成人君) 漁業就業者を確保するため、水産庁として、新規就業者の確保、育成に向け、漁業就業希望者が経験ゼロからでも漁業に就業できるよう、就業相談会の開催や漁業現場での長期研修のほか、低利融資等について支援してきたところでございます。
 また、我が国漁業を今後持続的に発展させていくためには、例えば作業性、居住性、安全性の高い漁船の導入支援など、水産政策を総動員することによりまして漁業者の所得を向上させ、漁業を若者にとってやりがいのある魅力的な産業にしていくことが重要というふうに考えております。このため、引き続きこれらの支援を講じること等を通じまして、全体として毎年二千人以上の新規就業者を確保していくことを目標に、新規就業者の確保、育成を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

里見隆治君 結局、人数も、ある程度、大幅には増えないけれども確保しつつ、それでももうかる漁業にしていくということは、一人当たりの生産性を向上させていく、これはいずれにしても必要な政策だと思います。
 この生産性向上についてどのようなお取組をされているか、お伺いをいたします。

政府参考人(長谷成人君) 漁業におきましては、漁船の大型化ですとか高性能化、そして漁労作業の機械化、協業化、養殖作業の自動化、人工種苗の量産などによりまして、作業の効率性を追求しつつ生産技術を発展させてきたという歴史がございます。
 今後とも、農林水産省としては、農林水産業・地域の活力創造プランに位置付けられました水産政策の改革などに基づきまして、適切な資源管理の実施による水産資源の維持、増大、漁業許可制度の見直しによる漁船の高性能化、大型化、情報通信技術を活用した漁場予測、養殖管理などの取組によりまして生産性の向上に取り組んでいきたいと考えているところでございます。

里見隆治君 その上で、こうした人材確保、生産性向上の対策をしっかり講じていくと、それは当然の前提でございますけれども、これも、先般の政府がお示しをされました新たな在留資格による受入れ・人材不足の見込み数、こうした資料を提出いただいておりまして、私も本委員会の中で既に外食業あるいは農業についてはこの点確認をさせていただきましたが、今日は漁業関係でございますので、特にこの漁業の実数、これが新たな資格による外国人材の受入れ見込み数を七千から九千、これは五年間の累計ということであります。
 また、その根拠をお伺いするとともに、これは二つのルート、技能実習から移行する分と新たに試験を受けて入られる方、その内訳も示しながら、根拠、またその数字の裏付けについて御説明いただきたいと思います。

政府参考人(長谷成人君) 漁業の人材不足の見込み数につきましては、熟練の高齢労働者が一定の年齢に達し順次引退していくのに対しまして毎年一千人の新規就業者が新たに雇用されると想定して、現在五千人、五年後に二万人の人材が不足するものと推計いたしました。この状況に対しまして、生産性向上と国内人材の確保の取組を行ってもなお人手不足の状況を直ちに解消することは困難であるというふうに考えているところでございます。
 このため、技能実習二号修了者のうち五割から七割が新たな在留資格に移行すると。そのほか、新たに実施する試験で入国する者を合わせまして、五年後に七千人から九千人の外国人の受入れが必要になるものと見込んだものでございます。

里見隆治君 この技能実習の経験値がある中で、これまでの漁業分野での受入れを見ますと、これはまた、一方の都市部での外国人の受入れ、製造業、サービス業での受入れと相当様相も違うのではないかというふうに承知をしております。
 漁業分野では、より、都市部と違って職住の一体性が強いという性格もあると思いますし、その分、外国人を受け入れる場合は、単なる職場だけのお付き合いではなくて、漁場、漁村そして地域、そしてまさに生活者としての受入れということになろうかと思います。その意味では、仕事のみならず、生活上必要な例えば日本語の習得といったこともより重要だというふうに思いますし、こうしたコミュニケーションを円滑に進めていくことなども含めて外国人の受入れの環境整備、これを職住一体的に併せて考えていく必要があると思います。
 外国人の受入れ環境を総合的に整備をしていくという、これは今回の新たな受入れにかかわらず早急に進めていただくべきものと考えておりますけれども、これは年内に政府としては閣議決定をしていくということだと承知しております。この中で、漁業、漁村においてはどのような環境整備を考えておられるのか、漁業分野における外国人の受入れに対する基本的な考え方を含めて、大臣にお伺いをいたします。

国務大臣(吉川貴盛君) 漁業におきまして従事する外国人の方が洋上で受ける指示の内容を理解する必要があるほか、漁村での生活者として受け入れられることが最も重要な課題と認識をいたしております。
 このために、外国人の受入れに当たりましては、まず漁船、漁村で生活をして、漁業に従事する上で必要となる日本語能力をしっかり確保していただかなければなりません。さらに、漁村において、漁業活動やコミュニティー活動の核となっている漁業協同組合等が外国人との円滑な共生において適切な役割を果たすために必要な支援を行わなければならないと存じております。
 今申し上げましたようなことなど、環境整備にしっかりと努めてまいりたいと存じます。

里見隆治君 これ、これまでの技能実習でいいますと、例えば失踪というような課題も指摘をされているところであり、これはしっかり撲滅、なくなるように手を打っていく必要がありますけれども、漁村の場合は、これ関係者からもお伺いをしましたけれども、逃げ場がないといいますか、そこで一緒に仕事をし、生活をしていくしかないわけですね。そういう意味では、一方で目指している共生という概念には非常にモデルケースとしてつくりやすい、そうした分野であるというふうに思いますので、是非、御担当の皆さんには、そうした環境整備を併せてこの受入れについては制度設計をしていただきたいというふうに思っております。
 続きまして、これはちょっと漁業というよりは震災復興対策とも絡みますけれども、私、実は昨年、宮城県に行ってまいりました。私ども公明党は、私は愛知県選出なんですけれども、復興支援ということで、どの県でも、その県関係なく、宮城、福島、岩手の担当を決めまして定期的に通わせていただいております。
 その中で、宮城県にお伺いをしたときに、復興支援事業で開設をされた水産加工工場にお伺いをいたしました。なかなか何年たっても、工場は復興支援によって整備をされたと、しかしながら、先生の方がよく御存じだと思いますけれども、なかなか、工場はしっかりした整備がされたけれども、魚が揚がってこないと。せっかくの設備が台なしだというようなお話も伺いました。
 こうした中で、私たちは、やはり強い農業、そして強い漁業、国際的な競争力を付けていく、もうかる漁業と、そういう意味では、この復興という観点、東日本大震災からの復旧復興という観点からは、国際的な風評とも闘っていかなければならないと、そのように認識をしております。
 去る十一月二十四日に台湾で、福島などの日本の五県産の食品の禁輸継続について賛否を問う住民投票があり、賛成多数で禁輸継続ということになってしまいました。二年間は投票結果と異なる政策を実施してはならないとの定めにより、二年間輸入解禁ができない状態であり、大きな打撃であるというふうに受け止めております。
 水産物も含む食品安全については、国内外を問わず、風評ではなく、安全性に関して科学的根拠に基づく対応が肝要であると、そのように考えますけれども、今後国際的にどのように理解を求めていかれるか、大臣に御認識をお伺いいたします。

国務大臣(吉川貴盛君) 今委員から御指摘をいただきましたように、食品の安全性につきましては、国内外を問わず、科学的根拠に基づく冷静な対応が何よりも重要であると認識をいたしております。
 その観点から申し上げますと、この度台湾で、我が国の五県ですね、福島、茨城、栃木、群馬、千葉県でありますけれども、この食品の輸入規制の継続が公民投票で可決をされるという、台湾の消費者の皆様に十分御理解いただけない結果となりましたことは、誠に残念なことでございます。
 東京電力福島第一原発事故に伴う日本産食品への輸入規制につきましては、これまで政府が一体となりまして撤廃と緩和に向けた取組を進めてまいりました。その結果、事故直後、輸入規制が講じられた五十四の国・地域から、これまでには二十九の国・地域で撤廃をされました。現在、二十五の国・地域でまだそれが継続をしているという状況でもありますので、引き続きまして、台湾も含めて輸入規制を継続をしている国・地域に対して、あらゆる機会を捉えて、科学的根拠に基づいて、輸入規制の撤廃、緩和が進みますように、関係省庁とも連携しつつ粘り強く働きかけを行ってまいりたいと存じます。

里見隆治君 関係省庁ともということでございました。政府を挙げてのお取組をお願いを申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。

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